METライブビューイング(銀座・東劇)で、グノー作曲『ロメオとジュリエット』を視聴しました。

指揮:プラシド=ドミンゴ 
演出:ギイ=ヨーステン
出演:アンナ=ネトレプコ(ジュリエット)、ロベルト=アラーニャ(ロメオ)、イザベル=レオナール(ステファーノ)、ネイサン=ガン(メルキューシオ)、ロバート=ロイド(ローラン神父)

『ロメオとジュリエット』は、誰もが知っているシェイクスピアの有名な戯曲です。フランスの作曲家シャルル=グノーはこの作品を全5幕のオペラにしました。グノーが作曲したオペラの中では9番目にあたり、『ファウスト』についで成功をおさめた傑作です。

フランス・ロマン派のかおりをつたえるすきとおったメロディーが、悲恋物語を、一層うつくしくかなしくしていました。指揮は名テノールのプラシド=ドミンゴという豪華版でした。

ストーリーについてはすでに誰もが知っているということもあり、オペラの場合はあくまでも音楽が中心で、情感ゆたかな楽曲でストーリーが表現されます。そこでは、言語で、因果関係を論理的につかむというのではなく、ふたりの深層意識からさまざまな出来事がわきだし具現化されていく、そんな様子がよくあらわれていました。

人間の意識の中軸には感情があって、感情は、わたしたちの意識をおおきくゆさぶります。人間は、基本的には感情の動物なのではないか、そんな感想をもちました。

本作は、シェイクスピアの戯曲に音楽をつけたというレベルのものではなく、まったく別の作品であり、あらたな創造がここにはありました。


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