『高度1万メートルからの地球絶景』は、日本航空B747型機の機長が眼下の絶景を機内から撮影した国際線別の絶景写真集です。この写真集がおもしろいのは、撮影地点とともに飛行ルートを地図上に明確にしめしていることです。今どこを飛んでいるのだろうと想像しながら、 飛行機にのった気分になって眼下の絶景を連続的にながめる疑似体験ができます。

目次はつぎのとおりです。

カナダ/メキシコ路線
眼下に太古の原風景が広がる

ヨーロッパ路線
ロシア上空から見るシベリアの大地

オセアニア路線
珊瑚礁の海と青の透明さ

北米/北太平洋路線
アラスカ横断飛行は氷河の世界

中国/シルクロード路線
秀峰カラコルムを越える巣らのシルクロード

ハワイ路線
太平洋の青い環礁を越えて

東南アジア路線(1)
熱帯雨林とメコンの大河へ

東南アジア路線(2)
南方の戦跡の島々を飛ぶ

東南アジア路線(3)
世界の屋根ヒマラヤからインドへ

その他の路線
南米/西オーストラリア/南アフリカ


写真はどれもすばらしく、うつくしい地球の素顔を空からの視点でたのしむことができます。

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各国際線のルートにそって絶景が配列されているので、ルートがつくりだす連続的な空間として絶景を見ることができます。それぞれの空間が線でむすばれていてバラバラになっていないので、 ひとつながりの空間の出来事として全体をとらえることができます。空間が線で連結・統合されているといった感じです

このように、空間を線でむすびつけ、時間的・連続的なストーリーのなかですべてを一望することは、空間記憶法や情報の統合作業に通じます。情報処理をすすめるときに、それぞれの空間を連続的にむすびつけて全体像をえがくようにすればよいのです。このような訓練により、これまでとはちがった空間の場をもつことができ、情報処理の場もひろがります。

たとえば Google Earth をつかえばこのようなことがすぐにできます。本書を参考にして、これまでに自分がたどってきた旅のルートを一望してみるとよいでしょう


文献:杉江弘著『高度1万メートルからの地球絶景』講談社、2003年12月16日
高度1万メートルからの地球絶景