DVD『赤ちゃんの不思議』では、赤ちゃんの誕生から、最初の一歩をふみだすまでの成長過程を科学的に解明し紹介しています。
チャプターリストはつぎのとおりです。
1.イントロダクション2.人生初めての呼吸3.誕生当初の危機4.将来備わる本能5.ニューロンの発達6.学習で得られる能力7.驚くべき脳の柔軟性8.失われる能力9.顔と表情の識別10. 最初の一歩への準備11. 言語の獲得12. クレジット
要点はつぎのとおりです。
新生児の脳は、環境に適応することによりつくりあげられる驚異の学習装置です。鍵をにぎるのは神経細胞ニューロンです。各ニューロンはシナプスとよばれる接合部で電気的に情報を伝達します。生後1年で脳の大きさは2倍以上に生長します。脳の成長はニューロンの活発な結合によるものです。体をうごかすごとに、ある結合はつよめられ、そのほかは退化していくのです。未成熟な状態こそ、周囲の世界から学習する能力を人間にもたらしているのです。人間の場合、一定の本能はそなわっているものの、行動の大半は学習によって身につけます。周囲の環境が脳の配線を決定するのです。新生児の脳には並はずれた柔軟性があり、周囲の環境に適応すべくみずから神経を配線しなおす能力をもちます。さまざまな能力を獲得する発達過程で、赤ちゃんがうしなってしまう特性もあるのです。母国語に接する機会が増えるにつれ、赤ちゃんの脳はその言語に適応し、ほかの言語を聞きわける感性は消えていくのです。重要なのは、赤ちゃんがことなる環境に適応していくことです。
■ 獲得する能力と退化させる能力がある
注目点は、赤ちゃんには、獲得する能力がある一方で、退化させる能力もあるということです。
これは環境に適応するためです。環境とは、赤ちゃんをとりまく周囲の状況すべてのことです。赤ちゃんは、生まれた家庭や地域あるいは国などに適応するように成長していくのです。
これは環境に適応するためです。環境とは、赤ちゃんをとりまく周囲の状況すべてのことです。赤ちゃんは、生まれた家庭や地域あるいは国などに適応するように成長していくのです。
赤ちゃんは大きくなるにつれて、環境に適応するために必要な能力は身につけ、適応に必要ない、あるいは適応のために有害な能力は退化させます。つまり、赤ちゃんの成長とは適応することであり、もって生まれた潜在能力のすべてを開発するということではないのです。いいかえれば能力開発よりも適応の方が優先されているということです。
これは、適応こそが、生きていくための本質的な営みになっていることをしめしています。生きることの基本は、環境に適応することであり、そのことが赤ちゃんの成長から読みとれるのです。
■ 赤ちゃんと環境はひとつのシステムになっている
赤ちゃんと環境はひとつのシステム(系)をつくっていて、そのなかで赤ちゃんは情報処理をおこないながら成長します(図)。赤ちゃんが、刺激をうけたり見たり聞いたり体験したりするのは情報のインプットです。 情報を処理し脳が成長するのはプロセシングです。泣いたり笑ったりうごいたり、成長して言葉をしゃべるのはアウトプットです。
環境とのやりとりにあわせて、開発する能力と退化させる能力が選択されます。情報処理は適応のために環境ににあわせて発展します。
これは、適応こそが、生きていくための本質的な営みになっていることをしめしています。生きることの基本は、環境に適応することであり、そのことが赤ちゃんの成長から読みとれるのです。
■ 赤ちゃんと環境はひとつのシステムになっている
赤ちゃんと環境はひとつのシステム(系)をつくっていて、そのなかで赤ちゃんは情報処理をおこないながら成長します(図)。赤ちゃんが、刺激をうけたり見たり聞いたり体験したりするのは情報のインプットです。 情報を処理し脳が成長するのはプロセシングです。泣いたり笑ったりうごいたり、成長して言葉をしゃべるのはアウトプットです。
図 赤ちゃんと環境は一体になって情報処理をおこなっている
環境とのやりとりにあわせて、開発する能力と退化させる能力が選択されます。情報処理は適応のために環境ににあわせて発展します。
つまり、成長とか能力とかは、赤ちゃんだけで決まることではなく、環境と一体になって決まります。おなじ赤ちゃんであっても環境がことなれば能力はちがってくるわけです。
このように、赤ちゃんだけをとりだして成長とか能力とかを論じることはできず、成長や能力は、〔赤ちゃん-環境〕系の全体の働きとしてとらえた方がよいのです。赤ちゃんと環境と情報処理をセットにして体系的に理解することが重要です。
DVD:『赤ちゃんの不思議』日経ナショナルジオグラフィック社、2009年
