発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

カテゴリ: 情報処理全般

フィールドワーク(現地調査)でえられた多種多量なデータを整理し文章化していく方法として「KJ法」(注)とよばれる方法があります。

今回は、このKJ法のなかのひとつのステップである「グループ編成」に注目し、情報処理の原則をそこからよみとってみたいとおもいます。

KJ法の「グループ編成」はつぎの3つの場面からなります。ここでいうラベルとはデータをラベルに記入したもののことです。

1.ラベル拡げ
2.ラベル集め
3.表札づくり


「ラベル拡げ」とは、データを目の前にすべてひろげて全体をよく見ることです。「ラベル集め」とは似ているデータをあつめてセットにすることです。「表札づくり」とはセットになったデータを要約して単文として書きだすことです。


一方、いわゆる情報処理はつぎの3場面からなりたっています(注2)。

1.インプット
2.プロセシング
3.アウトプット


以上から、「グループ編成」の3場面と情報処理の3場面とは対応させて理解することができます。

1.ラベル拡げ:インプット
2.ラベル集め:プロセシング
3.表札づくり:アウトプット


「ラベル拡げ」では、課題をめぐる状況を大観し、すべてのデータをかたよりなく全体的にまるごとインプットするようにします。

「ラベル集め」では、データを空間的に並列させて、類似性に着目しながらデータを空間的にうごかしていきます。つまり並列処理をするということです。並列とはいいかえると直列ではないということであり、データを、時系列あるいは前後関係では処理しないとうことです。そのためには空間をつかうことが必要になります。

「表札づくり」では、あつまったデータのセットを単文に要約して書きだします。つまりデータを統合します。ここではじめて本格的に言語がつかわれます。「ラベル集め」ではデータを並列させましたが、ここでは一転してデータを直列的に処理します。そもそも言語は、前から後ろにながれていく直列的なもの(時間的なもの)であり、言語は情報を統合する道具として有用です。空間ではなく言語をつかい、情報を順番に処理していきます。

KJ法は、フィールドワークでえられた情報(データ)を文章化するための方法(アウトプットの方法)ですが、「グループ編成」の3場面と情報処理の3場面とのあいだに対応関係がみられることから、心のなかでおこるプロセシングにおいては「ラベル集め」のような並列処理がおこっているのではないかと類推できます。心のなかは直接はみえないのでアウトプットから類推します。

以上から情報処理の場面ごとの原則としてつぎがうかびあがります。

第1場面:大観
第2場面:並列
第3場面:統合


モデル(模式図)であらわすとつぎのようになります。

150630 原則
図 情報処理の3原則 


第1場面では特定の物事にとらわれることなく、すべてを全体的にまるごととらえ受けいれます。第2場面では空間をつかいます。第3場面では言語あるいは時間をつかいます。

このように3つの原則を意識して、またつかいわけることによって情報処理あるいは仕事がスムーズにすすむとおもいます。




▼ 注1
川喜田二郎著『発想法』(中公新書)1967年
川喜田二郎著『続・発想法』(中公新書)1970年
川喜田二郎著『KJ法 渾沌をして語らしめる』中央公論新社、1986年

▼ 注2
見ることはインプット、書くことはアウトプットにあたります。本ブログでは、人がおこなう(人が主体になった)情報処理をとりあつかっています。

▼ 追記1
今回は、KJ法について説明するのが目的ではなく、情報処理の原則をあきらかにするのが目的であり、KJ法の「グループ編成」をサンプルとしてつかって情報処理について考察してみました。

▼ 追記2
第3場面でも全体がみえてきますがそれは第1場面とはことなり、正確にいうと第3場面では本質がみえてきます。この場面になると仮説やモデルなどが表現されるようになります。第1場面と第3場面のちがいに気がつくことも重要です。

▼ 追記3
なれてくると、インプット・プロセシング・アウトプットといった物理的なことよりも基本原則を意識することの方が重要になってきます。



MacBook
新しい MacBook(アップルのサイトより)

ヨドバシカメラのアップル・コーナーに行って 新しい MacBook(注1)をためしてみました。

その薄さ軽さにはびっくりです。キーボードもかなり薄くなりましたがつかい勝手がわるいとはおもいませんでした。またあらたに搭載された感圧タッチトラックパッド(Force Touch トラックパッド)(注2)ではさまざまな「小技」が体験できおもしろかったです。これの15インチモデルが将来でたら買いたいとおもいました。

感圧タッチトラックパッドは従来のトラックパッドとはちがい指でおしても下にしずみません。指のおす力を感圧センサーが感知し、リニアアクチュエータでパッド面を微妙に動かすことで指先にクリック感をあたえます。

またトラックパッドにふれる指の圧力のちがいをよみとることができるため、「軽いタッチ」や「強めのクリック」といった圧力の違いによる操作の区別が可能になりました

強めのクリック」ではつぎのような小技ができるようになりました。

  • フォルダやファイルの名称を変更する。
  • ファイルの中身をプレビューする。
  • 単語(テキスト)を「強めのクリック」により意味を表示させる。
  • 「Safari」で、リンク先のページをプレビューする。
  • 「プレビュー」で、筆圧を変えてのお絵描きをする。
  • 「カレンダー」でイベントの詳細をプレビューする。
  • 日付を「強めのクリック」で、「カレンダー」にイベントを追加する。
  • 「マップ」の特定の位置にピンをドロップする。
  • 「マップ」の縮尺を変更する。
  • 動画の早送り、巻き戻し、再生速度を変更する。
  • 使用中のアプリケーションのすべてのウィンドウを表示する。
  • 「Dock」のアイコンの「強めのクリック」は右クリックと同じ効果。
  • 「連絡先」の詳細を編集する。
  • 電話番号やメールアドレスを「強めのクリック」で「連絡先」にカードを追加する。
  • 「メッセージ」で「おやすみモード」の設定画面を表示する。

022
感圧タッチトラックパッドの環境設定画面


感圧タッチトラックパッドは、次期 iPhone にも搭載されると予想されています。この機能により端末の操作方法が豊富になり、iPhone のつかい勝手も一段と向上するといわれています。

今後のアップル製品の動向を予想するためにも感圧タッチトラックパッドを店頭でためしてみる価値はあるでしょう。


▼ 注1
新しいMacBook は現在12インチのモデルのみです。

▼ 注2
感圧タッチトラックパッドは、13インチおよび15インチ MacBook Pro にも現在では搭載されています。


インドの仏たちをみながら、仏教史を概観することができます。
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本ブログの前回の記事で、物語をイメージにし、それぞれのイメージを場所にむすびつけることが情報処理のために役立つことをのべました(注)。

物語 → イメージ → 場所

これは、本来は時間的な流れである物語を空間的にとらえなおす作業です。

時間 → 空間


しかしその逆のこともできます。ある地域の地図をみて、それぞれの場所に存在する造形(イメージ)に注目し、それらがつくられた年代をしらべてみると、その地域における物語あるいはその地域の歴史がわかってきます。

場所 → イメージ → 物語

これは、最初は空間的にとらえたものを時間的な(時系列の)流れとしてとらえなおすことです。

空間 → 時間

たとえば東京都の地図(あるいは Google Earth)をみるとさまざまな場所に特徴的な建造物があります。それらがつくられた年代を知れば、それらを今度は歴史的順序にならべてみることができます。つまり年表をつくったりあるいは文章を書いたりすることができます。

同様なことは自然の造形物できます。地質学者はある範囲を調査したら、化石や岩石や地形などのそれぞれが形成された年代を特定してその地域の自然史をあきらかにします。さまざまな化石や岩石や地形は空間的には今現在同時にみえているのですが、実際にはそれらはことなる時代にことなる条件下で形成されたものです。空間的に同時に存在するからといってすべてが同時に形成されたわけではない点に注意しなければなりません。

以上をまとめると、「物語→イメージ→場所」(時間→空間)という作業もできるし、その逆の「場所→イメージ→物語」(空間→時間)という作業もできるということであり、両者を自在につかいこなして時間と空間を往復できるようになると情報処理がすすみます。そのためにはイメージをうまくつかうことがポイントになってきます。

このようなことを意識しながら本を読んだり地図を見たりするとおもしろいでしょう。そしてつぎには実際に行ってみる、でかけてみる、旅行をしてみると体験がふかまりります。


▼ 注
物語とイメージと場所をむすびつける - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(7)「四相図」-


何らかの問題を解決しようとおもった場合、大局と局所をふまえ、「1. 大観 → 2. 行動 → 3. 考察」という3段階ですすんでいくとよいです。行動とは、大局をみて局所にきりこむことであり、問題解決のポイントは局所のせめ方にあります。


この問題解決モデルにおいて第3段階目の考察によって問題の本質がつかめれば、つぎにどの方向へすすめばよいかがおのずからあきらかになり、あららな一歩がふみだせます。つぎの曲面にむかって行動を展開できるわけです。

そのためには、行動は、目前の任務をただはたせばよいというのではなく、行動をしながらあわせて周囲をよく観察し、人々の声を聞きくようにします。つまり周囲の情報をしっかりインプットし情報処理をおこなうのです。情報処理がうまくできると問題の本質あるいは現場の本質にせまることができます。

このように問題解決と情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)とは別物ではなく、問題解決のなかで情報処理をくりかえしおこなわなければなりません。

このような意味では、「大観」の段階でも「考察」の段階でも情報処理がおこなわれます。つまり問題解決のそれぞれの段階の内部で情報処理がくりかえしおこなわれるのです。

こうして、情報処理をしながら問題解決の段階をすすんでいくと、大局を見て、局所をとらえ、本質にせまることができます(図1)。

150505 大局局所本質
図1 大局をみて局所をとらえ本質にせまる


問題の本質がわかってくると問題解決は一気にすすみます。

たとえば被災地において救助活動から支援活動へ、そして復興へと活動を展開していく場合にはこの点についてとくに留意しなければなりません。


▼ 関連記事
問題解決は3段階ですすめる - 大観 → 現地活動 → 考察 -
現場のニーズにもとづいて現地活動をすすめる
大局をみて局所にきりこむ - "Google Earth" → 行動 -
行動により局所をせめて問題を解決する - 1. 大観 →2. 行動 → 3. 考察 -
問題解決の各段階の内部で情報処理をくりかえす


ネパール大地震がおこってから半月がたちました。多くの救援隊や支援者が地震発生直後から被災地に入り現地活動をすすめています。時間の経過とともに活動内容は、被災者の捜索・救助から被災者や被災地の援助へ、そしてネパールの復興へと変化していきます。

外部から被災地に支援者が入って現地活動をおこなうときには、あくまでも被災地のニーズにもとづいて活動をすすめなければなりません。そのためには、まず、被災地をよく観察し被災者の声をよく聞くこと、ニーズ調査が必要です。そのようにしないで現場の声を軽視し、自分の思い・経験・知識を相手におしつけて行動すると被災地の役にたつことはできません。

このことは、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の観点からも理解できます。支援者が、被災地を観察し被災者の声をよく聞くということはあらたな情報をインプットすることです。そしてそれらの情報を処理して話をしたり、行動につなげていきます。話したり行動したりすることはアウトプットにあたります(図1)。このような情報処理の過程で自分の経験や知識もいかしていけばよいのです。

150509 被災地
図1 被災地のなかで支援者は情報処理をおこなう


これに対して、自分の思い・経験や知識などを優先して被災地の観察や被災者の声を軽視するということは、情報のインプットを止めてしまうということです。この場合は、思いや経験や知識といった支援者がすでにもっている過去の情報をひっぱりだしてきてアウトプットをすることになります(図2)。

150509b 被災地
図2 あらたなインプットをせず、すでにもっている情報からアウトプットするタイプ


これは「そんなことはわかっている」というタイプです。自分の思いがつよい人(自意識が過剰な人)や経験や知識が豊富な人ほどあらたなインプットができない傾向がありますので注意が必要です。

しかし、いいかえると経験が豊富で知識をたくさんもっている人であっても、自己にはとらわれずに、あらたなインプットと情報の処理がスムーズにできる人は現場のニーズに適切にこたえる行動ができるのです。

このようにして現地活動ではあくまでも現場のニーズにこたえていくことが必要です。


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問題解決は3段階ですすめる - 大観 → 現地活動 → 考察 -
現場のニーズにもとづいて現地活動をすすめる
大局をみて局所にきりこむ - "Google Earth" → 行動 -
行動により局所をせめて問題を解決する - 1. 大観 →2. 行動 → 3. 考察 -
問題解決の各段階の内部で情報処理をくりかえす


Mac OS X「Yosemite」付属のあたらしい「写真」アプリをためしてみました。ひとことでいえば「写真」アプリは「iCloud」(アップルのクラウド)の使用を前提としてつくられたアプリでした。

iCloud フォトライブラリ」という機能が「iCloud」にあらたにくわわり、これをオンにしておけばに写真と動画のオリジナルのすべてが「iCloud」に保存されます。

また、もっているすべてのアップル・デバイスで写真と動画が同期され、それぞれのデバイスには最適な画像メモリで保存・表示されます。

デバイスが手元になくても、ネットで「iCloud」に接続できればどこからでも「写真」にアクセスできます。

これらのすべての機能が全自動でおこなわれるのできわめて簡単、つかいやすさは抜群です。ケーブルでいちいちつないだり、「フォトストリーム」というわかりにくくエラーのあるアプリをつかう必要はもうなくなります。

問題は、「iCloud」のストレージ「iCloud Drive」の容量を増量しなければならないことです。5 GB までは無料ですがこれでは足りないことはあきらかであり、それをこえる場合は料金がかかります。

わたしはクラウドをためしている(実験している)ので 200 GB をあらたに購入しましたが、「iCloiud のストレージ」料金はあきらかに割高です。

しかし将来的には料金がやすくなるかもしれません。あるいは同料金でストレージ容量が倍増になるかもしれません。


今回は「写真」アプリについてためしてみましたが、本当の課題は「写真」アプリをつかうかどうかよりもクラウドになれることです。時代は、いよいよクラウドの時代に突入してきました。

クラウドが本格化する将来は、写真や動画のみならずすべてのデータをクラウドに保存しておくようになります。手元のハードディスクに自分のデータを保存しておくのではなく、外部サービスにデータをあずけておくようになるということです。

これは、自分のお金を銀行にあずけておくのと似ています。銀行をつかえば、必要なときに必要な金額のお金をあずけたり おろしたり送金したりすることができます。自分のお金をつねに手元においておく必要はありません。

この銀行のシステムと似ているのでクラウドは「データ・バンク」のシステムであるといってもよいでしょう。クラウドつまり「データ・バンク」をつかえば、必要なときに必要なデータをアップロードしたりダウンロードしたり転送したり共有したりすることが簡単にできるようになります。

すると Mac や iPhone や iPad は単なる端末にすぎなくなります。銀行でいえば ATM やインターネットバンキング・サイトです。

したがって Mac や iPhone や iPad などの端末にとらわれすぎずにクラウド(データ・バンクのシステム)をつかいこなすことをかんがえた方がよいでしょう。

クラウドの時代に重要なのは端末よりも情報処理の主体である人間(自分自身)の情報処理能力です。このようなシステムを道具としてつかって人間(自分)自身が情報処理能力を高めていくことが大きな課題になります。

このようなクラウドの時代に今からそなえておくことは重要なことだとおもいます。

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東京国立博物館の特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」(会期:2015年5月17日まで、注1)は仏教史を俯瞰できるまたとない機会でした。

わたしは会場の展示を見たあと、地図そして年表をみて理解をふかめました。ここには理解をふかめる3つの場面がありました。

展示 → 地図 → 年表

第1の場面では、各作品(展示物)をよく見るとともに、展示室(展示空間)全体にも意識をはらい大局をとらえるようにしました。これは展示を大観したといってもよいです。

インド仏教美術をみる - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(1) - >>
展示室に意識をくばって仏教史の大きな流れをつかむ - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(2) - >>


第2の場面では、南アジアの地図をつかって出土地や遺跡の空間分布をとらえました。地図がおもしろいのは、歴史的段階や時間軸にはかかわりなく、情報を一望して並列的にとらえられるところにあります。

各作品が出土した場所を地図でみる - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(3) - >>


そして第3の場面では、年表をつかって情報を歴史的な一本の流れのなかでとらえました。時間軸をつかうと情報を一本に統合することができます。物語とはこうしてあらわれてくるのだとおもいます。


つまり、第1場面では展示を大観し、第2場面では情報を並列的にとらえ、第3場面では情報を統合したというわけです。

大観 → 並列 → 統合

こららの3場面は、人がおこなう情報処理のひとつのモデルとしてつかえます。つまり、「大観→並列→統合」は「インプット→プロセシング→アウトプット」にそれぞれ対応させることができます。

インプット→プロセシング→アウトプット

インプットでは周囲を大観し、要素だけにこだわるのではなくその空間全体をまるごとインプットするようにします。プロセシングでは情報を並列的に処理します。アウトプットでは情報を統合してメッセージを相手につたえるようにします。

理解をふかめるということは現代の情報化の観点からみると、このような情報処理をすることであるととらえなおすことができるでしょう。
 

▼ 注1
東京国立博物館・特別展「コルカタ・インド博物館所蔵 インドの仏 仏教美術の源流」

▼ 関連記事
1枚のイメージで物語をあらわす - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(6)「ムーガパッカ本生」-
物語とイメージと場所をむすびつける - 東京国立博物館・特別展「インドの仏」(7)「四相図」-

時間と空間を往復する - 物語から場所へ、場所から物語へ -

世界遺産で仏教伝来の足跡をたどる -『世界遺産で見る仏教入門』-
ブッダの生涯と時代的背景を理解する - 中村元著『ブッダ入門』-
都市国家の時代の末期を検証する - 中村元著『古代インド』-
伝記と歴史書をあわせて読む - 釈迦の生涯と生きた時代 -


世界最大の旅行クチコミサイト「トリップアドバイザー」によせられクチコミ評価を独自に集計した旅行ランキング本の日本編です。実際に行ってよかった観光地やホテル・レストランなど様々なジャンルをランキング形式で紹介していて、旅の行き先やスタイルをきめるために役立ちます。また、ランキングというあたらしい視点から日本のよさを再発見することもできます。

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CONTENTS
特集 都道府県別代表観光スポット
1 外国人に人気の日本の観光スポット
2 人気の公園
3 無料観光スポット
4 人気のテーマパーク
5 人気のビーチ
6 日本の城
7 外国人に人気の日本のレストラン
8 朝食のおいしいホテル
9 100年以上の老舗宿
10 海辺のホテル&旅館

また Column としてつぎのランキングもでています。

外国人がクールと評価した日本の観光スポット 5
桜の名所 10
紅葉の名所 10
工場見学&社会科見学 5
動物園 10
水族館 10
ローカル線 5
展望スポット 10


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自分がかつておとずれた場所がランキングに入っているか入っていないか、入っていた場合の順位はどうかなどを見るだけでもおもしろいです。ランキングを意識することにより、ただ単に平面的に見ていたときよりも立体的によりふかく対象が見えてきます。

ランキングで観光地をとらえなおすというのは最近あらわれてきたあたらしい視点といえるでしょう。旅行や観光地に関する情報もあふれかえるようになって全体像や大局がつかみにくくなってきたために、ランキングを基軸にして情報を整理・紹介するトリップアドバイザーのようなポータルサイトが出現してきした。本書は「書籍版ポータル」といってもよいでしょう。

本書の利点は国内観光に関する大局がとりあえずつかめるところにあります。大局がつかめるとつぎの一歩がふみだしやすくなります。本書でランキングされた人気観光地に行ってみるのもよいですし、ランキングに入っていないあまり人が行かない所(秘境)をさがして行ってみるのもよいでしょう。


▼ 引用文献
『トリップアドバイザー 旅行なんでもランキング 日本編』昭文社、2014年12月1日 
トリップアドバイザー 旅行なんでもランキング 日本編 (国内 | 観光 旅行 ガイドブック)

▼ 関連記事
ランキングをみて旅の行き先やスタイルをきめる -『旅行なんでもランキング 世界編』-
日本の原風景をみる - 青柳健二『行ってみたい日本人の知恵の風景74選』-
街道別の国内旅行ガイド -『地図と写真から見える! 日本の街道 歴史を巡る!』-
絶景に接し、絶景を心のなかにとりこむ 〜 詩歩著『死ぬまでに行きたい!世界の絶景 日本編』〜


本多勝一著『極限の民族』をよむと、イニュイ民族(カナダ=エスキモー)、ニューギニア高地人、アラビア遊牧民のそれぞれの民族について知ることができます。それは同時に、彼らの生活様式と彼らをとりまく自然環境を理解することでもあります。

それぞれの民族はそれぞれに知恵をはたらかせて、衣服や道具や家をつくりだし、狩猟や牧畜の方法を開発して、その地域独自の自然環境に適応して生活していました

民族(人間)と自然環境とのあいだには相互作用があり、その相互作用のなかから衣服や道具や家や方法などの生活様式が生まれてきたということを読みとることができます(図1)。

150407 民族-生活様式-自然環境
図1 民族と自然環境との相互作用により独自の生活様式が生まれた。


このように民族と生活様式と自然環境とをセットにしてひとつの体系(システム)としてとらえるとわかりやすいです。
 
そしてこの体系においておこっている相互作用は、自然環境から民族への作用と、民族から自然環境への作用という方向のちがう2種類の作用がみとめられます。自然環境から民族への作用は「インプット」民族から自然環境への作用は「アウトプット」とよぶこともできます(図2)。

150406 民族-生活様式-自然環境
図2 民族と自然環境とのあいだでインプットとアウトプットがおこっている。


これらの作用をとおして情報の流れがおこり、それぞれの民族は無意識のうちに「プロセシング」をおこなって知恵をはたらかせて生活様式を開発してきたといえるでしょう。つまり、知恵をはたらかせるとは情報処理をおこなうことだといいかえることができます。

このように「民族-生活様式-自然環境」をひとつの体系(システム)とみなして本書を読みなおしてみると、一見複雑でわかりにくい「異民族」の世界がよく整理されて理解しやすくなるとおもいます。


▼ 引用文献
本多勝一著『極限の民族』(本多勝一集 第9巻)1994年2月5日
極限の民族 (本多勝一集)  

▼ 関連図書


▼ 注
人がおこなうアウトプットとはプロセシングの結果を顕在化させることであり、書いたり話したりすることだけでなく、表現したり、つくったり、生みだしたり、成果をあげたり、行動したりすることもアウトプットであるととらえることができます。

▼ 関連記事
3つの民族を比較しながらよむ - 本多勝一著『極限の民族』(1)-
極端を知って全体をとらえる - 本多勝一著『極限の民族』(3)-


加藤芳樹著『アウトドアで役立つ185のコツ』は、山・川・海など野外をたのしむための準備やポイントを写真とイラストでわかりやすく解説しています。アウトドアライフの入門書としておすすめします。

目次
第一章 アウトドア装備のコツ
第二章 テント生活を楽しむコツ
第三章 食事タイムを楽しむコツ
第四章 フィールドを歩くコツ
第五章 楽しみを広げるコツ
第六章 トラブルを回避するコツ

第一章「アウトドア装備のコツ」ではウェアとシューズについて解説しています。とくにレインウェアについては必読です。

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第二章「テント生活を楽しむコツ」では、キャンプ、テント、寝袋、マット、明かりなどについて解説しています。とくにヘッドランプについては必読です。

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第三章「食事タイムを楽しむコツ」では、調理道具、飲料水、食材、火などについて解説しています。野外での食事は本当にたのしいものです。

第四章「フィールドを歩くコツ」では、ザック、パッキング、あるき方、天候予測、地図の読み方などについて解説しています。アウトドアの持ち物については必読です。

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第五章「楽しみを広げるコツ」では、花、紅葉、動物、釣り、海岸、写真撮影などについて解説しています。

第六章「トラブルを回避するコツ」では、危険な動植物、至芸線、雪・川・海の危険回避などについて解説しています。


アウトドアをたのしみたい場合、野外で何をするかをまずは決めて、それにあわせてウェアや道具をそろえることになります。そのために本書はとても参考になります。

ウェアや道具を買うのでしたらモンベル(実店舗あるいはネットショップ)がおすすめです(注1)。何でもそろいます。わたしはこれまでに、石井スポーツ、好日山荘、ニッピンなどをわたりあるきましたが、最後にモンベルに到達しました。価格はリーズナブルで、質は高く、接客もよいです。イベントや社会活動などもとてもすぐれています。


▼ 注1
モンベル(mont-bell)(公式サイト)
モンベル(mont-bell)(Amazon ネットショップ)
 

▼ 引用文献
加藤芳樹著『フィールドライフをもっと楽しむ! アウトドアで役立つ185のコツ』(コツがわかる本)メイツ出版、2009年7月15日
アウトドアで役立つ185のコツ (コツがわかる本!)


『はじめて学ぶ世界遺産100』の第6章から第9章では 47 件の世界遺産を解説していまます。以下にリストアップしておきます。第9章では自然遺産をとりあつかっています。

本書は、さまざまな世界遺産を全体として非常にバランスよく選択してとりあげており、人類の歴史と地球の多様性が短時間で効果的にとらえられる仕組みになっています。歴史と多様性を、世界遺産という具体な物と場所でつかめるというのが大きなポイントです

今回は、No.54〜No.100までの世界遺産の場所をおぼえてみたいとおもいます。本書を見おわったら下のリストだけを見てそれぞれの場所をおもいだしてみます。どこまで正確におもいだせるでしょうか。おもいだせない場所があったら本書をすぐにひらいて確認します。

第6章 アメリカ、アフリカ、オセアニアの文明と東アジアの変動
54 マチュ・ピチュ
55 チチェン・イツァの古代都市
56 ナスカとフマーナ平原の地上絵
57 ラパ・ニュイ国立公園
58 北京と瀋陽の故宮
59 フエの歴史的建造物
60 伝説の都市トンブクトゥ
61 大ジンバブエ遺跡
62 ウルル、カタ・ジュタ国立公園

第7章 近代国家の成立と世界の近代化
63 ヴェルサイユ宮殿と庭園
64 マドリードのエル・エスコリアール修道院と王立施設
65 シェーンブルン宮殿と庭園
66 ポツダムとベルリンの宮殿と庭園
67 ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター・アビーとセント・マーガレット協会
68 サンクト・ペテルブルクの歴史地区と関連建造物群
69 自由の女神像
70 フォンテーヌブロー宮殿と庭園
71 ウィーンの歴史地区
72 ニュー・ラナーク
73 アイアンブリッジ峡谷
74 シドニー・オペラハウス
75 ブラジリア

第8章 テーマでみる世界遺産
76 コルディリェーラ山脈の棚田
77 アランフエスの文化的景観
78 ワルシャワの歴史地区
79 ドゥブロヴニクの旧市街
80 バムとその文化的景観
81 アッシジのサン・フランチェスコ聖堂と関連建造物群
82 バーミヤン渓谷の文化的景観と古代遺跡群
83 エルサレムの旧市街とその城壁群
84 ロベン島
85 ゴレ島

第9章 世界の自然遺産
86 カナディアン・ロッキー山脈国立公園群
87 ユングフラウ-アレッチュのスイス・アルプス
88 ピレネー山脈のペルデュ山(複合遺産)
89 ハワイ火山国立公園
90 カムチャッカ火山群
91 ロス・グラシアレス国立公園
92 ノルウェー西部のフィヨルド、ガイランゲルフィヨルドとネーロイフィヨルド
93 ヴィクトリアの滝(モシ・オ・トゥニャ)
94 イグアス国立公園
95 バイカル湖
96 マラウイ湖国立公園
97 グレート・バリア・リーフ
98 エル・ビスカイノ鯨保護区
99 ンゴロンゴロ自然保護区
100 中央アマゾン自然保護区


▼ 文献
世界遺産検定事務局著『はじめて学ぶ世界遺産100』マイナビ、2013年12月21日
はじめて学ぶ世界遺産100 世界遺産検定3級公式テキスト


▼ 関連記事
世界遺産を旅する -『はじめて学ぶ世界遺産100』-
100の地点を地球認識のとっかかりにする(1) -『はじめて学ぶ世界遺産100』-

『はじめて学ぶ世界遺産100』は世界遺産に関する非常にすぐれたガイドブックです。

本書の第2章から第5章まででは 53 件の世界遺産を解説しています。掲載順に通し番号をふって以下にリストアップしておきます。

世界遺産についてよく知りたい方は、まず第一に、本書にでている地図をよく見ながら各遺産の場所(位置)をおぼえるようにします。そして、本書を見おわったら以下のリストを見て(地図は見ないで)その場所(位置)をおもいだしてみます。どこまでおもいだせるでしょうか。おもいだせない場合は地図を見なおして確認します。場所(位置)をおぼえ想起できるようになることは記憶法あるいは学習法の基本といえるでしょう。

世界はとてもひろくて情報があふれかえっています。地球は大きいくてつかみどころがないような感じがします。漠然とながめているだけでは認識はふかまらないでしょう。

そこで「世界遺産100」が利用できます。本書を手がかりにして100ヵ所のポイントがおさえられれば、それらは世界あるいは地球を認識するためのとっかかりになります。そしてそれらが「情報の核」になってさらに情報があつまってきます。

第2章 日本の世界遺産との関連から 
01 セレンゲティ国立公園
02 サガルマータ国立公園
03 ラリベラの岩の聖堂群
04 始皇帝陵と兵馬俑坑
05 ガラパゴス諸島
06 トンガロリ国立公園
07 アルベロベッロのトゥルッリ
08 文化交差路サマルカンド
09 サンディアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路
10 カルカッソンヌの歴史的城塞都市
11 ポトシの市街
12 モン・サン・ミシェルとその湾
13 アウシュビッツ・ビルケナウ - ナチス・ドイツの強制絶滅収容所(1940-1945)-
14 グランド・キャニオン国立公園
15 宗廟(チョンミョ)

第3章 人類の誕生と古代文明 
16 アルタミラ洞窟とスペイン北部の旧石器時代洞窟壁画
17 アワッシュ川下流域
18 ストーンヘンジ、エイヴベリーの巨石遺跡
19 高敞(コチャン)、和順(ファスン)、江華(クアンファ)の支石墓石
20 ペルセポリス
21 フェニキア都市ビブロス
22 ヌビアの遺跡群
23 メンフィスのピラミッド地帯
24 アテネのアクロポリス
25 デロス島
26 ローマの歴史地区
 
第4章 アジア世界の形成と宗教
27 万里の長城
28 曲阜の孔廟、孔林、孔府
29 アンコールの遺跡群
30 ボロブドゥールの仏教寺院群
31 ラサのポタラ宮歴史地区
32 オルホン渓谷の文化的景観
33 高句麗(コグリョ)古墳群
34 敦煌の莫高窟
35 アジャンターの石窟寺院群
36 スコータイと周辺の歴史地区
37 『八幡大蔵経』版木所蔵の海印寺
38 イスタンブルの歴史地区
39 イスファハーンのイマームの広場
40 タージ・マハル
 
第5章 ヨーロッパ中世とルネサンス、大航海時代
41 パリのセーヌ河岸
42 ヴァチカン市国
43 ヴェネチアとその潟
44 ハンザ都市リューベック
45 グラナダのアルハンブラ宮殿、ヘネラリーフェ離宮、アルバイシン地区
46 カステル・デル・モンテ
47 アヴィニョンの歴史地区:教皇庁宮殿、司教の建造物群、アヴィニョンの橋
48 アイスレーベンとヴィッテンベルクのルター記念建造物群
49 フィレンツェの歴史地区
50 プランタン=モレトゥスの家屋・工房・博物館とその関連施設
51 ピサのドゥオーモ広場
52 メカラとジョージ・タウン:マラッカ海峡の歴史都市
53 モスクワのクレムリンと赤の広場


▼ 文献
世界遺産検定事務局著『はじめて学ぶ世界遺産100』マイナビ、2013年12月21日
はじめて学ぶ世界遺産100 世界遺産検定3級公式テキスト


▼ 関連記事
世界遺産を旅する -『はじめて学ぶ世界遺産100』-

『はじめて学ぶ世界遺産100』は世界遺産検定3級に合格するための公式テキストですが、受検をしない人が読んでもおもしろく、世界遺産を旅するための手引きとして役立ちます

検定の教科書だけあって多数の専門家のチェックがはいっており、情報(データ)が非常に正確なのが最大の特色です(注)。通常の旅行ガイドとはレベルがちがいます。

目 次
1章 世界遺産の基礎知識
2章 日本の世界遺産
3章 人類の誕生と古代文明
4章 アジア世界の形成と宗教
5章 ヨーロッパ中世とルネサンス、大航海時代
6章 アメリカ、アフリカ、オセアニアの文明と東アジアの変動
7章 近代国家の成立と世界の近代化
8章 テーマでみる世界遺産(文化的景観、戦争・紛争、地震、危機遺産、負の遺産)
9章 世界の自然遺産


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本書は、日本の世界遺産17件と世界の遺産100件を厳選してとりあげていて、これらは世界遺産のいわば「情報の核」としてつかえます。

本書のページを順にめくっていくと全体として人類の歴史をたどることができます。読みものとしてもおもしろいです。

一方で世界地図もついていますので、自分の興味のある地域の世界遺産を地図から検索してしらべてみるのもよいでしょう。わたしは、チベット・南アジアと環太平洋に興味があるのでそこを中心にしてながめています。


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旅行計画をたてるときの参考書としてもつかえますので世界遺産に関心のある方におすすめします。


▼ 文献
世界遺産検定事務局著『はじめて学ぶ世界遺産100』マイナビ、2013年12月21日
はじめて学ぶ世界遺産100 世界遺産検定3級公式テキスト


▼ 注
世界遺産の最新情報は下記サイトをご覧ください
http://www.sekaken.jp/books/pdf/text_class3_201502.pdf


▼ 関連記事
心のなかにファイルをつくる 〜『きほんを知る世界遺産44』〜
場所に情報をむすびつけて記憶する -世界遺産・記憶法-


▼ 関連書

国立国語研究所編『分類語彙表』の後半には50音順に単語を配列した索引が掲載されています。これをつかっておもいついた単語を検索し「分類語彙表」をみて類語をさがせる仕組みになっています。

この後半の「50音索引」と前半の「分類語彙表」とを見くらべれば、「分類語彙表」が視覚的空間的にわかりやすいことがよくわかります。「分類語彙表」にはつかみどころがあるということが一目瞭然です。

「50音索引」はくりかえし見ていても意味はありませんが、「分類語彙表」はくりかえし見る価値があり、見れば見るほど見えてきます

ここに、情報処理をすすめるうえでの重要なヒントがあるとおもいます。情報を記憶したり活用しようとおもったら、それらを音でとらえているよりも視覚的空間的構造的にとらえたほうがよいのです。

体系的に類語が分類・配置されているということは、それぞれの単語に、空間あるいは構造のなかで特定の位置があたえらているということです。

つまり、「50音索引」では単語が「音情報」になって順番にならんでいるだけなのに対し、「分類語彙表」では単語が「位置情報」になっているのです。配列の原理が両者でちがうことに注意してください。

たとえばインターネットなどでキーワードをねらいうちにしてその意味だけをとらようとする方法(いわゆるキーワード検索)は「50音検索」に相当します。このような通常のキーワード検索にくわえて、「分類語彙表」あるいはその他の類語辞典を利用した方法も身につけると言葉の世界が急にひろがってきます。
 
こうして「位置情報」として情報を処理することは情報処理能力をたかめることになるでしょう。日本語のみならず外国語の能力向上にもつながります。




▼ 関連辞書


Mac OS X を、「Mavericks」から最新の「Yosemite」(バージョン10.10.1)にアップグレードしました。

「Yosemite」の最大の特色は、iOSデバイス( iPhone / iPad )と Mac との連携機能です。

iOS デバイスと Mac との連携機能をつかいたくて、かつ、約2年前よりもあたらしい Mac をもっている人は、「Yosemite」にアップグレードする価値があるとおもいます。ただし、iOS が iOS 8 である必要があります(注:ふるい Mac ですと、不具合が生じたり、処理速度がおそくなったりするので注意が必要です)。


「Yosemite」は、iOS 同様に、フラットデザインになり画面の見た目の印象がかわりました。フラットデザインは iOS との連携を視覚的にも強調しています。

「Yosemite」の新機能は、「Handoff」や「電話」、「iCloud Drive」などさまざまです。以下に、注目の機能について要約してみます。

  • Handoff」を使うと、iOS デバイスでの作業をそのまま Mac にひきついだり、Mac から iOS デバイスにひきつぐことが可能です。
  • Mac 同士または iOS デバイス同士でしかできなかった「AirDrop」によるファイル転送が、Mac と iOS デバイス間でもできるようになりました。
  • iPhone の通信回線を使ってインターネットに接続できる「Instant Hotspot」は、Wi-Fi 環境がない場所でも、Macからインターネットに接続できる機能です。
  • iCloudでは、「iCloud Drive」というオンラインストレージが使用できるようになり、Mac の Finder から簡単にアクセスできるようになり、あたらしいフォルダーもつくれます。あらゆる種類のファイルをすべて iCloud の中に安全に保存でき、保存したものには、iPhone、iPad、iPod touch、Mac、Windowsパソコンからいつでもアクセスできます。iCloud では 5GB のストレージを無料で利用できます(それ以上のストレージは有料です)。
  • Mail Drop」は、メールアプリで大容量の添付ファイルを送信できる機能です。大きなファイルのやりとりが多いMacユーザーにはつかってほしい機能です。
  • 新しい「Safari」はより高速で動きもなめらか、iOSデバイスでひらいているページを Mac でも参照できるようになりました。
  • iPhone にかかってきた電話を Mac で受けたり、Mac から iPhone を通して電話することができます。Mac での作業中にバッグの中に iPhone を入れたままにしておいても大丈夫です。また、SMS/EMS を Mac のメッセージアプリでやりとりできる機能も追加されました。


ひとことでいえば、「Yosemite」と iOS 8 は、クラウド時代の本格的な幕開けをもたらすことになるでしょう。これからの時代は、Mac や iPhone や iPad は端末として機能することになるので、これらのハードウェアにはとらわれすぎずに、あくまでも、クラウドのシステムをつかっていくという立場にたった方がよいでしょう。

「Yosemite」にアップグレードして、あたらしいクラウドあるいは連携機能をためしてみる価値は十分にあるとおもいます。


Apple - OS X Yosemite - 概要 >>


▼ 関連記事
Mac と iOS 􏰀􏰀端末との連携機能を体験する - アップルストア表参道 -
「OS X Yosemite 10.10.2」にアップデートする - Time Machine が iCloud Drive に対応 -
iCloud Drive をつかう

150104 国立民族学博物館 世界地図
国立民族学博物館の世界地図

これは、国立民族学博物館の地域展示のコンセプトにそってつくられた世界地図です。展示ガイド(注)から引用しました。地球上を、文化的なまとまりにもとづいて、9つの地域に分けています。これは、わかりやすい世界の見取り図としてつかえます。

それぞれの地域の文化的特色をつかむためには宗教について知ることが重要です。この地図から、世界の宗教の分布も見えてきます。大局的に見ると、たとえば、つぎのような地域と宗教との対応関係があります。宗教を、空間的なひろがりとしてとらえなおすことができます。

 ヨーロッパ:キリスト教
 中央・北アジア:イスラム教、キリスト教
 西アジア:イスラム教
 南アジア:ヒンドゥー教
 東アジア
  チベット:チベット仏教
  中国:儒教(一部は道教)
  日本:日本仏教
 東南アジア:上座部仏教(一部はイスラム教)
 アメリカ:キリスト教

西アジアに北アフリカがふくまれているところなどに注目してください。


また、いわゆる文明との対応関係もあります。伝統的な文明を空間的にとらえなおすことができます。

 ヨーロッパ:ヨーロッパ文明
 西アジア:イスラム文明
 南アジア:ヒンドゥー文明
 東アジア
  チベット:チベット文明
  中国:中国文明
  日本:日本文明


この世界地図をおぼえておけば、世界のニュースやグローバルな情勢に接したときに理解がすすむとおもいます。


博物館のなかをあるいて見学すると、各展示物とその解説は、博物館のなかの特定の展示室での体験として記憶されます。

そして一通り見おわったら、それぞれの展示室での歩行体験、展示物を見たときの体験を、この地図上でとらえなおしてみるとよいです。すると、それまでの体験が、今度は、地図上の特定の地域にむすびつけられて理解され記憶されることにもなるのです。

こうして、この世界地図の9つの地域は、それぞれが情報のひとまとまり、情報のユニット、つまりファイルになります。すると、この地図は、そのようなファイル(展示物のイメージや解説などの情報)を想起するためのインデックス・マップとしてもつかえるようになります。折にふれてこの世界地図を見なおすことにより、博物館のなかでの体験を、地域ごとにおもいだすことができるのです。

* 

国立民族学博物館には、かならずしもそのことがガイドにしめされているわけではありませんが、理解や記憶や学習のための よくできた仕掛けが随所にあります。情報処理の訓練と世界の理解のために、とてもつかい勝手のある博物館だとおもいます。


▼ 注
『国立民族学博物館展示ガイド』国立民族学博物館、2012年3月30日 


国立民族学博物館 >> 

国立民族学博物館などの博物館のなかをあるきながら、さまざまなことをまなんでいくことはとてもたのしいことです。最近の博物館には、音声ガイドや電子ガイドもあるので、このようなガイドもつかえば理解と記憶は一層すすみます。

博物館のなかをあるきながら学習をすすめる方法は、本を読むだけの学習とは大いにことなります。

博物館では、歩行という行為が基礎になって、それに視覚や聴覚がくみあわさって情報のインプットがすすみます。自分がどこをどうあるいたかは、博物館のフロアーマップを見ればわかります。すると、あるいた場所に、さまざまな情報がむすびついて記憶されることになります。

こうして、すべての情報は、博物館のなかにおける独自の体験として心のなかに蓄積されていきます。体験のなかには、おどろいたり感動したりしたこともふくまれます。

アウトプットをおこなうときにも、その体験からおこなえばよいです。

このような方法は、行動しながら情報処理をすすめることだと言ってもよいでしょう。

旅行は、現地をあるくたのしみだけではなく、事前の計画・準備、そして、かえってきてからの取りまとめ、ふりかえりというたのしみもあります。つまり旅行には、旅の計画、現地での行動、旅の取りまとめ、という3回のたのしみがあります。

150104b 旅の3段階
図 旅行は3回たのしむ

そして、このような、旅行の3つの段階のそれぞれにおいて情報処理がおこります。


1. 計画する
旅行のガイドブックや地図・ウェブサイトを見ることはインプット、ガイドブックなどの内容を理解し、行き先を決めることなどはプロセシング、日程などを書きだしたりすることはアウトプットです。

 インプット: ガイドブックなどを見る
 プロセシング:ガイドブックなどを理解する
 アウトプット:日程などを書く


2. 行動する
旅行にでかけて現地をあるいて、見たり聞いたり、あるいは五感を総動員してさまざまな体験をすることはインプット、感動したり理解したりして心の内面に変化がおこることはプロセシング、メモをとったりスケッチをしたりすることはアウトプットです。

 インプット: 五感をはたらかせる
 プロセシング:内面の変化がおこる
 アウトプット:メモ・スケッチなどを書きだす


3. 取りまとめる
かえってきてから、旅先でとった写真やメモ、あつめた資料などを見なおすことはインプット、それらをとらえなおし、内容を消化することはプロセシング、旅の記録などを書きだすことはアウトプットです。この3段階目ではアウトプットが重視されます。

 インプット: 写真やメモを見なおす
 プロセシング:とらえなおす
 アウトプット:旅の記録などを書きだす



このように、旅行には3つの段階があり、これらの段階の内部で情報処理がおこっていることに注目するとよいでしょう。

旅行は、かえってきてから、とらえなおしをおこない、取りまとめをしてこそ完結するとおもわれます。取りまとめをおこなうことによって、旅の体験は、現地にいたときよりもさらにふかまります。

また、取りまとめをしておけば、しばらく日にちがたってからでも、それを見なおすことにより、たのしかった旅行の体験をありありとおもいおこすことができます。

この、しばらくしてからの旅の想起をいれると、旅は4回たのしめると言ってもよいかもしれません。あるいは、旅の思い出はいつでも再利用できると言ってもよいでしょう。




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写真1 大阪市立自然史博物館のネイチャースクエアの入り口

大阪市立自然史博物館を先日みました。別館のネイチャースクエア「大阪の自然誌」の展示がとても充実していました。この部屋の展示は「自然史」ではなくて「自然誌」でした。特に、里山に注目することにより、大阪の人々と自然環境とのかかわりについて理解することができました。

このネイチャースクエアは、大阪にのこっている自然と人間とのかかわりをまなぶための部屋であり、大阪の海・川・水辺・平野・丘陵・山地などについて、そこで見られる生き物や地層を、また自然観察コースなどを具体的にしめしながら解説していました。

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写真2 展示室の内部


大阪も都市化がすすみ、特に、1960年代以降、丘陵地帯の開発いちじるしかったそうですが、それでも、いくらかの自然が細切れになりつつものこっています。

大阪府下の林は、クヌギ・コナラ・リョウブなどの落葉広葉樹に赤松がまじった林が多く、そこは、さまざまな植物や獣や昆虫が生息していて、里山になっていました。丘陵地帯には、薪をとる山・草地・ため池・田んぼ・社寺林などがくみあわさってできた里山が発達しました。

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写真3 里山の展示


かつて人々は、原生林をきりひらいて田畑や居住地として利用し、さらに、集落の周囲の林を、燃料や用材・肥料・山菜などをえるために利用してきました。自然のいとなみと人間のはたらきの調和によって里山は維持されていました。

近年では、こうした里山は利用されなくなりましたが、この博物館は、里山の意義をとらえなおして、のこされた里山を大切な林として保護し、後世にのこしていこうと活動をすすめているそうです。環境保全のために、里山があらためて注目されています。


このような里山をモデル(模式図)で簡略にあらわすとつぎのようになります(図1)。

141227 自然誌
図1 人々と自然環境との相互作用により里山が生まれた

人々は、自然環境から恩恵をうけつつ、それをうまく改良・利用して生活をいとなんでいました。そのような、人々と自然環境との相互作用により里山が生まれました。里山とは、本来の自然ではなく、人々が改良した二次的な自然のことです。

これを、さらに単純化するとつぎのようなモデルになります(図2)。

141227 主体-環境
図2 主体-環境系のモデル

人々とは、その地域の主体であり、自然環境は簡略に環境とよぶことができます。主体が、環境からさまざまな事物をとりいれることはインプット、一方、環境に対してさまざまな働きかけをし、環境を改良していく行動はアウトプットととらえることができます。主体は、その過程で情報を消化し、情報処理をしているわけです。

インプットやアウトプットをより効果的におこなうために、人々は、さまざまな技術を発達させました。技術は成長するとその地域の文化となります。上記の里山は、このような過程でつくられてきたとモデル化できるのではないでしょうか。したがって、里山は、その地域独自の技術や文化をつくりだすものととらえなおすこともできます。

図2の主体-環境系のモデルは、〔インプット→プロセシング→アウトプット〕という、ひろい意味の情報処理系であると見ることができます。


このようなモデルをもって、「大阪の自然誌」を見てみたところ、人間から自然環境までを総合的にとらえなおすことができました。

大阪平野は大阪の中心部になっていて、それを、千里・京阪奈・泉北・羽曳野などの丘陵がかこんでいます。丘陵の背後には山地が、手前には大阪湾があり、中央には、大阪湾にむかって淀川がながれています。「大阪の自然誌」の各展示物の空間配置が、このような自然誌をモデル化した構造になっていました(図3)。


141227 ネイチャースクエア

図3 ネイチャースクエア「大阪の自然誌」展示室の案内図
(空間配置が、大阪の自然誌をモデル化した構造になっていた)


博物館の自然誌展示は、一見、複雑でわかりにくいと感じますが、このように、モデルをつかうことによって見通しが非常によくなり、見おわったあと、すっきりした気持になって帰宅することができます。


大阪市立自然史博物館 >>
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