東京・上野の東京国立博物館で開催されている特別展「台北 國立故宮博物院 -神品至宝-」を先日みました。台北 國立故宮博物院が収蔵するひときわすぐれた中国の文化財から、特に代表的な作品を厳選し、中国文化の特質や素晴らしさを紹介するという企画です(会期:2014年9月15日まで)。

▼ 東京国立博物館・特別展『 台北 國立故宮博物院 - 神品至宝 -」
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1647



1.展示物を、部屋のなかの要素としてとらえる
平成館2階・第1会場の入口にいくと展示作品リストをもらえます。そこに、会場図(フロアーマップ)がでているので、これを見ながら見学します。


140715 台北 國立故宮博物院 展

図 展示作品リストの会場図(フロアーマップ)


会場はつぎの10のセクション(部屋)から構成されています。各部屋の空間的な位置(場所)を確認しながら展示物を見ることが大事です。展示物を空間の中の要素としてとらえます。

第1室 中国皇帝コレクションの淵源 ― 礼のはじまり
第2室 徽宗コレクション ― 東洋のルネサンス
第3室 北宋士大夫の書 ― 形を超えた魅力
第4室 南宋宮廷文化のかがやき ― 永遠の古典
第5室 元代文人の書画 ― 理想の文人
第6室 中国工芸の精華 ― 天と人との競合
第7室 帝王と祭祀 ― 古代の玉器と青銅器
第8室 清朝皇帝の素顔 ― 知られざる日常
第9室 乾隆帝コレクション ― 中国伝統文化の再編
第10室 清朝宮廷工房の名品 ― 多文化の交流

これらは、およそ中国の歴史順に配列されています。



2.中国の歴史をとらえなおす
2-1.新石器時代から都市国家の時代をへて帝国の時代へ
ここで、中国の歴史を、宇都木章監修『すぐわかる中国の歴史』によって整理しておきます。この本は、東京国立博物館のミュージアムショップで見つけました。図表が多くてとてもわかりやすいです。

紀元前10000〜前2000年頃 新石器時代
前2000年頃〜前1023年頃 青銅器時代〜殷王朝
紀元前1023年頃〜前770年 西周王朝
紀元前770年〜前221年 春秋・戦国時代
紀元前221年〜前206年 秦王朝
紀元前202年〜紀元後8年 前漢王朝
紀元後8年〜220年 新と後漢王朝
184年〜280年 魏晋南北朝1
265年〜589年 魏晋南北朝2
604年〜618年 隋王朝
618年〜690年 唐王朝1
690年〜907年 唐王朝2
907年〜1126年 五代十国・宋王朝1
916年〜1227年 宋王朝2
1115年〜1279年 宋王朝3
1206年〜1260年 モンゴル帝国
1260年〜1368年 元王朝
1368年〜1424年 明王朝1
1424年〜1644年 明王朝2
1616年〜1662年 清王朝1
1661年〜1820年 清王朝2
1820年〜1850年 アヘン戦争
1885年〜1895年 日清戦争
1901年〜1911年 清朝末年
1911年〜1916年 辛亥革命
1935年〜1938年 日中戦争
1939年〜1945年 第二次世界大戦
1945年〜1949年 新中国の成立


上記を、わかりやすく簡単に整理するとつぎのようになります。

I.紀元前10000〜前2000年頃まで:新石器時代(素朴社会の時代)

II.紀元前2000年頃〜前221年:都市国家の時代
 (青銅器時代、殷、西周、春秋・戦国時代)

III.前221年〜1911年:帝国(領土国家)の時代
 (秦、漢、魏、晋、隋、唐、五代、宋、元、明、清)

IV.1911年以後:近代化にむけた混乱と近代化



2-2.各部屋の時代を確認する
つぎに、展示会場の各部屋の時代を確認してみます。おもに、つぎのような時代の位置づけになっています。

第1室 西周、戦国、元〜明、宋
第2室 宋
第3室 宋
第4室 唐、五代、宋
第5室 元
第6室 明
第7室 新石器、殷、西周、春秋、戦国、漢、唐
第8室 明、清
第9室 清
第10室 清


新石器時代の宝物は第7室にあります。都市国家の時代の宝物は、第1室と第7室にあります。 第1室と第7室はいくつもの時代にまたがっているので注意しなければなりません。 帝国(領土国家)の時代の宝物については、各部屋ごとに時代を確認しながら見学するとよいでしょう。



3.会場図と宝物を情報のインデックスにする
各宝物(展示物)に、中国の歴史と文化の情報をむすびつけて記憶するとよいです
 
宝物の数々は、インパクトがつよくて印象的なものが多く、パッと見ただけでも記憶にのこりやすいので、このつよい印象と体験をうまくつかっていくのです。特に、立体的な宝物はその効果が大きいです。印象的な宝物は記憶の目印として活用することができ、記憶情報あるいは体験記憶のインデックス・イメージとすることができます。

そして、宝物をイメージとしておもいだせば、時代などの情報もおもいだせるという想起のしくみをつくるようにします。

このために、会場図(フロアーマップ)と作品リストは必要なので保存しておきます。会場図は、各部屋の空間とそのなかの要素(宝物)をイメージするために有用です。

また、代表的な宝物のイメージはウェブサイトにもでているのでこれも利用します。保存しておくとよいです。
http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/index.php?id=1647#top

もっとふかく学習したい人は図録を買ってかえってくれば、さらに記憶を深化させることができます。

このような記憶法をつかえば、2〜3時間で効率的に中国史の概要がたのしく理解・記憶できます。そして、この日の体験は一生わすれることができない思い出となります。記憶や学習では、おぼえようおぼえようとウンウンうなっていてもおぼえられません。体験的、印象的に実践した方が手っとりばやくおもしろいですし、それ以上に、自分の心の内面世界をひろげることができ、あらたな発想も生まれやすくなります。


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▼ 参考文献
宇都木章監修・小田切英執筆『すぐわかる中国の歴史』(改訂版)東京美術、2012年1月31日
東京国立博物館のミュージアムショップでみつけました。図表が多く、素人にもわかりやすく記述してあります。