本多勝一著『実戦・日本語の作文技術』は、日本語の作文技術のもっとも基本的な原則として「修飾の順序」と「読点のうちかた」について強調しています。

修飾の順序
  • 長い修飾語ほど先に
  • 句を先に

読点の原則
  • 長い修飾語:長い修飾語が二つ以上あるときその境界にうつ
  • 逆順:語順が原則の逆になったときにうつ

日本語の作文の原則はいろいろこまかくて複雑にみえますが、まずは、これらの基本原則について徹底的に練習するのがよいでしょう。

わかりにくい例文をわかりやすくなおした例を以下に引用しておきます。

X 熱心な東京都立航空工業高等学校のいい生徒
○ 東京都立航空工業高等学校の熱心ないい生徒

X 東京都立航空工業高等学校の遠くから通学しているいい生徒
○ 遠くから通学している東京都立航空工業高等学校のいい生徒

X 何も事情を知らない軽薄きわまるAが思っただけでもふるえるほど大嫌いなBを私の小学校から高校を通じて親友のCに紹介した。
○ 何も事情を知らない軽薄きわまるAが、思っただけでもふるえるほど大嫌いなBを、私の小学校から高校を通じて親友のCに紹介した。

X 私は明日はたぶん大雨になるのではないかと思った。
○ 明日はたぶん大雨になるのではないかと私は思った。
○ 私は、明日はたぶん大雨になるのではないかと思った。

X とても美人だとは言えない。
○ 美人だとはとても言えない。

X 美しい水車小屋の娘
○ 水車小屋の美しい娘

X 野蛮な文明の敵
○ 文明の野蛮な敵

X 危険な政府の権威主義
○ 政府の危険な権威主義

X どちらも間違いなく再建の特効薬になり得る保証はない。
○ 再建の特効薬になり得る保証は間違いなくどちらにもない。

X 私は、女性は結婚して、家庭にどっぷりとつかり、なまぬるい生活を送るのがよいと、考えているのでは、けっしてない。
○ 女性は結婚して家庭にどっぷりとつかり、なまぬるい生活を送るのがよいと考えているのでは私はけっしてない。

X 退役軍人連盟のブルース・ラクストン・ビクトリア州支部長(六三)がぶち上げると、満場の拍手がわいた。
○ 退役軍人連盟のブルース=ラクストン・ビクトリア州支部長(六三)がぶち上げると、満場の拍手がわいた。

X 肩書きだけでは一生暮らせない。
○ 肩書きだけでは一生は暮らせない。

X 芝生をいためる球技等の行為は厳禁する。
○ 球技など芝生をいためる行為を禁ずる。


▼ 文献
本多勝一著『実戦・日本語の作文技術』朝日新聞社、1994年
実戦・日本語の作文技術 (朝日文庫)


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