東京、練馬区美術館で開催された「見つめて、シェイクスピア!」展を先日みました。

本年が、16世紀のイングランドを代表する劇作家で詩人、ウィリアム=シェイクスピアの生誕450年にあたることを記念して企画された展覧会でした。

シェイクスピアの作品に主題をえた絵画作品や挿絵が多数展示されていて、シェイクスピアを短時間で圧縮体験することができました。

フランス・ロマン主義の旗手、ウジェーヌ=ドラクロワによる版画《ハムレット》や、エコール・ド・パリの画家、マルク=シャガールの版画による挿絵本《テンペスト》、イギリスの挿絵画家アーサー=ラッカムやアーツ・アンド・クラフツのメンバーでもあったウォルター=クレインによる挿絵本などを見ました。

静止画をみて、物語をおもいだいし、とらえなおすという体験をすることができました。『オセロー』の第5幕第2場は印象的でした。

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ジョシュア=ボイデル:「オセロー」より、「第五幕第二場 眠るデスデモーナ」(図録より引用)


それぞれの絵は、物語の一場面をきりとったものですが、その前後を想像してみるのはたのしいものです。また、画家は、どうしてこの場面を選択したのかを想像してみるのもよいです。

それぞれの絵は、ストーリーの目印として利用できます。題名と絵をセットにしておぼえておけば、そのストーリーをおもいだしやすくなります。わたしは、図録を買ってきましたので、この図録に掲載されている絵は、ストーリーのインデックス(想起のための手段)としてつかえます。つまり、絵は「アイコン」の役割をはたします。

あるいは、印象的な絵を見て、原作にあたってみるという逆コースもおもしろいです。

こうして、イメージと言語を自由に往復しながらたのしめる展覧会でした。

141208 言葉とイメージ



▼ 文献
「見つめて、シェイクスピア!」展(図録)、マンゴスティン制作・発行、2014年


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