発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

タグ:大観法

広瀬浩二郎著『触る門には福来たる』は「見えないことで観える」体験記・旅行記です。人間の感覚器官をフルにつかって認識をすることが大事であることをおしえてくれます。

著者の広瀬浩二郎さんはおさないころから弱視で、13歳のときに視力を完全にうしなったそうです。その後、京都大学文学部国史学科、同大学大学院などをへて、現在は、国立民族学博物館の准教授をされています。

わたしは先日、国立民族学博物館を見学していたときに広瀬さんの講演会がたまたまあったので聞きにいき、大きな感銘をうけ、その後、広瀬さんの本をほとんどすべて読んでみました。
 

目 次
究める めざせ座頭市!
歩く 広瀬流「地球の歩き方」
触る よく触り、よく学ぶ
食べる 口は目ほどに…!?
喋る 大風呂敷を広げてみよう
動く 「バリア・フリー」から「フリーバリア」へ


広瀬さんは、視覚以外の感覚を総動員してさまざまな物をそして周囲を世界を認識しています。

情報処理の観点からいうと、感覚とは、人間(あるいは動物)が外界から内面に情報をとりいれることつまりインプットすることであり、感覚器官はそのための道具です。

わたしたち生物は、感覚器官をつかって外部から内面に情報をとりいれ、その信号を処理して物や空間などを認知しています。わたしたちの意識のなかでは不思議なプロセシングがおこっています。

それぞれの感覚は各動作とむすびついていて、それらの対応関係はたとえば次のようになっています。
 
  • 歩く:筋肉感覚、その他
  • 触る:皮膚感覚
  • 食べる:味覚や嗅覚
  • 喋る:聴覚
  • 動く:筋肉感覚、その他

本書をよむと、広瀬さんは、すべての感覚を大きくひらいて、うけとれるあらゆる情報を活用しながら認識をすすめていることがわかります。こうすることによって情報処理がすすみ、直観力もみがかれます。

他方で、わたしたちはどうかというと、学校の知識つめこみ教育の影響もあって、聴覚的な言語を通して情報をとりいれることに極端にかたよりすぎているのが現状です。本来は、あらゆる感覚をつかって情報をとりいれて、それらを総合して認知しなければいけないのに、言語をインプットして理屈でわかったような気になってしまうことに慣れきってはいないでしょうか。

わたしたちは、みずからの情報処理の仕組みをとらえなおし、もっている感覚のすべてを大きくひらく訓練をあらためてしなければならないでしょう(図)。

150720 感覚
 図 感覚をひらく訓練をする
 


▼ 関連記事
インプットを自覚する -「ユニバーサル・ミュージアム ― さわる!“触”の大博覧会」(国立民族学博物館)-

▼ 引用文献
広瀬浩二郎著『触る門には福来たる 座頭市流フィールドワーカーが行く!』岩波書店、2004年6月4日
触る門には福来たる―座頭市流フィールドワーカーが行く!

▼ 広瀬浩二郎さんの著作




『ビジュアル世界大地図』は、 自然・生物・人間・科学・歴史・文化の6つのジャンルから注目すべきテーマをとりあげて解説した世界地図集です。地球の全体象と現状をビジュアルにつかむことができます。

80をこえる地図を掲載、見開きで1テーマを解説し、地球の姿がひと目でわかる仕組みになっています。

目次
世界の自然
 はじめに
 地殻
 地震
 山
 火山
 海底
 海流
 川と湖
 クレーターと隕石
 暑さと寒さ
 雨と雪
 ハリケーン
 バイオーム
 森林
 砂漠
 氷
 時間帯

世界の生きもの
 はじめに
 恐竜の化石
 捕食者たち
 危険な生きものたち
 外来種の侵略
 鳥の渡り
 クジラ
 サメ
 川の怪物たち
 昆虫
 植物の世界
 生物多様性
 固有の生きもの
 絶滅のおそれがある動物
 絶滅した動物

人間と地球
 はじめに
 人間の住む場所
 遊動民
 世界の年齢分布
 健康
 パンデミック
 貧困
 世界の金
 億万長者
 食料生産
 世界の摂取カロリー
 読み書きの能力
 環境汚染
 ごみと廃棄物
 きれいな水
 化石燃料
 代替エネルギー
 気候変動
 原生地域

工学と科学技術
 はじめに
 航空交通
 海上輸送
 鉄道
 道路
 高層建築物
 インターネット接続
 人工衛星と宇宙ごみ
 軍事力

世界の歴史
 はじめに
 人類の化石
 先史時代の文化
 古代の帝国
 驚異の古代建造物
 ミイラ
 中世の偉大な建造物
 中世の帝国
 城
 戦場
 最後の帝国
 革命
 難破船
 近代技術の賜物

世界の文化
 はじめに
 言語
 聖地
 旅行
 美術
 彫像
 祭り
 テレビ
 スタジアム
 自動車レース
 ジェットコースター
 世界の国旗

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本書は、イギリスの Dorling Kindersley 社が2013年に制作し、刊行後まもなく重版がかかり、発売から半年たらずで世界で12万部をこえるヒットタイトルになりました。子どもから大人まで幅広い読者の好奇心をおおいに刺激しています。

本書の特色は、グローバルな視点を読者にあたえる点にあります。本書の世界地図をみていけば地球の全体象を自然につかむことができます。

地球の全体像を本書でまずみて、そして次に、興味・関心のある特定の分野あるいは地域にはいりこむようにするとよいです。大局をみて局所にはいるのは問題解決の基本です。これは旅行法にも通じます。

問題解決のポイントは局所の攻め方にあります。そのためには問題をめぐる大局があらかじめつかめていなければなりません。大局をつかむためには本書のようなよくできたビジュアルな参考書が役立ちます。本書をつかえば、あまり時間をかけずに地球の大局を視覚的に一気につかむことができます。そもそも大局は一気につかむものです。



▼ 引用文献
左巻健男監修『ビジュアル世界大地図』日東書院本社、2014年11月10日
ビジュアル世界大地図


フィールドワーク(現地調査)でえられた多種多量なデータを整理し文章化していく方法として「KJ法」(注)とよばれる方法があります。

今回は、このKJ法のなかのひとつのステップである「グループ編成」に注目し、情報処理の原則をそこからよみとってみたいとおもいます。

KJ法の「グループ編成」はつぎの3つの場面からなります。ここでいうラベルとはデータをラベルに記入したもののことです。

1.ラベル拡げ
2.ラベル集め
3.表札づくり


「ラベル拡げ」とは、データを目の前にすべてひろげて全体をよく見ることです。「ラベル集め」とは似ているデータをあつめてセットにすることです。「表札づくり」とはセットになったデータを要約して単文として書きだすことです。


一方、いわゆる情報処理はつぎの3場面からなりたっています(注2)。

1.インプット
2.プロセシング
3.アウトプット


以上から、「グループ編成」の3場面と情報処理の3場面とは対応させて理解することができます。

1.ラベル拡げ:インプット
2.ラベル集め:プロセシング
3.表札づくり:アウトプット


「ラベル拡げ」では、課題をめぐる状況を大観し、すべてのデータをかたよりなく全体的にまるごとインプットするようにします。

「ラベル集め」では、データを空間的に並列させて、類似性に着目しながらデータを空間的にうごかしていきます。つまり並列処理をするということです。並列とはいいかえると直列ではないということであり、データを、時系列あるいは前後関係では処理しないとうことです。そのためには空間をつかうことが必要になります。

「表札づくり」では、あつまったデータのセットを単文に要約して書きだします。つまりデータを統合します。ここではじめて本格的に言語がつかわれます。「ラベル集め」ではデータを並列させましたが、ここでは一転してデータを直列的に処理します。そもそも言語は、前から後ろにながれていく直列的なもの(時間的なもの)であり、言語は情報を統合する道具として有用です。空間ではなく言語をつかい、情報を順番に処理していきます。

KJ法は、フィールドワークでえられた情報(データ)を文章化するための方法(アウトプットの方法)ですが、「グループ編成」の3場面と情報処理の3場面とのあいだに対応関係がみられることから、心のなかでおこるプロセシングにおいては「ラベル集め」のような並列処理がおこっているのではないかと類推できます。心のなかは直接はみえないのでアウトプットから類推します。

以上から情報処理の場面ごとの原則としてつぎがうかびあがります。

第1場面:大観
第2場面:並列
第3場面:統合


モデル(模式図)であらわすとつぎのようになります。

150630 原則
図 情報処理の3原則 


第1場面では特定の物事にとらわれることなく、すべてを全体的にまるごととらえ受けいれます。第2場面では空間をつかいます。第3場面では言語あるいは時間をつかいます。

このように3つの原則を意識して、またつかいわけることによって情報処理あるいは仕事がスムーズにすすむとおもいます。




▼ 注1
川喜田二郎著『発想法』(中公新書)1967年
川喜田二郎著『続・発想法』(中公新書)1970年
川喜田二郎著『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論新社、1986年

▼ 注2
見ることはインプット、書くことはアウトプットにあたります。本ブログでは、人がおこなう(人が主体になった)情報処理をとりあつかっています。

▼ 追記1
今回は、KJ法について説明するのが目的ではなく、情報処理の原則をあきらかにするのが目的であり、KJ法の「グループ編成」をサンプルとしてつかって情報処理について考察してみました。

▼ 追記2
第3場面でも全体がみえてきますがそれは第1場面とはことなり、正確にいうと第3場面では本質がみえてきます。この場面になると仮説やモデルなどが表現されるようになります。第1場面と第3場面のちがいに気がつくことも重要です。

▼ 追記3
なれてくると、インプット・プロセシング・アウトプットといった物理的なことよりも基本原則を意識することの方が重要になってきます。



『信じられない現実の大図鑑』は、宇宙・地球・生命・最先端技術に関する全 90 分野の物のスケールをわかりやすくビジュアル化しています。それぞれの分野の最大の物を知ることはその分野の全体像を知ったり、評価するために役立ちます。

もくじ
地球から飛びだす
驚くべき地球
人類とあらゆる生物
ここまできている先端技術

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たとえば「木星の大きさは?」「光の速度は?」「世界の人口はどれだけふえているか?」「最大の生物は?」「最大の卵を生むのはどの鳥?」(注)など、今までぼんやりと概念的にしかとらえられていなかった物が、それぞれの大きさをビジュアル的にみることにより、また比較することによって鮮明に認知できるようになります

現代では定量的な計測がすすんでいて、それぞれの分野の最大値を知ることが可能ですが、数値をしめされてもぴんときません。やはり、イメージでみるとわかったという気がします。

また最大(極端)を知ることは物事を評価するときにも役立ちます。評価とは相対的なものです。

本書をくりかえしみてそれぞれの分野の最大を知り、その分野のスケールをイメージできるようにしておくとよいでしょう。



▼ 引用文献
ドーリング=キンダースリー (著・編集)、増田まもる (監修・翻訳) 『信じられない現実の大図鑑』東京書籍、2014年7月12日
信じられない現実の大図鑑

▼ 注
世界最大の卵は全長30cm、17世紀ごろまでマダガスカル島にすんでいたエピオルニス(エレファント・バード)のものであった。それはニワトリの卵の200個分、ダチョウの卵の11個分にあたる。エピオルニスは17世紀に絶滅したが、かけらではあるが卵のかけらが現存している。むかしの調理場近辺でみつかっていることから、当時の人々はエピオルニスの卵を食べていたようだ。

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NHKホールでホルン協奏曲をきき、ホルンの響きをたのしみました。

指揮:アンドリス=ポーガ
ホルン:ラデク=バボラーク
管弦楽:NHK交響楽団 
曲目:
 モーツァルト『交響曲 第1番 変ホ長調 K.16』
 モーツァルト『ホルン協奏曲 第1番 ニ長調 K.412』(レヴィン補筆完成版)
 R.シュトラウス『ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11』
 ラフマニノフ『交響的舞曲 作品45』
 (2015年6月13日、NHKホール)

ラデク=バボラークは世界的なホルンの名手であり、わたしもかねてから注目していたのでききにいきました。

ホルンは、数ある楽器のなかでも特に響きを重視する楽器です。響きとは楽器からでる直接音というよりも、コンサートホールの反響板や壁などに反射してホールの空間全体にひろがる音の波動です。これは、直接音(演奏)そのものの周囲にひろがり、ホールの空間を全体的にみたすものです(図)。
150617 演奏と響き
図 演奏の周囲に響きがひろがりホールをみたす。


演奏・響き・ホールを図のようなモデルでとらえるとホールも楽器であるといわれるゆえんがよくわかります。響きが充実してこそゆたかな音場が形成されます(注)。

響きの空間は、主体である演奏者にとっては環境ですから、ホールも「主体-環境系」としてとらえることができます。

このように直接きこえてくる音(演奏)だけに集中するのではなく、ホールの空間全体にも意識をくばり、その空間を感じとってそこに没入できれば、よりふかく音楽を味わえるとおもいます。


▼ 注
NHKホールはふるい多目的ホールであり、現代のほかのコンサートホールにくらべて音響がわるいことが知られていますが、今回の演奏はそんなことを感じさせないすばらしい演奏でした。ラデク=バボラークは、めったにあらわれない歴史的なホルン吹きだとおもいました。


▼ ラデク=バボラークのおすすめミュージックはこちらです。

※ R.シュトラウス『ホルン協奏曲第1番』がはいっています。ただしピアノ伴奏です。


※ バッハ『無伴奏チェロ組曲』をホルンで演奏した前代未聞の名演です。





わたしたちが本を読む場合、高速で一気に読む方法と時間をかけてゆっくり読む方法があるとおもいます。

短時間で高速で一気に読んだ方が細部の理解はやや不確かになるかもしれませんが、本の全体像や構造はつかみやすいです。一方、時間をかけてゆっくり読めば読むほど細部はよくわかりますが、全体像や構造はその分つかみにくくなります。木は見えるが森は見えないといった感じです。

ひとつのアナロジー(類比)をだしましょう。

たとえば東京から大阪まで移動するとします。飛行機にのって空をとべば短時間で高速で移動ができ、地上の景色が全体的に見えます。新幹線で移動すればやや時間はかかりますが、地上の様子がよりよく見えてきます。自動車で移動すればもっとこまかくいろいろなことが見えてきます。しかしもしあるいて行ったら時間はとてもかかりますが、非常にこまかくあれもこれも何もかもが見えてきます。しかし全体像は一気には見えません。

このようなことから、短時間で高速でおこなうと全体像が見えやすく、時間をかけてゆっくりおこなうと細部が見えてくるということがいえます。時間をかければかけるほど物事の詳細がわかってくるのです。

したがって時間のかけかたと見え方のちがいの対応関係はつぎのようになります。ここでいう見え方とは空間的な見え方のちがいですから、大局観と小局観といってもよいです。

短時間(高速):全体が見えやすい(大局観)
長時間(低速):細部がよく見える(小局観)

そもそも速読法の第1の目的は本の全体像や構造をつかむことにあります。いそがしいことを理由にしてやみくもに速く読めばよいというわけではありません。速読によって本の見え方が従来の読み方とはちがってくることに気がつくことが大事でしょう。

また博物館の展示などを見るときやフィールドワークをおこなうときにも同様なことがいえます。

高速で全体(大局)を見るか、低速で細部(局所)を見るかは課題や目的に応じてつかいわけるべき方法といえるでしょう。


地球を事前に大観しておくと現地調査がより有意義になります。

近年は、人工衛星をつかった地球観測がさかんにおこなわれるようになり、地球を大観し、地球の全体象をつかむことが容易になりました。自然災害(防災)や環境保全などの分野ではこのような地球観測は欠かせないものになっています。

ここでいう大観とは言語や理屈で概要をとらえたり、ポイントをピックアップしたり全体を要約して理解するのでもなく、対象を、視覚的にまるごとみることです。情報処理の観点からはまるごとインプットといってもよいでしょう。

一方、このような大観に対して、特定の地域の現地調査もさかんにおこなわれています。地球観測データには限界があり、その解像度がいくら高くなったといっても、現地の詳細は実際にそこに行ってみないとわかりません。このような現地調査は、大観に対して局所をみること、「局観」だといってもよいでしょう。

そして、大観と現地調査をふまえて考察をすすめていくのです。

大観 → 局観 → 考察

この方法は現代では一般的に誰でもつかうことができます。たとえば、Google Earth で地球を大観し、つぎに気に入った場所を旅行してみる。そして旅行記などを書いてみるといったことです。

Google Earth を利用すれば、グローバルに視覚的に地球をみることができます。このとき、あまり時間をかけずに地球全体(全球)を一気にみることがポイントです。断片的な多数の情報を集積・総合して全体像をあきらかにするというやり方ではありません。

このような大観により、地球の空間がすっぽりと自分の意識のなかにはいっていると旅行や現地調査が一層充実したものになるでしょう。しかし大観が事前になく、最初から局所にはいりこんでいくと迷路にはまってしまうかもしれません。

大観は、一見すると簡単な方法のようですがとても意義のある方法だとおもいます。


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国立科学博物館

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大アマゾン展


国立科学博物館の「大アマゾン展」は生態系あるいは自然には多様性があることをおしえてくれるよい機会でした(注1)。生態系について理解するためにはその階層構造に注目するとよいです。

アマゾンは地球上でとくに多様性のある地域なのではないでしょうか。動物・植物・原住民そして気象・地形・地質・河川などがつくりだす物理環境、もしかしたら、こんなにも多様な生態系をのこしている地域は地球上にはほかにはもうないかもしれません。アマゾンは自然の多様性をまなぶために大変貴重な地域となりました。

アマゾンでは実にさまざまな動植物が共存しています。共存できているからこそ多様性があるわけです。共存できなかったら多様性はうしなわれます。

生態系のなかでは食べたり食べられたりということはありますが、これは生きるために生物が食料を補給しているのであって、戦って決着をつけようとしているのではありません。多様性のある世界は、淘汰によって勝者が生きのこり敗者がほろんでいく世界ではありません。

動植物が共存ができるのは彼らがうまく「すみわけ」をしているからです(注2)。たとえば、一般の哺乳類は地上でくらしていますが、サル類は樹上ですごし地上にはおりてきません。菌類、水草、魚類、昆虫類、爬虫類、両生類、哺乳類、サル類、鳥類など、それぞれに生きる世界をもってすみわけています。さまざまな生物がうまくすみわけつつ共生し、全体の系(システム)を統合・維持しているのが生態系といえるでしょう。

このような生態系は、個体あるいは局所にとらわれていると全体像は決してみえてきません。

生態系は複雑な階層構造になっていて、生物はただ単に共存しているのではなく、階層的にすみわけて共存しています。階層構造があるからこそこれだけ高密度な共存ができるのです。

このような階層構造がみえないと生態系は非常に複雑にみえて理解がむずかしくなります。あるいは個体や局所だけをみていると生態系の要素あるいは下部構造しか認識できません。

階層構造に着目することは生態系のみならず、世の中の構造を理解するためにも役立つとおもいます。



▼ 注1
国立科学博物館・特別展「大アマゾン展」

▼注2:参考文献
生態系について理解するためには伊沢紘生さんの本をよく読むとよいです。わたしはかねてから伊沢さんの研究に注目し、伊沢さんの本はほとんどすべて読んできました。

▼ 関連記事
アマゾンの多様性を大観する - 国立科学博物館「大アマゾン展」(1) -
アマゾンを歴史的時間的にとらえる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(2) -
アマゾンの多様性をメモする - 国立科学博物館「大アマゾン展」(3) -
アマゾンのサルの多様性をみる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(4) -
生態系の階層構造をとらえる -「大アマゾン展」(5) -
人類の本来の生き方を知る - 伊沢紘生著『アマゾン探検記』-
アマゾンの生態系に共存原理をみる - 伊沢紘生著『アマゾン動物記』-
さまざまな種がすみわけて生態系をつくっている - 伊沢紘生著『新世界ザル アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う』-
自然環境と共生して生きている人々がいる - アマゾン展 -


東京・上野の国立科学博物館で開催されている特別展「大アマゾン展」を再度みました(会期:2015.6.14まで、注1)。今回はサルの多様性に注目してみました(写真)。アマゾンにはおもしろいサルがたくさんいます。

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ピグミーマーモセット

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 アカテタマリン

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 ゴールデンライオンタマリン

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 エンペラータマリン

IMG_2289フキオマキザル
 フキオマキザル

IMG_2208ヨザル
 ヨザル

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 アカウアカリ

IMG_2221ヒゲサキ
 ヒゲサキ

IMG_2317クロホエザル
 クロホエザル

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カオグロクモザル 

IMG_2237フンボルトウーリーモンキー
 フンボルトウーリーモンキー

IMG_2329ケナガクモザル
 ケナガクモザル


アマゾンは、生態系の全体をみても多様性に富んでいますが、サル類だけをみても大きな多様性があることがわかります。多様性は、対象を全体的にとらえて大観してこそみえてくるものです。局所を分析しているだけだと決してみえてきません。多様性を知ることは、地球環境を保全するためにあるいは環境変動に適応するために役立ちます。


▼ 注1
国立科学博物館・特別展「大アマゾン展」

▼ 関連記事
アマゾンの多様性を大観する - 国立科学博物館「大アマゾン展」(1) -
アマゾンを歴史的時間的にとらえる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(2) -
アマゾンの多様性をメモする - 国立科学博物館「大アマゾン展」(3) -
アマゾンのサルの多様性をみる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(4) -
生態系の階層構造をとらえる -「大アマゾン展」(5) -
人類の本来の生き方を知る - 伊沢紘生著『アマゾン探検記』-
アマゾンの生態系に共存原理をみる - 伊沢紘生著『アマゾン動物記』-
さまざまな種がすみわけて生態系をつくっている - 伊沢紘生著『新世界ザル アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う』-
自然環境と共生して生きている人々がいる - アマゾン展 -

 

NHK 100分 de 名著『アンネの日記』は、『アンネの日記』の文学的な豊かさについて解説したガイドブックです。『アンネの日記』が生みだされた空間あるいは創造の場について理解がすすむ内容になっています。著者の小川洋子さんが実際に現地をおとずれたときの体験をまじえてかたりかけていて、写真や図面・地図などもでていてとてもわかりやすいです。

『アンネの日記』は、「隠れ家」時代を中心とした2年あまりの期間にアンネがつづった心の記録といえます。アンネらはその間いちども外の世界に出ることはありませんでした。

アンネはまさに、隠れ家というサナギのなかにいて、自分と向き合っていたのでしょう。アンネの思春期と、隠れ家の生活がぴったり重なり合っていたことも、なにか偶然の巡り合わせのように感じずにはいられません。

「隠れ家」に隠れて生活するという突然生じた想定外の状況がきわめて密度の高い創造の場を生みだしたことはあきらかです。「隠れ家」という非常にかぎられた空間がアンネの意識の場であったのであり、この制約のある世界が生産的・創造的な意義をもったわけです。意識の場とは情報処理がおこった場といいかえてもよいでしょう。

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図1 本書に掲載されている「隠れ家」の立体図と平面図
 
読者であるわたしたちも、物語あるいは言語に注目するだけではなく「隠れ家」の空間あるいは構造を想像しながら、その空間全体に意識をみたすようにして『アンネの日記』を読みなおしてみると味わいがさらにふかまるとおもいます(図2)。本書のなかの数々の図面や写真が大いに役立ちます。
 
150602 日記
図2 「隠れ家」という空間全体に意識をみたすようにする



▼ 追記
アンネは、終戦をむかえた暁には自分の日記を出版しようとしていました。つまり終戦をひとつの期限にして日記を書いていました。時間的に期限をくぎる、時間を限定するという制約もひとつの創造的な場を形成するために貢献したにちがいありません。

1944年の春、ロンドンからのラジオ・オーラニェの電波を通じて、オランダ亡命政権の文部大臣ヘリット=ボルケステインは、「戦争が終わったら、ドイツ占領下におけるオランダ国民の苦しみを記録した手記、あるいは手紙等を集めて、公開したいと考えている」とのべました。

この放送を聞くまで、もっぱら自分自身に宛てた手紙というかたちで彼女は日記を書いていましたが、この放送を聞いて自分も戦後に本を出したいとかんがえ、その基礎資料として日記をつかうことに決めていました。


▼ 引用文献
小川洋子著『NHK 100分 de 名著『アンネの日記』』NHK出版
NHK 100分 de 名著 『アンネの日記』[雑誌] NHKテキスト

アンネ=フランク著(深町眞理子訳)『アンネの日記』(増補新訂版)文藝春秋(文庫版:2003年4月、Kindle版:2014年6月)
アンネの日記 増補新訂版


▼ 関連記事
立体模型をみて構造をつかむ - アンネの「隠れ家」の模型 -
「隠れ家」の空間全体に意識をみたす - NHK 100分 de 名著『アンネの日記』-
旅をして、第二次世界大戦をとらえなおす -『ガイドブック『アンネの日記』を訪ねる』-


▼ 関連書籍
アンネゆかりの地をたずねる旅のガイドブックです。行きたいけれどなかなか時間がとれないという人たちの声にもこたえ、机の上で旅ができて読んでもおもしろい本になっています。もちろんこの本をもって現地に足をはこんでもよいです。


「隠れ家」とアンネたちをまもりつづけた人びとがいました。



『アンネの日記』(注1)のアンネの「隠れ家」の模型(写真)が杉並区立下井草図書館に展示されていました(注2)。隠れ家の構造がよくわかりました。

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この模型は、オランダのアンネ・フランク・ハウス財団より寄贈されたものです。あわせてアンネ・フランク関連の本も多数展示してありました。

アンネの隠れ家については図面は本で見たことはありましたが、どのような構造や間取りになっていたのか、どのように隠れていたのか、今回、立体的な模型で実際に見ることができてはっきりわかりました。

立体模型は、構造あるいは全体像をつかむためにとても役にたちます



▼ 注1:アンネ=フランク著(深町眞理子訳)『アンネの日記』(増補新訂版)文藝春秋(文庫版:2003年4月、Kindle版:2014年6月)
『アンネの日記』が最初に世に出たのは1947年であった。その後1991年には、1947年版でカットされていたアンネの人間味あふれる記述(するどい批判精神や性のめざめなど)を復活させた「完全版」が出版された。そして、1998年にあらたに発見された5ページ分をくわえ、翻訳資料をさらに徹底させてこの『アンネの日記』(増補新訂版)が出版された。これはまさに「アンネの日記・決定版」といえる。

竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける(文明・文化篇)』は、前著『日本史の謎は「地形」で解ける』の続編です。前著にひきつづいて本書を読むと日本文明に関する理解が一層すすみます。

本書の中核をなすのは、第4章〜第7章の江戸の都市づくりに関する論考です。ここを中核にして、その前の時代の織田信長、その後の日本の近代化に関する論考を読むと、日本列島という地形のうえで日本文明がいかに成長したかについて理解をふかめることができます。

目 次
第1章 なぜ日本は欧米列国の植民地にならなかったか ①
第2章 なぜ日本は欧米列国の植民地にならなかったか ②
第3章 日本人の平均寿命をV字回復させたのは誰か
第4章 なぜ家康は「利根川」を東に曲げたか
第5章 なぜ江戸は世界最大の都市になれたか ①
第6章 なぜ江戸は世界最大の都市になれたか ②
第7章 なぜ江戸は世界最大の都市になれたか ③
第8章 貧しい横浜村がなぜ、近代日本の表玄関になれたか
第9章 「弥生時代」のない北海道でいかにして稲作が可能になったか
第10章 上野の西郷隆盛像はなぜ「あの場所」に建てられたか
第11章 信長が天下統一目前までいけた本当の理由とは何か
第12章 「小型化」が日本人の得意技になったのはなぜか
第13章 日本の将棋はなぜ「持駒」を使えるようになったか
第14章 なぜ日本の国旗は「太陽」の図柄になったか
第15章 なぜ日本人は「もったいない」と思うか
第16章 日本文明は生き残れるか
第17章 【番外編】ピラミッドはなぜ建設されたか ①(注1)
第18章 【番外編】ピラミッドはなぜ建設されたか ②

たとえば徳川家康は、関東の弱点が関宿にあることを見ぬいたり、利根川を東にまげる大工事をおこなったり、東京湾岸に運河をつくったりして関東と江戸をみごとにつくりかえました。関東平野の改良と制御なしには江戸時代の繁栄はありえませんでした。またこの江戸と関東平野がその後の日本の近代化の基盤となりました。

家康らは、自然環境に一方的に支配されたり環境にただ適応して生きていたのではなく、自然環境に対して主体性を発揮してそれを能動的に改良したのです。そこには、自然環境とそこで生きる人々との相互作用をみとめることができます。大げさにいえば江戸と関東平野は自然環境と家康らの合作であったのです。そしてそのうえにたってその後の文明が成長できたというわけです。

著者の竹村公太郎さんの方法はこのように一般の人文学者とは大きくことなります。つぎのようにのべています(注2)。

歴史を芝居にたとえると、歴史の下部構造は舞台と大道具で構成された舞台装置である。歴史で活躍した英雄たちは、その舞台装置の上で演技する俳優たちである。俳優たちの演技を評論する人は多いが、舞台装置を評論する人はない。インフラに携わってきた私は、下部構造の舞台装置が気になってしまうのだ。

登場人物だけに注目するのではなくて彼らが行動していた「舞台」すなわち大地も同時に見ること、要素とともにそれが入っている空間全体を見るが大事だということでしょう。

徳川家康は、現場をあるいて地形を観察しつくしていた日本史上最高級のフィールドワーカーであったそうです。家康にはおよばないにしてもわたしたちも家康からまなび、まずは野外にでて、理屈をはなれて自分の目で自然を見ることからはじめたいものです。



▼ 引用文献
竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける(文明・文化篇)』(Kindle版)PHP研究所、2014年2月3日
日本史の謎は「地形」で解ける【文明・文化篇】 (PHP文庫)


▼ 注1
第17〜18章のピラミッドに関する論考も斬新です。このような視点は一般の考古学者にはないのではないでしょうか。歴史や文明を「基盤」からとらえなおすことが大切であることをおしえてくれるとともに、文明にはかならず「基盤」があることもしめしています。

▼ 注2
竹村公太郎さんは専門の歴史学者ではないことも自由な発想を可能にしているとおもわれます。専門の歴史学者は定説や学会の価値観にとらわれているので常識とはちがうことは言いづらい状況にあります。また学校教育の影響もあって言語をつかってかんがえる習慣を身につけている人が多いです。それに対して竹村さんはあきらかにフィールドワーカーです。あちこちにでかけていっていろいろなアイデアをおもいつく。たのしいことです。その根底にはマチュア精神があるのではないでしょうか。アマチュア精神は是非大切にしたいものです。

▼ 関連記事
歴史の流れを地形でとらえる 〜『地形から読み解く日本の歴史』〜
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鎌倉から日本国をとらえなおす - 竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』(3)-
現場をあるいて地形を観察する - 竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける(文明・文化篇)』-
五感をはたらかせて文明の下部構造をとらえる -『本質を見抜く力 - 環境・食料・エネルギー -』-
現場のデータから仮説をたてる - 竹村公太郎さんらの方法 -


竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』をたよりに、奈良・京都・鎌倉・江戸の地形と地理を見ることによってそれらの空間から日本史の大局をとらえなおすことができます。

たとえば、源頼朝は鎌倉にとじこもって幕府をひらき、鎌倉と京都、武士と天皇という「権力と権威の分離」を実行しました。権力も権威も掌握しようとした平家とはちがいます。徳川家康もこの基本原理をつかって国家統治をしました。そしてこの原理は今日の日本国にまでひきつがれていきます。

日本列島では、鎌倉を原点にして武士団が次第に膨張していきました。そして戦国時代に突入、徳川家康によって領土国家・日本国が完成されました。「家康は事実上の最後の征夷大将軍」ということも理解できます。鎌倉からの過程に、空間的に国家が大きくなっていくダイナミクスを見ることができます。

この間、「権力と権威の分離」という基本原理はずっとはたらいていました。このように、現代の日本国にまでつづく「権力と権威の分離」という原理あるいは文化は鎌倉でデザインされたものであり、現代の日本国は鎌倉からはじまった、日本国は鎌倉の路線上にあるととらえなおすことができるのです。明治維新からではなくて。 現代の日本の体制の原点を鎌倉に見てみようというわけです。このようなことを意識しながら鎌倉をあるいてみるととてもおもしろいとおもいます。

空間(地形や地図や写真や絵)をつかって情報処理をすすめることのおもしろさは理屈ではなくて瞬時に大局がとらえれれる点にあります。最近では、Googleマップや Google Earth をつかってこれが簡単にできます。これは従来のいわゆる考えるという行為とはちょっとちがうかもしません。空間をつかって自然にわきあがってくるアイデアを大切にしたいものです。
 
そして大局がとらえられたら、つぎには自分の興味のある部分にはいりこみ、今度はこまかく見ていけばよいのです。



▼ 引用文献
竹村公太郎著『日本史の謎は「地形」で解ける』(Kindle版)、PHP研究所、2013年10月1日
日本史の謎は「地形」で解ける (PHP文庫)

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インドの仏たちをみながら、仏教史を概観することができます。
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たとえば旅行や現地調査や現地活動など何らかの行動をしようとおもったとき、地球上のどこかの地域、自分が問題意識をもっている地域に具体的に入っていくことになります。地球全体から見るとその地域とは地球上のある部分ということになります(図1)。
150509 地球と地域
図1 地球と地域のモデル


今では、"Google Earth" をつかえば地球も地域も具体的に画像で見ることができます。便利な時代になりました。

ここで地球と地域は大局と局所の関係になっています(図2)。

150509b 地球と地域
図2 大局と局所


大局を見ようとおもったら、以前でしたら、標高の高い場所にいったり飛行機にのったりして眼下をみわたすことをしましたが、現代では、"Google Earth" やその他のウェブサイトをつかって大局を見ることがでできます。

つまり局所(ある場所)に入る前に大局を見ることが簡単にできるようになり、あらかじめ大局をみてから行動するということが誰にでもでき、そうした方が道にまようこともなく効果が大きくなるのです。行動するということは局所に入りこんでいくということです。

このように行動とは、大局を見て局所にきりこんでいくことであるととらえなおすことができ、現代では、「"Google Earth" → 行動」というやり方でそれを具体的に実践することができます。


▼ 関連記事
Google Earth をつかって空からまなぶ -『Google Earth で地理学習』-
 
問題解決は3段階ですすめる - 大観 → 現地活動 → 考察 -
現場のニーズにもとづいて現地活動をすすめる
大局をみて局所にきりこむ - "Google Earth" → 行動 -
行動により局所をせめて問題を解決する - 1. 大観 →2. 行動 → 3. 考察 -
問題解決の各段階の内部で情報処理をくりかえす


『Google Earth で地理学習』はバーチャル地球儀「Google Earth」をたのしむための本です。

Google Earth をつかえば地球上のあらゆる場所の衛星写真を見ることができます。マウスをドラッグすれば、地球上のどんな地点へでもあっというまに移動できます。自分が行ったことのある場所、行ったことがない場所も鳥になったような気持ちでながめることができます。山や谷に行けばその起伏を立体的に見ることもできます。

今では、ダウンロードをしなくても Google Map からワンクリックで Google Earth に入ることができ、だれでも簡単に操作することができます。

目 次
第1章 Google Earth をつかってみよう
第2章 町をながめる
第3章 日本を知る
第4章 世界を旅する
第5章 地球を考える
第6章 資料編

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Google Earth をつかえば世界中の衛星写真をまるで地球儀をまわしているかのように閲覧することができます。リアルな 3D の建物や航空写真、起伏のある地形もぜひ見てください。ヘリコプターがなくてもヘリコプタービューを体験することができます。都市や名所・各地のお店やサービスを検索することもできます。

まずは、自分の家をさがしてみる、その周辺をながめてみる、そして日本列島をながめてみます。

仏教の歴史をたどる」(80ページ)では、歴史的な出来事を地理的空間的にとらえなおすことができます。歴史的な出来事を言葉ではなく場所と衛星画像で整理しおぼえることができます。やってみると実におもしろいです。これは、「空からまなぶ歴史」とでもよべるあたらしい学習法をきりひらきます。

空からまなべるのは歴史だけではありません。地域の国のこと世界のこと、どれもが「空からまなべる」時代になったのです。

日本の世界遺産」(84ページ)や「いってみたい世界遺産」(114ページ)、「世界一周にでかけよう」(124ページ)を利用して世界一周の仮想旅行を体験してみてください。横浜を出港して世界の各都市をまわる豪華客船のルートがでています。

Google Earth は地球や地域の大局をつかむための手段であり大観の技術を提供します。そしてつぎには気に入った場所、ここぞという地点に実際に行ってみます。全体をみて部分に入る、大局をつかんで局所に切りこむことをおすすめします。



▼ 引用文献
塩飽晴海著『Google Earth で地理学習 ぼくらの町を衛星写真でのぞいてみよう』理論社、2007年3月
Google Earthで地理学習―ぼくらの町を衛星写真でのぞいてみよう

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Googleマップと Google Earth を活用して心のなかに地図をつくる
大局をみて、局所をほりさげ、イメージをふくらませる
鳥瞰映像と実体験をくみあわせて理解をふかめる 〜後藤和久著『Google Earth でみる地球の歴史』〜
Googleマップの「マイマップ」 をつかって体験記憶を想起する
ニュージーランドを記憶の場にする 〜 DVD『トラベラーズ イングリッシュ5 ニュージーランド南島編』〜
飛行ルートから絶景を一望する 〜 杉江弘著『高度1万メートルからの地球絶景』〜
スカイツリーにのぼって首都を大観する
日本の原風景をみる - 青柳健二『行ってみたい日本人の知恵の風景74選』-
Googleマップを活用して情報をファイルし検索する


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写真1 月から見た 地球の出

東京・水道橋駅前、東京ドームシティにある 宇宙ミュージアム TeNQ(注1, 2)に行ってきました。宇宙を疑似体験し宇宙を身近に感じることができました。

entrance
図1 フロアーマップ


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写真2 入り口

「シアター宙(そら)」では超高解像度の巨大な動画が足下にひろがり、月着陸船にのって月面を離陸していく疑似体験をすることができました。(残念ながら写真撮影は禁止でした(注3)。)


サイエンスの部屋では太陽系に関する展示・解説がとくに充実していました(写真3,4,5)。小惑星探査機「 はやぶさ」による小惑星「イトカワ」探査の成果も展示してありました。東京大学総合研究博物館の分室がおかれていて「太陽系博物学」の研究最前線を知ることができました。

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写真3 サイエンスの部屋

IMG_1489 のコピー
写真4 火星の地表にたったような気分になれる

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写真5 火星の隕石


イマジネーションの部屋では、巨大スクリーンにうつしだされた「地球の出」(動画)が印象的でした(写真1)。


企画展示室では、火星ほどの大きさの天体ティアが原始地球に衝突して月ができる様子を動画で見ることができました。これは「ジャイアントインパクト説」(衝突起源説)といい、地球の衛星である月がどのように形成されたかを説明するもっとも有力な仮説です。

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写真6 ジャイアントインパクト


以上のように、この宇宙ミュージアムは気軽に宇宙をたのしめる博物館でした。宇宙から地球を見る、宇宙の視点で地球をとらえなおすことには非常に大きな意義があります。わたしたち人類は現代になって地球を大観できるようになったのです。大観とは、部分(局所)を集積して全体に到達することでもなければ、対象を要約して理解することでもありません。地球全体をまるごと一気に見る(まるごと情報をインプットする)ことです。

このような宇宙からの視点を人類がもったことは人類史上にのこる非常に大きな転換点であったといえます。一般の人々が宇宙に行けるようになるのはもうしばらく先になるそうですので、この宇宙ミュージアムをまずは利用してみるのがよいでしょう。


▼ 注1
宇宙ミュージアム TeNQ
入場は日時指定制です。休日などは混雑しますのでインターネットでチケットを事前に購入してでかけた方がよいです。

▼ 注2:TeNQ とは
TeN とは「天」「展」「点」をあらわし、Q は、「Quest(探究・冒険の旅)」「Question(問い)」「心がキューッ」「キュリオシティ(Curiosity/好奇心)」「究める」「球」をあらわしています。

▼ 注3
サイエンス・イマジネーション・企画展示室・つながる場所の各部屋はフラッシュをつかわなければ写真撮影ができます。

▼ 関連記事
宇宙開発により歴史が転換する -「宇宙博2014」-
地球ディスプレイ "Geo-Cosmos" で地球の全体像をつかむ - 日本科学未来館 -
地球儀を発想の出発点としてつかう

▼ 追記
大観という方法は、人がおこなう情報処理でいうインプットの重要な方法であり、また問題解決の第一段階目の方法でもあります。



『世界遺産で見る仏教入門』は、世界遺産をたどりながら仏教伝来の足跡について知ることができる本です。地図と写真が豊富で仏教の旅ガイドとしてつかえます。どこを旅行しようかとかんがえながら見ると理解がとてもふかまります。

つぎの世界遺産について紹介しており、仏教関連の世界遺産はほとんど網羅しています。

第1章 原始仏教
 仏陀の生誕地ルンビニー(ネパール)
 インドの世界遺産 
 ・ブッダガヤの大菩提寺
 ・サーンチーの仏教建造物群
 ・アジャンター石窟群
 ・エローラ石窟群
 ・エレファンタ石窟群
 ・カジュラーホの建造物群
 パキスタンの世界遺産
 ・タフティ・バヒーの仏教遺跡群とサライ・バロールの近隣都市遺跡群
 ・タキシラ

第2章 南伝仏教
 タイの世界遺産
 ・古代都市スコタイと周辺の古代都市群
 ・古都アユタヤ
 スリランカの世界遺産
 ・古都シギリヤ
 ・聖地アヌラーダプラ
 ・ダンブッラの黄金寺院
 ・古都ポロンナルワ
 ・聖地キャンディ
 アンコール(カンボジア)
 ボロブドゥール寺院遺跡群(インドネシア)

第3章 北伝仏教
 バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群(アフガニスタン)
 中国の世界遺産
 ・莫高窟
 ・雲崗石窟
 ・龍門石窟
 ・峨眉山と楽山大仏
 ・大足石刻
 ネパールの世界遺産
 ・サガルマータ国立公園
 ・カトマンズの谷
 ラサのポタラ宮歴史地区(チベット)
 オルホン渓谷文化的景観(モンゴル)
 石窟庵と仏国寺(韓国)

第4章 日本の仏教
 古都奈良の文化財
 ・元興寺
 ・薬師寺
 ・唐招提寺
 ・興福寺
 古都京都の文化財
 ・比叡山延暦寺
 ・清水寺
 紀伊山地の霊場と参詣道

第5章 民衆の仏教
 平泉 ― 仏国土(浄土)を表す建築・庭園および考古学的遺跡群
 古都京都の文化財
 ・西本願寺
 ・天龍寺
 ・龍安寺
 紀伊山地の霊場と参詣道
 富士山 ― 信仰の対象と芸術の源泉
 日光の社寺

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上記の世界遺産には仏教伝播の足跡がきざまれていますので、これらをたどれば仏教の伝播と仏教史の大局について理解することができます。それぞれの世界遺産の名称と位置を確認し記憶しておくとよいでしょう。仏教の伝播については地図上の矢印でわかりやすくしめされています。

仏教の原点は仏陀の生誕地ルンビニー(ネパール)です。ここを原点にしてアジアの地理的空間をとらえるとよいです。これから仏教の旅をはじめるのでしたらネパールのルンビニーにまず行き、そこから旅をスタートさせることをおすすめします。ルンビニーは、仏教に関する認識あるいは思考の出発点にしてもよいです。原点を決めておくと、あとで道にまようことがあっても原点にもどってかんがえなおす、あるいはやりなおせばよいということになります。


第1章ではネパール・インド・パキスタンの世界遺産を紹介しています。仏陀はルンビニーで生まれ、ブッダガヤで悟りをひらきました。最初の仏教は仏陀の教えでした。しかしその後、仏像の制作や石窟の開削がはじまりました。

東南アジアでは上座部仏教がおもに採用されました。上座部とは、戒律を厳格にまもることをとなえた保守派のことで、戒律の緩和をとなえた大衆部に対し、上座(長老層)が多かったことからその名がつけられました。

一方、中国では大乗仏教が採用されました。そしてその大乗仏教が中国から日本へつたえられました。


世界遺産は情報量が多くかつ情報が正確であり、またアクセスも一般には容易であるため旅の候補地にしやすいです。仏教の旅をするのでしたら本書をまずみて行き先を決め、つぎにその地域のくわしいガイドを見るようにするとよいでしょう。旅をしている自分を想像しながら見ていると認識はよりふかまってきておもしろいです。

なお本書は、東京国立博物館で開催されている特別展「インドの仏」とあわせてみると効果が倍増します。



▼ 引用文献
島田裕巳監修『世界遺産で見る仏教入門』世界文化社、2014年6月5日
世界遺産で見る仏教入門

▼ 関連記事
3D ルンビニ - ブッダの生誕地 -
3D ネパール国立博物館(1)「仏教美術ギャラリー」

1枚のイメージで物語をあらわす - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(6)「ムーガパッカ本生」-
物語とイメージと場所をむすびつける - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(7)「四相図」-

東京国立博物館の特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」(会期:2015年5月17日まで、注1)は仏教史を俯瞰できるまたとない機会でした。

わたしは会場の展示を見たあと、地図そして年表をみて理解をふかめました。ここには理解をふかめる3つの場面がありました。

展示 → 地図 → 年表

第1の場面では、各作品(展示物)をよく見るとともに、展示室(展示空間)全体にも意識をはらい大局をとらえるようにしました。これは展示を大観したといってもよいです。

インド仏教美術をみる - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(1) - >>
展示室に意識をくばって仏教史の大きな流れをつかむ - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(2) - >>


第2の場面では、南アジアの地図をつかって出土地や遺跡の空間分布をとらえました。地図がおもしろいのは、歴史的段階や時間軸にはかかわりなく、情報を一望して並列的にとらえられるところにあります。

各作品が出土した場所を地図でみる - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(3) - >>


そして第3の場面では、年表をつかって情報を歴史的な一本の流れのなかでとらえました。時間軸をつかうと情報を一本に統合することができます。物語とはこうしてあらわれてくるのだとおもいます。


つまり、第1場面では展示を大観し、第2場面では情報を並列的にとらえ、第3場面では情報を統合したというわけです。

大観 → 並列 → 統合

こららの3場面は、人がおこなう情報処理のひとつのモデルとしてつかえます。つまり、「大観→並列→統合」は「インプット→プロセシング→アウトプット」にそれぞれ対応させることができます。

インプット→プロセシング→アウトプット

インプットでは周囲を大観し、要素だけにこだわるのではなくその空間全体をまるごとインプットするようにします。プロセシングでは情報を並列的に処理します。アウトプットでは情報を統合してメッセージを相手につたえるようにします。

理解をふかめるということは現代の情報化の観点からみると、このような情報処理をすることであるととらえなおすことができるでしょう。
 

▼ 注1
東京国立博物館・特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」

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時間と空間を往復する - 物語から場所へ、場所から物語へ -

世界遺産で仏教伝来の足跡をたどる -『世界遺産で見る仏教入門』-
ブッダの生涯と時代的背景を理解する - 中村元著『ブッダ入門』-
都市国家の時代の末期を検証する - 中村元著『古代インド』-
伝記と歴史書をあわせて読む - 釈迦の生涯と生きた時代 -


国立科学博物館の特別展「大アマゾン展」ではアマゾン川流域地域の多様性を見ることができます。アマゾンの多様性は、アマゾン川の豊富な水、赤道直下の高温多湿などの環境とそこでくらすさまざまな生物とによって形成されました。アマゾン川流域には、約6万種の植物、100万種以上の昆虫、約1800種の鳥類、約3000種の魚類、約420種の哺乳類が棲息しています。せっかくの機会ですのでアマゾンの多様性について展示室ごとにいくつかメモをしておきます。

第2室 哺乳類
アマゾンで多様化した哺乳類としては霊長類(サル類)と齧歯目(げっしもく/ネズミ類)がいます。
 
霊長類:ゴールデンライオンタマリン、エンペラータマリン、ヨザル、フサオマキザル、シロガオサキ、マンクサキ、ダスキーティティ、クロホエザル、フンボルトウーリーモンキー、ケナガクモザル。

齧歯目:デグー、チンチラ、ビスカーチャ、パカラナ、ローランドパカ、アグーチ、パンパステンジクネズミ、マーラ、カピバラ。

その他の哺乳類:アリクイ、ナマケモノ、アルマジロ、ジャガー、ピューマ、オオカミ、クマ、スカンク、イタチなど。


第3室 鳥類
アマゾンのインコ類はとくに多様化がいちじるしく、30属150種にもなります。そのなかで体がもっとも大きく尾のながいものがコンゴウインコとよばれます。アマゾン川流域が発祥の地とされ、アマゾンを象徴する鳥です。

南米の鳥たちは収斂進化の実例の宝庫になっています。収斂進化とは、祖先はちがっても、生態系のなかでおなじような生活をする生物が似た形態を進化させることです。


第4室 爬虫類・両生類
アマゾンの爬虫類はヘビ・トカゲ・ワニ・カメです。オオアナコンダは、南米パラグアイより北部に分布する超大型のヘビです。

アマゾンの両生類のカエルは小型のものが多いです。ヤドクガエル類は、非常に色彩がゆたかなカエルであり、樹上性あるいは地上性です。皮膚に猛毒をもっているため素手でさわってはいけません。現地人は、矢じりにつける毒をこのカエルからえています。


第5室 昆虫
モルフォチョウは、中南米に特有の華麗なチョウとしてふるくから注目されています。ヘラクレスオオカブトムシは、世界最大の甲虫として有名であり、アマゾン地域にはエクアトリアヌスという亜種が分布しています。タイタンオオウスバカミキリは世界最大のカミキリムシで、体長は16cmに達することもあります。


第7室 アマゾンカワイルカ
イルカは普通は海に棲息しますが、大河に棲息するものもいて「カワイルカ」とよばれます。全身は白色ないしあかるい灰色、ほそくてながいクチバシがあり、相対的に大きくて可動域の大きい胸びれなどの特徴をもっています。


第8室 魚類
ピラクルーは世界最大の淡水魚といわれ、最大4mに達します。1億年前から姿がかわっていないことから「生きた化石」とよばれます。デンキウナギは電気ショックをあたえるおもしろいウナギです。ピラニアとカンディルという危険な魚もいます。ピラニアは肉食性で人間に危害をくわえるものもいます。カンディルには、大きな魚類や哺乳類に穴をあけてその肉をたべる種類と血をすう種類がいます。


第9室 菌類
きのこは生態系における分解者として知られています。スッポンタケ科の一種は世界最小のスッポンタケ類です。ハエをおびきよせるための悪臭をはなちます。


第10室 水草
アマゾンの水草の多くは、アマゾンの特異な水質に適応して生育しています。エイクホルニア・アズレアは、水上にでる葉と水中の葉の形が大きくことなります。水上では空気中から二酸化炭素をとりこみますが、水中では水から直接とりこみます。


第11室 先住民の装飾品
アマゾン流域には多数の先住民が今なおくらしています。文明社会と見接触の民族が今なお67存在するといわれています。彼らは自然とともに生き、自然の恵みを享受しながら自然を利用してきました。


アマゾン川流域は多様性の宝庫であることは間違いありません。是非 保全していきたいものです。


▼ 参考文献
『大アマゾン展』(公式ガイドブック)、発行:TBSテレビ、2015年3月13日

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アマゾンのサルの多様性をみる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(4) -
生態系の階層構造をとらえる -「大アマゾン展」(5) -
人類の本来の生き方を知る - 伊沢紘生著『アマゾン探検記』-
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さまざまな種がすみわけて生態系をつくっている - 伊沢紘生著『新世界ザル アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う』-
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