国立科学博物館
博物館は、あるテーマに関して学習したり記憶したりするためにとても役にたちます。今回は、博物館をつかった空間学習法についてのべてみたいとおもいます。
わたしは先日、東京・上野の国立科学博物館の「ヒカリ展」に行き、次の手順で光について学習し記憶しました。
1. 展示会場の全体構造を見る
このフロアーマップをよく見て、展示会場の空間的構造を自分の意識のなかにしっかりインプットします。会場全体は「家」、各展示室は「部屋」であるとイメージし、全体と部分をつかむようにします。
この空間(3Dイメージ)が情報の入れ物になります。
2. 展示室をイメージで記憶する
つぎに、フロアーマップを見ながら各展示室をあるいていきます。
それぞれの展示室において、その空間全体をよく見わたし、各展示物がそのなかのどこに置いてあるのか、その位置(場所)を確認します。そして、展示室の空間と展示物をイメージとしてインプットし記憶するようにします。
さらに、それぞれの展示物に関する言語による解説をそれぞれのイメージにうめこむように、あるいはむすびつけるようにして記憶します。音声ガイドによる解説も同様に、それぞれのイメージにむすびつけて記憶するようにします。
3. まとめ:フロアーマップをみながら想起する
ひととおり見おわったら休憩所に行って、フロアーマップを見ながら、今あるいてきたルート上の各展示室と展示物をイメージとしておもいだします。
さらに、その展示室あるいは展示物にむすびついていた言語による解説もおもいだします。どこまで正確におもいだせるでしょうか。
もし余裕があれば、入り口でもらった「音声ガイドリスト」のリスト(タイトル/言語)だけを見て、それぞれの展示室と展示物さらに言語的解説をおもいだしてみます。
実際にやってみると、フロアーマップを見ながらの想起の方が、言語リストを見ながらの想起よりも簡単におもいだせることがわかります。つまり、記憶や想起は、言語よりも空間(あるいはイメージ)を第一に利用した方がやりやすいのです。
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「音声ガイドリスト&フロアーマップ」はスキャニングして保管しておきます。折にふれてこれを見なおすことにより、そのときの体験や情報をいつでも想起することができます。今回の特別展のテーマに関して継続して学習をしたい場合は、図録を買っておけばいつでも復習ができます。
▼ なお、フロアーマップは下記サイトにもでていました。こちらの方がカラーでわかりやすいです。
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2014/hikari/map.html
http://www.kahaku.go.jp/exhibitions/ueno/special/2014/hikari/map.html
以上の手順をモデル化すると図2のようになります。

図2 博物館を利用した学習法
展示室や展示物を空間的にとらえ、その空間に言語的解説をうめこんでいくのがポイントです。つまり、すべての情報を位置情報(場所情報)にしてしまい、視覚的に情報を処理するのです。
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以上の要点をさらにまとめるとつぎのようになります。
第1に、大局を見ます。大所高所から見るということであり、大観するといってもよいです。今回は、フロアーマップをつかって大局を見ました。
第2に、展示室という局所に入りこみ、イメージングをします。これは歩行という運動がともなう実践的行為です。
第3に、全体をふりかえり想起します。このとき、これまで見てきた情報の統合作用がおこり、全体がまとまります。できればテーマに関する本質をつかみ、それを書きだしてみます(アウトプットします)。今回の場合だと、光の正体であるとか、電磁波の波長とその用途などについてまとめておきます。
以上の要点をまとめると次の三段階にモデル化することができます(図3)。

図3 三段階モデル
博物館の空間を利用した学習法や記憶法は、あまり時間をかけずにしかもたのしく実践することができます。自分の興味のある博物館や企画展があったらすぐに出かけていくのがよいでしょう。
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