150104 国立民族学博物館 世界地図
国立民族学博物館の世界地図

これは、国立民族学博物館の地域展示のコンセプトにそってつくられた世界地図です。展示ガイド(注)から引用しました。地球上を、文化的なまとまりにもとづいて、9つの地域に分けています。これは、わかりやすい世界の見取り図としてつかえます。

それぞれの地域の文化的特色をつかむためには宗教について知ることが重要です。この地図から、世界の宗教の分布も見えてきます。大局的に見ると、たとえば、つぎのような地域と宗教との対応関係があります。宗教を、空間的なひろがりとしてとらえなおすことができます。

 ヨーロッパ:キリスト教
 中央・北アジア:イスラム教、キリスト教
 西アジア:イスラム教
 南アジア:ヒンドゥー教
 東アジア
  チベット:チベット仏教
  中国:儒教(一部は道教)
  日本:日本仏教
 東南アジア:上座部仏教(一部はイスラム教)
 アメリカ:キリスト教

西アジアに北アフリカがふくまれているところなどに注目してください。


また、いわゆる文明との対応関係もあります。伝統的な文明を空間的にとらえなおすことができます。

 ヨーロッパ:ヨーロッパ文明
 西アジア:イスラム文明
 南アジア:ヒンドゥー文明
 東アジア
  チベット:チベット文明
  中国:中国文明
  日本:日本文明


この世界地図をおぼえておけば、世界のニュースやグローバルな情勢に接したときに理解がすすむとおもいます。


博物館のなかをあるいて見学すると、各展示物とその解説は、博物館のなかの特定の展示室での体験として記憶されます。

そして一通り見おわったら、それぞれの展示室での歩行体験、展示物を見たときの体験を、この地図上でとらえなおしてみるとよいです。すると、それまでの体験が、今度は、地図上の特定の地域にむすびつけられて理解され記憶されることにもなるのです。

こうして、この世界地図の9つの地域は、それぞれが情報のひとまとまり、情報のユニット、つまりファイルになります。すると、この地図は、そのようなファイル(展示物のイメージや解説などの情報)を想起するためのインデックス・マップとしてもつかえるようになります。折にふれてこの世界地図を見なおすことにより、博物館のなかでの体験を、地域ごとにおもいだすことができるのです。

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国立民族学博物館には、かならずしもそのことがガイドにしめされているわけではありませんが、理解や記憶や学習のための よくできた仕掛けが随所にあります。情報処理の訓練と世界の理解のために、とてもつかい勝手のある博物館だとおもいます。


▼ 注
『国立民族学博物館展示ガイド』国立民族学博物館、2012年3月30日 


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