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カテゴリ: 情報処理全般

世界遺産の鳥瞰写真をつかってイメージ訓練をすると情報処理がすすむようになります。


『感動の絶景! 空から見た世界遺産』(コスミック出版)は、都市・歴史地区の文化遺産を中心に自然遺産・複合遺産を含めた58の世界遺産を空からのうつしい写真 約 100点で紹介しています。巻末には、日本からのアクセス手段や現地での観光ツアーも掲載していて参考になります。


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本書は、次よのうなイメージ訓練のために最適です。

  1. あまり時間をかけないで本書の鳥瞰写真を最後まで一気に見ます。
  2. いったん目を閉じていま見た写真をおもいだおもいだしてみます。どこまでおもいだせるでしょうか。
  3. おもいだせた写真については気がついたことを言葉にして書きだしてみます。

この一連の流れが、イメージをつかった情報処理の訓練になっています。世界遺産の鳥瞰写真はイメージ訓練のために最適です。

鳥瞰写真を見ることは情報をインプットすることです。おもいだすことはプロセシング、言葉にして書きだすことはアウトプットです。インプットとプロセシングはイメージをつかってすすめ、アウトプットは言葉をつかうというのが基本に推奨できます。イメージをおもいうかべて言葉を書きだすというところがポイントです。そのためにはインプットがそもそもよくできていなければなりません。

世界遺産関連書には、たとえば『世界遺産検定公式テキスト』のような言語をつかった解説書もあります。しかし言語よりも前にイメージをつかった訓練をやった方がよいです。まずイメージでとらえて、その上に言語的解説をのせていく、あるいはイメージに言語をむすびつけて理解し記憶する方が情報処理はすすみます。世界遺産検定を受検するような人は特にこの点に留意しなければなりません。




ここでひとつのアナロジーをだしましょう。たとえばデジタルカメラで写真を撮影して、ストレージにデータをファイルします。デバイスをつかえばいつでもそれらの写真(イメージ)を見ることができます。

ここで問題になるのは、イメージファイルは非常に大きなメモリーを必要とし、そのためデバイスの性能も高くなければならないということです。大きな容量と高性能なCPUが必要だというわけです。

イメージではなくテキスト(言語)だけをとりあつかうのであればそのような必要はありません。




このことと似ていて、人間がおこなう情報処理でもイメージをつかう場合は、大きな意識(心)と高性能な情報処理能力が必要です。イメージは言語にくらべて情報量が圧倒的に多いのです。ここに、イメージ訓練(心象法)やイメージをつかった記憶法にとりくむ大きな意義があります。イメージ・トレーニングを軽視することはできません。

イメージをつかった訓練をくりかえしおこない、イメージをつかった情報処理が自在にできるようになると情報処理は一気にすすみます。大容量のストレージと高性能なCPUを手にいれたようなものです。

以上のことをふまえ、世界遺産の鳥瞰写真をつかったイメージ訓練はとても有効だとかんがえられます。


▼ 引用文献
『感動の絶景! 空から見た世界遺産』コスミック出版、2015年12月10日
感動の絶景! 空から見た世界遺産 (COSMIC MOOK)


インプットばかりしているのではなく、プロセシングとアウトプットの訓練もしなければなりません。


大学入試の大改革がすすめられようとしています(注)。今回の入試改革は明治以来の大改革だそうです。世の中がますますグローバル化していくなか、世界に通用する人材をそだてなければならないという日本国政府の方針が改革の根本にあるとのことです。


'14年12月、中央教育審議会が'20年の入試改革に関する答申を出し、学習指導要領も新しくなる。具体的には'19年度にこれまでのセンター試験が廃止され、「高等学校基礎学力テスト(仮称)」と「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」がその代わりになる。


現在の高校生の受験勉強は、知識の詰め込みが大半で、大学入試でいかにそれを再生できるかが問われている。すなわち、思考力や判断力、表現力などを駆使して、多様な人々と協働する態度など、真の「学力」が育成されたり、評価されたりするような体制にはなっていない。(中略)

センター試験を廃止し、より思考力などを問う共通試験を導入。また、大学が独自に行う個別入試では、受験生の部活動や就業体験、ボランティア活動を含めた多面的な評価を行う。(中略)

入試では小論文や面接、ディベートを実施するほか、高校時代の調査書や、前述のとおりボランティア活動なども加味して評価させる。


つまり、従来型の「知識つめこみ」教育をつづけていても、21世紀のグローバル社会ではやっていけないという判断です。


* 


人間を、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)をする存在としてとらえた場合、「知識つめこみ」というのはインプットばかりやっているということです。

明治維新以来 日本国は、「欧米に追いつき追いこせ」を国是にして一生懸命がんばってきました。そのためには、欧米の知識を日本人にインプットすることがとにかく必要でした。

しかしそのような時代はすでに終わりました。グローバル化の潮流に今では日本もさらされています。

そこでこれからは、思考力、判断力、表現力が必要だということです。情報処理の観点からみると、思考力と判断力はプロセシング能力であり、表現力とはアウトプット能力ということです(下図)。

160309 思考力
図 思考力・判断力はプロセシング能力、表現力はアウトプット能力


中央教育審議会などでは情報処理という用語はつかっていないようですが、インプットだけでは駄目であり、プロセシングとアウトプットの能力をこれからは伸ばしていかなければならないということです。つまり情報処理能力の訓練が必要だということです。

報道などを読んでいると複雑なことがいろいろ書いてあってわかりにくいことがありますが、要するに、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉ということであり、この観点からさまざまな情報をとらえ整理することができます。

このように、時代が大きく転換していることは大学入試改革にもあらわれています。情報処理能力は今後ますます重要になってくるでしょう。


▼ 注

▼ 参考文献



自分にとって居心地のよい場所に身をおくとあらたな情報処理がすすみアイデアが生まれやすくなります。


"Asahi Shinbun Degital &" で「アイデアの生まれるところ」という記事を特集していました。


デザイナーの人たち10数人に、「あなたにとって、アイデアの生まれるところはどこですか?」とインタビューしています。アイデア・着想・ヒント・イメージなどはどこで生まれているのか。一箇所にじっとして仕事をしているのではなく、「アイデアの生まれるところ」をデザイナーたちはそれぞれにもっているようです。


街を歩くのはここ2~3年の習慣で、コレクションに関わることを整理するため。(中略)情報があふれかえっている環境から距離を置き、街を歩きながら思考を巡らす中でアイデアを具現化していくことが多いんです。(木村晶彦さん)

博物館で見聞するものは、服作りのアイデアにつながります。たとえば、葉っぱの形や葉脈の模様はテキスタイルのディテールに。動植物の造形的な部分は、服のフォルムに活かされることもあります。もうひとつ、重要なインスピレーションは色彩。(中略)植物の色や貝の色などの自然の色やグラデーションは美しく、魅力的ですね。(廣川玉枝さん)

僕は自然豊かな岐阜県・高山市で生まれ育ちましたから、幼少期の原風景に似た環境に安堵(あんど)感を抱くのかもしれませんね。自然の中に身を置くことで、都会の喧噪(けんそう)や日々の活動から距離をとって、無心の状態で自分を見つめ直すことができます。(研壁宣男さん)

この場所に自分を置くことで体感できる開放感や感動は、ものづくりの動機や原動力にもなります。東京のギャラリーの中でもこれだけ巨大で、なおかつモダンで何もない空間というのは他にあまりないですよね。独特な抜け感と空気感があって、気持ちさえも解き放してくれる自由な感覚があるけれど、白い壁の存在感にはそれを抑制するような絶妙な緊張感がある。(八木奈央さん、勝井北斗さん)

パリから東京に戻ってきてすぐの頃ふらっと初めて科学博物館に来たとき、ふつふつとインスピレーションがわいてきたんです。自分のなかに蓄積しておけば、半年後か1年後、あるいはもっと何年も経ってから、コレクションのイメージのひとつとして浮上してくるかもしれない。この博物館に限らず、気になった場所には繰り返し行くことが多いんです。(堀内太郎さん)

インターネットの普及によって、“場所”というものが意味を持たなくなっているような気がしますが、人のアイディンティティーとしての場所は絶対に取り替えられない。自分の身体で場から感じる多くのことは、いつもアイデアのヒントになりますね。(堀畑裕之さん、関口真希子さん)


このようにアイデアが生まれる特定の場所がそれぞれにあるようです。人がいればどこでもよいということではありません。

人を、情報処理をする存在としてとらえなおしたとき、情報は環境から人へインプットされ、人から環境へアプトプットされます。つまり情報処理は人間が単独でできるものではなく、人間と環境とがセットになってはじめて可能になります。情報処理は、人間と環境との "共同作業" といってもよいです(下図)。

16227 アイデアの生まれるところ
図 情報処理のモデル

 
したがって場所を変えれば環境が変わり、インプットされる情報(刺激)も変わります。情報処理も普段とはちがったものになり、アウトプットもあたらしいものになります。

そうだとするならば、どのような場所に自分の身をおくかが重要になってきます。つまりは自分自身にとって居心地のよい場所に行けばよいのです。自然の中でも街中でも旅先でも、自分にとって居心地のよい場所は誰にでもあるとおもいます。もしなければこれからさがせばよいではないですか。

そのような居心地のよい場所にはもう一度 行ってみる。滞在してみる。そしてくりかえして何回も行くようにします。自分の生き方や自分の道をもっている人は自分の居場所をかならずもっているものです。居場所のある人は生きていきます。居場所がなくなると生きていくのが困難になります。

このように居場所はとても大事です。居場所を変えてみる。居心地のよい場所に身をおいてみるという方法はとても簡単なことですが、あらたな情報処理をすすめアイデアを生みだすために大きな効果がある方法といえるでしょう。

わたしたち人間が生きている世界あるいは地球を「人間-文化-自然環境」系としてとらえなおすと多様な情報が統一的に整理できます。


世界には、実に多様な情報が大量に分布しています。わたしはこれらを整理するために、人間・文化・自然環境の三者に世界を区分し、下図のように配置しモデル化(図式に)してみました(図1)。これを「人間-文化-自然環境」系とよびます。系とはシステムということです。

160227 文化
図1 「人間-文化-自然環境」系


「人間-文化-自然環境」系において主体となるのはわたしたち人間です。人間の周辺領域には自然環境がひろがっています。そして人間と自然環境との相互作用(やりとり)によって文化が生じるとかんがえるのです(注)。文化とは、生活インフラ・産業・社会制度・学問・芸術・宗教などのすべてをふくみます。

人間と自然環境との相互作用のうち、自然環境から人間への作用はインプット、人間から自然環境への作用はアウトプットとよんでもよいです。




しかしヨーロッパ文明にはこのようなかんがえ方は元々ありませんでした。人間と自然とは別ものであり、人間と自然とは対立し、人間は自然を支配すればよいとかんがえていました。このような概念から文科系と理科系という相ことなる2大分野が生まれました。また文化財はあくまでも人間がつくったものであり、文化財の保護と自然の保護とは別々におこなわれていました。




しかしながら近年では、人間と自然とを分けてかんがえることは現実的でなくなったとかんがえる人々が増えてきました。

たとえば、1972年に、ユネスコ総会で採択された「世界遺産条約」は、文化遺産と自然遺産をひとつの条約のもとで保護しようとしてます。

その後、世界遺産登録の概念は次第に変化し、1992年には、「文化的景観」というあたらしい概念が採択されました。これは、人間が自然とともにつくりあげた景観のことです。

現代では、人間と自然とを峻別するのではなく、人間と自然との交流さらに人間と自然との共生を重視するように変わってきています。ヨーロッパ系の文明人もかなり柔軟になってきました。




図1のモデルによれば、文化とは、人間と自然環境とのいわば "共同作業" の結果であり、人間と自然環境とは文化を介してかかわりあっているということになります。たとえば世界遺産における「複合遺産」などにその典型がみられます。

世界各地に分布する非常に多数の世界遺産について理解したり記憶したりするときにもこのモデルがつかえます。文化遺産と自然遺産とは下図のように位置づけられます。複合遺産はこのモデル全体ということになります。

160227 世界遺産
図2 世界遺産の位置づけ


このように、単純なモデルをつかうことは、世界を構成する多種多量な情報を整理するためにとても役立ちます。モデルをえがくことは情報処理の重要な方法のひとつといえるでしょう。


▼ 注
人間と自然環境との相互作用(やりとり)によって文化が生じるという仮説をたてたということです。

▼ 関連記事
登録基準に注目して世界遺産を理解する

▼ 参考文献
   




現代の自然科学は社会問題と密接にむすびついています。わたしたちは科学者と科学の動向についてつねに注目していかなければなりません。


池内了編著『これだけは読んでおきたい科学の10冊』(岩波ジュニア新書)は自然科学とその社会への影響を知るための読書ガイドです。本書をまず読んでそれぞれの要点をつかんでおくと、以下の「10冊」の本に挑戦しやすくなります。各章の最後には、さらにまなびたい人のために参考文献が紹介されていてとても役立ちます。


目 次
1 ワインバーグ『宇宙創成はじめの三分間』
2 ローズ『原子爆弾の誕生』上・下
3 吉田洋一『零の発見』
4 本川達雄『ゾウの時間ネズミの時間』
5 ローレンツ『ソロモンの指環』
6 カーソン『沈黙の春』
7 ワトソン『二重らせん』
8 モリソンほか『POWERS OF TEN』
9 ガモフ『不思議の国のトムキンス』
10 アインシュタイン、インフェルト『物理学はいかに創られたか』上・下


自然科学というと、最先端の研究に注目するのが一般的であり、名著とか古典といったとらえ方はあまりないですが、これらはいずれも名著あるいは古典といってもよい本です。




自然科学は非常にたくさんの分野が現代ではあってとても複雑そうにみえますが、基本的な方法はみなおなじで、次のようになっています。

  1. 課題を設定する
  2. データをあつめる
  3. 仮説をたてる

160205 科学


そして仮説がただしいかどうかは実験をくりかえすことによって検証します。仮説を支持しないデータがえられた場合は仮説をたてなおします。実験とは科学の基本的な実践形態です。

また研究結果を発表(アウトプット)するときには、データ(事実)と仮説(解釈)とを区別して記述することがルールになっています。




上記の10冊の本のなかでわたしがまず注目したのは『沈黙の春』です。これは、農薬や化学物質による生態系の破壊を告発した最初の本でした。産業界からは大きな反発がおこりましたが、「沈黙の春」は今や現実のものとなっています。環境問題にとりくむ上でさけてはとおれない一冊です。

たとえば北イタリアのセベソは化学工場が爆発してゴーストタウンになりました。インドのボパールでは化学工場の爆発により2500人が死亡、被害者は20万人におよびました。ベトナム戦争では枯葉剤がつかわれ多くの人々がその後遺症で今でもくるしんでいます。

日本でも、水俣病・イタイイタイ病など枚挙にいとまがありません。そして原発事故・放射能汚染です。科学の結果が悪い方向にでたもっともシンボリックな事例が日本において生じてしまったことをわたしたち日本人は再認識しなければなりません。




つぎに『原子爆弾の誕生』です。原爆の誕生から使用までの歴史を多くの資料と、開発に参加した科学者たちへのインタビューをもとにくわしくたどりました。もとの英語の本は900ページにおよび、日本語訳は上・下あわせて1500ページにちかい大著です。純粋に真理探究をしていた物理学者が悪魔へと姿を変えた歴史的事件がここにはきざまれています。科学者はおそろしい時代をつくりだしてしまいました。

現代の科学者は研究をすすめるだけではなく社会的責任をおわなければなりません。一方、一般の人々も科学者の動向につねに注意していなければなりません。物理学や化学だけではありません。現代では生命科学も社会問題と密接にむすびついています。科学のつかい方をあやまるととんでもないことになります。




零の発見』もおもしろいです。現代人にとっては零(ゼロ)があるのはあたりまえであり、零(ゼロ)をみても何もおもわないかもしれませんが、零(ゼロ)が発見されたことによりどれだけ世の中が進歩したことか。

零(ゼロ)は中国にいって「空」(くう)と訳され、日本にもつたわってきました。




本書『これだけは読んでおきたい科学の10冊』を読んでおけば、ニュースや新聞・雑誌などをとおしてつたわってくる科学の最新の動向も理解しやすくなるとおもいます。



▼ 引用文献
池内了編著『これだけは読んでおきたい 科学の10冊』(岩波ジュニア新書)岩波書店、2004年1月20日
これだけは読んでおきたい科学の10冊 (岩波ジュニア新書)



コンピューターの進歩がいちじるしいですが、情報処理はあくまでも人間が主体になってすすめ、コンピューターは道具としてつかっていくのがよいです。


人工知能が、囲碁のプロ棋士に勝利したというニュースが世界をかけめぐりました。


米グーグル傘下の人工知能(AI)開発ベンチャー「ディープマインド」(英国)は、開発した囲碁のコンピューターソフト「アルファ碁」がプロ棋士を相手に勝利を収めたと、英科学誌ネイチャーに27日発表した。プロが公式戦で使うフルサイズの19路盤でハンディなしで勝ったのは世界初としている。

囲碁はその複雑さから、チェスや将棋よりも格段にソフト開発が難しいとされるが、AIの新技術で判断力を大幅に高めた。

対戦相手は2013~15年の欧州チャンピオンで中国出身のファン・フイ氏。アルファ碁は15年10月に5戦し全勝した。(ロイター、2016年 01月 28日、注1)


人工知能といっても要するに高性能なコンピューターのことです。高性能なコンピューターは、チェスや将棋ではプロ棋士にすでに勝利しています。コンピューターの進歩はまさに日進月歩です。




しかしわたしにいわせれば、本当の勝利者は、コンピューターではなくてソフトを開発したプログラマーだったのだとおもいます。プログラマーあるいはコンピューター技術者がコンピューターをつかって、コンピューターをつかわないプロ棋士に勝利したというのが事実でしょう。

このような意味では、コンピューターをつかって大きな成果をつぎつぎにあげている科学者や技術者は現代ではたくさんいます。それらの成果は、科学者・技術者の成果なのか? コンピューターの成果なのか? 一般には、科学者・技術者の成果とみなされます。
 
情報処理をすすめた主体はあくまでも科学者・技術者つまり人間であったのでありコンピューターではありません。コンピューターは道具としてつかっただけで、科学者・技術者ご自身の高度な情報処理能力が成果をあげたのです。




コンピューターは今後とも大きく進歩していくでしょうが、「人工知能」というわかりにくく誤解をまねく表現はやめたほうがよいでしょう。コンピューターといえばすむことです。

そして情報処理は、人間が主体になってすすめていくのあって、コンピューターが中心になってすすめるのではありません。

自然科学的に見ても、人間は情報処理をする存在であるというのがわたしの基本仮説です。コンピューターはよくできた道具として人間がつかっていけばよいのです。情報処理の主体はあくまでも人間であってコンピューターではありません。人間主体の情報処理ということです。
▼ 関連記事



わたしたち人間は生物学的にはホモ・サピエンスとよばれます。わたしたちがわたしたち自身について知ろうとおもったら、ホモ・サピエンスの頭脳や進化についての認識をふかめなければなりません。


『ホモ・サピエンス』(ニュートンプレス)はホモ・サピエンスについてイラストをつかってわかりやすく解説しています。


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ホモ・サピエンスとは、わたしたち人間を生物学的に分類したときの学名です。地球上には、実に多様な民族がくらしていて肌の色が様々だったりしますが、すべての人間は、ホモ・サピエンスというただ一種の動物として分類されます。まずはこの点をしっかり認識しなければなりません。

ホモ(Homo)はラテン語で「人」、サピエンス(sapiens)は「かしこい」という意味であり、ホモ・サピエンスとは「かしこい人」という意味です。

ホモ・サピエンスがはじめて地上にあらわれたのは約20万年前とかんがえられ、起源地はアフリカとする説が有力です。

ホモ・サピエンスは今や世界中に分布をひろげ、宇宙空間にまで居住しようとしています。これほどひろく分布した動物はホモ・サピエンス以外にはありません。


 

この驚異的な発展とひろがりが可能になったのは、ほかの動物とはちがう圧倒的な頭脳をもっていたからです。とくに発達が目立つのは大脳であり、大脳が発達したためにホモ・サピエンスは会話読み書きができ、かんがえることもできるようになりました。

また記憶もできます。本とは何か? 花瓶とは何か? 豚とは? といった記憶を「意味記憶」とよびます。類人猿にも意味記憶はあります。しかしホモ・サピエンスはそれだけではなく、特定の「エピソード」を記憶することができます。たとえば高校の卒業記念パーティー、はじめてバラをおくった女の子、車の運転をおしえてくれた人といった具体的なエピソードを記憶できるのです。さらに過去の記憶を時系列でなべたり、未来を想像したりすることもできます。このような能力は類人猿にはありません。

一方でホモ・サピエンスは模倣もできます。模倣によって、遺伝子にもとづいた自然淘汰から解放されて進化することができました。チンパンジーも行動を模倣することができますが、ホモ・サピエンスの場合はわずか1〜2回見ただけで模倣することができます。ほとんどの動物は進化するのに何百世代もかかりますが、ホモ・サピエンスの場合はわずか1〜2世代であたらしい行動をまなび、進化がひろがっていきます。これが、いわゆる文化や文明の基盤になりました。




それではホモ・サピエンスの脳はどのようにして進化したのでしょうか? 本書では、「脳は、徐々にではなく、突如、爆発的に進化した」という仮説を提示しています。

神経細胞1個1個の構造や性質自体に変化が起きなくても、細胞の数がふえれば、それらをむすぶ「配線」の数が爆発的に増加します。すると脳内のネットワークの状態や性質がガラリと劇的にかわります。

たとえるならば、氷の温度を上げると水になり水蒸気になるとき、H2O(水)の分子の構造や性質自体は変化しなくても、全体の性質はガラリと一変します。こうしたことが脳でもおきたのではないか。こうしてホモ・サピエンスだけが高度な文明社会をきずくことができたのではないか。

ホモ・サピエンスに関する探究は今後ともつづきます。



▼ 引用文献
『ホモ・サピエンス』ニュートンプレス、2015年11月16日
Newton ホモ・サピエンス: 圧倒的なヒトの頭脳。そのしくみは?

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ホモ・サピエンスの能力を、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からとらえなおすことには大きな意義があります。


ニュートン『ホモ・サピエンス』(ニュートンプレス/Kinde版)は、ホモ・サピエンスについてイラストをつかってわかりやすく解説しています(注1)。ホモ・サピエンスとは、わたしたち人間を生物学的に分類したときの学名です。

本書では、ホモ・サピエンスがもつ特徴的な能力として次のものをあげています。

  • 会話する
  • 読む
  • 書く
  • かんがえる
  • エピソードを記憶する
  • 過去の記憶をならべる
  • 想像する
  • 模倣する


これらを、人間がおこなう情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点から整理するとどうなるでしょうか。

「会話する」とは、相手の話を聞くことと自分がしゃべることであり、前者はインプット、後者はアウトプットです。「読む」はインプットです。「書く」はアウトプットです。「かんがえる」「エピソードを記憶する」「過去の記憶をならべる」「想像する」はプロセシングです。「模倣する」とは、他人の動作や行動を見ることと、まねてやってみる、前者はインプット、後者はアウトプットです。

これらを図示すると以下のようになります。

160127 ホモ・サピエンス
図 ホモ・サピエンスの特徴的な能力


このようなことから、ホモ・サピエンスがもつ特徴的な能力とは情報処理能力にほかならず、ホモ・サピエンスは情報処理をする存在であることがあきらかになりました。ホモ・サピエンスを、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉の観点からとらえなおすことにはとても大きな意義があるとおもいます。


▼ 注1:参考文献
『ホモ・サピエンス』ニュートンプレス、2015年11月16日





今日、高性能なコンピューターである人工知能が発達してきました。これからのあたらしい時代は、コンピューターでできることはコンピューターでおこない、たとえば自分らしいアウトプットをするなど、人間にしかできないことは人間がおこなうようになっていきます。
 

松尾豊著『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』(角川EPUB選書)は、人工知能の現況、コンピューターと情報化社会の今後の動向を知るためにとても役立ちます。


目 次
序 章 広がる人工知能 ー 人工知能は人類を滅ぼすか
第1章 人工知能とは何か ー 専門家と世間の認識のズレ
第2章 「推論」と「探索」の時代 ー 第1次 AI ブーム
第3章 「知識」を入れると賢くなる ー 第2次 AI ブーム
第4章 「機械学習」の静かな広がり ー 第3次 AI ブーム1
第5章 静寂を破る「ディープラーニング」 ー 第3次 AI ブーム2
第6章 人工知能は人間を超えるか ー ディープラーニングの先にあるもの
終 章 変わりゆく世界 ー 産業・社会への影響と戦略


人工知能といわれると何だか特殊な機能のように感じられますが要するに高性能なコンピューターのことです。




本書によりますと、現状では、人工知能は、決められた処理を決められたようにおこなうことしかできません。コンピューターは例外によわく汎用性や柔軟性がありません。「人間のように考えるコンピュータ」はできていません。

決められた処理を決められたようにおこなう処理とは、たとえば将棋・クイズ・入学試験・掃除・自動運転などがあります。これらのうち将棋・クイズ・入学試験などではコンピューターが人間の能力をうわまってきています。

たとえば入学試験では定型的な処理を要求されます。このようなことはコンピューターの方が人間よりも得意です。これからの時代は、コンピューターでできることはコンピューターでおこなうようになるでしょうから、現行の入学試験のようなやり方は歴史的にみて過去のものになっていくことはあきらかです。地名や年号を丸暗記していても意味がありません。生徒たちの勉強の仕方や筆記試験・入学試験のやり方は大きな変更を今後せまられてくるでしょう(注1)。




またコンピューターは言葉で書かれた文章の意味を理解したり、あたらしい知識を獲得することはできません(注2)。さらに人間の知能をささえるうえで重要である潜在意識や直観の領域にもコンピューターはアプローチできません。

結局、コンピューターは人間がつかう道具であると割り切った方がよいでしょう。




このようなことをふまえてわたしの展望(予想)をのべると以下のようになります。

コンピューターでできることはコンピューターをつかっておこない、人間にしかできないことは人間がやることになるでしょうから、決まり切った処理、答えが一つに決まるような問題はコンピューターでやり、人間は、コンピューターではできないことを重点的におこなうということになります。

たとえば情報処理をする存在として人間をとらえた場合、自分らしいアウトプットをするということがあります。

自分としては本当は何をまなびたいのかを明確にし、そしてどのように表現したいのか。何をアウトプットしたいのか。自分らしい個性あるアウトプットを想定して、インプットとプロセシングもおこなうようにします。芸術家とよばれる人々のやり方が参考になるでしょう。

コンピューターは、イメージをおもいうかべて言語を書き出すといったこともできません。イメージをつかって情報を検索することもできません。したがってイメージをつかってプロセシングをすすめ、言語をつかって書き出す(アウトプットする)といった方法も人間がおこないます。

またコンピューターは処理速度を速くすることをやたらに強調しますが、人間は、何でもかんでも速くやればいいというのではなくてプロセスをたのしむようにします。目的地につねに速く到達すればよいというのではなく、ゆっくりあるいていくことそれ自体をたのしみます。あるいは目的の達成という生き方から目的体系からの離脱という生き方へ転換します。



▼ 参考文献
松尾豊著『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』(角川EPUB選書)KADOKAWA / 中経出版、2015年3月10日
人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書) 

▼ 注1
現代では、ネットにつながっていない環境で仕事や情報処理をする人はほとんどいません。現行の入学試験のように、ネットにつながっていない完全閉鎖系での筆記試験も過去のものになりつつあります。

▼ 注2
そもそも言葉とは、言葉になる以前の、体験・イメージ・意味・メッセージなどを言葉という記号であらわしたものです。したがって言葉だけを解析していても、体験・イメージ・意味・メッセージなどの情報の本体は決してわかりません。言葉とは表面構造であり、情報の本体につけたいわば「ラベル」にすぎません。ラベルだけをいじくりまわしていても情報処理はできません。

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自分らしいアウトプットをする


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地球環境問題はとても複雑ですが、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉システムのモデルでとらえるとわかりやすいです。


西岡秀三・宮崎忠國・村野健太郎著『地球環境がわかる』(技術評論社)は地球環境問題の一般むけ入門書です。多数のイラストをつかってわかりやすく解説しています。


目 次
第2章 エネルギー・物質の循環
第3章 地球温暖化
第4章 自然環境の改変と汚染
第5章 自然環境と生物多様性
第6章 都市化と環境問題
第7章 環境をよくするためのしくみと行動


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図1 環境問題の構造


本書の12-13ページに「環境問題の構造」という図がでていてこれが本書の全体像をあらわしています(図1)。




わたしはこれをさらに簡略化して下図のようにモデルをえがいてみました(図2)。

160119 環境問題
図2 物質・エネルギーの循環システムのモデル


ある地域においてその中心には人間社会が存在し、人間社会は地域の主体として機能しています。そしてその周辺域には環境が存在します。環境は緑色でしめしました。

地域では、人間社会と環境とを通して物質・エネルギーの流れと循環がたえずおこっています。物質・エネルギーの流れと循環は矢印でしめしました。


 

■ インプット
物質・エネルギーが人間社会に環境から入ってくるのがインプットです。いわゆる自然からの恩恵というものです。

■ プロセシング
人間は自然からの恩恵を利用して、食料を食べ、エネルギーを消費し、さまざまなあたしい物質を生産します。環境から入ってきたエネルギー・物質を処理する過程です。

■ アウトプット
人間社会にとって不要な物質・エネルギーを環境へ排出することです。




環境は自浄作用や調整作用をもっているので、環境へアウトプットされた物質・エネルギーは環境における循環の中に本来ならば吸収されていきます。

しかしながら現代では環境問題が発生しています。環境問題とは、人間活動が拡大し、環境への圧力がとても強力になったためひきおこされたと説明されています。これはつまりアウトプットが巨大化しすぎて、環境の自浄作用や調整作用がおいつかなくなったということです。その結果、次のような自然環境の汚染がすすんでいます。
 
オゾン層破壊、大気汚染、酸性雨、水質汚濁、海洋汚染、土壌汚染、森林破壊、砂漠化など。その他にも、生物多様性の危機、外来種問題、地球温暖化などが生じています。

そして図2の循環システムにおいてあらたなインプットをするときに、人間社会の中に汚染物質も入ってくるようになってしまいました。環境からの物質・エネルギーの過剰な摂取つまり過度なインプットも問題になっています。

あるいはプロセシングがうまく機能しなくなりました。廃棄物処理問題などはその最たるものです。廃棄物を環境にアウトプットするにもアウトプットできず、人間社会の中(あるいはそば)においてあるという問題も生じています。




このように〈インプット→プロセシング→アウトプット〉システムは現代文明をうごかしている重要なシステムであるとかんがえることができます。このシステムにおいて、エネルギー・物質の流れに情報をくわえてもよいです。
 
このようにみてくると、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉がうまくいかずバランスがくずれるとさまざまな問題がおこってくるということがわかります。
 
したがって問題を解決するためには、〈インプット→プロセシング→アウトプット〉をあらためてとらえなおし改善していかなければなりません。

このように〈インプット→プロセシング→アウトプット〉はとても重要な概念だといえます。たとえばニュースを見たときにさまざまな情報を、インプット・プロセシング・アウトプットのそれぞれに整理してとらえなおすだけでも環境問題に関する理解は一気にすすむでしょう。

 
▼ 引用文献
西岡秀三・宮崎忠國・村野健太郎著『地球環境がわかる』(改訂新版)技術評論社、2015年7月6日
[改訂新版] 地球環境がわかる





自然環境と人々との間のやりとりによって独自の生活様式さらに独自の文化が生みだされました。人々は独自の文化を介して自然環境に適応し、また自然環境を利用して生きてきました。

『気候帯でみる! 自然環境〈4〉冷帯・高山気候』(少年写真新聞社)の後半では高山気候をとりあつかっています。


目 次
高山気候の気候区分
高山気候の植物
高山気候の動物
高山気候の農業
鉱山気候の都市
 エクアドル キトのくらし
 中国・チベット自治区 ラサのくらし


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高山気候は、標高の高い地域に特有のすずしい気候です(注1)。気温は、標高が100m高くなるごとに0.6〜0.7℃さがります。

気温が低くなると水蒸気量も減るため、標高が高くなるにつれて高山地域では降水量が少なくなる傾向があります。また水蒸気や空気中のちりが少ないので晴れた日には、地表にとどく太陽光(日射)が強く、多くの紫外線がふりそそぎます。

標高が高くなるにつれて気圧が低く酸素が少なくなるので普通の人が高所にいくと高山病になります。


■ 高山気候の植物
高山気候の植物には垂直分布が見られるのが特徴です。

たとえばネパールのヒマラヤ山脈では標高が上がるにつれて次の分布が見られます。

落葉広葉樹林→照葉樹林→針葉樹林→(森林限界)→低木林や草地

エクアドルのアンデス山脈では次の分布が見られます。

熱帯雨林→常緑樹林→雲霧林→(森林限界)→低木と草地→イネ科を中心とした草原


森林限界より上には、きびしい環境に適応した非常に特徴的な高山植物が生えています。
  • ヒマラヤ山脈:メコノプシス・ホリドゥラ(ヒマラヤの青いケシ)、レウム・ノビレ(セイタカ・ダイオウ)など
  • アンデス山脈:プヤ・ライモンディなど
  • ヨーロッパ・アルプス:セイヨウウスユキソウ(エーデルワイス)、アルペン・ローゼ(アルプスのバラ)など


■ 高山気候の動物
気象条件がきびしく餌が少ない高山気候の地域では動物の数はかぎられていますが次のような動物が生息しています。
  • ヒマラヤ山脈:ユキヒョウ、アネハズルなど
  • アンデス山脈:ビクーニャ、アンデスコンドルなど
  • その他の高山地域:オジロライチョウ、ナキウサギ、シロイワヤギ、アイベックスなど


■ 高山地域の農業
夏もすずしい高山気候では独特の農業が発達しました。
  • アンデス高地の段々畑(アンデネスとよばれる):それぞれの標高(気温)にあわせて家畜(リャマやアルパカ)の飼育、トマト・カボチャ・トウモロコシ・トウガラシなどの栽培がおこなわれています。
  • エチオピアの農業:コーヒー、テフ(エチオピア原産のイネ科の穀物)、トウモロコシ、ソルガム、ゴマなどを栽培しています。ウシやヒツジやヤギなどの牧畜もおこなわれています。
  • チベット高原の農業:オオムギ(ハダカムギ)やコムギなどの栽培がおこなわれています。ヤクやヒツジの牧畜もおこなわれています。ヤクは「高原の舟」ともよばれ荷物の運搬に利用されるほか、その肉や乳は食料に、皮や骨・角は衣服や住居に、ふんは燃料にされるなど無駄なく利用されます。


■ 高山気候の都市

次の都市が紹介されています。
  • エクアドル、キト
  • 中国・チベット自治区、ラサ

キトは、赤道直下に位置するにもかかわらず標高が2800mをこえるので温暖でしのぎやすい気候です。さまざまな種類のトウモロコシが食べられています。ジャガイモやタマネギなどを牛乳と一緒に煮込んだ「ロクロ」が代表的な料理です。クイ(テンジクネズミの一種)やウサギの肉は貴重なタンパク源です。

ラサは、標高が約3700mであり、乾燥した気候です。「1日のうちに四季がある」といわれるほど昼と夜の気温差が大きいです。

ラサでくらしているのはチベト族です。丈の長い襟を前でななめにあわせて着る「袍」(ほう)とよばれる上着を着ています。袍の上から腰帯をまき、女性はその上からエプロンのような前掛けを身につけます。太陽からのつよい紫外線をさけるためにフエルトや毛皮の帽子をかぶることもあります。

チベット族の主食は「ツァンパ」です。オオムギ(ハダカムギ)のつぶをいって粉にしたものに水や茶をくわえて手で練って作ります。また、茶葉にヤクのバターと塩をくわえてつくる「バター茶」を飲む習慣があります。その他、コムギからつくる「トゥクパ」「モモ」、ヤク肉、ヤクチーズなども独自の食べ物です。




以上のように高山地域でくらす人々は、独自の農牧業・料理・衣服などつまり独自の生活様式を発達させて自然環境(高山気候)に適応し、一方で自然環境をたくみに利用して生きていました(下図)。


160107 高山
図 高山地域のモデル


自然環境から人々への作用・流れはインプット、その反対の人々から自然環境への作用・流れはアウトプットであり、インプットとアウトプットの間にはプロセシングがあります。人が生きるということは〈インプット→プロセシング→アウトプット〉をくりかえすことにほかなりません。

こうして、自然環境と人々との間のやりとりにって独自の生活様式が発達してきました。独自の生活様式はその地域や民族の独自の文化とよびかえてもよいでしょう。人々は、独自の文化を介して自然環境に適応し、また自然環境を利用して生きてきたのです。文化には、自然環境と人々とを介在する役割が本質的にあるとかんがえられます。モデルであらわすと上図のようになります。このようなモデルをもつことにより、一見複雑に見えるその地域の民族・文化・自然環境を統合的に整理し端的に理解することができます。

たとえば外国旅行に出かけて地元の料理を食べたりするときに、上記のモデルを意識してみるとあらたな発見がきっとあるにちがいありません。



▼ 引用文献
こどもくらぶ著・高橋日出男監修『気候帯でみる! 自然環境〈4〉冷帯・高山気候』少年写真新聞社、2013年2月22日
気候帯でみる!自然環境〈4〉冷帯・高山気候 (気候帯でみる! 自然環境)

▼ 注1
ケッペンの気候区分には高山気候はありませんでしたが、アメリカの気候学者トレワーサによって標高が影響する特徴的な気候として高山気候がしめされました。このため、ケッペンの気候区分と高山気候とは分布が重複する地域があります。

▼ 関連記事
気候帯で地球をとらえなおす - 気候帯(まとめ)-


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〈インプット→プロセシング→アウトプット〉のモデルをえがくと冷帯地域の様子を端的にとらえることができます。『気候帯でみる! 自然環境〈4〉冷帯・高山気候』(少年写真新聞社)の前半では冷帯気候についてとりあつかっています。

冷帯は、1年のなかの気温差が大きく、冬の寒さがきびしい地域です。ケッペンの気候区分では、「もっともあたたかい月の平均気温が10℃以上、もっともさむい月の平均気温がマイナス3℃未満」とされています。より寒冷な気候である寒帯よりもややあたたかい気候であることから「亜寒帯」とよばれることもあります。

北緯40度以上の地域に集中し、ロシアやカナダは国土の大部分、日本では北海道が冷帯にふくまれます。


目 次
冷帯の気候区分
冷帯の気象災害
冷帯の植物
冷帯の動物
冷帯の産業
冷帯の都市
 日本 札幌のくらし
 ロシア イルクーツクのくらし


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■ 冷帯の気候区分
冷帯は降水量の季節変化によって次の2つの気候に区分されます。
  • 冷帯湿潤気候:あまり量は多くはないものの1年を通して降水があります。
  • 冷帯冬季少雨気候:夏に雨が多く、冬は雨・雪の量が少なく乾燥します。


■ 気温の年較差
1年のうちのもっともあたたかい月(最暖月)の平均気温と、もっとも寒い月(最寒月)の平均気温の差(年較差)が大きく、熱帯の年較差は2〜5℃ほどであるのに対し、冷帯では30℃以上になる地域があります。


■ 冷帯の気象災害
次のような気象災害があります。
  • 吹雪
  • なだれ
  • 雪解け水による災害(土石流など)


■ 冷帯の植物
「タイガ」とよばれる針葉樹林が特徴的です。代表的な針葉樹としてはエゾマツやモミがあります。


■ 冷帯の動物
  • 冬眠をする哺乳類:クマ型冬眠、ヤマネ型冬眠、シマリス型冬眠
  • 針葉樹林の動物:キンメフクロウ、ホシガラス、アメリカテン、ユキウサギ、ヘラジカ(ムース)、アムールトラ、カワヒメマス、その他


■ 冷帯の産業
  • 土壌と農業:チェルノーゼム(ロシア語で黒い土)やプレーリー土の地域では春小麦の生産がさかんです。
  • 林業:針葉樹林(タイガ)がひろがるカナダやロシアでは、エゾマツ・カラマツ・トウヒ・ドドマツなどの木材を輸出したり、木材加工・製紙業がさかんです。
  • 酪農:ウシやヒツジ・ヤギなどを飼育して乳やチーズ・バターなどの乳製品を生産する農業がいとなまれています。
  • 狩猟:農業や酪農ができない地域では伝統的に狩猟がおこなわれてきました。


■ 冷帯の都市と人々のくらし
以下が紹介されています。 
  • 日本、札幌
  • ロシア、イルクーツク
イルクーツクは、シベリア南部に位置するバイカル湖ちかくの都市です。セントラル・ヒーティングがそなわった集合住宅に多くの人々が住んでいます。ながく寒い冬にそなえて次のような保存食をつくっています。
  • バイカル湖に生息する魚、オーリムのくんせい
  • 野菜やキノコの酢漬け
  • ジャム
  • ヴァレニエ(果物の砂糖煮)




以上のように、冷帯地域でくらす人々は、その地域独自の自然環境(冷帯気候)をいかして独自の産業を発達させてきました(下図)。

 
160106 冷帯
図 冷帯地域のモデル
 

ひとつの地域は、このような〈インプット→プロセシング→アウトプット〉システムにそもそもなっています。

このような〈インプット→プロセシング→アウトプット〉の視点をもつと、地理学的な単なる記載をのりこえて、その地域を動的にとらえることができます。

  • 人々は何をインプットしているのか?(食料、物質、エネルギー、情報・・・。気象災害のような不利益なインプットもあります。)
  • 人々は何をプロセシングしているのか?(保存食をつくる、食料を消化する、エネルギーをつかう・・・)
  • 人々は何をアウトプットしているのか?(不要な物質、開拓、開発、自然破壊、情報発信・・・)

たとえば外国を旅行したときにこうした問題意識をもって旅先の地域をじっくり見てみると、自分や自分たちが〈インプット→プロセシング→アウトプット〉をおこなうときに参考になるよい事例が見つかるかもしれません。



▼ 引用文献
こどもくらぶ著・高橋日出男監修『気候帯でみる! 自然環境〈4〉冷帯・高山気候』少年写真新聞社、2013年2月22日
気候帯でみる!自然環境〈4〉冷帯・高山気候 (気候帯でみる! 自然環境)




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エーアンドデイ 放射温度計 ブルー AD-5617
測定物に接触せず簡単に温度が測定できる温度計です


自分自身のアウトプットを見直せば、自分のプロセシングの状態をチェックし、自分の心の中をとらえなおすことができます。

自分で自分を見ることは非常にむずかしいことです。たとえばシェイクスピア劇のなかの「ファルスタッフ」も「ヴェローナの二紳士」も「オテロ」も自分で自分が見えていないのです(注)。

わたしたち観衆は客席から客観的に見ているので「彼には自分が見えていない」ということがわかりますが、当のご本人は自分で自分を見ることはできません。

それでは自分で自分を見るにはどうすればよいでしょうか?

たとえば鏡をつかってみます。鏡をつかうと、自分の顔や姿のフィジカルな様子はうつしだされます。しかし自分の心の中までは見えません。あるいは「胸に手を当ててかんがえる」などという人もいいますが具体的には何がわかるのか、効果があがりません。

そこでどうすればよいか。

そこで自分自身がアウトプットしたものを見直すようにします(下図)。

151217 アウトプットしたもの
図 自分がアウトプットしたものを見直して自分の心の状態を知る
 

人間は、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)をする存在であることは現代ではあきらかであり、アウトプットとは、自分の心(意識)の中でおこったプロセシングの結果を外界にあらわしたものです。自分がアウトプットしたもの、たとえば書き出したものはすべて、100%、自分自身の心の中から出てきたものです。あるいは自分の動作や行動もすべて、100%、自分の心の中から出力されたことにほかなりません。

つまり、自分自身がアウトプットしたものは自分自身のプロセシングの状態を反映しているのであり、アウトプットは心の中をはっきりとうつしだしているのです。それは自分の心であって他人の心では決してありません。

したがって自分自身がアウトプットしたものを見直せば、自分自身の心をとらえなおしてその状態を自覚することができます。インプットとプロセシングは適切におこなわれていたかどうか? 情報処理にエラーはなかったかどうか?・・・

動作や行動を見直すにはビデオを利用するのもよいです。自分の言動を撮影してみるのです。横綱の白鵬は、自分の取り組みをビデオで毎日みて確認しているそうです。また音楽家は自分の演奏を録音して、演奏を聴き直してたえずチェックをしています。

このように情報処理の仕組みを理解し、アウトプットを見直して自分の心の状態を知ることは、つまり自分で自分を見ることにつながります。とても重要なことです。

アウトプットは人をあらわします。アウトプットを見れば人がわかります。


▼ 注
「自分が見えていない」をキーワードにして - シェイクスピア -



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特別展「生命大躍進」(国立科学博物館)


特別展「生命大躍進」は、生命の進化の過程にはあるときに大躍進(飛躍)があったことをおしえてくれます。

「生命大躍進」は全国各地で巡回展が開催されています。今後の巡回予定はつぎのとおりです。

  • 愛媛県美術館:2016年1月16日(土)~ 4月3日(日)
  • 大阪市立自然史博物館:2016年4月16日(土)~ 6月19日(日)
  • 岡山シティミュージアム:2016年7月15日(金)~ 9月4日(日)

今回の企画では、世界各地の研究機関の協力により、生命進化の各時代を代表する実物化石が奇跡的に一堂に会することになりました。


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アノマロカリス(交差法で立体視ができます)


生命は、およそ40億年という進化の歴史をもっています。その間、飛躍的な進化をもたらした「生命の大躍進」ともいうべき重要な出来事がありました。「目の獲得」「海からの上陸」「胎盤の獲得」などです。

たとえばアノマロカリスは、それ以前の先カンブリア紀には知られていない眼を発達させて「大躍進」しました。

「大躍進」とは、小進化に対して大進化といってもよいでしょう。生命の進化は、ダラダラとつづく坂をのぼっていくようなものではなくて階段状の坂をのぼっていくようなことであり、ガクンガクンと変化していきます。生命には飛躍があるわけです。

今回の特別展は、地球史のあるときに生命力が爆発するような瞬間があることを知り、またそのエネルギーを感じることができる企画でした。このような感覚は理屈ではなかなか体得できません。会場に行ってみる価値があるとおもいます。


▼ 特別展「生命大躍進」
「生命大躍進」公式サイト
NHK「生命大躍進」
 

▼ 国立科学博物館の会場マップ
150709 生命大躍進 のコピー


▼ 参考図書

▼ 交差法(クロス法)をつかった立体視のやり方は下記サイトをご覧ください。



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自分の能力をのばすことも大切ですが、自分の居場所をさがすこと、自分の能力をアウトプットできる場をみつけることも重要です。


プロ野球の星野仙一監督がAチーム(仮称)の監督をしていたときに、佐藤選手(仮名)をBチームにトレードに出しました。すると佐藤選手はBチームで大活躍をしました。

これをみたAチームのオーナ会社の幹部がつぎのようにのべたそうです。

「佐藤君のような優秀な選手を何で放出したんだ!」

星野監督はつぎのようにこたえました。

「佐藤選手は、Aチームでは、おなじポジションに複数の優秀な選手がいたため能力をいかしきれなかったのですが、Bチームに移籍して自分の能力をいかす場をえたのです。それぞれの選手がそれぞれに能力を発揮できる場をえればよいではないですか」

佐藤選手は、Bチームに移籍してポジションをえたということでしょう。

野球選手の能力は、その人が本来もっている能力だけでなく、チームのなかのポジションによっても決まります。自分のポジションや役割が組織のなかにあるかどうか?

その人の能力や価値は、その人をとりまく全体状況のなかで決まってくるのであって、全体状況が変われば存在価値も変わってきます。その人の価値や意義はその人だけで絶対的に決まるものではなく、一つの場のなかで決まるといってよいでしょう。

したがってたとえばその人自身は何も変わらなくても、居場所が変わったり周囲が変わったりしただけで、その人が大活躍するようになることはありえるわけです。

* 

以上の教訓から、自分自身の能力を開発する訓練も大切ですが、一方で、自分の居場所を積極的にさがす、自分の能力をアウトプットできる場をみつけだす努力をすることも重要であることがわかります(下図)。

151210 能力と場
図 自分の能力をいかせる場をみつける

 

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海遊館(入口)

水族館に行くと非日常の異空間を体験することができ、自分の意識を刺激することができます。

大阪にある海遊館(かいゆうかん、注)は世界最大級の水族館であり、巨大水槽といくつもの展示水槽で環太平洋の海を再現しています。「リング・オブ・ファイア」(環太平洋火山帯)と「リング・オブ・ライフ」(環太平洋生命帯)をコンセプトにしているのが特徴です。

館内にはいってみるとエスカレーターで8階までまずあがり、そのご回廊型の通路を順次くだっていきます。各水槽(各展示)をめぐりながら螺旋状におりていくと地上から深海へと到達できるという仕組みです。 

水槽は、太平洋を模した巨大な「太平洋」水槽を中心にして14の展示水槽が周囲に配置され、環太平洋の地理関係を再現しています。
 

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ラッコ


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アオリイカ


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タカアシガニ


海遊館はこれまでの水族館の印象を劇的に変えた水族館であり、規模が大きいだけでなく年間来場者数も非常に多く、日本で3位以内に入るそうです。

海遊館をあるきながら、表面的な日常世界から薄暗い深層へと次第にくだって行くと原始的な不思議な雰囲気を味わうことがでます。また何よりも見慣れない生物たちがわたしたちをおどろかせ、わたしたちの意識を刺激して理屈ではあらわせない独特の感動がもたらされます。ここでいう意識とは情報処理の場といいかえてもよいです。

非日常的な異空間を手軽に体験して意識を刺激できる場所として海遊館はおすめです(下図)。

151126 刺激
図 水族館で刺激をうける


▼ 注

古今東西の地図の歴史をみると、空間あるいは地球の認識をどのように人類が拡大してきたかがわかります。

ジョン=レニー=ショート著『世界の地図の歴史図鑑 - 岩に刻まれた地図からデジタルマップまで』(柊風舎)は、先史時代の岩に刻まれた最古の地図から今日のデジタルマップまで古今東西の地図をあつめた地図の図鑑です。

地図は、文字の発明以前から人間社会にかかせない情報の伝達や記録の手段でした。アボリジニの砂絵、イスラーム世界の天文学的な地図、中世ヨーロッパの絵画のように美しい地図、戦争中の征服地図や戦略図、そして今日のデジタル地図にいたるまで、時代をうつしだすさまざまな地図を多数の図版とともにわかりやすく解説しています。

目 次
第1部 序
 1 地図のはじまり
 2 最古の地図

第2部 古代
 3 古代世界
 4 古典時代の地図

第3部 中世
 5 中世ヨーロッパの地図
 6 イスラームの地図
 7 中国と極東

第4部 探検時代のはじまり
 8 新世界における地図学の伝統
 9 新世界の地図
 10 ヨーロッパのルネサンス時代の地図
 11 国家の地図
 12 地図帳の作製者たち

第5部 植民地時代の地図製作
 13 大英帝国の地図製作
 14 地図作製をを鼓舞する啓蒙運動
 15 新国家の地図化
 16 地図学との出会い
 17 万国共通の地図化

第6部 現代世界の地図化
 18 主題図
 19 地図と権力
 20 現代社会の地図学


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最古の地図は岩にきざんだ地図でした。

実用のための地図づくりは、農業革命を人類がおこしたころからはじまりました。それは文明のはじまりでもありました。地図は、農地や灌漑システムの管理のために重要な道具であり、土地を統制することに役立ちました。

やがて帝国が台頭してくるとともに測量技術が発達し、帝国を管理するために地図は不可欠なものとなりました。

大航海時代になると、新大陸の探検と発見においても地図は重要な役割を演じました。地球上の空白地域を調査し記載するための道具として地図が必要でした。

ヨーロッパ人が海外の領土を占領するための不可欠な要素と地図はなりました。ヨーロッパ人に新世界は従属させられ、新世界の地図ができました。あたらしい帝国は支配する領土の地図をえがき、権利を主張しました。

そして世界地図ができあがりました。

そのご世界地図は精密化がすすみ、また地図の世界でも専門分化がおこってきて、現代では、さまざまな主題図がつくられるようになりました。地質図・気候図・天気図・路線図、そのた多数の主題図が作製されています。

今日は、人工衛星による観測によるマッピング、コンピューター・マッピング、地理情報システムの時代になり、地図の歴史もまったくあたらしい段階にはいりました。


本書の特色は、古今東西の地図を大量にあつめて図鑑にしたところにあります。それぞれの言語による解説は若干わかりにくい面もありますが、さまざまな地図をたくさん見ることに大きな意義があります。

私たち人類は地図をつくりながら世界あるいは地球の認識を拡大し、意識の空間(広がり)を大きくしてきました。本書でその歴史をふりかえってみると、わたしたちは今日、グローバル化・高度情報化への歴史的な大転換期に生きていることがよくわかります。


▼ 引用文献
ジョン=レニー=ショート著『世界の地図の歴史図鑑 岩に刻まれた地図からデジタルマップまで』柊風舎、2010年11月15日
ビジュアル版 世界の地図の歴史図鑑―岩に刻まれた地図からデジタルマップまで


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情報処理の仕組みを理解すれば、試験勉強や受験勉強をしながらでも情報処理能力を高めることができます。

そもそも試験勉強をするとはどういうことか、情報処理の観点からとらえなおすとどのようになるでしょうか。

勉強の最初の場面はつぎのようなことです。
  • 教科書を読む
  • 図表や写真を見る
  • 教師の説明を聞く、など
これは、自分の意識の内面への情報のインプットにあたります。

つぎにインプットした情報を理解し記憶しなければなりません。記憶とは意識(心)のなかで情報を保持することです。これはプロセシングです。

そしてアウトプットは筆記試験(ペーパーテスト)で解答を書きだすことでおこなっています。資格試験などを受験するときもおなじです。

これが一般的な試験勉強の実態です(図)。

151031 勉強
図 勉強も情報処理になっている



筆記試験の会場では教科書やノートを見ることはできません。何も見ないで解答しなければなりません。つまり自分の心のなかに保持された情報をおもいだして書きださなければなりません。この、何も見ないで想起してアウトプットするという過程が非常に重要な訓練になっています。

筆記試験で高得点をとるためには練習問題をあらかじめやっておいたり、模擬試験をうけたりすることがよいことはひろく知られており、それは、ぶっつけ本番で想起してアウトプットするよりも事前に訓練をしておいた方がよいからです。

このように筆記試験はアウトプットの本番であるととらえなおすと、アウトプットの練習は常日頃からやっておいたほうがよいとうことになり、それは情報処理能力を高める訓練にほかなりません。

たとえば黒板やホワイトボードに何かの説明を先生が書いたら、目を一旦とじて、それをイメージとして想起する練習をしてみます。デジタルカメラで黒板をうつしとるように記憶して、そして想起し、書きだす訓練を日頃からしておきます。

このような情報処理の仕組みと方法がわかれば試験勉強や受験勉強も情報処理能力の向上ために活用することができ、その能力はあらゆる分野でそのご応用していくことが可能になります。


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生命は、自分の体の内と外とのあいだで物質やエネルギーなどのやりとりをしながら生きています。

『やさしくわかる生命の科学』(Newton別冊/ニュートンプレス)は「生命とは何か?」という大きなな課題に現代の科学者がどのようにいどみ、何をかんがえているかをわかりやすく解説しています。過去の『Newton』誌上に掲載された記事をまとめたものです。

生命は、多くの謎に今なおつつまれています。生命についてはわからないことがまだたくさんあります。生命と非生命の境界についてさえも科学者のあいだで見解がわかれています。

目 次
プロローグ 生命をめぐる疑問
1 生命の共通点
2 ウィルス
3 生命の誕生
4 生物の進化
5 “生きている”とは何か
6 生命の最先端研究
7 地球外生命
エピローグ 研究者が語る“生命とは何か”


地球上の生物はつぎの3つのグループ(ドメイン)にわけられます。これらは共通の祖先から分化しました。
 
(1)細菌
(2)古細菌
(3)真核生物
   ・原生生物(ゾウリムシやアメーバなどの単細胞生物)
   ・菌類(カビやキノコの仲間)
   ・植物
   ・動物


これらの生物に共通する特徴としては以下のことがあります。
  • 刺激に応答する。
  • 外から栄養をとる。
  • 内と外との区別がある。
  • 自分と同じ姿をしたものがふえる。

周囲の刺激に応答しながら生きていることはすべての生物に共通する特徴です。またすべての生物は生きるために外から栄養をとりいれ、エネルギーを体内でつくったり体を構成する材料にしています。このような体内における一連の化学反応のことを「代謝」とよびます。そして、不要な物質は外に排出しています。

このような生物のすべては細胞を基本単位としてできています。生物の体内では細胞の誕生と死がたえずおきていて、細胞の誕生と死のバランスによって生命体は維持されています(注1)。

地球上における最初の生命の誕生に関しては、「生命は RNA からはじまった?」と「生命はタンパク質かがらはじまった?」という仮説が紹介されています。「RNA」(リボザイム)は化学反応を促進する装置としてはたらくものです。

また進化とは、分子レベルでみれば、生命の設計図であるゲノムが世代をへるにつれて書きかえられていくことです。

生命は、外部とのあいだにエネルギーや物質のやりとりをもっているので、その秩序だった構造を維持することができています。逆にやりとりがない場合には、エントロピー増大の法則にしたがって時間とともに秩序だった構造は崩壊していくことになります。

以上の生命の特徴を模式的にあらわすと下図のようになります。

151031 生命
図 生命のモデル
 
 
生命がおこなっている内と外とのあいだのやりとりに注目することはとても大事なことです(注2)。本書は読み物としてもとてもおもしろいです。類書の『生命科学がわかる100のキーワード』(Newton別冊、注3)とあわせて読むと生命科学についての理解が一段とすすむでしょう。



▼ 引用文献
『やさしくわかる生命の科学』(Newton別冊)ニュートンプレス、2014年8月15日
やさしくわかる生命の科学―生命と非生命の境界,最初の生命,進化,生命創生など (ニュートンムック Newton別冊)

▼ 注1
あたらしい細胞をつくる方法は「細胞分裂」です。一方、細胞が死ぬしくみは「アポトーシス」(自死)と「ネクローシス」(事故死や病死)です。「ネクローシス」とは、やけどや酸素不足、病原体によるダメージによって細胞が死ぬことです。

▼ 注2
刺激・物質・エネルギーが生命の内部に外からはいってきます。刺激は情報といいかえてもよいです。生命の内部では情報の処理と代謝がおこります。そして生命は運動や行動、不要物質の排出をします。人類の場合は話したり書いたりもします。これは応答するということです。

このようなプロセスは、<インプット→プロセシング→アウトプット>といってもよいです。整理するとつぎのようになります。
 インプット:刺激・物質・エネルギーが生命の中にはいってくる。
 プロセシング:情報処理・代謝。
 アウトプット:運動・行動・排出する。

▼ 注3
田沼靖一(監修・執筆)『生命科学がわかる100のキーワード』(Newton別冊)、ニュートンプレス、2013年7月15日

▼ 関連記事
現代の生命科学を概観する -『生命科学がわかる100のキーワード』(Newton別冊)-
キーワードとイメージとをセットにして記憶する
すすみたい分野の100のキーワードをおぼえて前進する


目を閉じてイメージし、イメージしながら英単語を言う訓練をくりかえすと英語が見えてきます。

大西泰斗・ポール=クリス=マクベイ著『英単語イメージハンドブック』(青灯社)はイメージをしながら英単語と英文法を学習する教材です。いままでに出版された類書にちらばっていた重要なイメージを一冊にまとめたダイジェスト版です。

目 次
1 名詞関連のイメージ
2 動詞関連のイメージ
3 助動詞関連のイメージ
4 前置詞関連のイメージ
5 接続詞関連のイメージ
6 ときのイメージ
7 重要なその他の表現

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イメージ訓練はつぎのようにおこなうとよいです。

 (1)各単語(あるいは項目)の画像をしっかり見る。
 (2)目を閉じて、いま見た画像をおもいおこす(イメージする)。
 (3)目を閉じたままでその画像をイメージしながら、対応するその単語を声にだして言う。

目を閉じてイメージするというところがポイントです。

この〔(1)(2)(3)〕をすべての単語・項目についておこないます。解説文は、「基本イメージ」の部分だけをまずは読み、「Check Point」の部分はあとまわしにします。イメージ訓練を優先させます。

最後のページまでおわったら最初のページにもどっておなじことをまたくりかえします。3〜5回ぐらい循環的にくりかえしたら、「Check Point」の解説も読みます。

そして〔(1)(2)(3)〕をまたくりかえします。画像がしっかりおもいうかぶようになるとよいです。本書の画像は、アイコンのように非常によく洗練されていて単純明快なのでおぼえやすいです。


この〔(1)(2)(3)〕は、人がおこなう情報処理の観点からとらえなおすとつぎのようになります(図)。これは情報処理の訓練でもあります。

 (1)インプット
 (2)プロセシング
 (3)アウトプット
151021 見るイメージ言う
図 本書をつかった訓練は情報処理の訓練になっている


目を閉じてイメージするところがポイントであり、これは、インプットを遮断しプロセシングに集中するということです。

「おぼえよう、おぼえよう」として画像をじって見つめているだけだとなかなかおぼえられません。いったん目を閉じて、心をおちつかせて画像をおもいだす(想起する)訓練を徹底しておこなったほうがよいでしょう。するとアウトプットにもスムーズにつながります。

本書でのべられいるように、それぞれの単語がもっている中心的な感触やイメージをつかむことが大事です。核となるイメージさえおさえてしまえばすべての用法・用例は自然にながれでてきて、単語と文法をつかいこなすことができるようになります。

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