『梅棹忠夫 語る』の第四章「情報は分類せずに配列せよ」では、あつめた資料や情報のとりあつかい方についてかたっています。

分類するな、配列せよ(中略)大事なのは検索。

この原則は今日では常識となりました。

現代では、資料や情報はすべてコンピューター・ファイルになりますので、ファイル名にキーワードや日付をいれるなどして、ファイル名を適切につくっておけば、検索はできます。したがって、ファイルは分類せずに時系列にファイルしてゆけばよいわけです。

問題は、集積されたファイルをどう活用するかという、つぎの段階にあります。その方法として、梅棹さんは「こざね法」を提案しています。



つぎに、情報産業についてのべています。

情報と産業を分けて考えたらあかんねん。情報産業と言うもんや。(中略)工業時代の次に来るのが、情報産業の時代ですよ(中略)一種の進化論です。農業の時代、工業の時代、その次に来るのが情報産業の時代。

梅棹さんは、単なる情報論を展開したのではなく、文明学あるいは進化論のなかに位置づけて、情報産業を論じています。

わたしたちは、今日、情報産業時代に突入したのであり、人類進化の真っただ中にいるのです。そんことは大げさだとおもう人がいるかもしれませんが、そうではありません。あとの時代の人類から見れば、20世紀末から、大規模な情報革命がおこり、情報産業の時代に入ったということはあきらかです。

したがって、情報処理の方法をとりあつかうときに、技術も無論必要ですが、単なる技術論におちいらないで大局をとらえることが大切です。


梅棹忠夫著『知的生産の技術』についてはつぎのようにのべています。

コンピュータ時代を先取りしたもの、基本設計図。

コンピュータは、要するにノートと鉛筆だ。

梅棹さんは、文明学を大規模に展開しましたが、それだけではなく、情報技術の開発にもとりくんだことに注目しなければなりません。技術から文明学・進化論までを総合的に論じ、同時に、文明の大局のなかに技術を位置づけて実践しました。

このように、大局をとらえたうえで、技術にとりくんでいくことが重要なのだとおもいます。