『写真で楽しむ 自然の幾何学』(Newton別冊)は、自然界で見られるさまざまな形を写真で紹介しているおもしろい本です。光では見えない小さな物から宇宙の構造まで、さまざなま規模であらわれる自然界の幾何学図形を見ることができます。

つぎの形の写真が掲載されています。

1章 円と球
2章 渦とらせん
3章 六角形
4章 その他の多角形
5章 フラクタル
6章 さまざまな曲線
7章 『自然の幾何学』研究最前線

IMG_1416

写真1(本書 38-39ページ)


本書に親しんでおけば、散歩をしながら、あるいは旅行をしながら自然を見るとき、これまでとはちがった観点から自然をとらえなおすことができます。自然にはこんな一面もあったのかと、とても新鮮な感動がえられることもあります。

本書を手元においておき、折にふれて見なおし、自然観察のために役立てるとよいでしょう。


また、自然の形からあらたな着想がえられることがあるかもしれません。

たとえば、株式会社エーイーティーというオーディオ関連機器メーカーでは、「自然の理を製品設計に昇華し実現した超強度の製品群」を製作しているそうです(写真2、3)。

IMG_1421

写真2(株式会社エーイーティーのカタログより)


IMG_1422

写真3 (株式会社エーイーティーのカタログより)


また、建築家のガウディは、自然界の幾何学的な形を建築にとりいれました。自然界がもつ完璧な機能に注目し、らせんや局面など生物の基本的な構造を多用しました。自然の機能にうつくしさを見いだし、うつくしい形は構造的にも安定していることをあきらかにしました。



わたしが注目するのは、本書第5章のフラクタルです。

IMG_1417

写真4(本書 96-97ページ)
 

IMG_1420

写真5(本書 98-99ページ)

この野菜は、全体を見るとしずく型をしている。そして、一つ一つの突起を見ると、これもしずく型をしている。この突起をさらに細かく見ると、より小さなしずく型があらわれる。このように、「全体と部分が自己相似する形」を、「フラクタル」という。(98ページ)


野外をあるいているときに気をつけていると、フラクタルが結構みつかります。フラクタルを見ると、部分を見て全体が想像できたり、全体を見て部分が想像できたりします。相似な形態を見つける目がやしなわれます。

植物の観察がとてもたのしくなります。風景のなかにもフラクタルはあります。

自然あるいは宇宙の基本構造はフラクタルになっているのではないかとわたしはかんがえています。

自然界には実に多様な形があって手におえないように感じますが、フラクタルを中心にすえて自然を見なおしてみると、自然の見方が一気にひろがります。

是非、フラクタルに注目して見てください。


▼ 文献
『写真で楽しむ 自然の幾何学』(Newton別冊)ニュートンプレス、2011年12月15日
自然の幾何学―写真で楽しむ (ニュートンムック Newton別冊)