好評上映中の映画『ビヨンド・ザ・エッジ - 歴史を変えたエベレスト初登頂 -』(エベレスト初登頂60周年記念作品)を見ました。
▼ 映画『ビヨンド・ザ・エッジ - 歴史を変えたエベレスト初登頂 -』
1953年5月29日、エドモンド=ヒラリーとテンジン=ノルゲイ(イギリス隊)が、 標高8848メートル、世界最高峰エベレストの初登頂をなしとげました。 本作は、当時の記録映像と再現ドラマによって、彼らの姿を克明におった本格的山岳ドキュメンタリードラマです。
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エドモンド=ヒラリーらがヒマラヤに足をふみいれる前に、エベレストを征服しようと15回もの真剣な試みがすでになされていましたが、それらすべてが失敗におわり、13人がエベレストの斜面で命をおとしていました。
イギリス隊は、1921年に偵察隊をおくって以来、過去6度にわたり登頂失敗をくりかえしてきました。
1949年、ネパール側ルートが開通、列強が参入しはじめます。
1952年、スイス隊が登頂直前という記録をのこしました。
1953年、イギリス隊が挑戦。この機会をのがせば数年間はエベレストにちかづくことはできないという状況でした。
本作のメッセージにもあるように、未知の領域に人類が足をふみいれることは、人類の歴史を変えることであり、あらたな歴史をつくることです。それはパイオニアワークであり、人びとに大きな感動をもたらします。パイオニアワークだからこそ名声や評価をこえた感動があるのです。
いいかえると、2回目以降はパイオニアワークではなく、2回目以降に、おなじエベレストにのぼっても、のぼった人の自己満足はあっても、歴史は変えられず、感動ももたらしません。ここに、パイオニアワークとその理解のむずかしさがあります。
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当時、人類は、地球第一の極である北極、第二の極である南極はすでに踏破し、そして地球最後の「極」(エベレスト)をめざしているという状況でした。これは、地球探検の歴史をつくりだしていく過程でした。
本作は、イギリス隊の当時の様子をかなり正確に、そして3D映像としてよみがえらせていてとても感動的です。エベレスト初登頂に興味のある方にとっては必見の映画でしょう。
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▼ 参考文献
本多勝一著『日本人の冒険と「創造的な登山」』(ヤマケイ文庫)
本書を読むと、初登頂とパイオニアワークの意味について理解できます。