情報をアウトプットするとき、いくつかの情報を統合・要約して単文にして書きださなければならない場面はとてもたくさんあります。すぐに要約が書ける場合は問題はありませんが、要約がむずかしくなかなか書きだせないこともあります。そのときに役立つのが「要約法」です。

手順は以下のとおりです。

 1. キーワードを書く
 2. 連想ゲーム
 3. 単文につづる
 4. 清書

たとえば、つぎの2文があったとします。

 ・環境を保護するための科学技術の進歩がもとめられている。
 ・ソーラーシステムや風力エネルギーをつかう技術を発展させなければならない。


1. キーワードを書く
それぞれの文につき、1語ずつキーワードを書きだします。元の文から引用してもよいですし、あらたにかんがえてもよいです。

 例)
 ・技術革新
 ・環境にやさしく


2.連想ゲーム
元の文はふせてしまい見ないで、書きだしたキーワードだけを見ます。そして、キーワードから連想される単語を書きだします。関連のありそうな事柄が頭にうかんでくるので、それをあらわす単語を書きだします。直接関係ないようなことでも、うかんできたことはすべて書きだしてみます。理屈ではなく情念をつかうといった感じで、 元の文は見ないことがポイントです。

 例)
 環境
 自然力 やさしい 融合
 技術開発


3. 単文につづる
連想された単語群だけをみて、「要するにこうだ」と単文を書きだします。

 例)
 自然の力を利用する、自然に融合した技術開発が必要だ。


4. 清書
今度は、最初の元の文を見なおして、いま書きだした単文を訂正・補足します。これで要約ができあがります。

 例)
 自然の力が生かされる、環境にやさしい自然に融合した科学技術を発展させなければならない。




たとえば、作文をしていて段落の最後にきたときに、「つまり」「すなわち」「このように」などにつづいて、その段落をまとめるための単文を書きだすときなどにこの方法は非常に有効です

元の文の数がもっと多い場合でも同様におこなえます。


また、いくつかの段落をまとめ、節の結論を書くときなどにも有用です。その場合には、単文ごとにではなく、段落ごとにキーワードを書きだし、同様なことをします。よくできた文章であれば段落ごとに1語ずつのキーワードが書けるはずです。しかし、場合によっては1段落につき2〜3語のキーワードを書いてもよいです。


要約のポイントは、なるべく、元の文の足し算にならないようにするところにあります。それには、連想ゲームをおこなうことが大切です。ゲームだとおもって連想をバカにしてはいけません。連想は発想法に通じます。常日頃から連想をする練習をしておくことは大事なことです。

なお、この方法は、「発想をうながすKJ法」のなかの「表札づくり」の方法として元来は開発された方法ですが、上記のように独立させて単独でつかうことが可能です。


▼ 参考文献
川喜田二郎著『発想法』(中公新書)1967年6月26日