発想法 - 情報処理と問題解決 -

情報処理・学習・旅行・取材・立体視・環境保全・防災減災・問題解決などの方法をとりあげます

カテゴリ: インプット

この年表は、宇宙の誕生から現在までの138億年の歴史を、倍率のちがう10個の「レンズ」を通して理解するための資料です。

縮尺のことなる10本の年代軸を「レンズ」とよびそれぞれの時間スケールで見たときにあらわれる重要なイベントが10本の年表にしめされています

ポイントをピックアップします。
年表の年代軸は左から右に若くなり、いずれも右端が現在になる。

150億年、50億年、6億年、7000万年、600万年、100万年、20万年、2万年、2000年、200年と縮尺のことなる10本の年代軸(レンズ)を用意している。

1つの年表における右端の部分についてレンズを1つ拡大したものが、下の年表になっている。

いくつかの年表では、気温や酸素濃度、海水準などの変動曲線もあわせて示し、その時代にどのような環境変動があったのか、視覚的に理解できるようにしている。

この年表を活用して、「時空を自在に飛ぶ感覚を、ぜひ味わっていただけたらと思う

本書が、宇宙の誕生から現在までのシームレスな地球史を認識する手助けとなり、われわれ地球人が進む未来像を考えるうえで少しでもお役に立てれば幸いである。

慣れてきたら、ぜひレンズ11として「自分史・家族史」を作ってもらいたい。われわれの人生も地球の歴史の一部であり、そして、現在がこれからの未来へつながる位置にあることを実感できるはずである。


レンズ1:宇宙史(150億年前〜現在)
138億年前、無からの猛烈な体積膨張「インフレーション」で宇宙の歴史ははじまった。

レンズ2:地球史(50億年前〜現在)
45億5000万年前に地球の核ができる。最古の生物化石は35億年のものである。

レンズ3:顕生代(6億年前〜現在)
5億3000万年前におこった「カンブリア大爆発」により生物は大型化した。

レンズ4:新生代(7000万年前〜現在)
グリーンハウス(温室世界)からアイスハウス(氷室世界)へ徐々に気候が寒冷化する時代である。

レンズ5:人類時代(600万年前〜現在)
440万年前にラミダス猿人、350万年前に二足歩行、人類が進化する。

レンズ6: 氷河時代(100万年前〜現在)
地球規模の寒冷化が顕著になる。

レンズ7:最終氷期(20万年前〜現在)
19万5000年前、ホモ・サピエンスが出現する。

レンズ8:先史・文明時代(2万年前〜現在)
1万6500年前、縄文時代が始まる。

レンズ9:歴史時代(2000年前〜現在)
375年、大和政権が成立する。

レンズ10:近現代(200年前〜現在)
産業革命がおこる。2度の世界大戦がおこる。

この資料は、時間スケールのことなる10本の年表を同時に一覧できることに最大の特色があります。この「スーパー年表」を見ると、レンズ(時間スケール)のとり方によって、歴史の見え方ががらりとことなってくることがよくわかります。

これは、空間的な見方と対比するとおもしろいです。空間スケールのとり方によっても世界の見え方はかなりちがってきます。たとえば、地表から地上を見る、高い塔から地上を見る、高い山から見る、人工衛星から見る、月から地球を見るなど、空間的な視点を変えると見える範囲・精度は変わってきます。レンズの倍率によって見える世界はことなるわけです

このような、空間的な視点・スケールを変えて見ることは比較的やりやすかったのですが、一方の時間的なスケールを変えて見るという見方は今まではむずかしかったです。多くの人々の場合、上記のなかの「歴史時代」あるいは「近現代」ぐらいしか視野に入っていない状況ではないでしょうか。

そのような意味で、「空間レンズ」ならぬ「時間レンズ」を提供するこの「スーパー年表」は画期的であり、このような時間スケールごとに複数の年表を対比・一覧できる資料は今まではなかったです。

この「スーパー年表」を見ていると、人間の存在が、宇宙空間のなかで小さな存在であるばかりでなく、時間的歴史的にも小さな存在であることがとてもよくわかります。

まずは、この「スーパー年表」を活用して10種類の時間「レンズ」を身につけるのがよいでしょう。

そして、それぞれの「レンズ」(時間スケール)で歴史をとらえなおし、それぞれの「レンズ」を通して見える歴史イベントを想像(イメージ)してみるとよいでしょう。どこまで想像できるでしょうか。歴史とは想像するものです。よく想像できない場合は本書の解説書をみたり、インターネットで検索したりして理解をふかめることが大切です。

このようにして、時間を自在にとびながらイメージ訓練をしていると、今までの固定した見方から脱却でき、さまざまな観点からしかも重層的な見方ができるようになり、あらたな発想も生まれやすくなります。


文献:清川昌一・伊藤孝・池原実・尾上哲治著『地球全史スーパー年表』岩波書店、2014年2月18日


140410

空間記憶法の実践形態のひとつとして、大きな書店をつかって記憶する方法があります。

先日わたしは、池袋にあるジュンク堂書店にいってたくさん本を読んできました。

まずフロアーマップをみて、どのフロアーの、どこの場所に、どの分野の本があるかを頭にすっぽり入れます。

そして、最上階から下の階へおりながら本を読んでいきました。9階では、動物写真集を見て、仏像の本、地方コーナーで沖縄の本を読んで、印象派の画集を見て、『齋藤秀雄語録』、『ラインの黄金』などを読みました。次に7階におりて、自然地理、チベット、ヒマラヤ、『地球史年表』を見ました。6階では、ウェブサイト・マニュアル、アップル・マニュアル。4階では宗教。1階では最新刊本、NHKテキストなどを読みました。

ジュンク堂書店のよいところは、各階に椅子と机がおいてあり、つかれたらすわって本を読むことができることです。

そしてもう一度、フロアーマップを見直し、読んだ本の内容を一気に想起しました。フロアーマップを見れば、どこでどのような本を読んだかをすぐに思い出せます。本の中身は、本の中の重要なページや写真・図表などを、イメージとしてまず想起することが基本です。

内容を想起するときには、その本を読んだその場所(空間の様子)とともにその内容をおもいだすようにします。その空間を視覚的に(イメージとして)おもいだすことにより、その本の内容をおもいだせるかどうか訓練します。

以上の方法を整理すると次のようになります。 

 1)大型書店のフロアーマップ(書店の構造)をすっぽり頭の中にインプットします
 2)本を読む場所を確認・意識しながら、本を読みます
 3)フロアーマップを手がかりにして、読んだ場所(空間)と本の内容を想起します

こうすれば、書店という立体構造の中に、本の情報をうめこんで記憶することができ、その大型書店は巨大な「情報倉庫」となって、フロアーマップは、情報想起のためのインデックス・チャートとして利用できます。これは、気軽に楽しく行動しながら記憶ができる方法です。

なお、どうしても必要だとおもった本は買ってかえればよいです。上記の記憶法をもちいれば、本当に必要な本がどれであるか明確になります。

▼ジュンク堂池袋本店
http://honto.jp/store/detail_1570019_14HB320.html 

高度情報化社会をむかえ、速読法や記憶法を情報処理の観点からとらえなおすことが重要になってきました。

速読法と記憶法とは相互補完の関係にあり、両者をくみあわせて実践することにより相乗的な効果をあげることができます

具体的には、速読で概略をつかみここぞというところをしっかり記憶するのです。

速読法では本を読むのに極力時間をかけません。その第1の目的はその本の概略をつかむことであり、大局を見ることであり、要点を瞬時につかむことです。

概略をつかむことには時間をかけないことがポイントであり、そもそも大局を「見る」ことには時間はかからないのです。

しかし、重要な事柄はしっかり記憶しておかなければ知識をつかいこなすことはできません。そこで今度は、多少時間がかかっても、「ここぞ」という重要な箇所(部分)はしっかり記憶するのです。

ここでは、「ここぞ」の選択が重要になってきます。課題によって人によって、おなじ本を読んでも「ここぞ」はちがってきます。

「ここぞ」という重要箇所を選択するためにも大局を見る必要があるのです。大局が見えれば選択しやすくなりますが、大局を見ないで選択すると、あとで迷路にはまります。

たとえば、1冊を速読し(大局を見て)、ここぞというページを何ページか選択して、そこに関しては記憶法をつかってしっかり記憶します。写真や図表があれば記憶しやすいでしょう。
 
あるいは、課題をきめて、その課題に関する本を10冊ぐらい一気に速読します。そして、これという重要な本や気に入った本を2〜3冊選択し、それに関してはしっかり記憶するという方法がよいでしょう。

速読する技術を解説した本です。速読ができるようになれば、「膨大な情報を、高速に取り組んで素早く理解し、的確に残して臨機応変に活用する」ことができるようになります。現代の高度情報化社会にあってはとくに重要な技術です。

速読は、従来の音読・黙読とはちがい、空間のなかで視覚で文章をとらえることによって可能になります。以下に本書の要点を書きだしてみます。

速読力で得た重要な情報を記憶し蓄積することは、知的情報処理の根幹を築き、記憶して想起すること自体が快感を生みだす。

従来の読書で使う場所「言語脳」は作業が遅く、加速が困難であり、記憶容量も少ない。

それに対して「視覚脳」は、加速が容易で、記憶容量も膨大で、知能全体の高まりを生み、さららに心身のさまざまな領域とつながって効果を生みだす。

あらゆる知的な情報処理には、「入力→処理→出力」という一連の働きがある。
 「入力」とは情報を入れること(=読むこと)。
 「処理」とは情報を内部で独自の仕方でとらえること(=理解すること)。
 「出力」とはとらえた結果に基づいて反応すること(=活用すること)である。

栗田式速読法は、その一連の知性の働きを、「分散入力→並列処理→統合出力」という新しい方式に進化させて、情報処理能力を加速するオリジナルな技術である。

速読では、大脳の中を情報が流れる情報の筋道を「空間的な経路」に変え、情報の流れを空間的に制御する。

読書の進化の4段階により、「音の読書」から「光の読書」へ進化を果たす。
 「かたつむり読書」
 「尺取り虫読書」
 「面の読書」
 「蝶の読書」
「蝶の読書」とは、頁の広がりを空間の出来事と見なして読む方式である。

速読をしたら、すぐに振り返って想起し、内容を書き出してみよう。このとき、書かれた内容が、どこに書いてあったかという位置(場所記憶)がともなうようにする。

中心視野だけをつかうのではなく、周辺視野を開発し、網膜の全域で対象をより精密に見る能力を高める(周辺視野の開発)。

対象のもつ大局的な情報と局所的な情報を同時に入力できる目をつくる。これは 大きな目と小さな目を同時に働かせることでもある(ホロニックな見方の開発)。

情報の階層性を理解し、ホロニックな目を獲得できると、人生観ががらりと変化する。

視覚の場を利用して、心の中を再構成していく。人間は視覚に関連するニューロン(神経細胞)が圧倒的に多い生物なので、見てわかるという能力は非常に強い。

以上のように、文章を音読・黙読するのではなく、文章を視覚的にとらえ、視覚に関連する領域を活性化させることが重要です。このことがわかると従来の音読・黙読をいくらはやくしても速読にはならないことがわかってきます。

このように視覚をきたえて、空間の中で対象をとらえ、心の中も空間化すれば、記憶力や想起力・想像力も強化され、並列的な情報処理ができるようになり、さまざまなアイデアも生まれやすくなるでしょう。


文献:栗田昌裕著『頭がよくなる速読術』中経出版、2010年10月23日
 
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関連ブログ:速読の近道は風景の見方にある 〜 栗田昌裕著『これは使える!【図解】栗田式速読トレーニング』〜

立体視をしながら目をよくするための本です。立体視のやり方と立体視の効果の説明とともに、動物の3D写真が数多く掲載されています。

立体視のやり方は、36〜49ページにでています。まずは、ここを見て立体視の練習をはじめるとよいでしょう。

本書の要点はつぎのとおりです。
「眼力は「眼球(目)」と「脳」の2段階で成立しています。立体視訓練は、2対の画像を融合して一気にみる訓練であり、第1段階は眼球の訓練、第2段階は脳の訓練になっています。

立体視で生じる内面空間は「仮想現実の空間」(バーチャル・リアリティの空間)であり、これは、平面に表示された図や写真から、大脳の働きによってより高次の空間が仮想的に構築されることで生ずるものです。

立体視は、それができれば終わりというのではなく、それをスタート地点としてさまざまなヒーリング効果や能力開発効果を得ることを目標にしています。


66ページからは、たくさんの動物の3D写真が掲載されています。シンガポール動物園にはわたしも行ったことがあり、そのときの体験をたのしくおもいだしました。

立体視はすぐにできなくても、毎日練習しているうちに次第にできるようになります。立体視が一瞬できたとおもったら、しばらくの間それを保持するように努力してみてください。ずーっと見つめているとよりよく見えてきます。

また、動物をみながら、同時に、その周辺の様子も周辺視野をつかって立体的に見ることができるように努力していきます。

本書の3D写真を毎日すこしずつ見て、まずは、立体視になれるところからはじめるのがよいでしょう。

文献:栗田昌裕著『3D写真で目がどんどん良くなる本【動物編】』(王様文庫)三笠書房、2002年4月20日
 

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本書は、新聞(紙面)を読むことにより、次の7つの力をみがくことができると解説しています。

・書く力
・伝える力
・見せる力
・数字力
・ニュース力
・想像力
・コミュニケーション力
新聞の朝刊1部には、新書版の書籍2冊分の膨大な情報が詰まっていて、その紙面には、いろいろな工夫がなされています。たとえば、
・決められた紙面の中で、簡潔に分かりやすく伝える工夫
・忙しい人たちのために、見出しでパッと全体像をつかむ工夫
・文字だけでなく写真でも、記事内容を説明する工夫
これらのポイントを知るだけで、新聞は読みやすくなり、さまざまなスキルを磨く手助けになる

と著者はのべています。

新聞(紙面)を読む人は近年すくなくなってきているようですが、新聞は、情報処理あるいは速読の訓練のためにとても有用です。

新聞(紙面)がすぐれていることのひとつは一覧性です。大きな紙面、大きな空間に多種多様な情報が配置されています。ここではレイアウトも重要です。

その空間の中で情報をよみとり、そのレイアウト(構造)のなかで情報を記憶することができます。これは、空間を利用した情報処理の訓練になっているのです。しかも、書籍よりも紙面が圧倒的に大きいため、おおきな空間の中で情報処理にとりくむことができ効率がいいです。

情報は、ただ単に取得すればよいというものではなく、インプットの仕方を工夫しなければなりません。大きな空間をつかってまるごと一気にインプットすることはとても大切なことです。したがって、新聞は、読むのではなく、まず、「見る」ことが重要です

よくできたアウトプットをだすために、 空間的な情報処理訓練の教材・テキストとして新聞を活用していきたいものです。


文献:池上彰著『池上彰の新聞活用術』ダイヤモンド、2010年9月30日(電子版2012年7月1日)
 
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「モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新」(国立西洋美術館)(注)を先日みました。

風景にそそがれたモネの「眼」の軌跡を、絵画空間の構成という観点から、他の作家の作品との比較しながらたどります。国内有数のモネ・コレクションをほこる国立西洋美術館とポーラ美術館の共同企画展です。

わたしはいつものように、館内をゆっくりあるきながら、まず、展示されているすべての作品を一気にみてしまいます。

そして次に、気に入った一枚の絵の前に行き、数分をかけてその絵を今度はじっくりとみつめます。そしてイメージトレーニングに入ります。今回は、クロード・モネ『セーヌ河の日没、冬』(1980年 ポーラ美術館蔵)を選択しました。

* 

目の前にひろがるその風景の全体をすっぽり心の中にいれたあと、夕日と夕焼け、それらがつくりだす陰影 、河・水・岸・対岸・木々、雲がつくりだす模様など、各要素の形と大きさをひとつひとつ丁寧にみていきます。

次に、今度は目を閉じて、今みた風景と各要素をありありとおもいだしてみます。自分自身の心の中で、モネの風景をイメージし、再現しとらえなおしてみるのです。

そして目を閉じたまま、今度は絵の世界の中へ入りこんでしまいます。わたしは、セーヌ河の河岸を自由にあるきまわり、そして空にまいあがります。上空からみると、みえなかったところも今度は自由に想像してみることができます。

東西南北からセーヌ河がうかびあがります。対岸の街並はどこまでもひろがっています。夕日はしだいにしずんでいき、夕焼け色のうつくしい世界がひろがります。その後、色彩感ゆたかな空間だけがのこり要素はなくなってしまいました。

そして、ふたたび美術館にもどってきます。

* 

このようなイメージトレーニングはとてもたのしい体験です。

対象の中に入りこみ、その世界を立体的にみて体験することにより、風景は、より鮮明に感動をともなってみえるようになります。 視野のひろがりのなかのそれぞれの場所でそれぞれの要素を記憶することもできます。

こうして、この日の美術展での体験は、一生に一度の、かけがえのない思い出となります。この日この場所をわすれることはもうありません。

このようなイメージトレーニングは、眼力の訓練でありますが、記憶法や能力開発の訓練にもなっています。


注:
「国立西洋美術館×ポーラ美術館 モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新」
会期:2013年12月7日(土)~2014年3月9日(日)


▼ 参考文献:高橋明也監修『モネと画家たちの旅 -フランス風景画紀行-』西村書店、2010年1月15日

▼ 関連記事
旅をしながら内面世界をゆたかにする 〜『モネと画家たちの旅 -フランス風景画紀行-』〜
美術館でイメージトレーニングをする 〜「モネ、風景をみる眼」展 〜
イメージ訓練「拡大縮小法」にとりくむ - オルセー美術館展 -
色がまざって見える - 特別展「新印象派 光と色のドラマ」-
遠くからみて、近くでみて、離れてみる - 「モネ展」-
見る仕組みを知る - 藤田一郎著『「見る」とはどういうことか』-

 

本書は、速読法を身につけるためのトレーニング本です。

多種多様な情報があふれる今日、速読法は、情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)の中の第一場面、すなわち心の中に情報をインプットする方法としてとても有用です。私も長年、速読法(栗田式SRS速読法)の訓練をしています。

本書で私がおもしろいのとおもったのは、「速読の近道は風景の見方にある/写真を一分間見て、最大の情報を得る」(14ページ)から、「新聞の紙面を風景としてとらえて速読する」(32ページ) へとつらなり、「『画像メモリ』を自由に活用できるようにする」(56ページ)へと深化、そして「立体的に対象を見て視覚的知能を高める」(76ページ)に発展するところです。

こうして速読法の訓練は、眼力訓練から記憶法の訓練にもつながっているのです。

このような流れのなかで、「『きちんと見る』ことと、周辺視野で『大きく見る』こととを同時におこなう訓練」がくりかえされていきます。

著者は、「本を読んでわかるということは、読者の内面と本のページの上の情報との間に共鳴が生じることです。だから、速読力を高めるには共鳴力を高めることが大事なのだ」とおしえています。

「速読の訓練が、直観力を磨き、大局をとらえる訓練になってい」て、「潜在能力を最大限に開発するのに役立つ方法」になっています。こうして、能力開発の入口として速読訓練がなされていくのです。

他書とちがって大判で図解がみやすく、とてもわかりやすいです。速読法の入門書として本書をおすすめします。


文献:栗田昌裕著『これは使える!【図解】栗田式速読トレーニング』PHP研究所、2005年4月27日
 

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新聞の紙面は、見出し・記事要約・記事本文から基本的になっています。つまり、まず見出しがあって、最下段に記事本文があり、両者の中間に要約が配置されています。

記事要約は記事本文を要約した文であり、見出しはその要約を圧縮したフレーズです。要約は記事を統合し、見出しは要約を統合しています。

構造的にみると、見出しはいちばん高い位置にあり、記事本文は底辺にあって、見出しは、より高い位置からこまかい情報を統合しています。

このように、新聞の上にのっている情報群から3次元空間をイメージすることが可能です。要約と圧縮表現をすることにより、情報は3次元の立体空間をつくりだすことになるのです。

新聞を読むときにこのような立体空間をイメージすると情報処理の効率は格段にあがってきます。

フィールドワークでは、現地あるいは現場の観察が必須であり、そのためには観察力を常日頃から強化しておくことが重要です。

観察とは、言語(書籍)からではなく、視覚情報を環境から吸収することであり、イメージで外界をとらえることです。つまり、言語を通さないで風景などをダイレクトに感じとり、言語をもちいないで映像としてその場をとらえることです。

そのためには視覚をするどくするとともに、イメージ訓練をするのがよいです。たとえば旅先で風景をみたら、目をつぶってそれを思い出す(想起する)訓練をします。時間があれば、風景をみないで思い出しながらその風景をノートにスケッチしてみます。風景を見ながらスケッチする(うつしとる)のではありません。あくまでも想起するところに訓練の基本があります。どこまで正確に想起してイメージをえがけるでしょうか。

このようなイメージ訓練をしながら、風景を構成する地形や川・建物さらに人に意識をくばるようにします。

このような観察はフィールドワークの入口として機能し、観察がよくできるとその後のフィールドワークを大きく展開させることができます。そして、環境や地域をよりよく知ることにつながってきます。

フィールドワークや旅行をするときに、Googleマップと Google Earth はとても役にたちます。

まず、フィールドワークや旅行にいく前に、Googleマップと Google Earth をつかって こらからいく場所のパノラマ的なイメージをえて、その場の全体を心の中にすっぽりいれてしまいます。これは、部分をつみあげて全体をつかもうとするのとはまったくちがい、全体を一気に見てしまう行為です。

そのうえで現地にいき、こんどは地上からそれぞれの場所の細部を詳細にみます。

そして帰宅後、もう一度 Googleマップと Google Earth を見直せば、前回以上に全体がよく見えてきます。さらに、よい発想がうまれたり本質が見えてくるかもしれません。

このような簡単な行為をくりかえしているだけでも、心の中に地図の記憶が生じ、心のあらたな空間を確立することができます。

本ブログの課題のひとつである情報処理は「インプット→プロセシング→アウトプット」という3つの場面からなりたっています。そのなかのインプットとは、様々な情報を自分の心のなかに取り入れることです。

そのインプットの仕方には、簡単な方法からむずかしい方法まで3つのレベルがあります。

初級レベルのインプットは読書です。すでに体系化されている情報を自分の心にインプットします。そのために速読法を訓練するのもよいです。

中級レベルとしては、インターネット・新聞・雑誌・テレビなどから二次的断片情報を自分の課題にそって収集し読みこみますます。 断片情報があつまっただけではよくわからないので、 断片を編集したり統合したり体系化したりする作業が必要になってきます。ややむずかしいです。

上級レベルとしては、フィールドワークや実験をおこない一次情報を収集し読みこみます。フィールドワークは現地調査とよばれることもあります。みずから主体的に行動をおこさななければなりません。それぞれの専門分野ごとにやり方があり上級者向けです。専門学校や大学で専門的な訓練をうける必要がある場合が多いです。

インプットの訓練としは、まずは、読書あるいは速読からはじめるのがよいでしょう。

すぐれたサッカー選手は、1個のボールと周囲の選手の動きとを同時に見ることができ、ボールがどこへ飛んで行くかを予見できるそうです(NHKスポーツ解説)。つまりその選手は視野が非常にひろく、個と全の両者の変動を瞬時にとらえることができるということです。

たとえば、相手チームの選手Aにボールがきて、選手Aは選手Bにパスをしようとおもっています。選手Aのところにまだボールがあるのに、選手Bがけるボールが飛んでいく所がすぐれた選手にはわかります。Aではなく、そのあとのBがけるボールがどこへ飛んでいくかを、AとBとそれらの周辺にいる選手の動きから予見しているのです。予見のために、1個のボールの動きとともにフィールドの全体もが見えなければなりません。このような選手は視野が非常にひろく、中心視野とともに周辺視野をフル活用しているといえます。

視野をできるだけひろくすることは球技だけではなく速読やフィールドワークにも通じる重要なことです。

「オーディオの音質を向上させるのは、写真ではなく絵画の技法です。原音にこだわっている間は、生演奏を超えることはできません」(注)

そもそも音楽とは音の記録ではなく芸術です。たとえばベートーヴェンの交響曲第5番「田園」は、小鳥のさえずりや小川の流れ、村人の様子などを音であらわしていますが、ベートーヴェンは原音を再生しようとしたわけではなく、田園の原風景からエッセンスをとりだし、それらを音にたくして私たちにつたえようとしたのです。したがってすぐれた演奏をきけば、なまの現実をみる以上にそのエッセンスがよくわかるのです。

このように、絵画が現場の記録写真ではないように、音楽も音の記録ではなく、作曲家がメッセージをつたえようとしているのですから、私たちは絵画をみるように音楽をきいて、作曲家からのメッセージをうけとり理解することが重要です。

このような観点からオーディオ装置をとらえなおすと、いかに忠実に原音を再生するかではなく、どれだけ作曲家のメッセージがつたわるかが大事であることになります。


注:逸品館メルマガ 2012-4-28

151212 美術・言語・音楽

美術は視覚あるいは目の芸術であり、音楽は聴覚あるいは耳の芸術です。

これらに対し言語あるいは文学は、文字を見ることもできるし、音で聞く(あるいは音読する)こともできます。このような観点からは、言語は、美術と音楽との境界領域に位置づけることができます。

レオナルド・ダ・ヴィンチは、考察をおこなう際に論敵を想定して、彼らとの問答形式で議論を展開していたことが「レスター手稿」に記録されている。こうした問答形式による論証法は、ソクラテスやプラトン、アリストテレスなど、古代ギリシアの哲学者たちがすでにもちいていた方法であるという(注)。

問答形式を利用して議論を展開する方法は現代においても非常に有効である。つまり、何らかのプレゼンテーションをする際に、感想や意見・批判を参加者から積極的にあつめ、それにこたえる形で議論をすすめる。

ウェブサイトに「質問&回答集」をつくってもよい。自分の発表に対する反対意見や批判は一見するとマイナスのようであるが、このような問答形式を採用することにより、それらは重要な情報として機能し、あらたな情報を生みだしていく。問答形式は、聴衆や読者あるいは論敵との共同作業をすすめるようなものであり、これにより探求はさらにふかまっていくことになる。

このように、感想や意見・批判は重要な情報であるのだから、何かを発表するときには、周囲から意見などが出やすいようにあらかじめ工夫しておくことが大切だろう。たとえば、発表をする前に、感想や意見を記入する用紙をあらかじめくばっておくのがよい。



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▼ 注
裾分一弘・片桐頼継・A.ヴェッツォージ監修『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』(図録)、TBSビジョン・毎日新聞社発行、2005年


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