『実戦・日本語の作文技術』のなかで著者の本多勝一さんはつぎのようにのべています。

まず自分の書いた文章を読んでみて「あれ、おかしいな」と思ったら、そのときだけ私がいったような原則を参考にすればわかるということですね。まず原則を頭の中に覚えてそれから作文を考えるんじゃなくて、作文はどんどん自由に書いて、それで「おかしい」と思ったときだけ、なぜおかしいのかを考えるときにこの原則を考えてくださいと、そういうことなんです。

つまりまずは自由に書いてみる、たくさん書いてみるのがよいということです。はじめから原則にとらわれすぎると先にすすめません。まずは量をもとめそして質をたかめていくのがよいでしょう。

するとそもそも何を書けばよいのかという内容の問題になります。そこで主題の設定や現場での取材が必要になってきます。この点については本書の付録でいくらかのべられています。

また本多さんの「日本語の作文技術」では日本語には主語は存在しないという説を一貫して採用しています。フランス語やイギリス語には主語がありますが、それらと日本語とは言語の構造がことなり、日本語の大黒柱はいわゆる述語であって主語は存在しないということです。

これについても、言語学者ではないわたしたちは言語学にたちいるのではなく、「日本語には主語はない」という仮説のもとでたくさん書いてみる、実践してみることが大事です。正確でわかりやすい文書を書きながら主語は必要ないことを結果として確認できればよいのです。

実際、たくさん書いていると経験的にわかってきます。これは実験をしているのとおなじことであり、経験的に仮説は検証あるいは実証されることになります。


▼ 文献
本多勝一著『実戦・日本語の作文技術』朝日新聞社、1994年
実戦・日本語の作文技術 (朝日文庫)


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