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〈インプット→プロセシング→アウトプット〉のモデルをつかうと地球環境問題と自然災害とを統一的に理解することができます。
 

松原彰子著『自然地理学(第4版)』(慶應義塾大学出版会)は、地球環境問題と自然災害に力点をおいた自然地理学の入門書です。多様な情報が整然と整理されていてとてもわかりやすく、自然地理学の入門書として最適です。自然地理学といっても文科系の学生用教科書として企画されたようなので、数式などはつかわずに図表や写真をつかって誰が見てもよくわかる内容になっています。


目 次
1章 地球環境の変遷とその原因
2章 古気候・古環境の復元
3章 旧海水準および海岸線の復元
4章 年代測定の方法
5章 地球環境の諸問題(1)
6章 地球環境の諸問題(2)
7章 地震活動
8章 プレート境界で発生する地震(プレート境界型地震)
9章 活断層の活動によって発生する地震(活断層型地震)
10章 地震災害の実態と将来予測
11章 火山活動と火山災害
12章 水害・土砂災害
13章 人為的要因による災害
14章 身近な地形と人間活動


本書は、地球環境問題と自然災害の両者を概観できるのが最大の特色です。

地球環境問題では、地球温暖化・ヒートアイランド現象・オゾン層破壊・エルニーニョ現象/ラニーニャ現象・地球砂漠化・水資源問題・エレルギー資源問題について解説しています。

自然災害では、地震・津波・液状化現象・火山災害・水害・土砂災害・地盤沈下現象・海岸侵食について解説しています。




わたしはこれらの現象を整理するために下のモデルをえがいてみました。

160120 技術
図 自然災害はインプット、環境破壊はアウトプット



自然災害は、自然環境から人間社会にはたらく作用つまりインプットです。これはは不利益なインプットです。
 
環境破壊は、人間社会が自然環境にあたえる作用つまりアウトプットです。アウトプットが巨大化しすぎたために環境が破壊されています。

このモデルが本書にでているわけではありませんが、本書中の膨大な情報をこのモデルをつかって整理すれば、自然災害と地球環境問題とについて統一的・端的に理解することができます。

そして今日、自然災害を軽減するための技術と環境破壊をくいとめるための技術の開発がすすんでいます。これらの技術は、インプットとアウトプットを適切な状態に改善したりおさえたりするためのものであり、こうした技術は、人間社会と自然環境とのあいだに介在するものとして位置づけることができます。 

わたしたち人間は、このような技術を介して自然環境と今後かかわっていくことになります。こらからのあたしい時代の技術(テクノロジー)はこのように位置づけられるとかんがえられます。


▼ 参考文献
松原彰子著『自然地理学(第4版)』慶應義塾大学出版会、2014年5月8日
自然地理学(第4版)



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地球環境問題はとても複雑ですが、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉システムのモデルでとらえるとわかりやすいです。


西岡秀三・宮崎忠國・村野健太郎著『地球環境がわかる』(技術評論社)は地球環境問題の一般むけ入門書です。多数のイラストをつかってわかりやすく解説しています。


目 次
第2章 エネルギー・物質の循環
第3章 地球温暖化
第4章 自然環境の改変と汚染
第5章 自然環境と生物多様性
第6章 都市化と環境問題
第7章 環境をよくするためのしくみと行動


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図1 環境問題の構造


本書の12-13ページに「環境問題の構造」という図がでていてこれが本書の全体像をあらわしています(図1)。




わたしはこれをさらに簡略化して下図のようにモデルをえがいてみました(図2)。

160119 環境問題
図2 物質・エネルギーの循環システムのモデル


ある地域においてその中心には人間社会が存在し、人間社会は地域の主体として機能しています。そしてその周辺域には環境が存在します。環境は緑色でしめしました。

地域では、人間社会と環境とを通して物質・エネルギーの流れと循環がたえずおこっています。物質・エネルギーの流れと循環は矢印でしめしました。


 

■ インプット
物質・エネルギーが人間社会に環境から入ってくるのがインプットです。いわゆる自然からの恩恵というものです。

■ プロセシング
人間は自然からの恩恵を利用して、食料を食べ、エネルギーを消費し、さまざまなあたしい物質を生産します。環境から入ってきたエネルギー・物質を処理する過程です。

■ アウトプット
人間社会にとって不要な物質・エネルギーを環境へ排出することです。




環境は自浄作用や調整作用をもっているので、環境へアウトプットされた物質・エネルギーは環境における循環の中に本来ならば吸収されていきます。

しかしながら現代では環境問題が発生しています。環境問題とは、人間活動が拡大し、環境への圧力がとても強力になったためひきおこされたと説明されています。これはつまりアウトプットが巨大化しすぎて、環境の自浄作用や調整作用がおいつかなくなったということです。その結果、次のような自然環境の汚染がすすんでいます。
 
オゾン層破壊、大気汚染、酸性雨、水質汚濁、海洋汚染、土壌汚染、森林破壊、砂漠化など。その他にも、生物多様性の危機、外来種問題、地球温暖化などが生じています。

そして図2の循環システムにおいてあらたなインプットをするときに、人間社会の中に汚染物質も入ってくるようになってしまいました。環境からの物質・エネルギーの過剰な摂取つまり過度なインプットも問題になっています。

あるいはプロセシングがうまく機能しなくなりました。廃棄物処理問題などはその最たるものです。廃棄物を環境にアウトプットするにもアウトプットできず、人間社会の中(あるいはそば)においてあるという問題も生じています。




このように〈インプット→プロセシング→アウトプット〉システムは現代文明をうごかしている重要なシステムであるとかんがえることができます。このシステムにおいて、エネルギー・物質の流れに情報をくわえてもよいです。
 
このようにみてくると、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉がうまくいかずバランスがくずれるとさまざまな問題がおこってくるということがわかります。
 
したがって問題を解決するためには、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉をあらためてとらえなおし改善していかなければなりません。

このように〈インプット→プロセシング→アウトプット〉はとても重要な概念だといえます。たとえばニュースを見たときにさまざまな情報を、インプット・プロセシング・アウトプットのそれぞれに整理してとらえなおすだけでも環境問題に関する理解は一気にすすむでしょう。



▼ 関連記事
地球環境問題と機械文明(1) -『地球環境がわかる』-

▼ 引用文献
西岡秀三・宮崎忠國・村野健太郎著『地球環境がわかる』(改訂新版)技術評論社、2015年7月6日
[改訂新版] 地球環境がわかる





沖縄・海洋博公園には、熱帯ドリームセンターとは別に熱帯・亜熱帯都市緑化植物園(注1)があります。こちらはやや地味ですが、野外をあるきながら熱帯・亜熱帯の世界を堪能することができます。

園内には、耐潮風植物ヤシ類見本区、立体花壇、トロピカルガーデン、生け垣・つる植物見本区、ハーブ見本区、チョウの食草園などがあり、熱帯・亜熱帯植物の多様性を実感することができます。



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耐潮風植物ヤシ類見本区
ヤエヤマヤシ、ユスラヤシ、マニラヤシなどの耐潮風のつよいヤシ類を植栽展示しています。世界には、ヤシ類が200属2600種あるといわれています。この見本区では、うつくしい樹形をもつ熱帯性ヤシがそれぞれの特徴をみせています。 



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ハーブ見本区
ハーブ(Harb)とは人間の生活に役立つ植物の総称です。種類やその使用法はさまざまであり、この見本区では、料理やお茶やポプリ(注2)などにおもに利用されるセージやバジル、ミント類をはじめ、料理や薬草として沖縄でつかわれるボタンボウフウやリュウキュウヨモギなどを植栽展示しています。



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ラベンダーセージ(平行法で立体視ができます、注3)
セージとは地中海沿岸原産のハーブの一種です。シソ科の多年草で、古代ギリシア・ローマ時代から薬草・香辛料として利用されてきました。「ラベンダーセージ」は、花の形がラベンダーに似ているのでこのようによばれます。高さは1、2メートルほどになり、あざやかな青紫色の花をさかせます。




海洋博公園の熱帯ドリームセンターは温室が中心になった展示であるのに対し、こちらの熱帯・亜熱帯都市緑化植物園は屋外での植栽展示になっていますので、野外をあるきながらさまざまな植物に出会うことができます。沖縄の気候を体感しながらゆっくり散策をしてみるとよいでしょう。

わたしは今回は時間がなくて、熱帯・亜熱帯都市緑化植物園はあまり見られませんでしたので、次回おとずれたときにはじっくり観察してみたいとおもっています。



▼ 注1
熱帯・亜熱帯都市緑化植物園



※ 沖縄・海洋博公園へは、那覇空港でレンタカーをかりるか、あるいは「やんばる急行バス」でいくのが便利です。
やんばる急行バス

▼ 注2:ポプリ
香りのよい花葉樹皮香料などをとりあわせて瓶や壺などに入れたもの。

▼ 注3
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -

▼ 関連記事
立体視をして視覚系の情報処理能力を高める - 沖縄・海洋博公園 熱帯ドリームセンター(1)-
立体視をして視覚系の情報処理能力を高める - 沖縄・海洋博公園 熱帯ドリームセンター(2)-
熱帯・亜熱帯植物の多様性をみる - 沖縄・海洋博公園 熱帯・亜熱帯都市緑化植物園 -
モデルをつかって気候帯をとらえる -『気候帯でみる! 自然環境〈1〉熱帯』(少年写真新聞社)-

沖縄 - 関連記事まとめ(リンク)-


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自然環境と人々との間のやりとりによって独自の生活様式さらに独自の文化が生みだされました。人々は独自の文化を介して自然環境に適応し、また自然環境を利用して生きてきました。

『気候帯でみる! 自然環境〈4〉冷帯・高山気候』(少年写真新聞社)の後半では高山気候をとりあつかっています。


目 次
高山気候の気候区分
高山気候の植物
高山気候の動物
高山気候の農業
鉱山気候の都市
 エクアドル キトのくらし
 中国・チベット自治区 ラサのくらし


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高山気候は、標高の高い地域に特有のすずしい気候です(注1)。気温は、標高が100m高くなるごとに0.6〜0.7℃さがります。

気温が低くなると水蒸気量も減るため、標高が高くなるにつれて高山地域では降水量が少なくなる傾向があります。また水蒸気や空気中のちりが少ないので晴れた日には、地表にとどく太陽光(日射)が強く、多くの紫外線がふりそそぎます。

標高が高くなるにつれて気圧が低く酸素が少なくなるので普通の人が高所にいくと高山病になります。


■ 高山気候の植物
高山気候の植物には垂直分布が見られるのが特徴です。

たとえばネパールのヒマラヤ山脈では標高が上がるにつれて次の分布が見られます。

落葉広葉樹林→照葉樹林→針葉樹林→(森林限界)→低木林や草地

エクアドルのアンデス山脈では次の分布が見られます。

熱帯雨林→常緑樹林→雲霧林→(森林限界)→低木と草地→イネ科を中心とした草原


森林限界より上には、きびしい環境に適応した非常に特徴的な高山植物が生えています。
  • ヒマラヤ山脈:メコノプシス・ホリドゥラ(ヒマラヤの青いケシ)、レウム・ノビレ(セイタカ・ダイオウ)など
  • アンデス山脈:プヤ・ライモンディなど
  • ヨーロッパ・アルプス:セイヨウウスユキソウ(エーデルワイス)、アルペン・ローゼ(アルプスのバラ)など


■ 高山気候の動物
気象条件がきびしく餌が少ない高山気候の地域では動物の数はかぎられていますが次のような動物が生息しています。
  • ヒマラヤ山脈:ユキヒョウ、アネハズルなど
  • アンデス山脈:ビクーニャ、アンデスコンドルなど
  • その他の高山地域:オジロライチョウ、ナキウサギ、シロイワヤギ、アイベックスなど


■ 高山地域の農業
夏もすずしい高山気候では独特の農業が発達しました。
  • アンデス高地の段々畑(アンデネスとよばれる):それぞれの標高(気温)にあわせて家畜(リャマやアルパカ)の飼育、トマト・カボチャ・トウモロコシ・トウガラシなどの栽培がおこなわれています。
  • エチオピアの農業:コーヒー、テフ(エチオピア原産のイネ科の穀物)、トウモロコシ、ソルガム、ゴマなどを栽培しています。ウシやヒツジやヤギなどの牧畜もおこなわれています。
  • チベット高原の農業:オオムギ(ハダカムギ)やコムギなどの栽培がおこなわれています。ヤクやヒツジの牧畜もおこなわれています。ヤクは「高原の舟」ともよばれ荷物の運搬に利用されるほか、その肉や乳は食料に、皮や骨・角は衣服や住居に、ふんは燃料にされるなど無駄なく利用されます。


■ 高山気候の都市

次の都市が紹介されています。
  • エクアドル、キト
  • 中国・チベット自治区、ラサ

キトは、赤道直下に位置するにもかかわらず標高が2800mをこえるので温暖でしのぎやすい気候です。さまざまな種類のトウモロコシが食べられています。ジャガイモやタマネギなどを牛乳と一緒に煮込んだ「ロクロ」が代表的な料理です。クイ(テンジクネズミの一種)やウサギの肉は貴重なタンパク源です。

ラサは、標高が約3700mであり、乾燥した気候です。「1日のうちに四季がある」といわれるほど昼と夜の気温差が大きいです。

ラサでくらしているのはチベト族です。丈の長い襟を前でななめにあわせて着る「袍」(ほう)とよばれる上着を着ています。袍の上から腰帯をまき、女性はその上からエプロンのような前掛けを身につけます。太陽からのつよい紫外線をさけるためにフエルトや毛皮の帽子をかぶることもあります。

チベット族の主食は「ツァンパ」です。オオムギ(ハダカムギ)のつぶをいって粉にしたものに水や茶をくわえて手で練って作ります。また、茶葉にヤクのバターと塩をくわえてつくる「バター茶」を飲む習慣があります。その他、コムギからつくる「トゥクパ」「モモ」、ヤク肉、ヤクチーズなども独自の食べ物です。




以上のように高山地域でくらす人々は、独自の農牧業・料理・衣服などつまり独自の生活様式を発達させて自然環境(高山気候)に適応し、一方で自然環境をたくみに利用して生きていました(下図)。


160107 高山
図 高山地域のモデル


自然環境から人々への作用・流れはインプット、その反対の人々から自然環境への作用・流れはアウトプットであり、インプットとアウトプットの間にはプロセシングがあります。人が生きるということは〈インプット→プロセシング→アウトプット〉をくりかえすことにほかなりません。

こうして、自然環境と人々との間のやりとりにって独自の生活様式が発達してきました。独自の生活様式はその地域や民族の独自の文化とよびかえてもよいでしょう。人々は、独自の文化を介して自然環境に適応し、また自然環境を利用して生きてきたのです。文化には、自然環境と人々とを介在する役割が本質的にあるとかんがえられます。モデルであらわすと上図のようになります。このようなモデルをもつことにより、一見複雑に見えるその地域の民族・文化・自然環境を統合的に整理し端的に理解することができます。

たとえば外国旅行に出かけて地元の料理を食べたりするときに、上記のモデルを意識してみるとあらたな発見がきっとあるにちがいありません。



▼ 引用文献
こどもくらぶ著・高橋日出男監修『気候帯でみる! 自然環境〈4〉冷帯・高山気候』少年写真新聞社、2013年2月22日
気候帯でみる!自然環境〈4〉冷帯・高山気候 (気候帯でみる! 自然環境)

▼ 注1
ケッペンの気候区分には高山気候はありませんでしたが、アメリカの気候学者トレワーサによって標高が影響する特徴的な気候として高山気候がしめされました。このため、ケッペンの気候区分と高山気候とは分布が重複する地域があります。

▼ 関連記事
気候帯で地球をとらえなおす - 気候帯(まとめ)-


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〈インプット→プロセシング→アウトプット〉のモデルをえがくと冷帯地域の様子を端的にとらえることができます。『気候帯でみる! 自然環境〈4〉冷帯・高山気候』(少年写真新聞社)の前半では冷帯気候についてとりあつかっています。

冷帯は、1年のなかの気温差が大きく、冬の寒さがきびしい地域です。ケッペンの気候区分では、「もっともあたたかい月の平均気温が10℃以上、もっともさむい月の平均気温がマイナス3℃未満」とされています。より寒冷な気候である寒帯よりもややあたたかい気候であることから「亜寒帯」とよばれることもあります。

北緯40度以上の地域に集中し、ロシアやカナダは国土の大部分、日本では北海道が冷帯にふくまれます。


目 次
冷帯の気候区分
冷帯の気象災害
冷帯の植物
冷帯の動物
冷帯の産業
冷帯の都市
 日本 札幌のくらし
 ロシア イルクーツクのくらし


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■ 冷帯の気候区分
冷帯は降水量の季節変化によって次の2つの気候に区分されます。
  • 冷帯湿潤気候:あまり量は多くはないものの1年を通して降水があります。
  • 冷帯冬季少雨気候:夏に雨が多く、冬は雨・雪の量が少なく乾燥します。


■ 気温の年較差
1年のうちのもっともあたたかい月(最暖月)の平均気温と、もっとも寒い月(最寒月)の平均気温の差(年較差)が大きく、熱帯の年較差は2〜5℃ほどであるのに対し、冷帯では30℃以上になる地域があります。


■ 冷帯の気象災害
次のような気象災害があります。
  • 吹雪
  • なだれ
  • 雪解け水による災害(土石流など)


■ 冷帯の植物
「タイガ」とよばれる針葉樹林が特徴的です。代表的な針葉樹としてはエゾマツやモミがあります。


■ 冷帯の動物
  • 冬眠をする哺乳類:クマ型冬眠、ヤマネ型冬眠、シマリス型冬眠
  • 針葉樹林の動物:キンメフクロウ、ホシガラス、アメリカテン、ユキウサギ、ヘラジカ(ムース)、アムールトラ、カワヒメマス、その他


■ 冷帯の産業
  • 土壌と農業:チェルノーゼム(ロシア語で黒い土)やプレーリー土の地域では春小麦の生産がさかんです。
  • 林業:針葉樹林(タイガ)がひろがるカナダやロシアでは、エゾマツ・カラマツ・トウヒ・ドドマツなどの木材を輸出したり、木材加工・製紙業がさかんです。
  • 酪農:ウシやヒツジ・ヤギなどを飼育して乳やチーズ・バターなどの乳製品を生産する農業がいとなまれています。
  • 狩猟:農業や酪農ができない地域では伝統的に狩猟がおこなわれてきました。


■ 冷帯の都市と人々のくらし
以下が紹介されています。 
  • 日本、札幌
  • ロシア、イルクーツク
イルクーツクは、シベリア南部に位置するバイカル湖ちかくの都市です。セントラル・ヒーティングがそなわった集合住宅に多くの人々が住んでいます。ながく寒い冬にそなえて次のような保存食をつくっています。
  • バイカル湖に生息する魚、オーリムのくんせい
  • 野菜やキノコの酢漬け
  • ジャム
  • ヴァレニエ(果物の砂糖煮)




以上のように、冷帯地域でくらす人々は、その地域独自の自然環境(冷帯気候)をいかして独自の産業を発達させてきました(下図)。

 
160106 冷帯
図 冷帯地域のモデル
 

ひとつの地域は、このような〈インプット→プロセシング→アウトプット〉システムにそもそもなっています。

このような〈インプット→プロセシング→アウトプット〉の視点をもつと、地理学的な単なる記載をのりこえて、その地域を動的にとらえることができます。

  • 人々は何をインプットしているのか?(食料、物質、エネルギー、情報・・・。気象災害のような不利益なインプットもあります。)
  • 人々は何をプロセシングしているのか?(保存食をつくる、食料を消化する、エネルギーをつかう・・・)
  • 人々は何をアウトプットしているのか?(不要な物質、開拓、開発、自然破壊、情報発信・・・)

たとえば外国を旅行したときにこうした問題意識をもって旅先の地域をじっくり見てみると、自分や自分たちが〈インプット→プロセシング→アウトプット〉をおこなうときに参考になるよい事例が見つかるかもしれません。



▼ 引用文献
こどもくらぶ著・高橋日出男監修『気候帯でみる! 自然環境〈4〉冷帯・高山気候』少年写真新聞社、2013年2月22日
気候帯でみる!自然環境〈4〉冷帯・高山気候 (気候帯でみる! 自然環境)




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モデルをえがくと温帯地域の様子を端的に理解することができます。

『気候帯でみる! 自然環境〈3〉温帯』(少年写真新聞社)は『気候でみる! 自然環境』シリーズの第3巻です(注1)。温帯地域には、日本やヨーロッパやアメリカ合衆国などがふくまれます。日本やヨーロッパやアメリカをほかの気候帯と比較しつつ気候の観点からとらえなおしてみるとあらたな発見がありおもしろいとおもいます。

温帯は冬の寒さがそれほどきびしくなく、1年を通じてすごしやすい気候です。ケッペンの気候区分では、「もっとも寒い月の平均気温がマイナス3℃以上で18℃未満」のところとされています。四季のような季節の変化がみられるのも特徴です。


目 次
温帯の気候区分
温帯の気象災害

温帯の植物
温帯の動物

温帯の農業1 混合農業
温帯の農業2 園芸農業
温帯の農業3 さまざまな農業
温帯の牧畜

温帯の都市
 イタリア メッシナのくらし
 ベトナム ハノイのくらし
 日本 名古屋のくらし
 イギリス ロンドンのくらし


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■ 気温や降水量の特徴によって4つに区分されます。
  • 地中海性気候:夏は乾燥し、冬に雨が多く降ります。
  • 温暖冬季少雨気候(温帯夏雨気候):夏は気温が高くなり雨が多く降ります。冬は寒さはそれほどきびしくなく乾燥します。
  • 温暖湿潤気候:1年のうち、最暖月の平均気温と最寒月の平均気温の差(年較差)が大きいのが特徴です。夏には気温が高くなり、雨が多くなります。日本の大部分はここに属ます。
  • 西岸海洋性気候:夏はすずしく、冬の寒さはそれほどきびしくありません。1年を通じて適度に雨が降ります。


■ 温帯の気象災害には次のようなものがあります。
  • 熱帯低気圧
  • 温帯低気圧
  • 竜巻
  • 熱波
  • 寒波


■ 温帯には2種類の樹木があります。
  • 常緑樹:1年中葉をつけています。
  • 落葉樹:秋から冬にかけて葉を落とします。
常緑樹のなかで、夏の乾燥にたえられるように葉が小さく分厚い樹木を「硬葉樹」といいます(オリーブやコルクガシなど)。常緑樹のなかで、日光を照りかえすような光沢が葉にある樹木を「照葉樹」といいます(シイ、カシ、ツバキなど)。

また葉の特徴にって「広葉樹」と「針葉樹」があります。


■ 温帯の動物として次が紹介されています。
  • 哺乳類
  • わたり鳥

温帯の動物は、季節にあわせた変化やいとなみに特徴があります。


■ 温帯の農業には次ようなものがあります。
  • 混合農業:農作物の栽培と牧畜とをくみあわせています。
  • 園芸農業:大都市の近郊で、野菜や果物や花などを栽培しています。
  • 地中海式農業:夏には、乾燥にたえられる果物などを栽培し、雨が多くなる冬にはコムギの栽培や、ヤギやヒツジの牧畜をおこないます。夏の代表的にあ農作物は、レモンやオレンジ、オリーブやブドウなどです。
  • 東アジアの農業:おなじ農作物を1年で2回収穫する「二期作」をおこなう地域が多いですが、日本では、1年でおなじ種類を1回収穫する「単作」やちがう農作物を収穫する「二毛作」もおこなわれています。

■ 温帯の一部では牧畜がおこなわれてきました。
  • 企業的牧畜:規模大きく、家畜の肉や毛を売ることを目的として行われる牧畜です。
  • 酪農:ウシやヒツジ・ヤギなどを飼って乳や乳製品生産する牧畜です。

■ 温帯の都市とそこでの人々のくらしについて紹介しています。
  • イタリア、メッシナのくらし
  • ベトナム、ハノイのくらし
  • 日本、名古屋のくらし
  • イギリス、ロンドンのくらし
たとえばベトナムのハノイの気候は温暖冬季少雨気候であり、稲作(二期作〜三期作)がさかんにおこなわれています。米はご飯としてだけでなく、「フォー」や「ブン」とよばれる麺にしてもよく食べられています。また米粉の生地をうすくのばした「バインチャン」(ライスペーパー)は、ベトナム風春巻「ゴイクン」(生春巻)などにつかわれます。



以上のように温帯の地域には大きな都市が多数あり、その周辺には耕作地がひろがって混合農業や園芸農業がおこなわれています。人々は、温帯の自然環境(温帯の気候)に適応しながら農業を発展させてくらしてきました。ここにも、自然環境から人々への作用(インプット)と人々から自然環境への作用(アウトプット)がみられます(下図)。

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図 温帯地域のモデル


このようなインプットとアウトプットとの相互作用によって、自然環境をたくみに利用しながら人々は農業を発展させてきたのであり、このようなことがその地域の独自な生活様式さらに独自な文化を生みだしてきたといえるでしょう。

本書で紹介されている人々のくらしとその地域の気候とをセットにして統合的にとらえる視点をもつとあらたな発見があっておもしろいとおもいます。



▼ 引用文献
こどもくらぶ著・高橋日出男監修『気候帯でみる! 自然環境〈3〉温帯』少年写真新聞社、2013年1月22日
気候帯でみる!自然環境〈3〉温帯 (気候帯でみる! 自然環境)

▼ 注1
『気候でみる! 自然環境』シリーズは、『熱帯』『乾燥帯』『温帯』『冷帯・高山気候』『寒帯』の全5巻からなっています。






モデルをえがくと熱帯地域の様子を端的に理解することができます。

『気候帯でみる! 自然環境〈1〉熱帯』(少年写真新聞社)は『気候でみる! 自然環境』シリーズの第1巻です(注1)。植物園の温室などで熱帯植物を観察したり、動物園で熱帯の動物を見たり、あるいは熱帯地方を旅行したりするときに本書の内容を予備知識としてもっているとたのしみが倍増します。子供むけの本ですが大人が見てもおもしろいです。


目 次
熱帯の気候区分
熱帯の気象災害

熱帯の植物1 熱帯雨林
熱帯の植物2 サバナ

熱帯の動物1 熱帯雨林気候
熱帯の動物2 サバナ気候

熱帯の農業1 焼畑農業
熱帯の農業2 稲作
熱帯の農業3 プランテーション農業

熱帯の都市1 ブラジル マナウスのくらし
熱帯の都市2 バングラデシュ ダッカのくらし
熱帯の都市3 タンザニア ダルエスサラームのくらし
熱帯の都市4 オーストラリア ダーウィンのくらし
 

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気候とは、毎年くりかえす天気の特徴のことをいいます。さまざまな気候の特徴をもった地域が世界各地に存在し、おおまかにいくつかの「気候帯」にわけられています。もっともひろくつかわれているのはドイツ人の気候学者であるケッペンが考案した気候区分であり、生えている植物(とくに樹木)の種類に注目し、気温と降水量をもとにして、「熱帯」「乾燥帯」「温帯」「冷帯」「寒帯」の5つの気候帯にわけられています。




熱帯は、赤道付近に集中して分布します。1年を通じて気温の高い地域であり、ケッペンの気候区分では「もっともさむい月の平均気温が18℃以上」とされています。


■ 熱帯気候は次の2つにさらに区分されます。
  • 熱帯雨林気候:1年を通じて大量の雨がふります。
  • サバナ気候(注2):雨季と乾季とがはっきりわかれています。


■ 熱帯の気象災害としては次があります。
  • 洪水
  • 干ばつ
  • 熱帯低気圧・台風・ハリケーン・サイクロン


■ 熱帯の動植物としては次のようなものが紹介されています。

 熱帯雨林気候
  • 超高木層:鳥や虫が多い
  • 高木層:オラウータン、コモンリスザル、ナマケモノ、コアリクイ、ジャガー
  • 地表層:アグーチ、ラッパチョウ、カピバラ
 これらは高さによって棲み分けています。

 サバナ気候
  • キリン、ジェレヌク、イボイノシシ、ゾウ、シマウマ、クロサイ、ダチョウ
  • ライオン
 99%は草食動物です。別の植物を食べたり、おなじ植物の別の部分を食べて、食べ分けています。


■ 熱帯の農業には次の形態があります。
  • 焼畑農業(注3)
  • 稲作
  • プランテーション農業
 プランテーション農業とは、ひろい農地で一種類の農作物だけを大量に生産する農業のことです。サトウキビ・コーヒー・カカオ・天然ゴム・バナナなどが栽培されています。


■ 熱帯の都市とそこでの人々のくらしについて紹介しています。
  • ブラジル、マナウスの人々のくらし
  • バングラデシュ、ダッカの人々のくらし
  • タンザニア、ダルエスサラームの人々のくらし
  • オーストラリア、ダーウィンの人々のくらし
 たとえばタンザニアのラルエスサラームでは、トウモロコシやキャッサバの粉を水でこねてつくる「ウガリ」という料理が主食として食べられています。おもなおかずとなるのは野菜の入ったトマト味のスープである「ムチュジ」です。




以上のように熱帯地域は実に多様な世界になっていますが、次のモデル(模式図)で端的にあらわすことができます(下図)。

160104 熱帯
図 熱帯地域のモデル


熱帯地域には、マナウス・ダッカ・ダルエスサラーム・ダーウィン、そのた多数の都市が存在し、そこではたくさんの人々が自然環境(熱帯気候)に適応しながらくらしています。都市の周辺には耕作地がひろがり、焼畑農業・稲作・プランテーション農業などがおこなわれています。これらの農業は、熱帯の自然環境(熱帯気候)をたくみに利用していとなまれています。

このような自然環境と人々とのあいだには相互作用があり、自然環境から人々への作用は「インプット」、人々から自然環境への作用は「アウトプット」とよぶことができます。

インプットにより、食料やその他の物質・エネルギーあるいは情報が自然環境から人々のなかへ入ってきます。いわゆる「自然のめぐみ」といわれるものです。しかし不利益なインプットもあります。気象災害がそれです。不利益なインプットは人々のくらしを破壊します。

他方のアウトプットでは、人々は不要になった物質を外部に排出したり、あらたに耕作地を開拓したりして自然環境に作用をあたえています。近年、焼畑農業やプランテーション農業が大規模になり自然環境が破壊されています。これはアウトプットが巨大化し強力になって調和がくずれたことにほかなりません。




熱帯地域は多様な世界であり一見複雑そうに見えますが、このようなモデルをえがくことによってこの地方のさまざまな情報を統一的にとらえることができます。

モデルは、多様な情報を統合し全体の見通しをよくするためにとても役立ちます。



▼ 引用文献
こどもくらぶ著・高橋日出男監修『気候帯でみる! 自然環境〈1〉熱帯』少年写真新聞社、2012年11月22日
気候帯でみる!自然環境〈1〉熱帯 (気候帯でみる! 自然環境)

▼ 注1
『気候でみる! 自然環境』シリーズは、『熱帯』『乾燥帯』『温帯』『冷帯・高山気候』『寒帯』の全5巻からなっています。

▼ 注2
サバナ気候はサバンナ気候とよばれることもあります。

▼ 注3
焼畑農業とは、森の一部を燃やし、あとにのこった灰を肥料などにしておこなう農業です。熱帯の土地はもともと酸性度が高く、農作物をそだてるには適していませんが、焼畑をすると灰が土を中和させまた肥料にもなるためイモ類や穀類やバナナなどがそだつようになります。熱によって、害虫や病原菌をへらす効果もあります。焼畑農業は、数年間おこなうと雑草が増えたり土がやせたりして農作物がそだちにくくなるので別の土地に移動します。これを繰り返して10〜20年後にふたたび元の土地にもどってきます。しかし近年は、人口増加などにより焼畑農業を短期間でくりかえすようになり森が破壊されています。


気候帯で地球をとらえなおす - 気候帯(まとめ)-



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東日本大震災後にはじまった「森の長城」をつくる活動は防災と環境保全とを両立させるプロジェクトとして注目に値します。

「森の長城」プロジェクトの2015年次報告書がとどきました(注)。


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「森の長城」とは「災害からいのちを守る森の防潮堤」であり、植物生態学者の宮脇昭さん(横浜国立大学名誉教授)が提唱したものです。現在、東日本大震災の被災地沿岸部において「森の長城」をきずくプロジェクトがすすんでいてわたしも参加しています。

平成27年の活動は次の通りでした。
  • 植えた本数:81,600本
  • 参加した人数:10,257人

森の長城プロジェクトには年間を通して次ような活動の流れがあります。
  • 秋:採種
  • 冬:育苗
  • 春〜秋:植樹
  • 夏〜秋:育樹

今年の植樹祭の予定は次の通りです。
  • 3月27日:福島県南相馬市
  • 5月28日:宮城県岩沼市
  • 8月上旬:岩手県山田町
  • 9月ごろ:福島県相馬市


東日本大震災では、青森県から千葉県までの海岸線が地震と津波によって壊滅的な被害をうけ、防波堤もクロマツ防潮林もダメになってしまいました。

しかし被災したクロマツ海岸林ではトベラやマサキといった広葉樹が生きのこりました。東北地方の海岸では、タブノキやシロダモといった常緑広葉樹を中心とした森がのこりました。このような教訓から、津波をのりこえて生きる広葉樹が混生する森こそが地域にもっとも適した防潮林だとかんがえられています。

森の長城プロジェクト設立から4年目をむかえ、これまでに2万5千人以上の人々が20万本以上の苗木を植樹してきました。

森の長城プロジェクト >>


▼ 注
『公益財団法人 瓦礫を活かす森の長城プロジェクト 2015年次報告書』2015年12月発行

▼ 参考文献



『自然のめぐみ  〜里山と森林〜』(代々木ライブラリー)をみると自然からのめぐみと環境保全の大切さについてまなべます。イラストや写真が豊富でわかりやす。子供むけの本ですが大人が読んでもおもしろいです。

 
目 次
里山編
 里山のおひっこし?-なやめる生き物たちの会議
 生き物たちの楽園を求めて ー ビオトープへの旅
 やってみよう 見つけた! 近くの小さな自然
 もっと知りたい! 里山と生き物

森林編
 フィトン・チットンとゆかいな森の仲間 ー 木は生きている
 フィトン・チットンと森の旅へ ー 森とともに生きよう
 やってみよう 身近な森を探検しよう
 もっと知りたい! 森林


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里山とは、人里のまわりの雑木林や畑・草地・田んぼ・水路・池など、人が利用し生活とむすびついた場所のことです。たとえば里山の雑木林は、人が木や落ち葉を利用するためにながいあいだ手をいれつづけてきた人工の林です。

一方、森林は、自然環境のもっとも基本的な部分です。わたしたち人間はつぎのようなたくさんの「おくりもの」を森林からもらっています。
  • 森は「緑のダム」
  • 森は水の「クリーニング屋さん」
  • 森は国土の「おもり役」
  • 気温を調節し、空気をきれいにする

里山とは、手つかずの本来の自然ではなく人の手がくわわった土地であり、自然環境(森林)と人里とのあいだの領域に位置します(下図)。


160101 集落-里山-森林
 図 里山のモデル


自然環境(森林)は里山を介してさまざまな「おくりもの」を人里にあたえます。一方の人里は、不要な物質を自然環境に排出したり、土木工事をして自然環境を改変したり、さまざまな作用を自然環境にあたえます。

このような自然環境(森林)から人里への作用・流れは「インプット」、人里から自然環境(森林)への作用・流れは「アプトプット」とよんでもよいでしょう。すると人里で住民は「プロセシング」をおこなっていることになります。

これは〔インプット→プロセシング→アウトプット〕システムです。インプットとアウトプットの相互作用によって里山が形成されてきたのであり、このような仕組みのなかで里山は緩衝帯としての役割も果たしてきました。人里と里山と森林をめぐってはこのようなモデル(模式図)をつかうとわかりやすいです。
 



そしてこのモデルは環境保全のために有用です。人間は、土木工事などのやりすぎで森林破壊・自然破壊をすすめてしまいました。これはアウトプットの巨大化にほかなりません。 

わたしたちは里山の仕組みを再認識し、のこっている里山を保全していかなければなりません。

また本書では「ビオトープ」の活動を推奨しています。「Bio=生き物」「Top=場所」であり、ビオトープとは、もともと地域にいた野生の生き物がくらせる空間といった意味です。このビオトープを再生させることが重要です。たとえばカエルやケモノが移動できるトンネルをつくったり、トンボのビオトープをベランダにつくったり、小さなことでも一人一人ができることを実行することで生き物がまもられていきます。


▼ 引用文献
SAPIX環境教育センター企画・監修『自然のめぐみ 〜里山と森林〜』(環境学習ブックス 2)代々木ライブラリー、2013年4月20日
自然のめぐみ―里山と森林 (環境学習ブックス)



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東京国立博物館・平成館1階の考古展示がリニューアルされました。展示品が一新されただけでなく、展示ケースのガラスのうつりこみがなくなり大変みやすくなりました。考古ファンの方は必見でしょう。

ギャラリートーク「縄文土器の見方」に参加しました。

土器をみて縄文人の当時の生活を想像することはとてもたのしいことです。

また文様の割り付けがよくできている土器とそうでない土器があるそうです。仙台湾周辺の縄文土器はいつの時代でもよくできているそうです。よくできた文様は、つくりはじめる前に割り付けをよくかんがえていたということです。

縄文人は自然環境と共生してくらしていたので環境保全という観点からも興味がわいてきます。


▼ 東京国立博物館
平成館




▼ 関連記事
全体像をイメージしてから作業を実施する - 東京国立博物館・考古展示(3)-





自然をシステムとしてとらえると自然の構成と進化が理解できます。

F.A.ハイエク・今西錦司著『自然・人類・文明』(NHK出版)は、「自然・人類・文明」という壮大なテーマについて西洋の視点と東洋の視点から対論の形式で論じています。

目 次
I 自然
II 人類
III 文明
附論1 人間的価値の三つの起源
附論2 進化と突然変異
附論3 経済発展と日本文化

この世界というものは秩序のある世界である。(今西錦司)

地球上のすべての生物に社会をみとめることができます。生物的自然というのはそうした社会のつみかさなりであり、全体でひとつの「生物全体社会」、一つのまとまりのある構築物をつくっています。いいかえるならば生物的自然は一つのシステムであるということです。

この生物的自然は個体と種とから構成され、これら二つはいずれも実在して世界の構造に参加しています。

西洋人は、種の起源や進化をかんがえるときに、個体がもとになってそれから種というものができていくという見方をしますが、実際にはそうではなくて個体と種とは最初から同時に成立していて、どちらが先でもどちらが後でもありません。個体と種とは二にして一のものです。

また西洋人は、生存競争と適者生存つまり自然淘汰によって新種ができるとかんがえますが、種と種(種の社会と種の社会)とはおたがいに棲み分けていて、ほかのものの縄張りをおかしません。生物の進化は自然淘汰によっておこるのではなくて、進化とは変わるべくして変わるものであり、ひとつの歴史であるととらえることができます。進化は要因論で割りきれるものではありません。

本書は、1978年に京都でおこなわれた対論を収録したものです。西洋人のかんがえ方と比較しながら今西錦司あるいは東洋のかんがえ方を理解できる好著です。

今西錦司は「自然の進化は遺伝子や遺伝学だけで解けるようなものではない」と主張し、生物の行動をもっと追跡しろと指導しています。つまりフィールドワークをするようにということです。


▼ 引用文献
F.A.ハイエク・今西錦司著『自然・人類・文明』(NHKブックス)NHK出版、2014年11月25日
自然・人類・文明 (NHKブックス No.1224)

▼ 関連記事
自然をシステムとしてとらえる - F.A.ハイエク・今西錦司著『自然・人類・文明』(1)-
進化論的に人類をとらえなおす - F.A.ハイエク・今西錦司著『自然・人類・文明』(2)-
人類進化のモデルをつかって自然・人類・文明について理解をすすめる


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伊藤弥寿彦(執筆)・佐藤岳彦(写真)『生命の森 明治神宮』(講談社)は明治神宮の森の多様な生態系を紹介した写真集です。

本書をまず見てから明治神宮の森へ行ってふたたび本書を見直せば、森林に関して認識をふかめることができます。

目 次
第1章 明治神宮の森
 コラム 明治神宮の森の歴史

第2章 明治神宮の生きもの
 コラム 明治神宮の生態調査

第3章 生命のつながり

解説

あまり知られていないかもしれませんが、明治神宮の森はおよそ100年前に人の手によってつくられた人工の森林です。

100周年の記念事業として最近おこなわれた大規模な生物調査の結果、さまざまな貴重な生物が生息していることがあきらかになりました。本書はその記録でもあります。

最初の植林はおよそつぎのようにおこなわれました。

スギやヒノキなどの単一な種ではなく、さまざまな種類の樹木をうえて自然にまかせて競い合わせ、未来永劫につづく森の完成を目指した。具体的には、この地域の潜在的な植生であるカシやシイなどの常緑樹の森を作ることを目指した。

  1. まず、50年後、100年後、150年後の変化をかんがえた3段階の予想林相図をつくりました。
  2. 最初に、日光をこのみ北風にたえられる大きなアカマツとクロマツを植えました。
  3. それら間に、やや低いヒノキやサワラ、スギ、モミなどの針葉樹を植えました
  4. そしてそれら間に、将来の主林木となるカシ、シイ、クスノキなどの常緑広葉樹を植えました。
  5. さらに、イヌツゲ、クロガネモチ、サンゴジュ、マサキ、ネズミモチなどの大気汚染につよい常緑広葉樹を植えました。
  6. 森にいろどりをそえるイロハモミジやケヤキ、エノキなどの落葉広葉樹を植えました。
  7. こうして100年後にカシやシイなどを主体とする「極相林」とよばれる安定し森にすることを目指しました。

このように明治神宮の森は世界的にみてもユニークな実験の森だったのです。そして100年ちかくたった今、そのとおり見事な極相林となって成長をつづけています。実験は成功したというわけです。

そして森林はさまざなな動物もはぐくみゆたかな生態系を形成しました。本書にはつぎよう鳥類や昆虫が紹介されています。

オオタカ、オシドリ、ダイサギ、カワセミ、アカゲラ、ハクセキレイ、コゲラ、キビタキ、シロハラ、ルリビタキ、ヤマガラ。

ヤマトタマムムシ、ウラナミアカシジミ、ミズイロオナガシジミ、アサギマダラ、アオバハゴロモ、オニヤンマ、トゲアリ、カブトムシ、コカブトムシ、ノコリギクワガタ、コクワガタ。

その他、タヌキやアオダイショウもいます。

きれいな写真がでていますのでこれらの動物の姿と名称をおぼえてしまうのがよいでしょう。

本書を見たら、明治神宮の森に実際に行って見るのがよいです。そしてふたたび本書を見れば、森林の見え方がちがってきます


151026 森林


こらまでの100年間の森の変化を想像し、森や生態系について認識をふかめることができるでしょう。


▼ 引用文献
伊藤弥寿彦 (執筆)・佐藤岳彦 (写真)『生命の森 明治神宮』講談社、2015年4月22日
生命の森 明治神宮





自分がくらしている地域の身近な地形をしっかり読みとり、自然災害にまきこまれたり落とし穴におちたりしないようにすることが大切です。

地形は、わたしたち人間をとりまく環境のなかのもっとも基本的な要素です(図)。

151014 人間と環境
図 人間と環境のモデル


身近な地形を認識することは環境を効率的に理解することにつながります。どのような地形のうえで生活し、どのような地形をあるいているのか、また地形がおよぼす作用や地形が形成された仕組みを知ることも重要なことです。

地形は、生活や人生の基盤としてふかくかかわっていますが、土木工事をおこなわないかぎり変えることはできません。地形はすでにきまっています。自分がくらしている地域の地形はうけいれるしかありません。それは宿命といってもいいかもしれません。

その地形をみずから読みとり理解し、自然災害にまきこまれたり、あるいは落とし穴におちたりしないようにしていきたいものです。


▼ 参考文献
青木正博・目代邦康・澤田結基著『地形がわかるフィールド図鑑』誠文堂新光社、2009年8月31日
地形がわかるフィールド図鑑 

▼ 関連記事
防災のために、自分たちがくらしている地域についてしらべる - 牛山素行著『防災に役立つ 地域の調べ方講座』-
地形図を読む - 山岡光治著『地形図を読む技術』-


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『地形がわかるフィールド図鑑』(誠文堂新光社)は絶景を旅しながら地形について理解をふかめるためのガイドブックです。

日本各地で見ることができる興味ぶかい地形を全国から33ヵ所えらびだしてわかりやすく解説しています。見ているだけでもたのしいですが、気にいった所には実際に行ってみるとよいでしょう。アクセス情報もでています。

目 次
北海道
 礼文島/霧多布湿原/大雪山/東大雪山/洞爺湖・有珠・昭和新山

東北
 恐山/磐梯山と猪苗代湖

関東
 袋田の滝と男体山/筑波山/鹿島灘海岸/筑波台地/浅間山・草津白根山/高原山と那須野が原/秩父盆地と長瀞渓谷/養老渓谷/武蔵野台地/江ノ島/富士山・箱根火山・愛鷹火山/コラム 地形・地層の保護

中部
 大谷崩・赤崩/上高地/佐渡島/黒部川

近畿
 伊吹山/田上山/淡路島と六甲山

中国
 出雲平野/久ち井の岩海/コラム 風穴/秋吉台と秋芳洞

四国
 讃岐富士と屋島/吉野川

九州・沖縄
 阿蘇山/雲仙/沖縄島南部

日本の地形の基礎知識
空中写真の実体視
ブックガイド
用語集


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写真が豊富で地図がでています。また鳥瞰図も掲載されていて、これがいいです。鳥瞰図と写真・図・地図をあわせて見ると理解がすすみます。

地形を見るときのポイント(着眼点)としてはつぎの点をアドバイスしています。

  1. 傾斜が変わる場所を探そう
  2. 川の様子を観察しよう
  3. 地形と植生との関係を観察しよう
  4. 土地利用との関係を観察しよう
  5. 同じ場所を何度も訪れてみよう

書名は図鑑ということになっていますが旅行ガイドブックとしてつかえます。本書をもって出かければ、絶景がどのようにして形成されたのかを知ることができ、さらに一歩ふみこんだ旅をすることができます。

本書を通して、自然の仕組みのさらなる認識へとすすんでもよいですし、地形のうえでくらす人々に注目していってもよいでしょう。自然環境あるいは人間のどちらの方向へもすすめるのが地形のおもしろいところです。地形は風景や地域をながめるときのもっとも基本的な要素であり、地域を総合的に理解するための出発点としてつかえます。

本書は、著者らの調査・研究に裏打ちされた学術的にも立派なガイドブックです。情報は非常に正確であり、自信をもっておすすめします。


▼ 引用文献
青木正博・目代邦康・澤田結基著『地形がわかるフィールド図鑑』誠文堂新光社、2009年8月31日
地形がわかるフィールド図鑑


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バクタプル

ネパールのカトマンドゥ盆地内にはかつての都市国家の面影をのこす3都市があります。都市国家の構造は環境保全のモデルとしてつかえます。

世界各地の都市国家はほとんどが遺跡になり往時の姿をうしなっているのに対し、ネパール・カトマンドゥ盆地内にあるカトマンドゥ・パタン・バクタプル(とくにバクタプル)の3都市は当時の様子をとてもよくのこしていて、世界遺産に登録されています。

これらは中心に都市があり、その周囲に耕作地(農地)がひろがり、さらにその周辺に山・川・森などの自然環境がひろがっています。これは下図のようにモデル化することできます。都市と自然環境とがつくりだす「主体-環境系」になっています。
150620 都市国家の構造
図 都市国家と自然環境がつくりだす「主体-環境系」のモデル


都市は自然環境から恩恵をうけ、一方で都市は自然環境にはたらきかけ環境を改良していきます。このような都市と自然環境との相互作用によって耕作地が生まれました。都市国家の時代にはこのような相互作用がとてもうまくいっていて環境が保全され、全体のシステムが維持されていました。

都市国家の機能は今日ではうしなわれていますが、この都市国家のモデルは環境保全のモデルとして現代に役立ちます。都市と自然環境とにあいだに、かつての耕作地のような緩衝帯をもうけることがポイントです。

2015年4月のネパール大地震でカトマンドゥ・パタン・バクタプルの旧都市国家(世界遺産)も大きな被害をうけましたが、今後、再建のために努力していきたいとおもっています。




国立科学博物館で「大アマゾン展」が開催されています(会期:2015年6月14日まで)。アマゾンあるいは自然の多様性を知ることができる貴重な機会になっています(注1)。

これに関連しておもしろい本があります。伊沢紘生著『アマゾン探検記』です。密林がどこまでもつづく秘境アマゾン。その人跡未踏の奥深くに著者の伊沢さんが入っていったときの最初期の体験がつづられています。

目 次
案内人ホボ
“人食い魚” ピラニアの話
老学者の心配
ある男の人生観
アマゾンに生きる
少年

猟師

ジャングル生活
娘の心
息子と父
ナマケモノはなぜなまけ者か
威風堂々空を飛ぶ
チョウを捕る

裸族訪問
南で、北で
密林の道
ひからびたジャガイモ
緑の魔境の楽しみ方

巨大なジャングルでくらしながら、そこで出会った原住民との交流、さまざまな鳥獣虫魚の観察、釣りのたのしみなどを新鮮な目でとらえています。このようなゆたかな自然をとおしてアマゾン生態系の全体観を感じとることができます。

そしてアマゾンのジャングルには、この大自然のなかで環境と一体になって生活している人々がいました。

今なお西洋文明の影響をうけず、あるいはうけるのを拒絶して、裸で生活する原住民インディオと接触する機会は、長いアマゾン滞在中でもわずかしかなかった。

私の心に強烈な印象を残したものがあった。彼らが、自らの裸身にほどこした鮮やかなペインティングである。

あるときは、闊歩するジャガーのごとく、あるときは、舞うモルフォのように、いずれかの色のいずれかの線や円が、豊かな筋肉の動きに同調し、人を環境に埋没させ、また環境から引きたてた。

環境のなかにとけこみ、一方で環境に対して主体性を発揮する。これが人類の本来の生き方だったのではないでしょうか。

本書が出版されたのは1983年でした。今ではもうこのような人々は地球上にはいなくなったかもしれません。人類の本来の姿がここにはのこっていたのであり、今となっては大変貴重な記録です。

▼ 引用文献
伊沢紘生著『アマゾン探検記』どうぶつ社、1983年12月22日
アマゾン探検記

▼ 注2
伊沢紘生著『アマゾン動物記』とあわせて読んでみると理解がふかまります。
アマゾンの生態系に共存原理をみる - 伊沢紘生著『アマゾン動物記』-

▼ 追記
著者の伊沢紘生さんは、本書に記載されているような過程をへて、このあと、サル類の研究をふかめていったことがよくわかりました。

▼ 関連記事
アマゾンの多様性を大観する - 国立科学博物館「大アマゾン展」(1) -
アマゾンを歴史的時間的にとらえる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(2) -
アマゾンの多様性をメモする - 国立科学博物館「大アマゾン展」(3) -
アマゾンのサルの多様性をみる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(4) -
生態系の階層構造をとらえる -「大アマゾン展」(5) -
人類の本来の生き方を知る - 伊沢紘生著『アマゾン探検記』-
アマゾンの生態系に共存原理をみる - 伊沢紘生著『アマゾン動物記』-
さまざまな種がすみわけて生態系をつくっている - 伊沢紘生著『新世界ザル アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う』-
自然環境と共生して生きている人々がいる - アマゾン展 -


『はじめての野外活動』は、野山あるき・野外泊・火起こし・ナイフの使い方・ロープワークなど野外活動の基本をイラストと写真をたくさんつかってわかりやすく紹介した野外活動ガイドブックです。野外活動をたのしむだけでなく危険への対処法など災害時にも役立つノウハウも満載されていてとてもためになります。

目 次
1章 野外を歩く
2章 野外で泊まる
3章 野外で火を起こす
4章 ナイフを使う
5章 野外で食べる
6章 野生の恵みを活用する
7章 ロープワークの基本を覚えよう
8章 とっさに身を守る
9章 野外の基本技を身につける

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類書の『楽しい自然ウォッチング』が自然観察に重点をおいているのに対して、本書は、野外活動やキャンプに重点をおいています。観察と行動は表裏一体の関係にありますので、両書をあわせて読んでみるとよいでしょう。 

なお、山で道に迷ったときにはどうするか。とくに引用しておきます。

特に下り道での道迷いに注意しよう
道に迷ったのでは?と感じたら地図とにらめっこして、必ず来た道を一旦戻ること。間違っても沢沿いに下ろうとしてはいけない。標高100m以下の低山でも必ず滝が出現して進退きわまってしまう。(28ページ)

道にまよったら元来た道をひきかえす。これが鉄則です。



▼ 引用文献
松本徳子企画・構成『はじめての野外活動 生きる知恵を身につける』
JTBパブリッシング、2012年3月15日
はじめての野外活動 (るるぶDO)

▼ 関連記事
身近なところから自然観察をはじめる -『楽しい自然ウォッチング』-
 

『楽しい自然ウォッチング』は、自然観察(自然ウォッチング)のためのガイドブック(入門書)です。写真が豊富で見ているだけでもたのしめます。身近な自然の見方から、次第にふかく自然に接する方向へすすむ構成になっています。

目次
第1章 街あるきで自然発見
第2章 命あふれる里山へ行こう
第3章 森の木を探検しよう
第4章 海遊び 川遊びを楽しもう
第5章 鳥たちに会いに行こう
第6章 畑で野菜をつくろう
第7章 気象と季節の歳時記


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街のなかにある自然からはじまり、周辺にある里山、もっととおくの森、さらに海や川、動物たちの観察、気象や季節の観察というようにすすんでいきます。巻末には自然観察ができる全国の森のリストがでています。

街のなかでは「マイツリー」を決めて定点観察をすることを提案しています。季節のうつりかわりがつかめます。また里山は、自然体験のためにとくにおすすめです。休日にでかけてみるとよいでしょう。

本書のすべてにとりくむ必要はありませんので、自分の興味がある分野をピックアップして、まずは自然に接して、自然に対する感性をみがくようにするとよいです。


情報処理の観点からみると自然観察とは目をつかって自然から情報をとりいれること、自分の意識のなかに自然の情報をインプットすることです(図1)。感性をみがくとはインプット能力を高めることです。これには理屈ではなく実践的なとりくみが必要です。身近なところから自然観察を是非はじめてみてください。

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図1 自然観察とは自然から情報をインプットすること



▼ 引用文献 
松本徳子企画・構成『楽しい自然ウォッチング』JTBパブリッシング、2012年4月1日
楽しい自然ウォッチング (るるぶDO)

▼ 関連記事
里山のモデルをつかって大阪の自然誌をとらえる - 大阪市立自然史博物館 -
日本の原風景をみる - 青柳健二『行ってみたい日本人の知恵の風景74選』-


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本多勝一著『極限の民族』をよむと、イニュイ民族(カナダ=エスキモー)、ニューギニア高地人、アラビア遊牧民のそれぞれの民族について知ることができます。それは同時に、彼らの生活様式と彼らをとりまく自然環境を理解することでもあります。

それぞれの民族はそれぞれに知恵をはたらかせて、衣服や道具や家をつくりだし、狩猟や牧畜の方法を開発して、その地域独自の自然環境に適応して生活していました

民族(人間)と自然環境とのあいだには相互作用があり、その相互作用のなかから衣服や道具や家や方法などの生活様式が生まれてきたということを読みとることができます(図1)。

150407 民族-生活様式-自然環境
図1 民族と自然環境との相互作用により独自の生活様式が生まれた。


このように民族と生活様式と自然環境とをセットにしてひとつの体系(システム)としてとらえるとわかりやすいです。
 
そしてこの体系においておこっている相互作用は、自然環境から民族への作用と、民族から自然環境への作用という方向のちがう2種類の作用がみとめられます。自然環境から民族への作用は「インプット」民族から自然環境への作用は「アウトプット」とよぶこともできます(図2)。

150406 民族-生活様式-自然環境
図2 民族と自然環境とのあいだでインプットとアウトプットがおこっている。


これらの作用をとおして情報の流れがおこり、それぞれの民族は無意識のうちに「プロセシング」をおこなって知恵をはたらかせて生活様式を開発してきたといえるでしょう。つまり、知恵をはたらかせるとは情報処理をおこなうことだといいかえることができます。

このように「民族-生活様式-自然環境」をひとつの体系(システム)とみなして本書を読みなおしてみると、一見複雑でわかりにくい「異民族」の世界がよく整理されて理解しやすくなるとおもいます。


▼ 引用文献
本多勝一著『極限の民族』(本多勝一集 第9巻)1994年2月5日
極限の民族 (本多勝一集)  

▼ 関連図書


▼ 注
人がおこなうアウトプットとはプロセシングの結果を顕在化させることであり、書いたり話したりすることだけでなく、表現したり、つくったり、生みだしたり、成果をあげたり、行動したりすることもアウトプットであるととらえることができます。

▼ 関連記事
3つの民族を比較しながらよむ - 本多勝一著『極限の民族』(1)-
極端を知って全体をとらえる - 本多勝一著『極限の民族』(3)-


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写真1 大阪市立自然史博物館の入り口

大阪市立自然史博物館では、自然の歴史、地球の歴史についてまなぶことができます。特に、第2展示室では、化石を見ながら、地球と生命の歴史についてくわしく理解することができます。

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写真2 第2展示室の化石展示

地球は、約46億年前に誕生しました。

約35億年前になると、最初の生命が誕生しました。

地球の歴史は、動物の進化にもとづいて時代区分されています。それは、古生代、中生代、新生代となっています。

古生代の初めには、海にすむ生物の数や種類が飛躍的に増え、ほとんどの脊椎動物があらわれました。

中生代は、「恐竜とアンモナイト」の時代です。植物界では裸子植物の時代になりますが、中生代後半に入ると被子植物があらわれました。

新生代第三紀は「哺乳類の時代」とよばれ、哺乳類が大発展しました。

そして、新生代第四紀(約200万年前)になってからは、人類が大発展しました。

このような自然史については、博物館で化石などを実際に見ることによって、とてもリアルに具体的に理解することができます。


ところで、大阪市立自然史博物館の別館ネイチャースクエアには、「自然史」ではなくて「自然誌」の展示がありました。これらは似ているようで異なります。「自然史」が、時間的歴史的な見方をするのに対して、「自然誌」は、どちらかというと空間的な見方を重視します。つまり、つぎのような対応関係があります。

自然史:時間
自然誌:空間


そこで、大阪市立自然史博物館の別館ネイチャースクエアの「自然誌」の展示では、空間的な見方を意識し、本館第2展示室の「地球と生命の歴史」展示では、時間的歴史的な見方を意識することによって、一見、非常に複雑に見える自然の現象あるいは地学の知識をすっきりと整理することができます。このあたりがごちゃごちゃになっていると混乱が増してしまいます。

このように、空間的な見方と時間的な見方をよく整理して、そしてそれらを組みあわせることは、複雑なことを見通しよく理解することに役立ちます。


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