発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

カテゴリ: 情報処理全般

梅棹忠夫著作集『知の技術』(梅棹忠夫著作集第11巻)には、岩波新書の『知的生産の技術』のほかに、「「知的生産の技術」の前後」、「知的生産の展開」、「フィールドでの知の技術」がおさめられています。

『知的生産の技術』のあとに、梅棹さんが、ワープロ、パソコン、口述筆記という、現代にも通じる知的生産の技術にとりくんだことが記録されています。

口述筆記については、梅棹さんが はからずも視力をうしなったために、周囲の人々に協力してもらって はじめたところ、原稿執筆や本の出版の速度がそれ以前よりもとても速くなったということです。

口述筆記は、今日では、スマートフォンをつかえばできるので、かなり多くの人々がとりくむようになりました。たとえば、講演録などをつくるときに、講演そのもは会場で録音して、オフィスにもどってその録音をあらためて聞きながら、今度は、文字におこすために、スマートフォンにむかってできるだけ正確にしゃべる、という方法がよくもちいられているようです(アップルストアの話)。

また、「フィールドでの知の技術」では、探検とは何かについてくわしくかたるとともに、特に、旅行やフィールドワークさきでの写真撮影についてページをさいています。写真は、現場での貴重な記録であり、つかいかた次第では非常に大きな効果を生みだすことになります。

本書をよんで、知的生産は、それ単独で効果をあげるというものではなく、旅行やフィールドワークとむすびついたときに大きな成果が生みだされるということがよくわかりました。

梅棹忠夫著『知的生産の技術』から、知的生産の技術は、基本的にはつぎの3段階からなることがわかりました。

 1.「京大型カード」に記入する
 2.「こざね法」でまとめる
 3.文章を書く

これらを、現代の情報処理の観点からとらえなおすとつぎのようになります。

 1.ファイルをつくる
 2.ファイルを連携・結合する
 3.文章化

ファイルとは情報(データ)のひとまとまりのことです。

道具については、紙のカードやタイプライターは現代ではつかわず、スマートフォンとパソコン、付箋(ポストイット)をつかいます。


この3段階をくわしくみていくとつぎのようになります。

1.ファイルをつくる
これは、パソコンでファイルをつくることです。

ファイルにはかならずファイル名(見だし)をつけます。また、「京大型カード」の原則にしたがって、1ファイル1項目の原則をまもります。ブログを利用する場合は、1記事1項目の原則をまもります。

パソコンが便利なのは、テキストだけでなく、画像・音声・その他の資料も、型式にとらわれずにファイルにすることができることです。

パソコンやブログをつかっていれば、ファイルは時系列で集積されていき、個人文書館がおのずと形成されます。


2.ファイルを連携・結合する
課題を決め、関係のありそうなファイルをピックアップして、フォルダーにまとめます。エイリアスやショートカットを利用してもよいです。

フォルダーには適切な名称(見だし)をつけます。

フォルダーのなかに、さらにフォルダーをつくって階層構造にしてもよいです。一般的には階層構造になります。これが現代のファイリング・システムです。

このような階層構造をつくるときに、元のファイルのファイル名あるいはキーワードを、付箋(ポストイット)に書きだして「こざね法」をやってみるとよいです。

あるいはもっと簡略には、デスクトップで、フォルダーをつくり、アイコンをうごかしながら階層構造をつくってもよいです。

既存の順序にはとらわれずに、さまざまにファイルをならべかえ、あたらしいファイルのグループを編成します。

なお、あらたにつくったフォルダーは、より高次元の情報(データ)のひとまとまりととらえることもできます。つまり、フォルダーはより高次元の「ファイル」なのです。フォルダーをつかって整理するということは、元のファイルを、より高次元のファイルのもとで``統合している作業にあたります。


3.文章化
一般的には、第2段階までおこなえばよいという面もありますが、できれば文章化に積極的にとりくんだ方がよいでしょう。

ファイルによってあらたにつくった構造にもとづいて、文章化をすすめます。今度は、前からうしろへとテキストをつらねていきます。

元のファイルの情報(データ)を文章のなかにおりこんで書いていきます。元のファイルは、パソコン上でしたらアイコンをダブルクリックすればでてきますし、ブログでしたら検索機能をつかえばよびだせます。


■ ファイルは成長する
第1段階は、最初の小さなファイルとそれらの集積でした。

第2段階は、階層構造をつくる段階でした。ここで、フォルダーは、より高次元の「ファイル」ととらえることができます。フォルダーはやや大きな(中規模な)ファイル(中規模な情報のひとまとまり)とみなすことができます。ファイルのなかに小さなファイルがあるといった、入れ子構造をイメージできます。

第3段階は、文章を書く段階であり、ワープロをつかって書けば、結果的に、1つのあたらしいファイルができあがります。これも、文章としての情報のひとまとまりにはちがいないので、やはりファイルでです。第1段階、第2段階からみると、もっと大きなファイルです。第1段階の元のファイルは、第2段階の構造にしたがって、第3段階で1本の大きなファイルに統合されたわけです。

ファイルは、それが情報のひとまとまりになっているかぎり、小さくてもファイルであり、中規模でもファイルであり、大きくてもファイルでです。

つまり、情報のひとまとまりとは、どのようにでも柔軟に設定できるのです。電子書籍1冊も1つのファイルです。柔軟にかんがえることが大切です。

このような観点にたつと、ファイルでいう情報のひとまとまりとは、ひとつのメッセージのかたまりととらえた方がよいかもしれません。すなわち、1ファイル、1メッセージとするわけです。たとえば第3段階の文章化では、主題あるいは結論を1点にしぼりこめばファイルになるということです。

こうして、段階がすすむにつれて、ファイルは大きくなり成長していきます。結局、3段階の本質は、ファイルが成長していく過程でした。自分のファイル(メッセージ)を成長させるという精神でとりくむことが大事でしょう。


なお、旅行やフィールドワークに行って、現場で簡単なメモをとる、あるいは iPhone のボイスメモに簡単に記録をするとします。実はこれも、小さいですがファイルです。やはりファイルができます。最初の豆ファイルです。これは、いわば第0段階のファイルといってもよいでしょう。


▼ 参考文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日  

『しんぷる登山地図 高尾山』(Kindle版、PHP研究所、2014/11/21)は、東京郊外の高尾山の観光地図です。本当に必要な情報のみをあらわした、きわめてシンプルな地図です。登山ルートや所要時間の目安、トイレや食事処などの情報がでています。

わたしは、高尾山に何回か行ったことがありましたが、この地図をみて、自分があるいた道を再確認することができました。

情報量が非常に多い現代において、このようなシンプルなガイドはかえって役立ちます。

この地図をみればあきらかなように、高尾山には、登山ルート、散策ルートがたくさん用意されています。行きと帰りとでルートを変え、ループをえがくように行動して、高尾山の3次元空間を心のなかにインプットするとよいでしょう。同時に、自分のいる場所を地図で確認すれば、地図を読む訓練にもなります。

よけいな情報がなくシンプルなだけあって、かえってつかいがってがあるとおもいます。高尾山に行く方は、事前に、スマートフォンにダウンロードしておくとよいです。
 

梅棹忠夫著『知的生産の技術』の「おわりに」で、梅棹さんはつぎのようにのべています。

このシステムは、ただし、まったくの未完成のシステムである。社会的・文化的条件は、これからまだ、めまぐるしくかわるだろう。それに応じて、知的生産技術のシステムも、おおきくかわるにちがいない。ただ、その場合にも、ここに提示したようなかんがえかたと方法なら、じゅうぶん適応が可能だとおもうが、どうだろうか。

本書のかんがえ方と方法で適応が可能だとおもいます。

人類は、1990年代に情報化を本格化させました。情報革命は今後ともすすみ、情報産業社会はおおきく発展するでしょう。

しかし、本書を通してあきらかにされた「知的生産」のかんがえ方については今後とも変わらず、この原理は普遍的なものとして時代を超越していくとかんがえられます。たしかに、つかう道具はあたらしいものに変わりますが、ここにしめされた原理をつかっていれば、あたらしい時代にも適応ができるとおもいます。

本書が発行された1960年代といえば、まだ、工業化のまっただなかにあり、情報産業社会の到来、高度情報化についてはほとんどの人は意識していなかったとおもいます。しかし梅棹さんは、知的生産の研究開発を通して、その原理に気がつきました。今日からみれば、情報化のパイオニアであったとかんがえられます。


梅棹さんは、本書において、みずからの研究開発の過程を、その第一歩からくわしく書いて、そのなかで知的生産の原理についてかたっています。意識して筋道を書いて、技術の発展史とともにその原理をかたっているのです。本書が47年間も読みつがれ、ロングセラーになっている理由がここにあるのだとおもいます。

これがもし、研究開発の結果や最新の成果だけを書いたとすると、それは、2〜3年たつとふるくなって役にたたなくなってしまいます。

梅棹さんの書き方は、文章の書き方のひとつのモデルとしてつかえます。つまり、研究開発の過程も書いてよいのです。むしろ、そのようなみずからの実体験を具体的にしめして、自分があるいてきたその道のりを通して、原理や本質をかたった方が、メッセージはつたわりやすいのだとかんがえられます。

データと原理を教科書的にのべるのではなく、物語としてかたります。すると、それからどうなったのか、誰もが知りたくなります。その先の進歩については、今日のわたしたちが知っているとおりです。そして、物語は、さらに未来にむかってつづいていきます。

このような意味で、『知的生産の技術』は、情報化の最初の一歩の物語でもあったのです。情報産業社会は今後とも大きく発展するでしょうが、本書は、知的生産あるいは情報処理に関する古典として、後世まで読みつがれていくことでしょう。


▼ 関連記事
iPhone を「発見の手帳」としてつかう - 『知的生産の技術』をとらえなおす(1)- 
ノート、カードから iPhone & Mac へ - 『知的生産の技術』をとらえなおす(2)-
カードを操作するようにファイルを操作する - 『知的生産の技術』をとらえなおす(3)-
ScanSnap をつかって紙の資料をファイルにする - 『知的生産の技術』をとらえなおす(4)-
階層構造になったファイリング・システムをつくる - 『知的生産の技術』をとらえなおす(5)-
3段階をふんで読む - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす(6)-
日本語を書く - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす(7)-
情報交換、日記、記録、個人文書館 - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす(8)-
「こざね法」でかんがえをまとめる - 梅棹忠夫著『知的生産の技術』をとらえなおす(9)-
ファイルをつくる → ファイルを結合する → 文章化 - 『知的生産の技術』をとらえなおす(10)-
「知的生産の技術」も情報処理になっている
体験情報の処理をすすめよう 〜梅棹忠夫著『情報の文明学』〜
イメージ能力と言語能力とを統合して情報を処理する 〜 梅棹忠夫著『ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫、世界のあるきかた』〜
旅行とともに知的生産の技術を実践する - 梅棹忠夫著『知の技術』-




梅棹忠夫さんが提唱した「知的生産の技術」の基本を単純化してまとめると、

 1.「京大型カード」に記入する
 2.「こざね法」でかんがえをまとめる
 3. 文章を書く

ということになります。

「知的生産の技術」では、発見したこと、日記、記録、その他の情報のすべてを「京大型カード」に記入し整理します。カードをつかうと、ならべかえや組みかえ、操作ができるからです。

「京大型カード」は、見だし、日付け、本文(記事)からなり、1枚1項目の原則をもちます。

この「京大型カード」は、現代では、ファイルであるととらえなおすことができます。ファイルとは、情報(データ)のひとまとまりのことであり、それは、見だし、日付け、データ本体からなります。

パソコンの1つ1つのファイルがまさにファイルであり、あるいはブログの1記事がファイルです。「京大型カード」の仕組み・原理をふまえて、現代では、カードはつかわずにファイルをつくればよいのです。

そして、パソコンでファイルを日々つくっていけば、自動的にファイルは蓄積されます。ブログやフェイスブックなどをつかうと効率的です。ワープロその他のアプリをつかってもよいです。

あとは、ファイルの見出しやキーワードにもとづいて「こざね法」を実践し、文章を書けばよいです。

このように、「京大型カード」とはファイルのことであり、今後は、カードという外形・形態にとらわれるのではなく、その仕組み・原理を理解し、ファイルの操作・活用をしていくことが重要でしょう。

したがって、「知的生産の技術」の3段階はつぎのようにとらえなおすことができます。 

 1.ファイルをつくる
 2.ファイルを連携・結合する
 3.文章化

「知的生産」の原理は、現代の情報産業社会でこそ役にたつとかんがえられます。
 

北海道で、恐竜の全身骨格の発掘がおこなわれているそうです(「恐竜大発掘 出るか !? 日本初の完全骨格」NHKサイエンスZERO、2013.11.23)。

北海道で日本の恐竜研究の歴史を塗り替える大発掘が行われている。見つかった化石は植物を食べることに究極に進化した「ハドロサウルス科」。発見された状況からは、日本で初めてのほぼ完全な全身骨格の可能性が高いのだ。

北海道大学総合博物館准教授の小林快次さんによると、きっかけは、博物館で保管されていた部分化石だったそうです。

最初に発見されて、博物館で7年間も、恐竜とわからずに保管されていたんです。いままで恐竜じゃないなとおもっていたものが恐竜だったりすることもありますので、最初の1個って一番大変なんです。1個みつかると2番目、3番目とつづきますので。

この話で注目すべき点は、博物館に標本が保管されていたことです。

標本を永久保存することは博物館の重要な仕事のひとつです。標本は、すぐには役にたたなくても、いつかは役にたちます。標本を保管する博物館の役割について再認識しました。長期的な研究、あるいは研究を次世代につなぐために博物館は有用です。

このように、標本を集積している博物館には潜在能力がねむっています。標本や資料を集積すればするほどポテンシャルは高まります。ポテンシャルとは量で決まるものであって、すぐに役にたつかどうかとか、質が高いかどうかといったことは二の次です。たとえば、ダムのポテンシャルはダム湖の水量で決まるのであって、水質で決まるのではありません。博物館の第一の役割はポテンシャルを高めることであると言ってもよいでしょう。

もうひとつの注目点は、標本や資料の鑑定ができる眼力をもった人材が必要だということです。これは養成するしかないでしょう。

そして、博物館と研究者がそろったときに成果があがります。ポテンシャルと人材の両者が必要です。

* 

これらのことを、個人の能力開発や問題解決にあてはめてかんがえるならば、第一に、テーマを決めたら、情報(正確にはファイル)をひたすら集積していくことが重要であり、これはポテンシャルを高めることにあたります。

このときは、1つ1つのファイルの質の高さよりも、量が優先されます。すぐに成果をあげようとするのではなく、とにかく、ファイルをたくさんつくり蓄積していくことです。ブログやフェイスブックなどをつかうと効率的です。同時に、テーマに関する記憶情報も強化するとよいでしょう。

第二に、対象を見る目、観察力、眼力を日頃からやしなうことがもとめられます。それぞれの専門分野で訓練方法や固有技術があるでしょうから、テーマを決めて専門的にとりくむのがよいでしょう。

このように、ポテンシャルを高め、眼力をきたえることは大事なことです。


▼ 関連記事
情報の本質はポテンシャルである 〜梅棹忠夫著『情報論ノート』〜 

iPhone 6 Plus に機種変更したので iPhone についていろいろしらべていたら、iPhone 6 & 6 Plus のCMがダサいと話題になっていることを知りました。



たしかにひどいCMです。

iPhone 5 のCM(下)がよかっただけに目立ちます。



そもそもアップルは、iPhone や iPad を通して、商品のスペックがどうだとか、性能がどれだけよくなったとかいうことよりも、あらたな生活のシーンあるいはライフスタイルをユーザーに提案してきました。

ここに、製造業(物づくり)の会社と情報産業の企業との決定的なちがいがあります。

たとえば、iPhone 5 のCMに見られるように、あたらしい撮影のシーン、撮影のあらたなスタイルを生みだしました。

あるいは、iPhone や iPad の録音で一般につかわれている MP3 はCDよりも音質はおとります。しかし、そのようなスペックよりも、あたらしい音楽のシーン、音楽をきくあらたなスタイルを生みだしたことに意味があります。

このような観点から iPhone 6 & 6 Plus をとらえなおすと、たしかに、大きさが大きくなってつかいやすくなり、性能も上がりましたが、あたらしいシーン、あらたなスタイルを生みだすという点では弱いといわざるをえません。

しかし、むしろ今後は、ハードウェアではなく、あたらしいサービスに注目した方がよいでしょう。

具体的には、iCloud をつかったクラウドコンピューティングがあたらしいシーン、あらたなスタイルを生みだしていくとかんがえられます。iCloud 同期にとどまらず、iCloud Drive、ファミリー共有、iCloud フォトライブラリ、iTunes Match などのあたらしいサービスがつぎつぎにつかえるようになりつつあります。こでは、iPhone とか iPad とか Mac などのデバイスにはとらわれずに、ユーザーが主体となってこのようなサービスをつかいこなすシーンが想像できます。

今はまだ、そのような段階への過渡期であるために、iPhone 6 のCMは現在のところは中途半端な内容になっているとおもわれます。

デバイス(ハードウェア)にとらわれるのではなく、クラウドの発展をとらえ、さらに、クラウドをつかった情報処理にこれからは注目していきたいものです。

 
▼ 関連ブログ
クラウドサービスが進展している 
iCloudのシステムを主体的につかいこなす 

梅棹忠夫著『知的生産の技術』第4章「きりぬきと規格化」では、新聞のきりぬきや各種資料の整理とそれらのいかしかたについて説明しています。

ながい中断ののち、一九五〇年ころから、わたしはやや体系的に新聞記事のきりぬきをはじめるようになった。こんどかんがえた方式は、スクラップ・ブックをやめて、ばらの台紙にはる、というやりかたである。

そして、記事の大小にかかわりなく、台紙一枚に記事ひとつという原則をかたくまもることにした。

わたしも以前はこの方式にしたがって新聞のきりぬきをしていました。しかし、デジタルカメラが発明されてからは、記事の写真をとって保存する方式に変えました。現在ではきりぬきはせず、有用な記事をみつけては iPhone で写真をとってMac の iPhoto に保存しています。

* 

台紙にはる、という操作がひとつの規格化であるとともに、オープン・ファイルのフォルダーにいれるという操作もまた、ひとつの規格化である。これによって、台紙にはった紙きれ以外のもの、さまざまなパンフレットやリーフレットのたぐいも、みんなこれにいれればおなじ形になる。

わたしも以前はこの方式をつかっていて、オープン・ファイルのフォルダーが本棚の大部分を占有していました。

しかし、変化がおきたのは、富士通のドキュメントスキャナー ScanSnap が発売されてからです。これにより、書類・パンフレット・写真・名刺などを高速でスキャンして保存できるようになりました。

ドキュメントスキャナーは、従来のフラットベッドスキャナとはちがい、膨大な資料のスキャン、デジタル化が手軽にできます。書類や資料の山にうずもれてこまっていた人にとっては救世主になりました。これで、書類や資料、映像や音声などの形式にとらわれずに一つのフォルダに統合・保存し、活用できるようになりました。こんな素晴らしいことはありません。

また、もとの資料のほとんどはのこしておく必要はなくすててしまうので、資料の保管スペースを心配しなくてすむようになりました。

こうして、台紙もオープン・ファイルのフォルダーもなくなりました。そして、パソコンのフォルダーをつかうようになりました。

ドキュメントスキャナーは他社からも発売されていますが、性能やコストパフォーマンスにすぐれる 富士通 ScanSnap を絶対におすすめします。




梅棹さんは写真の整理のむずかしさについてものべています。

しかし現在では、スマートフォンやデジタルカメラで撮影した写真は、Mac でしたら iPhoto というすぐれた写真アプリがあるので整理はむずかしくありません。整理・保存の心配をしないで大量に写真をとることができるようになりました。

デジタルカメラ以前のフィルム写真については、わたしは、保存していたすべての写真を ScanSnap でスキャンしてしまいました。デジタルデータになりましたので Mac であっという間に整理がつきました。元の写真はおいておくと場所をとるので、重要なもの以外はすててしまいました。

iPhone でとった写真は、iPhone の「設定」→「写真とカメラ」で「自分のフォトストリーム」を ON にしておけば、Mac に同期され、iPhoto で整理することができます。新聞記事などの撮影した資料もこうして活用できます。 新サービスとして「iCloud フォトライブリー」がはじまりましたが、わたしはまだつかっていません。これがつかえるようになればもっと便利になるでしょう。


また梅棹さんは、資料や情報の単位化についてのべています。

スクラップ・ブックにはったり、そういうことをしないで、いっさい台紙にはりつけるというのは、どういう意味か。それは、ひとことでいえば、規格化ということなのだ。

それによって、おおきい記事もちいさい記事も、みんな、おなじ型式をあたえられて、単位化されるのである。そして、その規格化・単位化が、その後のいっさいのとりあつかいの基礎になっている。分類も、整理も、保存も、すべてそのうえでのことである。

じつは、カードの使用そのものが、一種の規格化であった。カードに記入することによって、いっさいの思想・知識・情報が、型式上の規格をあたえられ、単位化されるのである。

資料や情報はまず単位化しなければなりません。情報を単位化するということは、情報処理の観点からいうとファイルをつくるということですファイルとは、情報あるいはデータのひとまとまりであり、ひとつの単位です。この単位から創造的作業がはじまるのです。ファイルの概念を理解し、ファイルを操作・活用することがこれからの情報産業社会では特に重要になってくるでしょう。

『知的生産の技術』はふるい本であるにもかかわらず今でも読みつがれているのは、知的生産の原理が書かれているからです。また、梅棹さんご自身がどのように進歩してきたか、その過程が、最初の一歩から書かれていることもこの本をおもしろくしている要因です。つまり、ストーリーをたどりながら原理がまなべるのです。


▼ 文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日
知的生産の技術 (岩波新書)


『知的生産の技術』の第2章「ノートからカードへ」で梅棹忠夫さんはカードの原理についてのべていて、この原理は今日でもとても役にたちます。カードは「知的生産の技術」の中核的な原理といえるでしょう。

まず、梅棹さんはノートの話からはじめています。 

追加さしこみ自由自在の、いわゆるルース・リーフ式のノートほうが(大学ノートよりも)便利だ、ということになる。かいた内容を分類・整理するためにも、ページの追加や順序の変更ができたらよいのに、とおもうことがしばしばある。
ルース・リーフ式のよい点だけをいかしたのが、ちかごろ売りだされているラセンとじのフィラー・ノート式のものであろう。きりとり線と、つづりこみ用の穴とがついている。一冊のノートになんでもかきこみ、あとできりとり線からきりとって、分類してルース・リーフ式にとじる。片面だけを利用し、内容ごとに — 学生なら学科ごとに — ページをあらためることにしておけば、追加、組みかえ、自由自在である。

わたしも、中学生のころは大学ノートをつかっていましたが、高校生になってからはルース・リーフ式のノートに切りかえ、大学生のときにもそれをつかいつづけました。

そのご大学院生のころよりフィラー・ノートをつかいはじめ、「知的生産の技術」にしたがって片面(表面)だけに記入し裏面は空白にしておき、ノートが一冊おわるごとにページを切りとり、二穴ファイルにファイルするといことをくりかえしていました。このフィラー・ファイルは蓄積されて、そのトータルの厚さは約2メートルぐらいにまでなりました。

結局、今世紀に入って iPhone をつかいはじめるまでは、フィラー・ノートはいつでもどこへでも持ちあるいて つかっていました。今でも、ヒマラヤのフィールドワークに行くときには予備ノートとしてフィラー・ノートを持っていきます。


つぎに、梅棹さんはカードについてかたります。

ノートのことを、くどくどしくのべたのは、じつはカードのことをいいたいからであった。

見方をかえれば、ルース・リーフ式やフィラー・ノート式ののーとは、じつは一種のカードなのである。すでにのべたように、それは、ページのとりはずし、追加、組みかえが自由になっている。そして、そのつかいかたにおいても、項目ごとにページをあらためる、あるいは片面だけを使用する、ということになると、それは要するに、みんなカードの特徴にほかならないではないか。
 
ノートの欠点は、ページが固定されていて、かいた内容の順序が変更できない、ということである。ページを組みかえて、おなじ種類の記事をひとところにあつめることができないのだ。

「知的生産の技術」の基本は、あたえられた前後関係をこわして、あらたな組みあわせを発見するところにあるといえるでしょう。固定した観念にとらわれずに発想せよということだとおもいます。 

そして、有名になったあの「京大型カード」ができあがったときの様子がのべられていす。

自分で設計したものを、図書館用品の専門店に注文してつくらせた。それが、いまつかっているわたしのカードの原型である。

このカードは、たいへん評判がよくて、希望者がたくさんあったので、まとめて大量につくって、あちこちに分譲した。

ついにわたしは、文房具店の店先で、わたしのカードが製品として売られているのを発見した。その商品には、「京大型カード」という名がつけてあった。わたしは、いさぎよくパテントを京大にゆずることに決心した。

わたしも、『知的生産の技術』を読んで「京大型カード」を買った一人です。東京・日本橋の丸善まで買いにいきました。こうして、フィラー・ノートをカード式につかう方法とカードそのものをつかう方法を併用する期間がながくつづきました。


一方で、カードの苦労についてものべています。

いずれにせよ、野帳からカードに資料をうつしかえるという操作をふくんでいた。口でいえばかんたんだが、じっさいにはこれは、容易ならない作業である。野帳の分量がおおいと、野外調査からかえってからカードができるまでに数ヶ月を要したりした。


この問題は、わたしの場合は iPhone と Mac をつかうことにより解消されました。

iPhone で記録したデータは iCloue により Mac に同期されます。現場のデータはそのまま Mac で処理することができるので、転記の手間はかかりません。

カードという形にこだわるのであれば iPhone と Mac に付属しているアプリ Keynote をつかえばよいです。1枚1枚のスライドはカードとしてつかえます。これにはボイスメモ(ボイスレコーダ)機能もついていますし、写真などをペーストすることもできます。Keynote に現場でデータをどんどん記録していけよいです。あとで、カード(スライド)を入れかえたり、あたらしいカード(スライド)を挿入したりできます。

Mac 上で情報を処理するときには、Keynote の「表示」から「ライトテーブル」を選択すれば、画面上にカードを縦横にならべて、入れかえ・組みかえ・追加・挿入・削除などを自由にたのしむことができます。プレゼンテーション用のスライドや資料もできてしまいます。

しかし、形にこだわらないのであればワープロソフト(Pages など)をつかえばよです。コンピューターが発明されて、データ(ファイル)の入れかえ、挿入、組みかえなどは、カット&ペーストで自在にできるようになりました。どのようなアウトプットの形式を選択するかによってアプリをつかいわければよいでしょう。

先にもふれましたが、「知的生産の技術」の基本は、あたえられた前後関係をこわしてしまって、あらたな組みあわせを発見するところにあり、固定観念にはとらわれずに発想することであると言ってよいでしょう。形にとらわれるよりもその原理・本質に気がつき、それを利用することの方が重要だとおもいます


iPhone と Mac を iCloud で同期させるときの現時点での注意点は、OS のバーションです。

iPhone の iOS を最新の iOS 8 にアップグレードした場合は、Mac OS も最新の Yosemite にアップグレードしないと、最新の iCloud Drive がつかえず、Keynote と Pages の同期はできません(注)。これは重大な問題です。

つまり、iCloude を使う場合はつぎの組みあわせでつかわなければなりません。

 iOS 7:Mavericks
 iOS 8:Yosemite

Mac OS X を Yosemite に当面アップグレードする予定のない人は、iOS を iOS 7 のままにしておいた方がよいです。

新 iPhone の場合など、iOS 8 になっている場合、iOS 8 にした場合は、Mac OS X を Yosemite にアップグレードせざるを得ません。Mac OS X のアップグレードにあたっては、アプリの対応のおくれなどの不備もありえますので慎重さが必要です。


▼ 文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日 
知的生産の技術 (岩波新書)

▼ 注:iCloud Drive をつかうときの現時点での注意点
iCloud Drive を利用するためには、サービスのアップグレードが必要です。

その場合、Mac では、OS を最新の Yosemite にアップグレードしないとつかえません。アプリの対応の問題がありますので、 Yosemite へのアップグレードには慎重さが必要です。

Mac の OS が10.9 Mavericks 以前の場合、Yosemite、iCloud Drive にアップグレードしてしまうと、それまでの Documents in the Cloud が利用できなくなってしまうので注意が必要です。

Mavericks あるいはその他の OS の場合でも、HTML5 が使えるブラウザで、iCloud.com にアクセスすれば、iCloud Drive のなかを確認できます。Yosemite にアップグレードしていない Mac や、iCloud コントロールパネルをインストールしていない Windows の場合です。

梅棹忠夫著『知的生産の技術』はふるい本ですが、実に45年間にわたって読みつがれている名著です。本書のかんがえ方や原理は今でもそのままつかえます。というよりも、むしろ本書は現代の情報化を先取りした内容になっていて、今日の高度情報化社会でこそ大きな意味を生みだしています。時代が本書においついたと言ってもよいでしょう。

たとえば、第1章「発見の手帳」ではつぎのようにのべています。

「発見」というものは、たいていまったく突然にやってくるものである。毎日みなれていた平凡な事物が、そのときには、ふいにあたらしい意味をもって、わたしたちのまえにあらわれてくるのである。たとえば宇宙線のような、天体のどこかからふりそそいでくる目にみえない粒子のひとつが、わたしにあたって、脳を貫通すると、そのときひとつの「発見」がうまれるのだ、というふうに、わたしは感じている。
「発見」には、一種特別の発見感覚がともなっているものである。いままでひらいていた電気回路が急にとじて、一瞬、電流が通じた! というような、いわばそういう感覚である。そういう感覚があったときに、わたしはすばやく「発見の手帳」をとりだして、道をあるきながらでも、いそいでその「発見」をかきしるすのである。「発見」は、できることなら即刻その場で文章にしてしまう。もし、できない場合には、その文章の「見出し」だけでも、その場でかく。あとで時間をみつけて、その内容を肉づけして、文章を完成する。
「発見」には、いつでも多少とも感動がともなっているものだ。その感動がさめやらぬうちに、文章にしてしまわなければ、永久にかけなくなってしまうものでる。

「発見」についてとても興味ぶかいことを言っています。「発見」とは、外から何かがやってくる瞬間的な出来事であり、それをとらえる人がいてはじめて「発見」になります。そして「発見」には感動がともないます。つまり、外部(環境)とその人(主体)の両者がそろってこそ「発見」はなりたつのであり、そこには環境と主体との共鳴ともいえる現象がおこっているのです。

わたしも学生のころより本書を愛読し、フィールドノート(発見の手帳)やカード、ラベルなどをさかんにつかってきました。

しかし、いま現在は、このような紙でできた道具はほとんどつかわなくなりました。

今つかっているのは、iPhone  と タッチペン(スタイラスペン)と MacBook Pro です。

梅棹さんの「知的生産の技術」を“現代の道具”をつかって実践しているのです。むしろ、情報機器が発明されたために「知的生産の技術」は現実的に日々実践できるようになりました。前世紀の梅棹さんのころには情報機器がなかったために、紙の道具をつかって苦労しながら情報処理をしていたと言えるでしょう。

現代の「発見の手帳」としては iPhone がつかえます。iPhone は、iPhone 6 Plus がでてきてディスプレイが大きくなり一段とつかいやすくなりました

iPhone や Mac には「メモ」というアプリがついているので、これに「発見」を書きこんでいけばよいです。1行目は見出しにして、2行目以降に本文を書きます。どんどん書いていけばファイルが蓄積され、1行目の見出しだけの一覧(リスト)が自動的にできます。キーワード検索も簡単にできます。

iPhone にはボイスメモというすぐれた機能もついているので、何かを発見したりおもいつたときには iPhone にむかってしゃべれば「メモ」に文字として記録されます。ボイスメモはおどろくほど進歩していて、その文字変換精度の高さは驚異的です。

また、博物館や図書館などのなかにいたりして声がだせないときには、手書きメモソフト、たとえば「最速メモ」などをつかって、タッチペン(スタイラスペン)でメモをとります。「最速メモ」などは App Store から無料でダウンロードできます。タッチペンをつかわないで指で書いてもよいです。余裕があるときにはキーボードをつかってももちろんかまいません。

さらに便利なのは、iCloud 同期が自動的に瞬時に機能して、iPhone に書いたことはそのまま Mac で読むことができ、そのデータを Mac 上で自由に活用できます。「最速メモ」は Mac の iPhoto で見ることができます(iPhone「設定」で「写真」アクセスを許可にしておきます)。iPhone でとらえた情報はすぐに Mac で編集・処理ができるのです。

こうして、 iPhone は「発見の手帳」になりました。

iPhone のようなスマートフォンには、カメラ、ビデオ、地図、コンパス、時計、天気予報などもついてい、これ一台をもちあるいていれば大抵のことはできるので、実際には「発見の手帳」以上の取材の読具として機能しています。


▼ 文献
梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書)岩波書店、1969年7月21日 
知的生産の技術 (岩波新書)


▼ 関連ブログ
イメージ能力と言語能力とを統合して情報を処理する 〜 梅棹忠夫著『ひらめきをのがさない! 梅棹忠夫、世界のあるきかた』〜
情報の本質はポテンシャルである 〜梅棹忠夫著『情報論ノート』〜
情報の検索システムをつくる 〜梅棹忠夫著『メディアとしての博物館』〜
 

『増補改訂版 刑事コロンボ完全捜査記録』はミステリー・テレビ映画『刑事コロンボ』の解説書です。全69エピソードを徹底解析しており『刑事コロンボ』鑑賞ガイドとしておすすめします。

コロンボが、どのようにして犯人を特定し事件を解決していくか、特に、仮説を形成していくやり方が情報処理と問題解決の方法を理解するうえで参考になります。仮説を立てることは、情報処理と問題解決をすすめるなかでのキーポイントになります

わたしがおすすめする傑作は旧シリーズではつぎのとおりです。
 01『殺人処方箋』
 19『別れのワイン』
 25『権力の墓穴』
 34『仮面の男』
 36『魔術師の幻想』
 45『策謀の結末』

新シリーズではつぎのとおりです。
 51『だまされたコロンボ』
 55『マリブビーチ殺人事件』
 67『復讐を抱いて眠れ』

『刑事コロンボ』はくりかえして見る価値のあるするれた作品です。

わたしは『刑事コロンボ』を長年研究していて下記サイトも運営しています。ただいま増補改訂作業をすすめているところです。興味のある方はご覧ください。
推理と対決 -『刑事コロンボ』研究 - >
 

▼ 文献
町田暁雄&えのころ工房著『増補改訂版 刑事コロンボ完全捜査記録』(宝島社文庫)2014年3月6日 
増補改訂版 刑事コロンボ完全捜査記録 (宝島社文庫)

NHK歴史秘話ヒストリア(2014.10.15)で「飛鳥は石の都だった」と解説していました。

日本にもあった?謎の巨石文明 ~目覚める 飛鳥“石の女帝”~ >

清明天皇の陵墓(牽牛子塚古墳(けんごしづかこふん))は八角形のピラミッドでした。80トンの巨石の内部をくりぬいて石室をつくりました。

益田岩船(ますだのいわふね)などは、失敗作あるいは未完成の石室であるという仮説がたてられました。

石の都としての飛鳥は、朝鮮半島の百済と友好関係にあったことが大きく影響しています。

わたしがここでおもいだしたことは、川喜田二郎の「騎馬民族倭人連合南方渡来説」です。

どうして、飛鳥と百済とは友好関係にあり、白村江の戦いでは連合軍をつくって共に唐と戦争をしたのでしょうか?

「騎馬民族倭人連合南方渡来説」によれば、飛鳥の人々と百済の人々は民族学的におなじ起源をもち、南方から黒潮にのって北上してきた人々であり、その一方は九州から西日本に入り飛鳥にたどりつき、他方は朝鮮半島南西部(百済)にたどりついたのです。元々はおなじ人種ですから仲がよいのはあたりまえであるというわけです。白村江の敗戦で百済が滅亡したときには百済の人々が多数 日本にのがれてきました。現在の大阪や近江に居住したようです。

今回の番組ではここまでつっこんだ説明はしていませんでしたが、石室にかかわる仮説などはとても説得力があり興味ぶかかったです。

このように、仮説をたてて歴史をとらえなおすと、今まで見えていなかったことが想像できてとてもおもしろいです。仮説は、情報を処理し考察をすすめ問題を解決するのためのポイントになります。


▼ 関連ブログ
現場のデータにもとづいて仮説をたてる 〜川喜田二郎著『ヒマラヤ・チベット・日本』〜
仮説を検証し、体系化する 〜 川喜田二郎著『素朴と文明』〜

人が情報処理をおこなうとき、自分の意識(心)のなかに環境から情報をインプットすると、意識のなかでプロセシングがおこり、そしてその結果は環境にアウトプットされます(図)。

141105 自分と環境

図 自分と環境との「協働作業」により情報処理ができる。

ここでいう環境とは自分をとりまく周囲の空間であり、自分の体の外側の領域です。

〔インプット→プロセシング→アウトプット〕からなる情報処理は自分単独ではできず、環境がかならず必要です。環境があってこそ情報処理は可能です。ここでは、自分と環境との「協働作業」とも言うべきことがおこっています。

したがって、情報処理をおこなうときには自分だけを意識するのではなく、自分と環境の全体を意識した方がよく、自分と環境の全体が情報処理の場であり意識の場であるとかんがえた方がよいでしょう。

このような情報処理の観点から見ると、意識あるいは意識の場をもつ自分という存在は、環境にむかって大きくひろがっているとイメージした方がよさそうです。

 

今シーズンもMETライブビューイングがはじまりました。METとは、アメリカ・ニューヨークにあるメトロポリタン歌劇場のことです。

METライブビューイングは世界中の映画館で上映され、現代におけるオペラのスタンダードをつくりあげつつあります。多くのオペラファンは、まずライブビューイングを視聴して、そして気に入った作品があれば実際の劇場に足をはこぶというパターンを確立しつつあります。

こうした背景のひとつにはオペラの鑑賞料の問題があります。実際の劇場で上演されるオペラはチケット代がとても高額です。オペラは言わずもがなもっとも巨大な総合芸術であり、歌手以外にもかかわるスタッフが多数であり、装置も大がかりな物が多く、したがってお金がとてもかかり、それがチケット代に反映してしまいます。

しかし、ライブビューイングのチケットは1回あたり3600円と、普通の映画にくらべれば高いですが、オペラにしては手頃な価格です。

こうしてオペラファンはまずライブビューイングを見て、ときどき劇場に行ってライブを鑑賞するようになります。この過程では、ライブビューイングを基準にして、どの作品をライブで鑑賞するか、判断し選択するということがおこります。こうして、非常に多数の人々が見るライブビューイングがオペラのスタンダードとして確立されていきます。判断基準・評価基準が人々の意識のなかでできていくのです

これはかつて、ヘルベルト=フォン=カラヤンとベルリンフィルハーモニー管弦楽団が、LPやCDでクラシック音楽のひとつのスタンダードをつくりあげたことと似ています。

いずれも、メディアや情報化などの技術革新の時流にのって実現したことです

カラヤンのときは音声だけでしたが、今度のMETには映像も入っています。情報量は圧倒的に増えました。いいかえれば、今世紀になってから巨大な情報量をあつかえるようになり、ライブビューイングの配信は実現できたのです。

METライブビューイングのおもしろいところは、毎回 幕間に、歌手へのインタビューがあり、また舞台裏の様子をありありとうつしだしていることです。劇場では絶対に聞けない話を聞くことができ、劇場に行っても見られない所が見られるという特典つきです。これは今までになかった演出であり、あらたなチャレンジです。

今後、METライブビューイングは世界のオペラ水準を上げることに貢献するでしょうか、それとも、METの一人勝ちになるのでしょうか。

今シーズンのMETライブビューイングは名作が目白押しです。臨場感が味わえる中央の席で鑑賞するのがよいでしょう。また東京都内の場合、音質は、新宿・ピカデリーの方が銀座・東劇よりも圧倒的によいです。東劇は音が悪く、ヴァイオリンの音が金属音的に聞こえます。これはおもにスピーカーの善し悪しに起因します。オペラは長時間上演になりますので音質のよい映画館に行った方がよいでしょう。


METライブビューイング

「失速する iTunesミュージック 焦るアップルの過剰マーケティングにU2のボノもあきれる」という記事を見つけました(Yahoo!ニュース/ダイヤモンド・オンライン、10月29日)。

アップルの音楽ダウンロードサービスの「iTunes music」が、2014年初頭から13%も売上を落としたことが話題になっているそうです。
iTunes music のようなダウンロード型サービスにかわって台頭してきているのはストリーミングサービスです。ストリーミングは、自分のストレージに楽曲を保存・所有せずにインターネットを介して聞けるサービスであり、最近のユーザーはもっと軽快な方法で音楽をたのしみたいとおもうようになってきています。

このあたりの事情はクラウドについて理解するとわかってくるとおもいます。クラウドとはグーグルがおこなっているようなサービスであり、データはストレージにではなくクラウドにおいておき、ネットでいつでもアクセスできる仕組みになっています。最近、クラウドがいよいよ本格化しはじめたということが言えるでしょう。

この意味では、iPhone も iPod、iPad、Mac もまだクラウドストレージにはなりきっていません。最近発売され話題沸騰中の iPhone 6 においてでもそうです。ストレージ方式をまだひきずっているのです。

いずれ、デバイスはすべてクラウドデバイスになる時がやってきます。そのとき、情報革命はさらに一段 先にすすむことになるでしょう。

アップルは、ヘッドフォンとストリーミングサービスの会社であるビーツを30億ドルで買収、アップルの iTunes も来年には、ストリーミングサービスを iTunes に統合するとのことです。

情報処理をして文章を書く技術である「ラベル法」「編成法」「図解法」「作文法」は、単独でもつかえますが、くみあわせてつかうとより効果的です。各技術を整理し一覧するとつぎのようになります。


181112 アイデア発想法



▼「ラベル法」

▼「作文法」
たとえばつぎのような組みあわせがあります。

 「ラベル法」→「編成法」
 「ラベル法」→「図解法」
 「ラベル法」→「作文法」
 「ラベル法」→「編成法」→「図解法」
 「ラベル法」→「編成法」→「作文法」
 「ラベル法」→「図解法」→「作文法」
 「ラベル法」→「編成法」→「図解法」→「作文法」

「ラベル法」はすべての方法の基礎です。

みたりきいたりしてインプットされて情報は、 内面で処理され(プロセシング)、文章としてアウトプットされます。この過程でうまれたアイデアや仮説も文章にしてあらわします。

おくればせながら、Mac OS X Mavericks にアップデートしました。

App Store から指示にしたがってダウンロード、インストールしました。以前のように、クリアインストールをしなくても問題なく作動しています。

メモリーが小さくなり、空き容量がやや増えました。消費電力もおさえられバッテリーが以前よりも長持ちするそうです。

Finderタブにより、Finder 内のファイルをこれまで以上に簡単に操作・管理できるようになりました。タブを使えば、すべての Finderウインドウを一つにまとめることができます。

カレンダーは、月表示や週表示で次々にスクロールできるようになりました。月ごと週ごとにページが切りかわるのではなく、すべてが連続的に表示されるので、ある月の下旬と翌月の上旬、週末から翌週など、どの期間でもまとめて見ることができ、スケジュールの一覧管理が容易になりました。

このような一覧表示は、以前、「超整理手帳」という紙のスケジュール手帳で実現していて便利につかっていたことがありました。週末から翌週、月末から翌月というように、境界にとらわれずに連続的に一覧できるのはとても便利でした。

iBooks が搭載され、電子書籍が Mac でも読めるようになりました。オフィスワークが多い人にとっては便利です。

もっとも今週には、新 OS X の Yosemite がリリースされますね。

Mavericks に今日までアップデートできなかったのは、HP のプリンター・ドライバーが対応していなかったためです。HP は、Mac OS 対応がとてもおそことがわかりました。この点、キャノンは対応がはやいですから、プリンターを今後かう人はキャノンを選択した方がよいでしょう。


追記:Mac OS X Mavericks は、iCloud Drive をサポートしていないので注意が必要です。

『NHK 100語でスタート!英会話』(DVD+BOOK)の第2弾、オーストラリア編です。

本書で紹介している「100語」は、英会話でもっともよくでてくる重要な100のキーワードを、「コーパス」の結果をふまえて厳選したものです。「コーパス」とは、英語の使用データをコンピューターに大量にたくわえた言語資料のことであり、この100のキーワードを記憶することによって、英会話の約70%をしめる語彙が身につき、英会話の土台をしっかり構築できます。本書をつかって「あらたな100語の旅路へ」出発してみましょう。

IMG_1414
 

100のキーワードは以下のとおりです。〔〕内は、各場面(スキット)を想起するためのヒントです。

01 have (1) 〔マイクがホテルに到着する。〕
02 say 〔電話を切ったエドに、妻のサラが話しかける。〕
03 get (1) 〔マイクとエドは散歩しながら話している。〕
04 make (1) 〔エドがツアーガイドになる。〕
05 do (1) 〔ワインを飲みながら話している。〕
06 do (2) 〔トラムに乗ろうとしている。〕
07 will 〔マーケットに行く。〕
08 would 〔エドの家で食事をとる。〕
09 go (1) 〔食事が終わってくつろぐ。〕
10 go (1) 〔レストランでメニューをながめる。〕
11 come (1) 〔ビールを飲みながら話している。〕
12 come (1) 〔メルボルン博物館にやってくる。〕
13 be (1) 〔アボリジニの作品を見る。〕
14 be (1) 〔上司に見つかったらヤバイぞ!〕
15 what 〔かくれているエドのところにマイクとサラがやってくる。〕
16 which 〔ジュースを飲みながらあるいている。〕
17 see (1) 〔教会のなかを見学する。〕
18 see (2) 〔ショップでサラは帽子をえらぶ。〕
19 look (1) 〔トリムカーレストランでメニューを見る。〕
20 look (2) 〔料理がはこばれる。〕
21 know 〔ヤラヴァレーをおとずれる。〕
22 think 〔ワインテイスティングをする。〕
23 seem 〔ジラリンガにやってくる。〕
24 feel 〔コアラにミルクをやる。〕
25 want (1) 〔エドの家にて明日の出発について話している。〕
26 want (2) 〔サラにおねがいをしている。〕

27 like (1) 〔タスマニアのホバートに到着する。〕
28 like (2) 〔ガイドブックを手にしている。〕
29 can 〔ショッピングをしている。〕
30 could 〔ぬいぐるみを買う。〕
31 who 〔釣りをしている。〕
32 when (1) 〔エドは帰りたがっている。〕
33 take (1) 〔羊毛刈りをする。〕
34 take (2) 〔ユーカリの木を見る。〕
35 give 〔草原をあるきながら話している。〕
36 bring 〔バーベキューが焼ける。〕
37 tell (1) 〔野生動物公園にやってくる。〕
38 tell (2) 〔タスマニアデビルを見ている。〕
39 ask (1) 〔カンガルーに話しかける。〕
40 ask (2) 〔ウォンバットを抱いている。〕
41 talk 〔写真を撮っている。〕
42 speak 〔自転車に乗る。〕
43 hear 〔ホバートにもどってくる。〕
44 listen 〔音楽テープをわたす。〕

45 should 〔マイクは、日本の伊豆にやってきた。〕
46 must 〔マイクはケンジと出会う。〕
47 may 〔食堂にやってくる。〕
48 might 〔旅館に到着する。〕
49 find (1) 〔露天風呂に入る。〕
50 find (2) 〔日本食を食べる。〕
51 mean 〔金山に来る。〕
52 put (1) 〔神社に来る。〕
53 use 〔散歩中に飲物を買う。〕
54 work 〔仕事について話している。〕
55 have (2) 〔ケンジのアパートにやってくる。〕
56 get (2) 〔ベッドについて心配する。〕
57 leave (1) 〔ケンジの部屋で明日の予定について話している。〕
58 leave (2) 〔書き置きを読む。〕
59 keep (1) 〔マイクはカバンをぬすまれたと勘違いする。〕
60 keep (2) 〔マイクはエイミーを追いかける。〕
61 need 〔マイクはエイミーに電話をかける。〕
62 try 〔ランチの約束をする。〕
63 call 〔マイクとケンジはバーで話している。〕
64 turn 〔レストランでエイミーと再会する。〕
65 believe 〔再会をよろこぶ。〕
66 become 〔レストランのテーブルで話している。〕
67 run 〔誤解が解ける。〕
68 help 〔ケンジはマイクに感謝する。〕
69 and/so/but 〔メアリーがエドに電話をかける。〕
70 if 〔マイクが日本に行ったことをメアリーは知らなかった。〕
71 hold 〔エドがマイクに電話をする。〕
72 hope 〔マイクは、オーストラリアへむけて出発する。〕

73 when (2) 〔オーストラリアでマイクはエドと再会する。〕
74 as 〔メアリーが泊まっているホテルにマイクとエドはやってくる。〕
75 pay 〔マイクはお金を持っていない。〕
76 buy 〔マイクとエドはメアリーの話をしている。〕
77 that 〔メアリーはダイアンに電話をする。〕
78 that/which 〔メアリーとダイアンは再開する。〕
79 move 〔スイミング・ラグーンに来る。〕
80 follow 〔マイクは落ち込んでいる。〕
81 begin 〔乗馬をする。〕
82 start 〔ブーメランを投げる。〕
83 stop 〔サーフィンをする。〕
84 happen 〔メアリーの写真を見せる。〕

85 make (2) 〔モートン島にやってくる。〕
86 let 〔砂すべりに挑戦する。〕
87 suppose 〔イルカの餌付けに挑戦する。〕
88 wonder 〔メアリーとダイアンが話をしている。〕
89 remember 〔マイクとエドはケアンズに車でむかっている。〕
90 forget 〔昼食をわすれる。〕
91 show 〔メアリーとダイアンは熱帯雨林にやってくる。〕
92 watch 〔マイクとエドも熱帯雨林にやってくる。〕
93 write 〔マイクがメアリーに手紙を書いている。〕
94 meet 〔メアリーとマイクが再会して抱き合う。〕
95 break 〔写真を見せている。〕
96 set 〔レストランに行く。〕
97 change 〔ホテルのプールサイドでくつろぐ。〕
98 put (2) 〔旅行について話をしている。〕
99 pick 〔グリーン島の浜辺ですごす。〕
100 mind 〔マイクが船に乗りおくれる。〕



■ DVDをくりかえし視聴する

DVDをくりかえし視聴しながら、視聴覚体験を心のなかにしっかりインプットします。

聞きとれないところ、意味のわからないところについてはテキストをじっくりみ見て確認し、記憶します。



■ マイクがおとずれた場所を地図で確認する

マイクは、オーストラリアの、メルボルン(Melbourne)、ヤラヴァレー(Yarra valley)、ジラリンガ(Jirrahlinga)、タスマニア(Tasmania)、ゴールドコースト(Gold Coast)、ケアンズ(Cairns)、モートン島(Moreton Island)、グリーン島(Green Island)、また日本の伊豆、東京をおとずれました。

これらの位置を地図上で確認し記憶しておきます。地図は、記憶を定着させるためのもっとも基礎的な基盤です。

マイクがおとずれた場所を地図上でつないで大局をとらえると、 ストーリーがつくりだす空間(範囲)がとらえられ、全体が小さく見えてきて情報がとりあつかいやすくなります。

また、世界地図や地球儀でオーストラリアを見るたびに本書をおもいだし、その内容をつかうことができるようになります。情報が、オーストラリアの大地につながれているといった感じです。



■ 100の場面(スキット)を想起する

上記の 01〜100までのキーワードと想起のためのヒントを順番にみて、各場面(スキット)をイメージ(動画)として想起します。どこまで正確におもいだせるでしょうか。

それぞれの場面(スキット)は、キーワードが上部構造、スキットの動画が下部構造であるととらえることができます。

141013 キーワードと動画

図1 各場面(スキット)は、上部構造であるキーワード、下部構造である動画からなる


イメージがよくおもいだせない場面(スキット)についてはDVDを再度みて確認し記憶しなおします。

イメージがしっかり想起できるようになったら、話されていた英会話も記憶し、想起してみます。スキットの会話すべてを記憶する時間がないようでしたら、キーワードがふくまれている一文(例文)を記憶し想起できるようにします。

ポイントは、イメージを、言語の記憶のベースとしてつかうことです。イメージは記憶の基盤になります。



■ 100個のファイルを完成させる

図1において、上部構造のキーワードはラベル(標識)、下部構造は視聴覚体験あるいは情報の本体であり、これは1個のファイル(情報のひとまとまり)ととらえなおすことができます。

140927 ラベルと情報の本体380px

図2 ファイルの構造


キーワードはその場面を圧縮したラベル(標識)である一方、場面を想起するための引き金(手段)です。

キーワードと例文を想起しつかえるようになるためには、見通しのよいファイルをつくることが必要です。

そのためには、各場面を的確にインプットして、下部構造をしっかり構築するようにします。

また、出来事がおこっているひとつの空間を意識し、スキットをひとまとまりとしてとらえるセンスをみがきます。場面のひとまとまりとは、視聴覚体験のひとまとまりであり情報のひとまとまりです。ひとまとまりをはっきりさせるためには、前の場面から次の場面に転換するときの境界をしっかり確認するようにします。境界を明確にとらえることが肝要です。

また、DVDをたのしみながら見て、よい感情とともに記憶し想起すると学習効果は格段に高くなります。その意味では、最初の教材えらびも大事です。オーストラリアに興味があって是非いってみたい、あるいは行ったことがあるというのでしたら効果は非常に高くなるにちがいありません。DVD教材はほかの国のものもありますので自分にあった教材を検討するとよいでしょう。

こうして、視聴覚体験をファイルとして完成させ、見通しがよいファイルができると、ある場面がひとまとまりとして瞬時におもいだせるようになります。想起ができるということはキーワードがつかえるようになるということです。



■ つらなったファイルをイメージする

DVDで見られるストーリーは、このような100個のファイルがつらなってできたものです。ファイルがつらなっていることをイメージしてください。すると心のなかで体験が整理され、ファイルの見通しはさらによくなり、記憶が保持されるようになります。


141013 つらなったファイル

図3 ファイルがつながっているイメージ



■ ファイルを成長させる

このようにして100個のファィルをつくり、これらをストーリーにそってつなげておけば、ファイルが核になって英会話力をさらにのばしていくことができます。100個のファイルとこれらのつらなりはひとつの体系であり、もやや断片のよせあつめではありません。

そして、キーワードをくりかえしつかえばつかうほどファイルは強固なものになります。このようなファイルの体系は生き物のようにはたらいて成長していきます。



■ 海外旅行でファイル作成を実践する

上記の方法は海外旅行にそのまま応用できます。

旅行をしながら、それぞれの場面を意識し、場面のひとまとまりごとに一個のキーワードあるいはキャッチフレーズをあたえてノートに書きだしていきます。キーワードやキャッチフレーズはラベルであり、ラベルを書く作業はアウトプットですから、1回かきだすごとに情報処理を1回することになります。

そして、ひとつの情報処理をすると同時に1個のファイルが形成されることになります。

1回の旅行で、できれば100個のファイルをつくるとよいですが、100という個数にこだわる必要はありません。数がすくなくてもしっかりとしたファイルをつくることが大切です。

こうして、体験のひとまとまりを意識して、体験をファイルにし、体験ファイルを集積していけば、それは自分独自のつかえるデータバンクになります



▼ 引用文献
投野由紀夫著『NHK 100語でスタート!英会話 オーストラリア編』(DVD+BOOK)日本放送出版協会、2005年10月25日
NHK100語でスタート!英会話 (オーストラリア編) (NHK出版DVD+BOOK)


▼ 参考文献
栗田昌裕著『記憶力がいままでの10倍よくなる法』三笠書房、2002年5月 


▼ 関連ブログ
視聴覚体験とキーワードで情報の玉をつくる 〜 DVD『NHK 100語でスタート!英会話 〜アメリカ編』〜

新国立劇場の新制作、リヒャルト=ワーグナー作曲『パルジファル』を鑑賞してきました。

指揮:飯守泰次郞
演出:ハリー=クプファー
アムフォルタス:エギルス=シリンス
ティトゥレル:長谷川顯
グルネマンツ:ジョン=トムリンソン
パルジファル:クリスティアン=フランツ
グリングゾル:ロバート=ボーク
クンドリー:エヴェリン=ヘルリツィウス
合唱:新国立劇場合唱団・二期会合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

今回のハリー=クプファーの演出のテーマは「歪められた教えからの解放をねがい、彼らは「道」を歩んでいく」でした。クプファーはつぎのようにのべています。

私が考えるこの「救済」とは、ドグマからの解放、キリスト教の教えの歪曲・悪用からの解放だと思っています。イエスの言葉、新約聖書の内容が歪められるなど、長い歴史の中でキリスト教の思想の上に降り積もってしまったたくさんの「瓦礫」、それを全部取り除くことがここでの「救済」だと私は捉えています。それが『パルジファル』の作品全体の精神的な構造から私が導き出した結論です。

視覚的には、「光の道」がジグザグではあるけれどもはるかかなたまでつづいていきます。この「道」をあるいていくことが今回の『パルジファル』の基軸になっていて、それは時間をあらわしながらも、飯守泰次郞と東フィルが奏するうつくしい音響空間につつみこまれ、溶けこんで大きな空間に変容していく、そんな様子をイメージすることができました。

また、クプファーはクンドリーについてつぎのようにのべています。

彼女は、十字架にかけられたキリストを嘲笑したために呪われ、何度も生まれ変わって大変苦しい人生を歩まなければならない運命にある女性です。「生まれ変わる」というのは、むしろ仏教の輪廻転生の思想です。

この輪廻転生が、また、時間が空間になることをイメージさせます。

そして、このようにして時間が空間化していく過程で、ドグマから、あるいはキリスト教の教えの歪曲・悪用から解放されていくのです。これが「救済者には救済を!」ということです。ワーグナーとクプファーはこのようなメッセージをわたしたちにつたえたかったのではないでしょうか。

視覚と音楽のシンクロナイズ。演奏も演出もとてもすばらしかったです。このようなすぐれた総合芸術を堪能できる機会はめったにありません。是非とも再演をしていただきたいと新国立劇場におねがいします。

そのおりには、第1幕の「ここでは時間が空間となる」と、全曲の幕切れの「救済者には救済を!」についてしっかり検証してみたいとおもいます。

なお、わたしの今回の席は最上階の一番うしろ(4階の最後列中央)でした。新国立劇場オペラパレスは言うまでもなくオペラの専用劇場であり、もっともうしろの席からでも舞台全体が見え、音楽もよくひびくように設計されています。NHKホールのような巨大な多目的ホールとはちがい、うしろの席でも十分たのしむことができました。

「ラベル法」あるいは「編成法」によって、何枚かのラベルあるいは表札(要約ラベル)がアウトプットされた場合、それらをさらに処理して図解にする方法があります。

ある情報群が、図解をつくることによってイメージとしてグラフィックにとらえられるようになり、アイデアや仮説が出やすくなり、情報処理を一層すすめることができます。


「図解法」の手順はつぎのとおりです。これも情報処理の過程になっています。

141008 図解法の手順

図1 図解法の手順




たとえば、つぎの7枚のラベルあるいは表札(要約ラベル)が用意された例について説明します。テーマは「時代の潮流を洞察する」です。
キャンバス 1
図2 用意されたラベルの例



アウトプットとしてはこれらを箇条書きにするだけでもよいですが、図解としてアウトプットするとさらにわかりやすくなり、アイデアが出やすくなります。図解は、発想の手段としてつかえます。

図解をつくるためのラベル(あるいは要約ラベル)の総数は7±2枚とします。7は、人間が一度に知覚できる情報の最大数といわれています(マジカルナンバー)。図解では、パッと見てわかりやすいことを最優先にしますので、ラベルの数をしぼりこみます。ラベルの数が10枚以上の場合は「編成法」をつかって枚数を減らしておきます。




1.ラベルを見る

これら(図2)のラベルすべてをしっかり見て、心(意識)のなかにインプットします。

次に、それぞれのラベルに見出しをつけていきます。見出しは、ラベルに記されたメッセージの本質を要約した言葉であり、キャッチフレーズのように人の心をとらえやすい印象的な語句がのぞましいです。新聞の見出しのつけ方が大いに参考になります。


あたらしいラベルを用意し、見出しであることがわかるように赤色で記入し、元のラベルの上にのせていきます。
キャンバス 2
図3 見出しをつけた例(1)



 
キャンバス 3
図4 見出しをつけた例(2)

 


キャンバス 4
図5 見出しをつけた例(3)

 
 

キャンバス 5
図6 見出しをつけた例(4)

 


キャンバス 6
図7 すべてのラベルに見出しをつける



このようにして、すべてのラベルに見出しをつけます。




2.空間配置する

つぎに、見出しのラベルを空間配置します。ラベルを、さまざまにうごかしながらもっともわかりやすい配置をさがします。つぎの点に留意します。

 (1)もっともすわりのよい配置
 (2)もっとも多くの関係が表示できる配置
 (3)叙述化がしやすい配置
キャンパス 7
図8 空間配置の例



一般的に人間は、左上から右下に図面を見る傾向にありますから、そのことも考慮して配置するとよいです。

叙述化をしてみた一例はつぎのとおりです。

現代は、解体の時代であり民族紛争の時代です。このようなきびしい時代にもとめられるのは情報処理能力の開発であり、また、それを踏まえた社会格差の是正、女性の社会参画です。そして、ひとりひとりが全人的な生き方を追求し、一方で人類は自然との共生を模索します。




3.図解をつくる

テーマを上部に記入します。関係がつよい見出しラベルの間に関係記号を記入します。関係記号は線あるいは矢印などが一般的です。必要に応じて背景などを記入します。

図解の一例はつぎのとおりです。

キャンバス 8
図9 図解の例




見出しをつくった元のラベルを表示させてもよいです。

キャンバス 9

図10 図解の例(元ラベルを表示させたタイプ)







以上のように、「図解法」では図解がアウトプットされます。

たとえば、報告書などを書くときには本文とともに図解ものせるとわかりやすくなることがあります。プレゼンテーション(口頭発表)をするときには、パワーポイントやキーノートなどで図解のみをしめし、図解をさしながら口頭で(言語で)説明をするようにします。

あらたにおもいついたアイデアや仮説は図解上にメモしておきます。



▼ 参考文献
川喜田二郎著『発想法』(中公新書)中央公論社、1967年6月26日


スポンサーリンク

↑このページのトップヘ