ニューヨークのメトロポリタン美術館がほこるエジプト・コレクションをまとまった形で紹介する展覧会で、「女王と女神」をテーマに厳選された約200点の至宝が日本初公開されていました(会期:2014年9月23日まで)。
▼ 東京都美術館「メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神」
見どころはつぎのとおりでした。
1 ファラオになった女王 ハトシェプスト2 古代の女神たちが一堂に3 王家の女性たちが愛用したアクセサリーやメイク道具
わたしは、音声ガイドとそのリストをつかって見学し、空間記憶法を実践しました。
音声ガイドリスト
記憶法の手順はつぎのとおりです。
1.美術館の各階の構造(フロアーマップ)を確認する
2.各展示物が展示されている場所をおぼえる
3.音声ガイドリストをみて、各展示物をおもいだす
1.美術館の各階の構造(フロアーマップ)を確認する
まず、美術館の建物の空間的な構造を確認し、おぼえることからはじめます。
今回は、上野公園内にある東京都美術館・企画棟(地下1階・地上1階・2階)が会場でした。これが今回の記憶情報の入れ物(記憶の倉庫)になります。
会場入り口で音声ガイドにもうしこみ、音声ガイドリストをもらいましたが、今回もらった音声ガイドリストにはフロアーマップがついていませんでした。
美術館のなかをしばらくあるいていると、自分がどこにいるのか、建物のなかのどの位置なのか、北はどっちの方向なのかなどがわからなくなることがあります。場所がわからないと空間記憶はできません。そこで役立つのがフロアーマップです。
東京都美術館のウェブサイトを見たところ、「ジュニアガイド」のサイトにフロアーマップがでていました。
ジュニアガイド (中央部にフロアーマップがのっている)
これにより、自分があるいたルートを空間的に確認しおぼえることができました。
今後、「古代エジプト展」を見学する方は、事前に、フロアーマップを印刷してもっていった方がよいです。
2.各展示物が展示されている場所をおぼえる
音声ガイドをつかいながら、各展示物を見ていきます。このとき、各フロアーのどこに、どの位置にその展示物があるのか、場所をしっかり確認しおぼえます。
各フロアーの特定の場所に展示物とその情報をむすびつけて記憶するのがポイントです。
3.音声ガイドリストをみて、各展示物をおもいだす
ひととおり見おわったら休憩所にいって、音声ガイドリストを見なおし、1番から順番に、いま見てきた展示物を、それがおいてあった場所とともに順序よくイメージとしておもいだします。どこまで正確にイメージできるでしょうか。
よくイメージできないところは、再度、その場所にいって展示物を見なおします。
展覧会の会場(改札)から一度でてしまうと、再入場できない場合がありますので、地下1階の改札の手前で右にまわり、最初の展示のところにいくようにします。
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以上の方法を整理するとつぎのようになります。
1.ファイリングシステム
フロアーマップを利用して美術館の各階の構造を確認しおぼえることは、多数の展示物とその情報を各場所に結合して記憶するための基礎になります。
美術館の建物は、展示物とともにそれらを解説する情報の入れ物(倉庫)ですから、美術館の建物がつくりだす空間は、情報のファイリングシステムのようにして利用できるのです。建物は、情報をファイルする大きなファイリングシステムであり、展示物とその情報がそのなかにファイルされているとイメージするのです。
美術館や博物館は、重要情報とそれらをたくわえる場所がすでに用意されているので、記憶法の実践のためにとてもむいています。
2.順番
情報を記憶し想起するためには順序があった方がやりやすいです。そのためは、各展示物と情報に順番があたえれれていなければなりません。
順番は、音声ガイドリストに1番から20番まで番号がふられていますので、それをそのまま利用すればよいです。
3.想起
情報は、心のなかにただインプットすればよいというのではなく、想起してアウトプットにつなげていかなければなりません。
そこで想起訓練が必要です。ここでのポイントはイメージ想起です。まず、展示物をイメージとして想起して、そのイメージから言語的な詳細情報もひきだすように訓練をします。
想起の手段として、音声ガイドリストの作品名がインデックスとして利用できます。これは、インターネットでいうと、キーワードによる検索に相当します。
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■ 空間と順序を確立して見通しをよくする
このようにして、心のなかに空間と順序を確立できれば見通しがよくなって想起がたのしく簡単にできるようになります。そして、このような体験記憶は心を活性化するために役立ちます。
上記の手順により、記憶がすすむだけでなく、古代エジプトの異空間を比較的短時間で手軽に自分の内面世界にとりこむことができます。
今回の古代エジプトの世界は、われわれ日本人から見るとかなりの異空間であり、普段とはまったくちがう非日常体験をすることができました。このような異空間の体験情報は潜在意識にインパクトをあたえることにもなり、心の活性化に役立つでしょう。
▼ 参考文献