発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

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ティラノサウルス(交差法で立体視ができます)

国立科学博物館で開催中の「恐竜博 2016」にいくと、恐竜の進化に関する展示・解説をみながら、想像や推理がどのようにすすめられているかを知ることができます。

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160330a 自然災害
図1 自然環境から人間への作用が自然災害
 
自然災害から防災・減災までの一連の過程を〈インプット→プロセシング→アウトプット〉ととらえなおし、個人や地域の独自の課題のもとで情報処理を具体的にすすめていくことが災害から身をまもることにつながります。

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日本列島でくらしているかぎり大地震はくりかえしやってきます。地震予知はできないので、大地震がいつきてもよいように自宅を補強したり、火災を出さないなどの対策が必要です。海沿いの人は高台への避難訓練をくりかえしおこなうようにします。

これまでに本ブログで記述した地震および地震災害に関する記事の要点をまとめ、またリンクをはりました。地震災害から身をまもるための参考にしてください。

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福島第一原発事故は悲惨な災害を生みだしました。原子力災害から身をまもるために、原子力エネルギーについてただしく理解し、そして原発廃止・新エネルギーへの転換を目指してすすんでいかなければなりません。

2016年3月11日から3月24日までに本ブログで記述した原子力災害に関する記事の要点をまとめ、またリンクをはりました。原子力災害から身をまもるための参考にしてください。

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感覚器官はセンサー、脳はプロセッサーです。情報のインプットと情報のプロセシングの2つの場面があります。

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海洋博公園(正面の島は伊江島)


今回の沖縄旅行では海洋博公園をおもに見ました。
 
海洋博公園
 立体視をして視覚系の情報処理能力を高める - 海洋博公園 熱帯ドリームセンター(2)-
 亜熱帯植物の多様性をみる - 沖縄・海洋博公園 熱帯・亜熱帯都市緑化植物園 -

海洋博公園のかえり道に「やんばる亜熱帯園」と「フルーツらんど」にたちよりました。
 立体視をして眼力をきたえる - やんばる亜熱帯園 -
 立体視をして「心の窓」をひらく - OKINAWA フルーツらんど -

那覇では首里城跡を見ました。
 世界遺産を旅して想像をふくらませる - 沖縄・首里城 -


沖縄・海洋博公園へは、那覇空港でレンタカーをかりるか、あるいは「やんばる急行バス」で行くのが便利です。

海洋博公園は、国営ということもあってか実によくできた公園です。本土とはちがう亜熱帯の世界を十分にたのしむことができます。わたしは今回は時間がなくて2泊しかできませんでしたが、できれば4〜5日は滞在したいところです。
海洋博公園 >>



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海外の異国を一人で旅行することは、自分自身のこれまでの生活をおのずと見なおしとらえなおすことにつながります。
「わたしは、これまでの生活をこのままつづけていてもよいのだろうか?」
日常生活から完全にきりはなされるからこそ、そして孤独であるからこそ人生の根本問題をかんがえることができるわけです。

旅は計画からはじまります。旅の計画ほどたのしいものはありません。計画と準備の段階こそ海外旅行の最高の部分であといってもよいでしょう。

海外旅行でどこかの街あるいは都市を訪問しようとおもったら、Google Earth とストリートビューをつかってバーチャルツアーを先にしてみるとよいです。

そしてもう一つのたのしみはかえってからあとの旅の回想です。つまり旅は、計画、行動(旅そのもの)、回想の3回たのしめるわけです(図)。


150831 超旅行法
図 旅行の3段階



航空券の購入からチェックイン(搭乗手続き)、出入国手続きなどがスムーズにいけば、あとは空の旅をたのしむだけです。

機内は音楽を集中してきくのに最高の場所になっています。以前は、ポータブル CD プレイヤーをもっていきましたが、今では、iPhone などのスマートフォンや iPod などがあるので便利です。ノイズキャンセリング・イヤホン(注1)もっていくとよいです。

海外旅行を快適なものとするコツはあまり移動しないことです。なるべく一ヵ所にしばらく滞在できればとてもゆたかな気分になれますし、体験もふかまります。

海外旅行では、英語によるコミュニケーション能力が重要です。単語をならべるだけでもかなりのコミュニケーションができます。

美術館や博物館をめぐることは海外旅行の大きなたのしみのひとつです。体験をふかめ思い出をつくるためには、ガイドブックで全体をまず概観してから、気に入った作品をえらびだし、それらをじっくり鑑賞するようにするとよいです。

一人でもさまになるレストランのさがし方は一人旅におけるきわめて重要なノウハウです。ヨーロッパ旅行では最大のノウハウであるといってもよいくらいです。

海外旅行でもっとも頻繁におこるトラブルは盗難です。いかにも「初めての海外旅行者」といったスタイルはとくにねらわれやすいです。世界でも例外的に治安がよい環境にすんでいる日本人は、世界全体の安全水準をみあやまっている場合が多いので注意が必要です。

パスポート・現金・クレジットカード・航空券などの貴重品はつねに身につけておきます


現地に行かなければできないことはあきらかです。本場の料理を味わう。美術館や博物館にいく。コンサートをたのしむ。買い物をする。写真をとる。ドライブをする。南半球で星空を見る・・・。あらたな発見があり、やっぱり来てよかったとおもえるはずです。


▼ 関連記事
異国に行って日常を見なおす - 野口悠紀雄著『「超」旅行法』(1)-
旅先で体験をふかめる -『「超」旅行法 』(2)-
空の旅をたのしむ - 『「超」旅行法 』(3)-
レストランで一人で食事をたのしむ -『「超」旅行法 』(4)-
ガイドブックで概観してから、気に入った作品をじっくり鑑賞する - 海外の美術館・博物館めぐり /『「超」旅行法 』(5)-
単語をならべるだけでもかなりのコミュニケーションができる -『「超」旅行法』(6)- 
海外旅行のトラブルに対処する -『「超」旅行法』(7)-
Google Earth とストリートビューをつかってバーチャルツアーをする -『「超」旅行法(8)』-
 
▼ 引用文献
野口悠紀雄著『「超」旅行法』新潮社、1999年11月25日
Amazon:「超」旅行法 
楽天:【中古】 「超」旅行法 /野口悠紀雄(著者) 【中古】afb 

▼ 注1
ノイズキャンセリング・イヤホンをつかって難聴を予防する

 



取材法は情報処理の方法のひとつであり、現場を認識するために役立つ方法です。ある課題をめぐって大局をみたあとに取材法をつかって局所をつかむと、課題に関する本質にアプローチできます。

人がおこなう情報処理の観点から取材法とらえなおすと、情報収集はインプット、記録することはアウトプットにあたります。
150714 取材法
図1 取材法は情報処理の方法のひとつである  
 

■ 問題意識をもって情報処理をすすめる
取材をはじめるにあたって問題意識をあらかじめ鮮明にしておくことはとても重要なことです。

そして取材のかたよりをふせぐためには、関連分野ごとに汎用性のあるキーワードを記憶しておくとよいです。それぞれの分野ごとにそういったものがすでにできているとおもいます。自分の専門外の事柄については、最小限おぼえることによって最大限につかえる骨格となる知識を身につけておきます。


■ 泥くさく現場にくいこむ
取材活動をすすめるにあたっては、どこをどうほっつきあるけばよいか、どのように取材ネットをうてばよいかが問題になります。そのための原則として「探検の5原則」があります。
 
(1)360度の視角から
(2)飛び石伝いに
(3)ハプニングを逸せず
(4)何だか気にかかることを
(5)定性的にとらえよ

取材先に行ったらいきなり取材をしようとするのではなく、現地あるいは現場をブラブラとまずはぶらついてみます。

取材では、課題をめぐり泥くさくくいこみ、個別的に些細な事実を多角的にあつめていくのがよいです。いいかえると概論的理解にはしらないということです。聞き取りをこなう場合には相手に自由にかたってもらうことが一番大切です。

現地のニーズ調査をおこなう場合は、定性的な通常の取材活動をおこなってから、そのあとで必要に応じて質問紙法(アンケート調査)を実施するようにします。


■ その時その場をとらえる
観察したり聞き取ったり体験したことはその時その場でかならずメモをとるようにします。その時その場の記録の基本は「点メモ」とします。点メモとはごく簡単なメモであり、たった一字でも単語でも点々たる書き連ねでもよいです。記号化しても略号をつかってもよいです。

個体や個人を識別し、物事に名前をつけ記録することは観察をするどくする第一歩です。

また取材法は、取材のために特別に時間をとらなくても、毎日の生活や仕事のなかで実践することができます。


■ ブログをつかってアウトプットする
取材の結果を本格的にアウトプットするためにはブログあるいはフェイスブックを利用するとよいです。これによりデータ(情報)の永年保存ができ、またメッセージを他人につたえたり、情報の共有ができるようになります。

ブログをつかって記録していくとデータバンクが自動的に形成されてとても便利です。

データバンクのなかの記事を活用するために、得点主義にたった「多段ピックアップ」法をつかうと価値の高いデータ(情報)を迅速にひろいだすことができます。


■ 問題解決の第2段階目で実践する
取材法は情報処理の方法のひとつであり、これは問題解決の第2段階目でつかうとよいです。

問題解決では、まず第1に課題に関する全体像をつかんで、そのつぎに(第2段階目で)局所に切りこんでいきます。全体あるいは大局を見ないで、いきなり局所に入りこむと迷路にはまりこむ結果となります。まず大局をつかみ、つぎに局所をおさえてこそ問題解決はすすむのであり、そうすることによって課題をめぐる本質にもせまることができます。

150505 大局局所本質
図2 問題解決の3段階 



▼ 参考文献
川喜田二郎著『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論社、1986年11月20日
KJ法―渾沌をして語らしめる 


▼ 関連記事
情報収集をし、記録する - 取材法(1)- 
最小限おぼえることによって最大限につかえる骨格となる知識をあらかじめ身につけておく - 取材法(2)-
取材のまえに問題意識を鮮明にしておく - 取材法(3)-

現場をぶらついて原体験をつくる - 取材法(4)-
「探検の5原則」にしたがって取材をすすめる - 取材法(5)-
取材活動をしてからそのあとで質問紙法による調査をする  - 取材法(6)-
汎用性のあるキーワードをおぼえておく - 取材法(7)-
取材では、泥くさく個別からくいこむ - 取材法(8)-
聞き取り調査では相手に自由にかたってもらう - 取材法(9)-

個体識別をし、名前とともに記録する - 取材法(10)-
その時その場で点メモをつける - 取材法(11)-
点メモをもとにしてまとめの記録をつくる - 取材法(12)-
毎日の生活や仕事の場で取材する - 取材法(13)-

取材の結果をブログにアウトプットする - 取材法(14)-
ブログは自動的にデータバンクになる - 取材法(15)-
得点主義にたって記事をピックアップする - 取材法(16)-
取材法は、問題解決の第2段階目でつかう - 取材法(17)- 

取材法をつかって現場をとらえる - 取材法のまとめ -


伊沢紘生著『新世界ザル アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う』は、さまざまな種がすみわけることによって、多様性にみちあふれる生態系が維持されまた発達していくことをおしえてくれる本です。

著者の伊沢紘生さんはアマゾン川流域で以下のようなたくさんの種類のサルをしらべ、それぞれの種の固有な「生きざま」をあきらかにしました。

ホエザル
フサオマキザル
クモザル
ウーリーモンキー
ピグミーマーモセット
ゲルディモンキー
サキ
ウアカリ
セマダラタマリン
ヨザル
ダスキーティティ 


■ 種の多様性が増大する
アマゾンのこれらのサルたちは、それぞれの種に固有な生きざまをどのようにして獲得するにいたったのでしょうか?

アマゾンのサルたちは、その生きざまにおいて多様性をもっているという事実が観察されました。

ながい時間幅でみれば、動物のどの系統をとってみても、種の数が増加して、種の多様性が増大していったというのが生物進化の実態であり、アマゾンのサルたちもこのような進化の過程で多様化していったとかんがえられます。


■ 多様なサルたちがすみわけて共存している
それでは、なぜ、アマゾンというひとつの地域のなかで、これだけ多様なサルたちが共存できているのでしょうか?

現地調査によって、それぞれの種ごとに生きざまを異にして共存していることが観察されました。つまり、さまざまなサルたちは見事に「すみわけ」ていたのです。たとえば森の上部層と下部層とですみわけていました。果実をおもに食べるサルと葉をおもに食べるサルと昆虫をたべるサルといった「食いわけ」によるすみわけも観察されました。

このようにすみわけによってさまざまな種が共存し、一方で、すみわけを通してあたらしい種が誕生するというのが生態系の維持と発達の仕組みでした。このようにして多様性にみちあふれたアマゾンの生態系がなりたっていたのです。


■ 生態系は共存原理でなりたっている
生きざまを変更し、生活空間やもとめる生活資源を分割してすみわけをおこなうところには共存原理がみとめられます。サル類にかぎらず熱帯雨林に生息するいかなる動物もこのようにして生きているそうです。

これは、一方が勝利して生きのこり、一方は負けて滅びるという競争原理ではありません。熱帯雨林の生態系には競争原理は存在しません。


■ 局所と大局とをくみあわせて体系を認識する
このようなことは、アマゾンに生息するさまざまな種類のサルたちをすべてしらべて、その生きざまとともに空間的な分布やひろがりを研究し、そしてそれらを相互に比較したからこそ認識できたことです。

これがもし、一つの種だけを専門的に調査していたらこのようなことはわからなかったでしょう。たとえばホエザルだけを専門的に研究する、ワニだけを集中的に研究する、カブトムシだけを局所的に研究する、動物の細胞だけを実験的に研究するといった分析的研究では、生態系という大局の認識はできないわけです。

つまり個々の種をとらえる部分的な見方と生態系という全体的な見方の両者が必要です。

これからのグローバルな時代は、局所と大局とをくみあわせることによって、全体の体系(システム)を認識する方法が重要になってくるとおもいます。そのような意味でも伊沢さんの研究方法は非常に参考になります。



▼ 引用文献
伊沢紘生著『新世界ザル(上)アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う』東京大学出版会、2014年11月25日
新世界ザル 上: アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う

伊沢紘生著『新世界ザル(下)アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う』東京大学出版会、2014年11月25日
新世界ザル 下: アマゾンの熱帯雨林に野生の生きざまを追う 
※「新世界ザルのすみわけと進化」については下巻の最終章でくわしくのべられています。


▼ 関連記事
アマゾンの多様性を大観する - 国立科学博物館「大アマゾン展」(1) -
アマゾンを歴史的時間的にとらえる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(2) -
アマゾンの多様性をメモする - 国立科学博物館「大アマゾン展」(3) -
アマゾンのサルの多様性をみる - 国立科学博物館「大アマゾン展」(4) -
生態系の階層構造をとらえる -「大アマゾン展」(5) -
人類の本来の生き方を知る - 伊沢紘生著『アマゾン探検記』-
アマゾンの生態系に共存原理をみる - 伊沢紘生著『アマゾン動物記』-
自然環境と共生して生きている人々がいる - アマゾン展 -


 

インドの仏たちをみながら、仏教史を概観することができます。
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「日本語の作文技術」は、人がおこなう情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)におけるアウトプットのもっとも基本的な技術のひとつです(下図)。

151206 作文
図 作文技術はアウトプットの技術である


「日本語の作文技術」の基本的原則は「修飾の順序」と「読点のうちかた」です。

修飾の順序
  • 長い修飾語ほど先に
  • 句を先に

読点のうちかた
  • 長い修飾語:長い修飾語が二つ以上あるときその境界にうつ
  • 逆順:語順が原則の逆になったときにうつ


読む側にとってわかりやすい文章を書くためにそして達意の文章を書くために、これらの基本原則についてまずは練習してみるのがよいでしょう。
 


 

これまでに本ブログで書いてきた本多勝一さんの「日本語の作文技術」に関する記事を初級編・中級編・上級編に整理して、以下にまとめてリンクをはっておきます。


■ 初級編
日本語を書いてアウトプットする
「修飾の順序」と「読点のうちかた」の原則をまずは習得する - 『実戦・日本語の作文技術』-
まずは自由にたくさん書いてみる -『実戦・日本語の作文技術』-
わかりやすい日本語を書く - 『日本語の作文技術』-


■ 中級編
わかりやすい日本語を書くために -『日本語の作文技術』-
読点を完璧につかいこなす(前著の応用・実戦編) -『実戦・日本語の作文技術』-
かかる言葉と受ける言葉はできるだけ直結する(直結の原則)-『日本語の作文技術』第二章 -
語順の原則(修飾の順序)にしたがってわかりやすい文章を書く-『日本語の作文技術』第三章-
読点をつかいこなす - 『日本語の作文技術』第四章 -
漢字とカナを併用して視覚的にわかりやすくする -『日本語の作文技術』第五章 -
助詞をつかいこなす(1) - 題目を表す係助詞」(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(2) - 対照の係助詞」(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(3) - マデマデニ(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(4) - 接続助詞の「」(『日本語の作文技術』)-
助詞をつかいこなす(5) - 並列の助詞(『日本語の作文技術』)-


■ 上級編
情報のひとまとまりを段落にする -『日本語の作文技術』第七章 -
無神経な文章は書かない -『日本語の作文技術』第八章 -
リズムのよい文章を書く -『日本語の作文技術』第九章 -
取材をして文章を書く -『日本語の作文技術』第一〇章 -
取材し、メモし、原稿を書いて情報処理を実践する -『日本語の作文技術』〈付録〉-
わかりやすい説明文を書く -『実践・日本語の作文技術』-


初級編・中級編・上級編はわたしが分類したものです。参考にしてください。



▼ 文献
『本多勝一集 第19巻 日本語の作文技術』は『日本語の作文技術』と『実践・日本語の作文技術』ほかを収録しています。『実践・日本語の作文技術』を解体して関係各章に分配し、全体を再統一しています。


▼ 追記
2015年12月に、『〈新版〉日本語の作文技術』が刊行されました。文字が大きくなり読みやすくなりました。
ただし新版(2015年12月)では、旧版(1982年)の第10章「作文『技術』の次に」と付録「メモから原稿まで」は削除されていますので注意してください。これらに興味のある方は旧版をご覧ください。
・第10章「作文『技術』の次に」
 1 書き出しをどうするか
 2 具体的なことを
 3 原稿の長さと密度
 4 取材の態度と確認
・付録「メモから原稿まで」



▼ 関連記事
日本語の作文法(日本語の原則)

三上章著 『象は鼻が長い - 日本文法入門 -』をよむ
日本語法を理解する - 三上章『続・現代語法序説 - 主語廃止論 -』-
「は」と「が」をつかいわける - 川本茂雄『ことばとこころ』-
記号とルール - 川本茂雄『ことばとイメージ』-

日本語の作文技術(作文法) 関連記事


▼ わかりやすい日本語を書く(練習)
わかりやすい日本語を書く(練習1) - 本多勝一著『日本語の作文技術』-
わかりやすい日本語を書く(練習2) - 本多勝一著『日本語の作文技術』-
わかりやすい日本語を書く(練習3) - 本多勝一著『日本語の作文技術』-
わかりやすい日本語を書く(練習4) - 日本語の作文技術 -
わかりやすい日本語を書く(練習4の修正例) - 日本語の作文技術 -
わかりやすい日本語を書く(練習4の修正例) - 日本語の作文技術 -
わかりやすい日本語を書く(練習5)- 日本語の作文技術 -
わかりやすい日本語を書く(練習6)
わかりやすい日本語を書く(練習7)
わかりやすい日本語を書く(練習8)
わかりやすい日本語を書く(練習9)
わかりやすい日本語を書く(練習10)


▼ 類比法をつかった作文技法
類比法をつかった作文技法(1)- ウメサオタダオ展「はっけんカード」から -
類比法をつかった作文技法(2)-「NHKラジオ英会話, 2018」おたよりコーナーから -
類比法をつかった作文技法(3)- 内容をふかめる -
類比法をつかった作文技法(4)-「NHKラジオ英会話, 2019」おたよりコーナーから -
類比法をつかった作文技法(5)-「NHKラジオ英会話, 2020」おたよりコーナーから -
類比法をつかって段落をつくる - 日本語の作文技術 -



梅棹忠夫著『知的生産の技術』の「おわりに」で、梅棹さんはつぎのようにのべています。

このシステムは、ただし、まったくの未完成のシステムである。社会的・文化的条件は、これからまだ、めまぐるしくかわるだろう。それに応じて、知的生産技術のシステムも、おおきくかわるにちがいない。ただ、その場合にも、ここに提示したようなかんがえかたと方法なら、じゅうぶん適応が可能だとおもうが、どうだろうか。

本書のかんがえ方と方法で適応が可能だとおもいます。

人類は、1990年代に情報化を本格化させました。情報革命は今後ともすすみ、情報産業社会はおおきく発展するでしょう。

しかし、本書を通してあきらかにされた「知的生産」のかんがえ方については今後とも変わらず、この原理は普遍的なものとして時代を超越していくとかんがえられます。たしかに、つかう道具はあたらしいものに変わりますが、ここにしめされた原理をつかっていれば、あたらしい時代にも適応ができるとおもいます。

本書が発行された1960年代といえば、まだ、工業化のまっただなかにあり、情報産業社会の到来、高度情報化についてはほとんどの人は意識していなかったとおもいます。しかし梅棹さんは、知的生産の研究開発を通して、その原理に気がつきました。今日からみれば、情報化のパイオニアであったとかんがえられます。


梅棹さんは、本書において、みずからの研究開発の過程を、その第一歩からくわしく書いて、そのなかで知的生産の原理についてかたっています。意識して筋道を書いて、技術の発展史とともにその原理をかたっているのです。本書が47年間も読みつがれ、ロングセラーになっている理由がここにあるのだとおもいます。

これがもし、研究開発の結果や最新の成果だけを書いたとすると、それは、2〜3年たつとふるくなって役にたたなくなってしまいます。

梅棹さんの書き方は、文章の書き方のひとつのモデルとしてつかえます。つまり、研究開発の過程も書いてよいのです。むしろ、そのようなみずからの実体験を具体的にしめして、自分があるいてきたその道のりを通して、原理や本質をかたった方が、メッセージはつたわりやすいのだとかんがえられます。

データと原理を教科書的にのべるのではなく、物語としてかたります。すると、それからどうなったのか、誰もが知りたくなります。その先の進歩については、今日のわたしたちが知っているとおりです。そして、物語は、さらに未来にむかってつづいていきます。

このような意味で、『知的生産の技術』は、情報化の最初の一歩の物語でもあったのです。情報産業社会は今後とも大きく発展するでしょうが、本書は、知的生産あるいは情報処理に関する古典として、後世まで読みつがれていくことでしょう。


▼ 関連記事
iPhone を「発見の手帳」としてつかう - 『知的生産の技術』をとらえなおす(1)- 
ノート、カードから iPhone & Mac へ - 『知的生産の技術』をとらえなおす(2)-
カードを操作するようにファイルを操作する - 『知的生産の技術』をとらえなおす(3)-
ScanSnap をつかって紙の資料をファイルにする - 『知的生産の技術』をとらえなおす(4)-
階層構造になったファイリング・システムをつくる - 『知的生産の技術』をとらえなおす(5)-
3段階をふんで読む - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす(6)-
日本語を書く - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす(7)-
情報交換、日記、記録、個人文書館 - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす(8)-
「こざね法」でかんがえをまとめる - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす(9)-
ファイルをつくる → ファイルを結合する → 文章化 - 『知的生産の技術』をとらえなおす(10)-
「知的生産の技術」も情報処理になっている
体験情報の処理をすすめよう 〜梅棹忠夫著『情報の文明学』〜
イメージ能力と言語能力とを統合して情報を処理する 〜 梅棹忠夫著『ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫、世界のあるきかた』〜
旅行とともに知的生産の技術を実践する - 梅棹忠夫著『知の技術』-




181112 KJ法マトリックス



今回は、『発想法』(中公新書)のなかの中核部分である第 III 章「発想をうながすKJ法」(65〜114ページ)についてまとめをしたいとおもいます。わたしは、「発想をうながすKJ法」をつぎの3つの場面にわけました。
 

第1場面:ラベルづくり(ラベル法)
 (1-1)取材をする
 (1-2)情報を選択する
 (1-3)単文につづる

・紙きれや紙片や付箋などを総称して「ラベル」とよびます。
・インプット&プロセシングとして、内部探検(ブレーンストーミング)をおこなってもよいです。内部探検ではすでに(過去に)インプットされた情報をつかいます。

第2場面
(その1):グループ編成(編成法)
 (2-1-1)ラベルをよむ
 (2-1-2)ラベルをあつめる
 (2-1-3)表札をつくる

(その2):図解化(図解法)
 (2-2-1)表札をよむ
 (2-2-2)空間配置をする
 (2-2-3)図解をつくる

第3場面:文章化(作文法)
 (3-1)図解をみる
 (3-2)構想をねる
 (3-3)文章をかく


これは、文章を書くための過程・方法になっています。

基本的に人間は、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)をする存在であり、仕事をするということは情報処理をするということです。「発想をうながすKJ法」をつかうとつかわないとにかかわらず、情報処理は誰もがごく普通におこなっていることです。「KJ法」にかぎらず、速読法も記憶法も心象法も作文法もすべて情報処理をしていることにほかなりません。

情報処理を意識しておこない、よくできたアウトプットをだす(文章を書く)ように日々こころがけているとあらたな発想も生まれやすくなります。そのために「KJ法」も有用であるというわけです。

情報処理は、 インプットだけでは意味がなく、 アウトプット(文章化)をしてこそ意味があります。アウトプットまでかならずやらなければなりません。現代では、ツイッターやフェイスブックやブログといった便利なツールがありますので、これらを積極的につかっていくのもよいでしょう。

ツイッターに要点を「単文につづる」ことは、「発想をうながすKJ法」でいう第1場面「ラベルづくり」の実践にほかなりません。どんどん書きだしていくのがよいでしょう。
 

▼ 関連ブログ
・ラベル法
 文章化の方法 -「発想をうながすKJ法」の解説(その3)-

・累積法
 情報処理の1サイクルを累積する -「発想をうながすKJ法」の解説(その4)-


文献:川喜田二郎著『発想法』(中公新書)1967年
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