『NHK 100語でスタート!英会話』(DVD+BOOK)の第2弾、オーストラリア編です。

本書で紹介している「100語」は、英会話でもっともよくでてくる重要な100のキーワードを、「コーパス」の結果をふまえて厳選したものです。「コーパス」とは、英語の使用データをコンピューターに大量にたくわえた言語資料のことであり、この100のキーワードを記憶することによって、英会話の約70%をしめる語彙が身につき、英会話の土台をしっかり構築できます。本書をつかって「あらたな100語の旅路へ」出発してみましょう。

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100のキーワードは以下のとおりです。〔〕内は、各場面(スキット)を想起するためのヒントです。

01 have (1) 〔マイクがホテルに到着する。〕
02 say 〔電話を切ったエドに、妻のサラが話しかける。〕
03 get (1) 〔マイクとエドは散歩しながら話している。〕
04 make (1) 〔エドがツアーガイドになる。〕
05 do (1) 〔ワインを飲みながら話している。〕
06 do (2) 〔トラムに乗ろうとしている。〕
07 will 〔マーケットに行く。〕
08 would 〔エドの家で食事をとる。〕
09 go (1) 〔食事が終わってくつろぐ。〕
10 go (1) 〔レストランでメニューをながめる。〕
11 come (1) 〔ビールを飲みながら話している。〕
12 come (1) 〔メルボルン博物館にやってくる。〕
13 be (1) 〔アボリジニの作品を見る。〕
14 be (1) 〔上司に見つかったらヤバイぞ!〕
15 what 〔かくれているエドのところにマイクとサラがやってくる。〕
16 which 〔ジュースを飲みながらあるいている。〕
17 see (1) 〔教会のなかを見学する。〕
18 see (2) 〔ショップでサラは帽子をえらぶ。〕
19 look (1) 〔トリムカーレストランでメニューを見る。〕
20 look (2) 〔料理がはこばれる。〕
21 know 〔ヤラヴァレーをおとずれる。〕
22 think 〔ワインテイスティングをする。〕
23 seem 〔ジラリンガにやってくる。〕
24 feel 〔コアラにミルクをやる。〕
25 want (1) 〔エドの家にて明日の出発について話している。〕
26 want (2) 〔サラにおねがいをしている。〕

27 like (1) 〔タスマニアのホバートに到着する。〕
28 like (2) 〔ガイドブックを手にしている。〕
29 can 〔ショッピングをしている。〕
30 could 〔ぬいぐるみを買う。〕
31 who 〔釣りをしている。〕
32 when (1) 〔エドは帰りたがっている。〕
33 take (1) 〔羊毛刈りをする。〕
34 take (2) 〔ユーカリの木を見る。〕
35 give 〔草原をあるきながら話している。〕
36 bring 〔バーベキューが焼ける。〕
37 tell (1) 〔野生動物公園にやってくる。〕
38 tell (2) 〔タスマニアデビルを見ている。〕
39 ask (1) 〔カンガルーに話しかける。〕
40 ask (2) 〔ウォンバットを抱いている。〕
41 talk 〔写真を撮っている。〕
42 speak 〔自転車に乗る。〕
43 hear 〔ホバートにもどってくる。〕
44 listen 〔音楽テープをわたす。〕

45 should 〔マイクは、日本の伊豆にやってきた。〕
46 must 〔マイクはケンジと出会う。〕
47 may 〔食堂にやってくる。〕
48 might 〔旅館に到着する。〕
49 find (1) 〔露天風呂に入る。〕
50 find (2) 〔日本食を食べる。〕
51 mean 〔金山に来る。〕
52 put (1) 〔神社に来る。〕
53 use 〔散歩中に飲物を買う。〕
54 work 〔仕事について話している。〕
55 have (2) 〔ケンジのアパートにやってくる。〕
56 get (2) 〔ベッドについて心配する。〕
57 leave (1) 〔ケンジの部屋で明日の予定について話している。〕
58 leave (2) 〔書き置きを読む。〕
59 keep (1) 〔マイクはカバンをぬすまれたと勘違いする。〕
60 keep (2) 〔マイクはエイミーを追いかける。〕
61 need 〔マイクはエイミーに電話をかける。〕
62 try 〔ランチの約束をする。〕
63 call 〔マイクとケンジはバーで話している。〕
64 turn 〔レストランでエイミーと再会する。〕
65 believe 〔再会をよろこぶ。〕
66 become 〔レストランのテーブルで話している。〕
67 run 〔誤解が解ける。〕
68 help 〔ケンジはマイクに感謝する。〕
69 and/so/but 〔メアリーがエドに電話をかける。〕
70 if 〔マイクが日本に行ったことをメアリーは知らなかった。〕
71 hold 〔エドがマイクに電話をする。〕
72 hope 〔マイクは、オーストラリアへむけて出発する。〕

73 when (2) 〔オーストラリアでマイクはエドと再会する。〕
74 as 〔メアリーが泊まっているホテルにマイクとエドはやってくる。〕
75 pay 〔マイクはお金を持っていない。〕
76 buy 〔マイクとエドはメアリーの話をしている。〕
77 that 〔メアリーはダイアンに電話をする。〕
78 that/which 〔メアリーとダイアンは再開する。〕
79 move 〔スイミング・ラグーンに来る。〕
80 follow 〔マイクは落ち込んでいる。〕
81 begin 〔乗馬をする。〕
82 start 〔ブーメランを投げる。〕
83 stop 〔サーフィンをする。〕
84 happen 〔メアリーの写真を見せる。〕

85 make (2) 〔モートン島にやってくる。〕
86 let 〔砂すべりに挑戦する。〕
87 suppose 〔イルカの餌付けに挑戦する。〕
88 wonder 〔メアリーとダイアンが話をしている。〕
89 remember 〔マイクとエドはケアンズに車でむかっている。〕
90 forget 〔昼食をわすれる。〕
91 show 〔メアリーとダイアンは熱帯雨林にやってくる。〕
92 watch 〔マイクとエドも熱帯雨林にやってくる。〕
93 write 〔マイクがメアリーに手紙を書いている。〕
94 meet 〔メアリーとマイクが再会して抱き合う。〕
95 break 〔写真を見せている。〕
96 set 〔レストランに行く。〕
97 change 〔ホテルのプールサイドでくつろぐ。〕
98 put (2) 〔旅行について話をしている。〕
99 pick 〔グリーン島の浜辺ですごす。〕
100 mind 〔マイクが船に乗りおくれる。〕



■ DVDをくりかえし視聴する

DVDをくりかえし視聴しながら、視聴覚体験を心のなかにしっかりインプットします。

聞きとれないところ、意味のわからないところについてはテキストをじっくりみ見て確認し、記憶します。



■ マイクがおとずれた場所を地図で確認する

マイクは、オーストラリアの、メルボルン(Melbourne)、ヤラヴァレー(Yarra valley)、ジラリンガ(Jirrahlinga)、タスマニア(Tasmania)、ゴールドコースト(Gold Coast)、ケアンズ(Cairns)、モートン島(Moreton Island)、グリーン島(Green Island)、また日本の伊豆、東京をおとずれました。

これらの位置を地図上で確認し記憶しておきます。地図は、記憶を定着させるためのもっとも基礎的な基盤です。

マイクがおとずれた場所を地図上でつないで大局をとらえると、 ストーリーがつくりだす空間(範囲)がとらえられ、全体が小さく見えてきて情報がとりあつかいやすくなります。

また、世界地図や地球儀でオーストラリアを見るたびに本書をおもいだし、その内容をつかうことができるようになります。情報が、オーストラリアの大地につながれているといった感じです。



■ 100の場面(スキット)を想起する

上記の 01〜100までのキーワードと想起のためのヒントを順番にみて、各場面(スキット)をイメージ(動画)として想起します。どこまで正確におもいだせるでしょうか。

それぞれの場面(スキット)は、キーワードが上部構造、スキットの動画が下部構造であるととらえることができます。

141013 キーワードと動画

図1 各場面(スキット)は、上部構造であるキーワード、下部構造である動画からなる


イメージがよくおもいだせない場面(スキット)についてはDVDを再度みて確認し記憶しなおします。

イメージがしっかり想起できるようになったら、話されていた英会話も記憶し、想起してみます。スキットの会話すべてを記憶する時間がないようでしたら、キーワードがふくまれている一文(例文)を記憶し想起できるようにします。

ポイントは、イメージを、言語の記憶のベースとしてつかうことです。イメージは記憶の基盤になります。



■ 100個のファイルを完成させる

図1において、上部構造のキーワードはラベル(標識)、下部構造は視聴覚体験あるいは情報の本体であり、これは1個のファイル(情報のひとまとまり)ととらえなおすことができます。

140927 ラベルと情報の本体380px

図2 ファイルの構造


キーワードはその場面を圧縮したラベル(標識)である一方、場面を想起するための引き金(手段)です。

キーワードと例文を想起しつかえるようになるためには、見通しのよいファイルをつくることが必要です

そのためには、各場面を的確にインプットして、下部構造をしっかり構築するようにします。

また、出来事がおこっているひとつの空間を意識し、スキットをひとまとまりとしてとらえるセンスをみがきます。場面のひとまとまりとは、視聴覚体験のひとまとまりであり情報のひとまとまりです。ひとまとまりをはっきりさせるためには、前の場面から次の場面に転換するときの境界をしっかり確認するようにします。境界を明確にとらえることが肝要です。

また、DVDをたのしみながら見て、よい感情とともに記憶し想起すると学習効果は格段に高くなります。その意味では、最初の教材えらびも大事です。オーストラリアに興味があって是非いってみたい、あるいは行ったことがあるというのでしたら効果は非常に高くなるにちがいありません。DVD教材はほかの国のものもありますので自分にあった教材を検討するとよいでしょう。

こうして、視聴覚体験をファイルとして完成させ、見通しがよいファイルができると、ある場面がひとまとまりとして瞬時におもいだせるようになります。想起ができるということはキーワードがつかえるようになるということです。



■ つらなったファイルをイメージする

DVDで見られるストーリーは、このような100個のファイルがつらなってできたものです。ファイルがつらなっていることをイメージしてください。すると心のなかで体験が整理され、ファイルの見通しはさらによくなり、記憶が保持されるようになります。


141013 つらなったファイル

図3 ファイルがつながっているイメージ



■ ファイルを成長させる

このようにして100個のファィルをつくり、これらをストーリーにそってつなげておけば、ファイルが核になって英会話力をさらにのばしていくことができます。100個のファイルとこれらのつらなりはひとつの体系であり、もやや断片のよせあつめではありません。

そして、キーワードをくりかえしつかえばつかうほどファイルは強固なものになります。このようなファイルの体系は生き物のようにはたらいて成長していきます。



■ 海外旅行でファイル作成を実践する

上記の方法は海外旅行にそのまま応用できます。

旅行をしながら、それぞれの場面を意識し、場面のひとまとまりごとに一個のキーワードあるいはキャッチフレーズをあたえてノートに書きだしていきます。キーワードやキャッチフレーズはラベルであり、ラベルを書く作業はアウトプットですから、1回かきだすごとに情報処理を1回することになります。

そして、ひとつの情報処理をすると同時に1個のファイルが形成されることになります。

1回の旅行で、できれば100個のファイルをつくるとよいですが、100という個数にこだわる必要はありません。数がすくなくてもしっかりとしたファイルをつくることが大切です。

こうして、体験のひとまとまりを意識して、体験をファイルにし、体験ファイルを集積していけば、それは自分独自のつかえるデータバンクになります。



▼ 引用文献
投野由紀夫著『NHK 100語でスタート!英会話 オーストラリア編』(DVD+BOOK)日本放送出版協会、2005年10月25日
NHK100語でスタート!英会話 (オーストラリア編) (NHK出版DVD+BOOK)


▼ 参考文献
栗田昌裕著『記憶力がいままでの10倍よくなる法』三笠書房、2002年5月 


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