本多勝一著『日本語の作文技術』の「第六章 助詞の使い方」の「3 来週までに掃除せよ ─ マデとマデニ」では、「マデ」や「マデニ」のつかいわけについて解説しています。   

つぎの例文をみてください。

(C)来週まで掃除せよ。
(D)来週まで掃除せよ。
 
(C)は一週間の余裕をもってその間に一度掃除をすればいいが、(D)はなにか刑罰みたいに一週間掃除しつづけることを意味する。

このような限定の範囲のことなる助詞の使用法に注意しなければなりません。たった一字で論理の重大な食い違いが生じてきます。

つぎの例文はどうでしょうか。

列車ガ名古屋ニ着ク マデ 雑誌ヲ読ムノヲヤメタ。
列車ガ名古屋ニ着ク マデニ 雑誌ヲ読ムノヲヤメタ。 
列車ガ名古屋ニ着ク マデデ 雑誌ヲ読ムノヲヤメタ。
 
マデは動作の継続をあらわす動詞を必要とするから「読ムノヲヤメタ」は「読むのをさしひかえ続けた」の意味、マデニはある動作が行われる最終期限(締め切り)をあらわすから「名古屋に着く以前に読むのをやめた」の意味、マデデは何かをある点までし続けて、その点で終了することをあらわすから「名古屋に着くまで読み続け、着いたときにやめた」意味となる。

つまり、「マデ」は、動作の継続をしめし、「マデニ」は、動作の最終期限(締め切り)をあらわし、「マデデ」は、動作をある点までし続けて、その点で終了することをあらわします。 


■ まとめ
「マデ」:動作の継続をしめす。
「マデニ」:動作の最終期限(締め切り)をしめす。
「マデデ」:動作をある時点までし続けて、そこで終了することをしめす。


▼ 文献
本多勝一著『日本語の作文技術』(朝日文庫)1982年1月14日
日本語の作文技術 (朝日文庫)


助詞をつかいこなす(1) - 題目を表す係助詞「ハ」(本多勝一著『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(2) - 対照の係助詞「ハ」(本多勝一著『日本語の作文技術』)-

本多勝一著『日本語の作文技術』をつかいこなす - まとめ -