本多勝一著『日本語の作文技術』第三章では「修飾の順序」(語順の原則)について解説しています。

わかりにくい例文をわかりやすくなおした例を以下に引用しておきます。

1. 句を先にし、詞をあとにする

X 速くライトを消して止まらずに走る。
○ ライトを消して止まらずに速く走る。


2. 長い修飾語は前に、短い修飾語は後に

X Aが私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCに紹介した。
○ 私がふるえるほど大嫌いなBを私の親友のCにAが紹介した。

X 雨がもえる若葉に豊かな潤いを与えた。
○ もえる若葉に豊かな潤いを雨が与えた。

X 初夏の雨が若葉に豊かな潤いを与えた。
○ 初夏の雨が豊かな潤いを若葉に与えた。

X 潤いを初夏の雨がもえる若葉に与えた。
○ 初夏の雨がもえる若葉に潤いを与えた。

X 私は明日はたぶん大雨になるのではないかと思った。
○ 明日はたぶん大雨になるのではないかと私は思った。

X 明日は雨だとこの地方の自然に長くなじんできた私は直感した。
○ この地方の自然に長くなじんできた私は明日は雨だと直感した。

X チリ美人は、アルゼンチンの肉をたっぷり食べているセニョリータにくらべると、ぐっと小柄である。
○ 肉をたっぷり食べているアルゼンチンのセニョリータにくらべると、チリ美人はぐっと小柄である。

X MPLA指導部の第一陣として一九七四年の暮れに、解放闘争初期からの指導者の一人ルシオ・ララにひきいられた代表団がルアンダの空港についたとき、
○ 解放闘争初期からの指導者の一人ルシオ・ララにひきいられた代表団がMPLA指導部の第一陣として一九七四年の暮れにルアンダの空港についたとき、


3. 大状況・重要な内容ほど先に

X 豊かな潤いをもえる若葉に初夏の雨が与えた。
○ 初夏の雨がもえる若葉に豊かな潤いを与えた。


4. 親和度(なじみ)の強弱による配置転換

X 初夏のみどりがもえる夕日に照り映えた。
○ もえる夕日に初夏のみどりが照り映えた。


上記の4つの原則のうち特に重要なのは1と2です。



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