本多勝一著『日本語の作文技術』第五章「漢字とカナの心理」では漢字とカナのつかいわけについて解説しています。
漢字とカナを併用するとわかりやすいのは、視覚としての言葉の「まとまり」が絵画化されるためなのだ。ローマ字表記の場合の「わかち書き」に当たる役割を果たしているのである。
例文を引用しておきます。
X その結果今腸内発酵が盛んになった。○ その結果いま腸内発酵が盛んになった。X 閣下がほんのいまおならをなさいました。○ 閣下がほんの今おならをなさいました。
どういうときに漢字をつかい、どういうときにつかうべきでないかは、そのおかれた状況によってことなり、視覚的にわかりやすい方を採用するということです。漢字かカナに統一する必要はありません。
したがってたとえば「こん虫」式の書き方をしてはならず、「昆虫(こんちゅう)」とするか「コン虫」のようにします。「い草」は「藺草」か「イグサ」とします。
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なお本書ではのべられていませんが、視覚的にわかりやすくすることは情報処理の観点からみても重要です。
書かれた文章を視覚的にとらえることは速読法に通じます。黙読をせずに視覚的に情報をインプットできれば、視覚の回路(光を処理する回路)をつかって高速で情報を処理することができます。しかし黙読をすると音の回路で情報を処理することになり時間がかかります。また視覚的に情報を処理すると空間的構造的に情報をとらえられるようになります。それに対して黙読では一次元的にしかとらえられません。
このように視覚的にわかりやすい日本語の文章は速読がやりやすいということもいえます。
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