千葉市、幕張メッセ・国際展示場で開催されている「宇宙博2014」を見ました(会期:2014年9月23日まで)。宇宙開発の技術博覧会であり、人類の宇宙開発の歴史を模型(一部実物)を通して知ることができした。
会場は、「人類の冒険」「NASA」「JAXA・日本の宇宙開発」「火星探査」「未来の宇宙開発」などのエリアにわかれ、約9千平方メートルの広大なフロアに約500点が展示されていて迫力がありました。
人類の宇宙開発の歴史の概要はつぎのとおりです。
1957年 世界初の人工衛星・スプートニク1号うちあげ(旧ソ連)
1959年 ルナ2号、初の月面到達(旧ソ連)
1961年 ガガーリンがボストーク1号で大気圏外へ(旧ソ連)
1969年 アポロ11号が月面着陸。アームストロング船長が初の月面第一歩(米国)
1976年 火星探査機バイキングが火星到着(1975年うちあげ、米国)
1977年 探査機ボイジャー1号、2号うちあげ(米国)
1981年 スペースシャトル・コロンビア初うちあげ(米国)
1998年 国際宇宙ステーション建設開始(2011年完成)
2005年 はやぶさがイトカワ到着(2003年うちあげ、2010年帰還、日本)
2012年 火星探査機キュリオシティが火星到着(2011年うちあげ、米国)
2012年 ボイジャー1号が太陽系を脱出(米国)
宇宙開発のなかで最大の偉業は1969年7月20日人類の月到達です。月着陸船は、重量を軽くし、安全性を高めるために何度も改良されました。最初の課題は、コックピットの窓と座席の重量でした。最終的には宇宙飛行士は立ったまま飛行し、小さな三角形の窓で視界を確保することにしました。また、月着陸船をささえる脚の数にも変更がかさねられました。3本がもっとも軽い形状ですが、1本が破損すると安定性がうしなわれ、5本だと安定しますが重量が大きくなります。結局、4本で決着しました。
■ 歴史的転換をもたらす
人類による宇宙開発の歴史は人類が宇宙へと活動領域をひろげていく過程であり、人類が活動空間を大きくひろげて宇宙へ進出したことは、人類の歴史的な転換となりました。
一方で人類は、地球も、宇宙のなかの天体のひとつにすぎないことを認識し、地球は小さな存在になりました。地球が小さくなることによってグローバル化(全球化)がもたらされました。宇宙開発の歴史は、グローバル化の歴史でもあったのです。
会場には、月から見た地球の写真も展示されていました。この情景に、人類の歴史的な転換が圧縮されています。人類は、月に到着したことによりひとつの「分水嶺」をこえたのです。
■ イメージ体験をする
宇宙にでて、みずからの空間を一気にひろげて、一瞬にして全体を見てしまい、対象を小さくしてしまう。技術革新は人の世界観も転換していきます。宇宙博を利用すればこのようなイメージ体験をすることができます。これは、山を一歩一歩のぼっていくような、情報をひとつひとつつみあげて認識していく作業とは根本的にことなる体験です。
なお、スペースショップに行くと公式ガイドブック(2200円)を売っています。はじめに、スペースショップに行って、公式ガイドブックの見本を見て概要をつかんでから各展示を見た方が効率よく理解がすすむとおもいます。
▼ 参考書
立花隆著『宇宙からの帰還』中公文庫、1985年7月1日