発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

タグ:取材法

取材をはじめるにあたって問題意識を鮮明にしておくことはとても重要なことです。

そもそも何で取材をするのか、課題や疑問を明確にしてそれらを書きだしてみるとよいです。これは問題提起ともいえます。

問題意識を鮮明にすると新鮮で鋭敏な感受性が高まり、観察眼がするどくなります。努力の焦点がさだまり、集中力も増し、その後の調査がみのってゆきます。そしてどこをどのように調査していけばよいかという取材の方針もあきらかになります。
 
そもそも情報収集ができるのは対象を意識し、対象に対してこちらから意識をくばるからです。対象に意識をはらわなければつまり問題意識がなければ情報がそこにあってもキャッチされることはありません(注)。「心ここに在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食らえどもその味を知らず」(『大学』)ということです。

このように問題意識をあらかじめとぎすましておくことはとても大切なことです。



▼ 注
ここでいう意識とは心といいかえてもよいです。また情報処理の場とよんでもよいです。


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取材活動をすすめるにあたっては、自分の専門外の事柄については、最小限おぼえることによって最大限につかえる骨格となる知識を身につけておくとよいです。

それぞれの専門分野については専門の固有技術がそれぞれにありますので、それをつかって取材あるいはデータの収集をどんどんすすめていけばよいです。

しかしたとえば聞き取り調査(インタビュー)などをするときに、自分の専門外のことが話題になることがよくあります。そのようなときには自分の専門外の知識もある程度はもっていないと相手の言っていることがよくわからないということがおきます。

したがって、自分の専門分野以外の事柄についてもある程度は勉強しておかなければなりません。とは言っても専門外のことを勉強するために長い時間をさくことはできません。そこで最小限おぼえることによって最大限につかえる骨格となるような知識を身につけるようにします

たとえば世の中は、無機界生物界人間界かによって取材や認識の仕方にカラーの相違がみとめられます。この点に注目して、これらの3つの分野についての大まかな知識をもつようにします。これだけでも情報がキャッチしやすくなり取材にあたってはずいぶん役立ちます。

最近は、それぞれの分野の骨格を解説したよくできたビジュアルな書籍がありますのでそれを利用するようにします。また空間記憶法が役立ちます。


▼ 参考文献
川喜田二郎著『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論社、1986年11月20日
KJ法―渾沌をして語らしめる

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問題解決のために必要な方法あるいは情報処理の方法のひとつとして取材法があります。これは、現場で情報を収集し、それを記録していく方法であり、フィールドワークの主要な部分をしめます。

取材法は従来は、新聞記者や野外研究者・野外実践家などがとりくむ方法でしたが、情報化時代をむかえた今日では誰にとっても必要な方法となりました。

この方法は、狭義では情報を取得する方法ですが、広義には取材にくわえてその記録法までをもふくみます。

人がおこなう情報処理の観点から取材法をとらえなおすと、情報収集(情報の取得)はインプット、記録することはアウトプットにあたります(図)。

150714 取材法
図 情報収集はインプット、記録はアウトプット 


情報収集(インプット)は見たり聞いたり味わったりすることであり、自分の感覚器官をすべてはたらかせて情報をうけとることです。

また記録するとはノートにメモをとったり、スマートフォンにボイスメモをふきこんだり、スケッチをしたりすることです。記録をするということは、自分の心のなかに一旦たくわえた情報を言葉や絵にして書きだすことです。このように、記録することはアウトプットすることである点を今回は強調しておきたいとおもいます。なおアウトプットされた記録のことをデータとよぶこともあります。



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木村玲欧著『歴史災害を防災教育に生かす - 1945三河地震 -』は、過去の地震災害を知ってそこから教訓をまなび、くりかえされる自然災害に対応するための心構えや方法を身につけるための解説書です。

第2次世界大戦末期、1945年(昭和20年)1月13日未明に愛知県東部の三河地方でマグニチュード 6.8 の大地震が発生しました。これが「三河地震」です。震源の深さは約 10 km、内陸の浅い活断層に発生した地震でした。これに先立つ37日前、1944年12月7日には昭和の「東南海地震」が発生していて、三河地震は、この地震により誘発された「誘発地震」とみなすこともできるといわれています。

三河地震は、震度7の揺れで2306人もの死者をだしながら、戦時報道管制があったためにほとんど報道されませんでした。

本書ではこの三河地震について、数多くの被災者にインタビューをして被災体験を記録しながら災害の全体像をあきらかにしています。また、地域や学校にそれをどのようにつたえていけばよいか、未来の防災へのいかし方について論じています。

目 次
第1章 三河地震を知る
 1 戦争末期に発生した「隠された地震」
 2 地震の概要
 3 被害の概要
 4 前震避難
 5 本震後の救助救出活動
 6 戦時報道管制下での報道
 7 避難生活
 8 住宅再建
 9 産業への影響

第2章 被災体験を知る
 1 被災体験による「わがこと意識」と
 「具体的に何をすべきかのイメージ」の醸成
 2 被災体験を収集する
 3 被災体験を知る

第3章 被災者の体験を生かす
 1 なぜ「わがこと意識」が必要か
 2 地域の歴史災害の被災体験の使い方
 3 教材を作成する
 4 プログラムを作成する
 5 小学校での実践を通した教育効果測定
 6 その後の展開

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本書の主要な部分は被災体験の非常に貴重な記録になっています。わたしたちはこれらを読むことによって地震災害に対する「わがこと意識」を高めることができます。「わがこと意識」とは、「自分たちに身近なこととして、自分たちに引き付けて考えること」です。

「天災は忘れたころに来る」という寺田寅彦の警句があります。これは、過去の教訓をわすれたときに災害がおこるといういましめです。

歴史災害と被災体験を本書を通して知ることで「わがこと意識」をみずからそだて、教訓をわすれないようにしなければなりません。そのためのすぐれた教材として各方面で本書が役立ちます。


▼ 引用文献
木村玲欧著『歴史災害を防災教育に生かす - 1945三河地震 -』(シリーズ繰り返す自然災害を知る・防ぐ 第7巻)古今書院、2013年3月10日
歴史災害を防災教育に生かす―1945三河地震 (シリーズ繰り返す自然災害を知る・防ぐ)


定額制音楽配信サービス「Apple Music」はストリーミングをつかったサービスですので、Wi-Fi につながっていないときのために、とくに気に入った曲はスマートフォンなどにダウンロードしておくとよいでしょう。

Apple Music は、スマートフォンや Mac/PC が Wi-Fi とつながっているときは問題はありませんが、つながっていないときには、Wi-Fi につながっているときに楽曲をダウンロードしておいてオフラインできくか、データ通信を利用してストリーミングできくという2通りの方法があります。


ダウンロードをする場合は、iOS のときは、「三点リーダー」(・・・)をタップしてオプションを表示させ「オフラインで再生可能にする」を選択します。ダウンロードされオフラインでもきけるようになると iPhone の場合は アルバム・ジャケットあるいは楽曲に iPhone マークがつきます。また「My Music」のアルバム/プレイリストの項目に「オフライン再生可能な項目を表示」が用意されていので、これを有効にすると iPhone 内に保存された曲のみを表示できます。

Mac/PC の iTunes の場合はクラウド・ボタンをクリックします。ダウンロードされるとクラウドマークがきえます。

一般的には、気に入った曲については Wi-Fi につながっているときに iPhone などにダウンロードしておくのがよいでしょう。

* 

一方、モバイル利用時にデータ通信(4G/3G通信)をつかう場合は、キャリア(通信会社)のプランにもよりますが、パケット通信料が圧迫され、データ容量が大きくなると課金されますから注意が必要です。

Apple Music をデータ通信ではつかわない場合は、iPhone の[設定]→[iTunes & App Store]でモバイルデータ通信を OFF にしておきます。この設定は、App の自動ダウンロードにも適応されるので注意してください。


▼ 追記 
アップル上級副社長のエディ=キュー氏は、「Apple Music のビットレートは接続環境(Wi-Fi か 3G/4Gか)によって変わる」と発言しています。Apple Music のビットレートは公式には 256kbps と発表されていますが、3G/4Gをつかってきくときにはもう少し低くなるようです。つまりデータ通信ではやや音質がおちるということです。

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アップルの定額音楽配信サービス「Apple Music」がはじまってまだ2日目ですが、今までとは世界がちがってきました。これは、音楽とのあらたな出会いを提供する仕組みととらえることができます。

注目すべきは「For You」というあたらしいサービスです。これにより、知らなかった楽曲やアーティストを発見しやすくなりました。

わたしたちユーザーが検索して必要な情報をさがしだす仕組みももちろんありますが、For You は、各ユーザーの使用状況にもとづいてユーザーそれぞれに適した情報を Apple Music が提案します。そしてユーザーが Apple Music をつかえばつかうほど For You は充実していきます。

このあたらしいサービスは、不特定多数の人々に物を販売するという従来のビジネスとはあきらかにちがいます。

そしてユーザーは、For You にしろ検索にしろとにかくまず1回きいてみればよいのです。購入ではないのですからどの曲でも自由にきくことができます。その結果、どうってことなければもうきかなければよいし、気にいれば何回もきけばよいということになります。

今までは、iTunes でプレビュー(曲のごく一部)をまずきいてみて購入するかどうか判断し、そして本当に必要だとおもわれるものを購入するという手順でした。そこでは、買ったけれどもどうってことなかったという商品もいくらかありました。しかし、これからはそのようなことはなくなります。未知の領域に安心してはいっていけます

こうして Apple Music はあたらしい音楽ポータルになるのだとかんがえられます。

さまざまな機能を集約・統合して見通しをよくし、直観的に誰もがつかえるようにしたアップルのトータル・デザインもみのがせません。

ユーザーそれぞれのニーズにこたえるこのようなサービスは、たとえば美術作品や電子書籍などについても将来的にはおこなわれるようになるのではないでしょうか(注)。

ユーザーにとっては情報収集の手段がふえるわけで、(自分の心のなかへの)情報のインプットがより効率的・効果的になるとかんがえられます。


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▼ 注
Amazon や楽天などでもこのようなサービスを一部でおこなっていますが、将来的にはもっと大規模におこなわれるようになるとおもわれます。




アップルの定額音楽配信サービス「Apple Music」がスタートしました。これで、ストリーミングとクラウドをつかって膨大な楽曲を手軽にたのしめるようになりました。


Apple Music をつかうためには iOS(iPhone/iPad/iPod)と iTunes(Mac/PC)を最新バージョンにアップデートしなければなりません。Android には現段階では対応していませんが今秋から対応するとのことです(注1)。


つぎに、iOS でしたら「ミュージック」アプリ、Mac あるいは PC でしたら iTunes をたちあげます。初期設定画面がでてきて Apple Music のトライアルメンバーに登録するかどうかきいてきます。

3ヵ月間は無料トライアルで利用できます。3ヵ月たつと自動的に下記の課金がはじまります。利用を継続しない場合は課金前に登録を解除することができます。

 個人メンバーシップ:980円/月
 ファミリーメンバーシップ(最大6人):1480円/月


メンバーシップに登録すると、「お気に入りジャンル」の初期設定画面になります。これはあとで、「アカウント設定」→「好きなアーティストを選択」で変更できますから、ふかくかんがえずにタップ(クリック)して先にすすみます。


あたらしい「ミュージック」アプリあるいは iTunes の画面になり、いくつかのタブがでてきます。

For You」:自分の検索や好みのアーティストを反映した楽曲やアルバムが自動的に表示されます。Apple Music をつかえばつかうほど「For You」の提案がよくなっていくとのことです。

New」:楽曲やアーティストをあらたに自分でみつけることができます。検索をつかっていろいろさがしてみるとよいでしょう。膨大な数の楽曲がでてきます。

あとはタップ(クリック)してきくだけです。これだけたくさんの曲が自由にきけるのというのは正直いっておどろきです。

Radio」:インターネットラジオをジャンル別できけます。BGM にはいいのではないでしょうか。

Connect」:自分がフォローしたアーティストから、日々の活動や新譜、ライブ情報、写真やビデオなどのアップデートがとどく仕組みで、すきなアーティスト専用のソーシャルメディアのような仕組みだそうです。アーティストのページには「Follow」ボタンがあり、これをクリックすると「Connect」に新規投稿が表示されるようになります。


プレイリストや楽曲には、「」ボタンと「ハート」ボタンが用意されていて、「+」ボタンをおすと、プレイリストや楽曲を「My Music」に追加できます。「ハート」ボタンは音楽の好みを Apple Music に記録する役割があります。

My Music の音楽は、オフラインできくためにデバイスにダウンロードすることもできます。インターネットにつながっていない場面でも音楽をたのしめます。iOS の場合は「三点リーダー」をタップしてオプションを表示させ「オフラインで再生可能にする」を選択します(各曲にマークがつきます)。iTunes の場合はクラウド・ボタンをクリックします。


「iTunes Store」はこれまでどおり のこっていて、1曲ごとにあるいはアルバムごとに購入できますが、1曲150円とかアルバム2000円とかで購入することは今後はなくなるのではないでしょうか。ひと月に1枚以上のアルバムを買っていた人にとっては Apple Music の方が割安です。

また「iTunes Match」は一般的には必要ないとおもいます。「使わない」をクリックするとタブそのものが消えます。

 
Apple Music の特色は、ストリーミングサービス音楽ライブラリーのクラウド化です。楽曲を買うという今までの仕組みからは大きく変化することになります。

米国では3700万曲(日本国内向けは数百万曲)ともいわれる膨大な楽曲に自由にアクセスできるようになり、また、自分のライブラリ全体が「iCloudミュージックライブラリ」に自動的にアップロードされ、同一の Apple ID をもつデバイスでいつでもどこでもきけるようになります(注2)。

Apple Music をつかって集約的に手軽に音楽がたのしめるようになったことは、クラウドの時代が本格化してきたことをしめす一例といえるでしょう。今後、クラウドをどうつかいこなし、クラウドとどうつきあっていけばよいのか、よくかんがえて準備をしておかなければならないとおもいます。


▼ 注1
2015年秋には、Android にくわえて Apple TV でも Apple Music がつかえるようになる予定です。

▼ 注2
iOS デバイスで Apple Music を利用するかしないかは「設定」で操作できます。「設定」→「ミュージック」にはいり、「Apple Music を表示」をオン、「iCloudミュージックライブラリ」をオンにすると利用できます。利用しない場合はオフにします。

なお「iCloudミュージックライブラリ」は「iCloud Drive」とは別物でありリンクはしていません。

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本書は、東京都美術館で開催されている「大英博物館展 ─ 100のモノが語る世界の歴史」(注1)の公式カタログです(注2)。展覧会場に展示されている100の作品のそれぞれについて、写真・文・地図をつかって簡潔に解説していてとてもわかりやすいです。年表もでています。

本書をみれば、こらから展覧会にいく人にとっては予習になり、すでにみた人にとっては復習になります。


第1章 創造の芽生え
約250万年前、アフリカの初期の人類が最初の道具をつくったとかんがえられています。 そのご人類はアフリカから世界中に拡散していきました。人類の黎明期、アフリカからの旅立ちをしめす数々の道具が紹介されています。

第2章 都市の誕生
約5000年前になると肥沃な大河流域で農耕定住生活をする人々があらわれました。数百人をこえる集団も出現しました。こうして都市が誕生し、そのいくつかは都市国家になりました。そして都市に人口が集中してきたためにあらたな管理運営方法が必要になり、文字が発明されました。

第3章 古代帝国の出現
都市国家はしだいに膨張し、軍事力にものをいわせて強大な勢力へと拡大する国家があらわれました。帝国の時代の到来です。帝国の支配者は権力を掌握し維持するために戦略をねり、戦争をくりかえすようになりました。このような時代的背景のもので数々の思想家や宗教者が生まれました。

第4章 儀式と信仰
西暦300年頃、世界の宗教地図がかわりはじめました。仏教・ヒンドゥー教・キリスト教などのあたらしい宗教がひろまりはじめました。中東では、何百もの神々を崇拝する土着信仰がすたれ、ゾロアスター教・ユダヤ教・キリスト教・イスラームなどの一神教が到来しました。

第5章 広がる世界
800年頃、中国の唐王朝とイラクのアッバース朝イスラーム帝国という2つの超大国がシルク−ロードでむすばれ、東西の交易がすすみました。一方、インド洋を中心にした海路も発達しました。移動したのは人や物資にとどまらず、宗教や思想も広大な距離を旅しました。

第6章 技術と芸術の革新
900年〜1550年のいわゆる中世とよばれる時代には芸術と科学技術が飛躍的に発展しました。世界各地で、経済から天文学まであらゆる分野が発達しました。一方でうつくしく精巧なモノが数多くつくられました。

第7章 大航海時代と新たな出会い
16世紀になると、ヨーロッパの探検家たちが世界一周に成功しました。これによって、それまでには接触したことのなかった文化同士が出会うことになりました。これらのあらたな遭遇は、よい結果をもたらすこともありましたが、あらたな紛争や戦争に発展することもありました。

第8章 工業化と大量生産が変えた世界
19世紀にはヨーロッパとアメリカで産業革命がおこり、工業と大量生産の時代が到来しました。そしてあたらしい経済・政治大国が登場しました。20世紀には、政治的対立やイデオロギーの衝突も頻発し、紛争と変動の時代になりました。二度の世界大戦も経験しました。人類は、こうした不安を時にモノをつくって表現し、時にモノをつかって対処しようとしています。


100個のモノをならべて、ここまで明快な人類史の物語をあみあげたのは見事です。本展企画者の情報処理能力の高さがうかがわれます。

本書をガイドにして、人類の壮大な歴史の旅を是非たのしんでみてください。


▼ 注1
東京都美術館「大英博物館展 ―100のモノが語る世界の歴史」
東京都美術館の会期は2015年6月28日まで。その後、九州国立博物館(2015年7月14日〜9月6日)、神戸市立博物館(2015年9月20日〜2016年1月11日)に巡回します。

▼ 注2:引用文献
『大英博物館展 - 100のモノが語る世界の歴史』筑摩書房、2015年3月25日
大英博物館展: 100のモノが語る世界の歴史 (単行本)
本書は展覧会場でも買えますが、一般書店でも販売しています。

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数字イメージにむすびつけて100のモノをおぼえる - 大英博物館展 ─ 100のモノが語る世界の歴史(1)-
作品の解説を音声できいて物語を想像する - 大英博物館展 ─ 100のモノが語る世界の歴史(2)-
人類史を概観する - 大英博物館展 ─ 100のモノが語る世界の歴史(3)-
建物の階層構造との類比により世界史をとらえなおす - 大英博物館展 ─ 100のモノが語る世界の歴史(4)-
文明のはじまりをみる -『100のモノが語る世界の歴史〈第1巻〉文明の誕生』/ 大英博物館展(5)-
前近代文明の発達をみる -『100のモノが語る世界の歴史〈第2巻〉帝国の興亡』/ 大英博物館展(6)-
近代化への道のりをみる -『100のモノが語る世界の歴史〈第3巻〉近代への道』/ 大英博物館展(7)-
モノを通して世界史をとらえる - 大英博物館展 ―100のモノが語る世界の歴史(8)-
世界史を概観 → 特定の時期に注目 → 考察  - 大英博物館展 ―100のモノが語る世界の歴史(9)-
文明と高等宗教について知る  - 大英博物館展 ―100のモノが語る世界の歴史(10)-


日本経済新聞によりますと、ブルーレイディスクを不織布ケースにいれて保存しているとディスクの寿命がみじかくなるそうです(注1)。ブルーレイディスクは記録層のカバー層がとてもうすいために不織布の凹凸が転写する危険があり、凹凸や模様がつくとディスクにとって致命傷となるようです。

不織布とは「繊維を織らずに絡み合わせたシート状のもの」で、不織布ケースとはこんなケースです。量販店で普通に売っています。
 
 

ディスクの収納スペースを小さくするために不織布ケースをつかっている方は多いのではないでしょうか。わたしもつかってしまっていました。

不織布ケースはつかえないとするとどうするかというと、プラスチックケースあるいはスピンドルケースをつかいます。できればプラスチックケースがよいそうです。

プラスチックケース

スピンドルケース

大切なデータが気がついてみたら再生できなくなっていたなんてことにならないように、重要なディスクはプラスチックケースかスピンドルケースにすぐにうつしたほうがよいでしょう。

DVD や CD も不織布ケースでの保管はさけ、プラスチックケースをつかったほうがよいとのことです。

DVD・CD 用プラスチックケース 

▼ 注1
(日本経済新聞社のサイトをみるためには会員登録(無料)をする必要がある場合があります)

▼ 注2
いずれのディスクも、高温多湿や直射日光がディスクの寿命をちぢめるので、なるべくすずしいところで保管するのがよいです。

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青柳健二著(写真・文)『行ってみたい日本人の知恵の風景74選』(Kindle版)の 各解説ページについている Google マップのアイコンをクリックすると Google マップにすぐにとぶことができます。そしてスケールをかえて日本列島全体を上図のように表示させることもできます。

この Googleマップはインデックス・マップとしてつまり情報検索用のマップとしてつかえます

前回のブログ記事で、<地名・題・解説とイメージと場所>の情報をひとまとまりにして「位置情報」にしてしまうことをのべました。これを具体的に実践する道具として Googleマップは有用です。

ページをめくりながら風景写真を順番に見るのもよいですが、それとはちがいこの日本列島インデクス・マップから空間的に興味のある風景に入っていくのもおもしろいです。

このやりかたは視覚的空間的な情報検索です。キーワード検索(言語による検索)とはちがう検索方法もあることに注目してください。Google というのは大変おもしろくて、キーワード検索とともにこのような空間的な検索機能も開発しているのです。

視覚的空間的に情報をとらえることは情報処理能力をたかめることにつながります。たとえば記憶法でも、言語でおぼえるよりも視覚的に場所でおぼえたほうがおぼえやすいことがひろく知られています。

このような方法を発展させれば、さまばまな情報のファイリングと検索の道具として日本列島を活用する道がひらけるとおもいます。この方法には大きな可能性があり、Googleマップはそれを実用へとみちびくとおもっています。

 








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日本の原風景をみる - 青柳健二『行ってみたい日本人の知恵の風景74選』-

電子書籍が急速に普及しています。一方で、ドキュメントスキャナーの普及もすすんで紙の書籍のデジタル化(データ化)も簡単にできるようになりました。書籍のデジタル化は時代の潮流になっています。

電子版書籍にきりかえれば、たくさんの本を一度にあつめて保存して利用することが簡単にできます。

たとえば何かの課題が生じた場合、その課題に関する本を5〜10冊あつめます。電子書籍版があれば電子書籍できで購入し、紙の本は ScanSnap でスキャニングしてデジタル化(PDF化)してストレージに入れておきます。

そして1冊1冊をゆっくり読むのではなく、5〜10冊をまずは一気に読んでしまい、その課題に関する情報の全体像をつかんでしまいます。ゆっくり読むよりも一気に読んだほうが全体や構造がよくわかります。

あとは、必要に応じて必要な書籍をとりだして読みなおすようにします。

電子版書籍の利点は、一度よんだ本をいつでもどこでもとりだして読みなおすことができることです

あ! そういえばあの本にこんなことが書いてあった」というように、ふっと記憶がわきあがってくることは誰にでもよくあることです。その瞬間がとても重要です。その瞬間にその思いをとらえ、すぐにその書籍をとりだして確認する。書籍がデジタル化(データ化)してあればそれが簡単にできるのです。

一気に読む。あとは必要なときに読みなおす。電子版書籍は、一気読み読みなおしを容易にします。こうして読書スタイルやワークスタイルは変わっていきます。

このようなことが簡単にできるようになってくると、課題の決め方がとても重要であることがあらためてわかってきます。電子書籍はやみくもにたくさんあつめればよいというものではありません。情報があふれている時代だからこそ、心の底から本当にとりくみたい課題は何なのか、自分自身の課題をしっかり見さだめて情報収集をしたほうがよいでしょう。


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電子書籍で多読する - 和田稔著『本好きのための Amazon Kindle 読書術』-
紙の資料や書籍をデジタル化して活用する

『ScanSnap アイデアノート』は、ドキュメントスキャナー ScanSnap の活用法に関するアイデア集です。全部で77のアイデアが掲載されていますので、自分にとって役立ちそうなやり方をこのなからいくつか選択して実行してみるとよいでしょう。

ドキュメントスキャナーは、1枚1枚 紙をセットしてスキャニングする従来のスキャナーとはちがい、大量の紙を一気に高速でスキャニングすることができるのが特色です。いくつかのメーカーから発売されていますが、実績があり評価が非常にたかい ScanSnap をこれから買う方は選択するのが一番よいでしょう。 

目次
第1章 ビジネスのアイデア
第2章 家庭のアイデア
第3章 自炊のアイデア
第4章 効率化のアイデア


わたしも、大量にあった書籍や資料のほとんどを ScanSnap をつかってデジタル化(PDF化)してしまいました。スキャニングした書籍や資料はすてしまいましたので部屋がとてもひろくなり、書類の山がなくなり仕事や生活の空間が快適になりました

本書で紹介されているように ScanSnap にはいくつかの種類があり、わたしは iX500 をもっています。SV600 はもっていませんので、裁断することできない書類や本などは iPhone で写真をとってデジタル化し保存するようにしています。



書籍や資料をデジタル化(データ化)することの利点は、必要な書籍や書類にすぐにアクセスできるようになることです。いつでもどこでも必要なときに必要な情報をとりだすことができ、情報の活用が以前よりも簡単になります。これによって読書スタイルやワークスタイルはあきらかに変わってきます。

とくに書籍の場合は、一度よんだ本をどこにいてもあとで読みなおせるというのは大きな利点です。情報処理の観点からいうと本を読むということはインプット(自分の意識に情報をとりいれること)にあたります。書籍がデジタル化(データ化)されていると、いつでもどこでもインプットが手軽にできるようになるため、プロセシングとアウトプットに以前よりも労力をそそぐことができるようになります

大型本や写真集などの特殊なものはのぞいて、書籍や資料はデジタル化(データ化)してしまったほうがよいでしょう。


▼ 文献
ScanSnapアンバサダー&デジタイズ研究会著『ScanSnapアイデアノート』(Kindle版)秀和システム 、2015年2月9日
ScanSnapアイデアノート

 

iPhone 6 で撮影した写真集「ワールドギャラリー」が Apple のサイトで公開されました。作品とともに撮り方のヒントもわかりとても参考になります。

スマートフォンでここまで撮れるのかと正直いっておどろかされました。コンパクトデジタルカメラはもはや必要ないでしょう。



なおカメラに関して、iPhone 6 と iPhone 6 Plus とのちがいは光学式手ぶれ補正の機能がついているかどうかです。自動手ぶれ補正はどちらにもついています。光学式手ぶれ補正は iPhone 6 にはついていませんが iPhone 6 Plus にはついていますので、写真をたくさん撮る方は iPhone 6 Plus を買った方がよいでしょう。


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「日本語の作文技術」は、人がおこなう情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)におけるアウトプットのもっとも基本的な技術のひとつです(下図)。

151206 作文
図 作文技術はアウトプットの技術である


「日本語の作文技術」の基本的原則は「修飾の順序」と「読点のうちかた」です。

修飾の順序
  • 長い修飾語ほど先に
  • 句を先に

読点のうちかた
  • 長い修飾語:長い修飾語が二つ以上あるときその境界にうつ
  • 逆順:語順が原則の逆になったときにうつ


読む側にとってわかりやすい文章を書くためにそして達意の文章を書くために、これらの基本原則についてまずは練習してみるのがよいでしょう。
 


 

これまでに本ブログで書いてきた本多勝一さんの「日本語の作文技術」に関する記事を初級編・中級編・上級編に整理して、以下にまとめてリンクをはっておきます。


■ 初級編
日本語を書いてアウトプットする
「修飾の順序」と「読点のうちかた」の原則をまずは習得する - 『実戦・日本語の作文技術』-
まずは自由にたくさん書いてみる -『実戦・日本語の作文技術』-
わかりやすい日本語を書く - 『日本語の作文技術』-


■ 中級編
わかりやすい日本語を書くために -『日本語の作文技術』-
読点を完璧につかいこなす(前著の応用・実戦編) -『実戦・日本語の作文技術』-
かかる言葉と受ける言葉はできるだけ直結する(直結の原則)-『日本語の作文技術』第二章 -
語順の原則(修飾の順序)にしたがってわかりやすい文章を書く-『日本語の作文技術』第三章-
読点をつかいこなす - 『日本語の作文技術』第四章 -
漢字とカナを併用して視覚的にわかりやすくする -『日本語の作文技術』第五章 -
助詞をつかいこなす(1) - 題目を表す係助詞」(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(2) - 対照の係助詞」(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(3) - マデマデニ(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(4) - 接続助詞の「」(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(5) - 並列の助詞(『日本語の作文技術』)-


■ 上級編
情報のひとまとまりを段落にする -『日本語の作文技術』第七章 -
無神経な文章は書かない -『日本語の作文技術』第八章 -
リズムのよい文章を書く -『日本語の作文技術』第九章 -
取材をして文章を書く -『日本語の作文技術』第一〇章 -
取材し、メモし、原稿を書いて情報処理を実践する -『日本語の作文技術』〈付録〉-
わかりやすい説明文を書く -『実践・日本語の作文技術』-


初級編・中級編・上級編はわたしが分類したものです。参考にしてください。



▼ 文献
『本多勝一集 第19巻 日本語の作文技術』は『日本語の作文技術』と『実践・日本語の作文技術』ほかを収録しています。『実践・日本語の作文技術』を解体して関係各章に分配し、全体を再統一しています。


▼ 追記
2015年12月に、『〈新版〉日本語の作文技術』が刊行されました。文字が大きくなり読みやすくなりました。
ただし新版(2015年12月)では、旧版(1982年)の第10章「作文『技術』の次に」と付録「メモから原稿まで」は削除されていますので注意してください。これらに興味のある方は旧版をご覧ください。
・第10章「作文『技術』の次に」
 1 書き出しをどうするか
 2 具体的なことを
 3 原稿の長さと密度
 4 取材の態度と確認
・付録「メモから原稿まで」



▼ 関連記事
日本語の作文法(日本語の原則)

三上章著 『象は鼻が長い - 日本文法入門 -』をよむ
日本語法を理解する - 三上章『続・現代語法序説 - 主語廃止論 -』-
「は」と「が」をつかいわける - 川本茂雄『ことばとこころ』-
記号とルール - 川本茂雄『ことばとイメージ』-

日本語の作文技術(作文法) 関連記事


▼ わかりやすい日本語を書く(練習)
わかりやすい日本語を書く(練習1) - 本多勝一著『日本語の作文技術』-
わかりやすい日本語を書く(練習2) - 本多勝一著『日本語の作文技術』-
わかりやすい日本語を書く(練習3) - 本多勝一著『日本語の作文技術』-
わかりやすい日本語を書く(練習4) - 日本語の作文技術 -
わかりやすい日本語を書く(練習4の修正例) - 日本語の作文技術 -
わかりやすい日本語を書く(練習4の修正例) - 日本語の作文技術 -
わかりやすい日本語を書く(練習5)- 日本語の作文技術 -
わかりやすい日本語を書く(練習6)
わかりやすい日本語を書く(練習7)
わかりやすい日本語を書く(練習8)
わかりやすい日本語を書く(練習9)
わかりやすい日本語を書く(練習10)


▼ 類比法をつかった作文技法
類比法をつかった作文技法(1)- ウメサオタダオ展「はっけんカード」から -
類比法をつかった作文技法(2)-「NHKラジオ英会話, 2018」おたよりコーナーから -
類比法をつかった作文技法(3)- 内容をふかめる -
類比法をつかった作文技法(4)-「NHKラジオ英会話, 2019」おたよりコーナーから -
類比法をつかった作文技法(5)-「NHKラジオ英会話, 2020」おたよりコーナーから -
類比法をつかって段落をつくる - 日本語の作文技術 -



本多勝一著『実践・日本語の作文技術』の付録ではわかりやすい説明文の書き方について解説しています。ルポルタージュについておもにかたっていますが、説明文を書くときの参考になりますので以下に要約しておきます。

ルポルタージュができるまでには(1)企画、(2)取材、(3)構成、(4)執筆・発表 のプロセスがあります。

企画・取材では、それまでのたくさんな報道で欠けているものは何か。それをさぐるようにします。そして一つの世界にはいりこんで内側から一つの世界を見ていきます。

現場では底辺をくわしく取材すると結果を間違いません。間接情報をつかっていると判断をあやまります。「××村の太郎さん」というように個体識別をして具体的な事実をあつめるようにします。

こうして抽象的なものより具体的なものを書くようにします。

たとえばうつくしい風景があったとして、「きれいだ」といくら書いても相手にはつたわりません。うつくしいと風景が感じさせた材料をそのまま書かなければなりません。

いくつもの事実があきらかになった場合、たとえばABCDEという5つの事実があるとすると、5つのなかでもっともおもしろい事実(たとえばD)をくわしく具体的にせまくふかく書くようにします。のこった4つについてはDを補強する形でつかいます。全体で100の説明をするとしたら、その内容の80は一つのことだけを書く。のこりの20で4つのものをかるく書きます。

書き出しについては、もっとも関心の度合いの強い部分にいきなり最初からはいってしまうのがよいです。

どんなものを書くにも立場があります。立場のない立場というものはありえません。

くわしくもっと説明したいということが生じたら本文とは独立に最後に注をつけるとよいです。こうすれば本文の流れを変えないですみます。

表現というものは相手あっての表現だということをわすれてはなりません。


本書ではふれられていませんが情報処理の観点からみると取材とは見たり聞いたりすることであり、インプットにあたたります。作文は書きだすことであり、アウトプットにあたります(図1)。

150302 取材と作文
 図1 取材はインプット、作文はアウトプット



▼ 文献
本多勝一著『実戦・日本語の作文技術』朝日新聞社、1994年
実戦・日本語の作文技術 (朝日文庫)


▼ 関連記事
わかりやすい日本語を書く - 本多勝一著『日本語の作文技術』-
わかりやすい日本語を書くために 〜 本多勝一著『日本語の作文技術』〜

本多勝一著『日本語の作文技術』をつかいこなす - まとめ -


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往時の姿に復元された東京駅丸の内駅舎

東京駅開業百年記念企画展「東京駅100年の記憶」を見ました(会場:東京ステーションギャラリー、会期:2015年3月1日まで)。

2014年12月、東京駅は開業100周年をむかえました。本展は、1世紀にわたる東京駅の歴史に光をあて、その文化的な意義を再検証しようという企画です。


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ドームの内部


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創建当時の煉瓦の壁


東京駅が開業した1914年、その50年後の1964年、そして2014年の3つの時代を、東京駅を中心とする丸の内地区のジオラマでたどり、あわせて、かつて丸の内に建っていた近代建築に関する資料などを見ることができました。


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東京駅が開業した1914年の丸の内地区のジオラマ


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1964年の丸の内地区のジオラマ


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2014年の丸の内地区のジオラマ


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現在の東京駅の地下構造の模型


東京駅の歴史の概要は以下のとおりです。

1908 中央停車場(のちの東京駅)の基礎工事開始
1914 東京駅が開業
1915 東京ステーションホテルが開業
1923 関東大震災が発生したが東京駅はほとんど無傷
1929 八重洲口を開設
1945 空襲で駅舎が炎上
1947 丸の内駅舎(3階建て)を2階建てとして再建
1949 共同企業体「日本国有鉄道」が発足 
1964 東海道新幹線が開業
1965 みどりの窓口を設置
1972 総武快速線の東京地下駅が開業
1983 北口新自由通路が全面使用開始
1987 日本国有鉄道が民営化
1988 東京ステーションギャラリーが開館
1991 東北・上越新幹線が東京駅まで延伸
1995 中央線重層化新ホームを使用開始
1997 長野新幹線が開業
2003 丸の内駅舎が国の重要文化財に指定
2012 丸の内駅舎が復元(竣工)
2014 東京駅開業100周年

南北のドームが往時の姿でよみがえり、2階建てだった建物も3階建てにもどされ、欠損していた赤煉瓦も復元されました。現在、丸の内地区では、2017年春の完成をめざして「都市の広場」と交通広場の建設がすすんでいます。


東京ステーションギャラリー企画展「東京駅100年の記憶」 >>


このように、実際の物にむすびつけて歴史を理解し記憶することは、たのしく効率的に認識をふかめる方法としてつかえます。情報を言語としてとらえるだけでなく、実際の物にむすびつけて記憶するのがポイントです。


▼ 参考文献
『徹底解剖!東京駅100年 過去 現在 そして未来へ』(JTBの交通ムック) JTBパブリッシング 、2014年12月10日
本書は、東京駅の歴史などについて徹底的に解説していて、鉄道ファンにとって必読の書となっています。


▼「美の巨匠たち」(TV Tokyo)で「辰野金吾『東京駅』」が放送されます。
2015年2月28日(土)22:00-22:30
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/


▼ 関連記事
空間を大観し、局所をほりさげる - スカイツリーと東京駅 -

150220 360
国立科学博物館「「シアター36○」(リーフレットから引用)


東京・上野の国立科学博物館のなかにある「シアター36○」(シアター・サン・ロク・マル)に行きました。360度全方位の映像につつみこまれるおどろきの異空間を体験することができました。

「シアター36○」とは、直径12.8m(実際の地球の100万分の1の大きさ)のドームの内側がすべてスクリーンになっていて、その中のブリッジにたって、360度全方位にうつしだされる動画をたのしむ世界初のシアターです。

国立科学博物館・日本館地下1階にあり、博物館への入場料金(常設展料金:一般620円)のみで追加料金なしで見ることができます。 整理券などの配布はなく先着順です。



今回わたしが見たプログラムはつぎの2本でした。

(1)マントルと地球の変動 –驚異の地球内部–
(2)海の食物連鎖 –太陽からクロマグロをつなぐエネルギーの流れ–

上映時間はのべ約10分とみじかかったですが貴重な体験をしました。とくに、「マントルと地球の変動  –驚異の地球内部–」は印象にのこりました。内容はつぎのようでした。

  • 地球のなかから地球の表面を見ると大陸が移動しています。
  • 海溝では、「プレート」が、地震をおこしながら地球内部にもぐっています。
  • 地球内部のマントルでは「プルーム」とよばれる動きがあります。
  • アジア大陸の下では「コールドプルーム」がおちてきます。
  • 南太平洋やアフリカ大陸の下では「ホットプルーム」が上昇しています。
  • 「ホットプルーム」にのって上昇していくと、地表でマグマになり火山が噴火します。
  • マントルの動きは、大山脈・大断層・海嶺・海溝などのさまざまな地形を生みだします。

宇宙から見た地球や地球の断面図は書籍などでも見ることができますが、地球のなかから地球を見たのは初めてで、まるで自分が地球になったかのような気分になれました。

このシアターの特色は、認識する対象の中に自分が入ってしまうことにあるでしょう。

人間の目は顔の前面についていて前方しか見えないこともあって、わたしたちは何かを認識する場合、自分はこちら側にいて対象はむこう側にあると普通はおもってしまいます。しかし、このシアターではそうではなくて、認識する空間のなかに入りこみ、自分がその空間の一部になってしまいます。

そして、認識する空間が球形にひろがっているということは、自分の意識の場を球形にひろげるきっかけにすることができます。

何かを大観したり観察するとき(情報をインプットするとき)、このような360度全方位の大きな空間を意識することは重要なことです。そうすれば、より多くの情報をまるごとインプットすることができます。「シアター36○」での体験は、みずからの情報処理の仕方を深化させるために応用できるとおもいます。


▼ 関連記事
スカイツリーにのぼって首都を大観する

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東京スカイツリー

東京スカイツリーに行ってきました。首都・東京を大観(鳥瞰)することができました。展望所は、下の展望デッキ(350メートル)と上の展望回廊(450メートル)の2ヵ所あって、最上階の展望回廊からのながめは特に格別でした。

大観とは、情報処理の観点にたつと、情報をまるごと一気にインプットすることにあたり、これは、インプットのなかでも特に基本的な方法です(図1)。情報をインプットしようとおもったら、まず大観をするのがよいです。

150210 大観
図1 大観して情報をインプットする


わたしは、展望デッキと展望回廊を1周ずつまわって終わりにはせずに何回もぐるぐるまわって、360度の全方位から連続的に風景をながめ、周囲の空間全体をまるごと心のなかにきざみこむようにしました。大観するときには、中心視野だけでなく周辺視野も十分につかって視野全体で見ることが大切です。


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富士山〜新宿方面


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隅田川


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東京湾方面


展望回廊をぐるぐるまわりながら風景を連続的にみていると、空間情報として風景がとらえられ、空間そのものを体験することができます。このときに、東西南北の方位を確認し意識すると、心のなかにひとつの場がひろがりやすくなります

大観とは、全体をまるごとインプットしてしまう方法であり、それは、局所情報を蓄積して時間をかけて全体を知るという方法とはまったくことなります。わたしは今回、記念として写真をとりましたが、写真をとるのが目的ではありません。写真にうつっている範囲は全体のなかの部分であり、写真は、空間からある部分をきりだした断片でしかありません。


そして、帰宅してからは、Googleマップと Google Earth をつかって地名と位置を再確認しました。これで、心のなかに地図をもつことができるようになり、東京の見通しが一気によくなりました。


スカイツリーの展望デッキまでは大人(当日券)2060円です。その上の展望回廊までいくには、展望デッキまでまず行って、そこにあるチケット売り場で展望回廊の当日入場券(大人1030円)をあらためて買って上にのぼります。

スカイツリーに行ったら、是非、遠望デッキあるいは展望回廊をぐるぐるまわって、日本の首都を大観してみてください。


東京スカイツリー >>
展望台チケット >> 


▼ 関連記事
空間を大観し、局所をほりさげる - スカイツリーと東京駅 - 

本多勝一著『日本語の作文技術』の〈付録〉では「メモから原稿まで」と題して、取材とその記録、原稿用紙のつかい方などに関して補足説明をしています。

本多さんは、取材の記録をつけるメモ帳としては大学ノートをつかっているそうです。そして大学ノートから、原稿のために必要な部分をひろいだして整理するときにはカード(京大式カード)をつかっています。

こうした取材とその記録が、原稿の作成すなわち日本語の作文の基礎になります。作文の腕をあげるためには取材とその記録(メモ)の訓練も必要です。

* 

本書ではのべられていませんが、取材をしてメモするという行為は人がおこなう情報処理の過程になっていることを本項では強調しておきたいとおもいます。情報処理とは<インプット→プロセシング→アウトプット>のことです。

まず、外界(環境)に存在するある対象に関心をはらうと、それに関する情報が自分の意識のなかにインプットされます。これが取材するということです。すると、その情報は、自分の意識のなかで処理(記憶や編集や加工など)されます(プロセシング)。そしてその結果をメモ(言葉)としてアウトプットします(書きだします)。以上の情報処理をモデル化すると図1のようになります。

150213 取材とメモ
図1 情報処理の仕組み
 

本多さんの場合は、大学ノートにペンをつかってアウトプットしています。メモすることはアウトプットのひとつの様式であることに注目してください。メモもアウトプットの一種である以上、メモの訓練は日本語の作文の訓練にそのままつながります。作文(原稿を書くこと)もアウトプットの一種です。メモがよくできる人は作文もうまくなります。


本多さんは原稿用紙やペンについても説明していますが、現代では、原稿用紙とペンはパソコンにおきかわりました。原稿用紙とペンがパソコンにおきかわったという点に注意してください。本項での情報処理の観点にたつと、情報処理をおこなうのはあくまでも人であり、パソコンではありません。つまりパソコンの画面をみながらキーボードをうつ作業を、パソコンへのデータの入力としてとらえるのではなく、原稿用紙とペンをつかってするように、自分の内面から情報をアウトプットしているという意識をもってしなければなりません。

メモであれ原稿であれ書くということは、自分自身の心のなかで処理された情報を外界にアウトプットしていることにほかならず、パソコンはそのための単なる道具にすぎません。


このような情報処理の仕組みを理解する、本多さんのつぎの説明も理解できるのではないでしょうか。

いったんメモされたものは調査者の主観の結果であることをのがれられないのです。ということは、どんなに機械的な羅列でも、報告されたものは報告者自身の反映であり、報告者と報告されたものとの関係の告白にほかならない。

つまり、アウトプットされたメモ(言葉)はいかなる場合であっても、自分の意識(内面)を通りぬけて独自に処理された情報であるのであって、主観の結果であることをのがれることはできません。したがって、報告されたもの(アウトプットされたもの)は、自分の心の内面における独自の情報処理を反映したものであり、自分と対象との関係(反応)があらわれた結果にほかなりません(図2)。

150201 取材とメモ
図2 対象、情報処理、メモ


言葉で説明されるとむずかしいかもしれませんが、図2のような仕組みが要するにあるということです。<インプット→プロセシング→アウトプット>は情報の流れをあらわしています。取材の練習をするときにこのモデルが役立つとおもいます。



▼ 文献
本多勝一著『日本語の作文技術』(朝日文庫)1982年1月14日
日本語の作文技術 (朝日文庫)

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助詞をつかいこなす(2) - 対照の係助詞「ハ」(『日本語の作文技術』第六章)-
助詞をつかいこなす(3) - マデとマデニ(『日本語の作文技術』第六章)-
助詞をつかいこなす(4) - 接続助詞の「ガ」(『日本語の作文技術』第六章)-
助詞をつかいこなす(5) - 並列の助詞(日本語の作文技術』第六章)-
情報のひとまとまりを段落にする - 『日本語の作文技術』第七章 -
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本多勝一著『日本語の作文技術』をつかいこなす - まとめ -


本多勝一著『日本語の作文技術』第10章では「作文『技術』の次に」と題して、もう一歩つぎの段階にふみこんで作文の「作法」や取材の方法について解説しています。


1 書き出しをどうするか

序論みたいなものをクドクド書いていてはだめだ。論文であればなるべく早く問題の核心へ、紀行文であればなるべく早く現地へはいる方がよい。

つまり、あらかじめ知っておく必要のある説明文のようなものは必要最小限にとどめ、読者をはやく「舞台」に引きずりこみ、そして終わりまで読んでくれるものを書くということです。


2 具体的なことを

できるだけ読み手にとって身近なこと、できるだけ直接関係のあること、できるだけ具体的なことをとりいれて文章を書くのがよいです。具体的な事実を書くということは大げさな修飾語をやめるということです。

一般の人は身近なことや関係のあること、具体的なことに関心をいだいているので、できるだけ関心のより高いものを作文の材料にすべきです。

そのためには事前によく取材をしておくことが必要です。


3 原稿の長さと密度

10の取材をして1か2の記事を書くというのが取材量と原稿量のおおざっぱな原則です。たとえば原稿用紙3枚を書こうというときには、もし材料をすべてつかって書きつくすなら20枚か30枚書けるだけの材料があるものを書きます。もしそれだけ材料がなければそれだけの取材をしてから書くようにします。


4 取材の態度と確認

取材のときには誠意をもって取材相手に対することが必要です。誠意はまず態度であり、ついで事実をもって証明することです。謙虚になって事実を記述することがもとめられます。

また取材の結果はあらためて確認するようにします。


■ まとめ
  • 前置きは必要最小限にし、はやく本題に入る。
  • 具体的なことを書く。
  • 10の取材をして1か2の記事を書く。
  • 謙虚になって事実を尊重する。



▼ 文献
本多勝一著『日本語の作文技術』(朝日文庫)1982年1月14日
日本語の作文技術 (朝日文庫)

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