本多勝一著『日本語の作文技術』は、日本語の作文技術を解説した本のなかでもっともすぐれた著作です。本書を読んで練習すれば日本語の作文技術を身につけることができます。

「第一章 なぜ作文の『技術』か」において本多さんはつぎのようにのべています。

「事実的」あるいは「実用的」な文章のための作文技術を考えるにさいして、目的はただひとつ、読む側にとってわかりやすい文章を書くこと、これだけである。

つまり、あくまでも読者の立場にたって達意の文章を書くことを目的にして、そのための技術を習得しようということです。

第一章の要点はつぎのとおりです。

日本語は、ヨーロッパ語にくらべて非論理的であるという意見がありますがそれは誤りです。言語とはすなわちその社会の論理です。日本語の論理や文法はヨーロッパ語の間尺では計測することはできません。

あらゆる言語は論理的なのであって非論理的言語というようなものは存在しません。言語というものはいかなる民族のものであろうと、人類の言葉であるかぎり論理的でなければ基本的に成立できません。

実際には、文部省教育において感想文を書く時間はあっても作文技術の指導はないということが非論理的文章が日本人に多い現象の一因になっています。

作文とは要するに、一つの建築みたいにしてつくりあげることです。日本語の作文技術は建築技術とおなじような意味での「技術」です。

技術だからこそ訓練によって誰でも習得できるのであり、つまり技術とは伝達と学習が可能なものです。

文章は、話すように書くわけには決していきません。

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本書を読みながら自力で練習をすれば日本語の作文技術を誰でも習得することができ、わかりやすい文章が書けるようになります。


▼ 文献
本多勝一著『日本語の作文技術』(朝日文庫)1982年1月14日
日本語の作文技術 (朝日文庫)


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