発想法 - 情報処理と問題解決 -

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カテゴリ: インプット

『梅棹忠夫 語る』は、梅棹忠夫さんの最後の語りが収録されている貴重な本です。

第一章「君、それ自分で確かめたか?」では、自分でみたもの以外は信用できないことが語られています。

自分の足で歩いて、自分の目で見て、自分の頭で考える、これが大事や。

また、梅棹さんの評価を不動のものにした「文明の生態史観」について、つぎのようにのべています。

それはいまでもはっきり覚えている。一九五五年のカラコラム・ヒンズークシ。アフガニスタンで発想した。

このように、梅棹さんは、自分の足で現地をあるいて、そして発想しています。実際に出あるくということは重要なことです。

旅やフィールドワークを、どのように発想にむすびつければよいか、梅棹さんからまなぶことはたくさんあるとおもいます。


▼ 文献
語り手 梅棹忠夫、聞き手 小山修三『梅棹忠夫 語る』(日経プレミアシリーズ)日本経済新聞出版社、2010年9月15日
梅棹忠夫 語る (日経プレミアシリーズ)

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上の写真は、Bunkamura ザ・ミュージアムで開催された企画展「だまし絵 II」の図録から引用した、ラリー=ケイガン作「トカゲ」です(注)。

企画展「だまし絵 II」での実際の展示物は、 鉄のワイヤーを溶接して組みあげられた構造物であり、その構造物を見ても何をあらわしているのかはわかりません。しかし、ある位置から光を照射すると、壁面(平面)にトカゲの影があらわれるのです。とても不思議な影の芸術でした。

ラリー=ケイガンは、光と影をたくみに利用した彫刻を得意とするアーティストだそうです。

この彫刻のおもしろさは、3次元では認識できないことが、2次元では認識できる点にあります。


わたしたちは、通常は、2次元(平面)にえがかれた絵を見て、3次元の世界(立体空間)を想像します。これは誰もがやっていることであり、問題はありません。

しかし、ラリー=ケイガンのこの彫刻では、3次元(立体)の構造物を見ても何だかわかりませんが、2次元(平面)に投影された影を見ると、トカゲであることが認識できたのです。

通常は、「2次元→3次元」ですが、これは「3次元→2次元」であり、順序が逆です。ここに、逆転の発想がありました。


この作品は、わたしたちに次元を意識させ次元を変えて見ることのおもしろさをおしえてくれます。

次元を変えるという観点にたつと、さまざまなことをとらえなおすことができます。

たとえば、あるストーリーは、時間軸にそって(時系列で)ながれていきます。これは1次元です。そのような1次元のストーリーを、平面上で絵や図解にすることができれば、それは2次元に変換されたことになります。

その逆もできます。たとえば、2次元の図あるいは3次元の立体を見て、その内容を、文章で書きあらわすとします。文章は、前から後ろにながれる1次元です。2次元あるいは3次元のものを1次元に変換したことになります。

あるいは、1冊の本があり、そこには文章(1次元)が書かれています。しかし、この本を立体的な構造物(3次元)と見ることもできます。この構造物のなかに、たくさんの文字が、3次元的に分布していると見ます。これは、次元を変えて、1冊の本をとらえなおしたことになります。

3次元的に本をとらえなおすことは速読法に通じます。次元が高いシステムをつかった方が情報処理はより効果的にすすむことが知られています。

他方で逆に、次元のちがいによって、あるいは たまたま対象を見たときの次元によって、錯覚が生じてしまうということもあるでしょう。

次元を変えることによって、見え方が変わるということに気がつくことは大事なことです。


「だまし絵 II」の会場には、ラリー=ケイガンの作品として「蚊 II」という作品も展示されていました。こちらは、蚊を影で表現しており、おどろいたことに、その蚊の影までうつしだしていました(影で表現された蚊の影まで、影であらわしていました)。どのようにしてこれをつくったのか、試行錯誤をくりかえしたのか、興味がつきませんが、影とは3次元を2次元に投影したものであることを実体験できました。



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上の絵は、近くで見ると風景ですが、遠くから見ると人物の頭部に見える だまし絵です。Bunkamura ザ・ミュージアムで開催された企画展「だまし絵 II」の図録から引用しました。作者は不詳、17世紀初頭頃の作品です(注)。

近くで見るということは、対象を大きくとらえて細かく見るということであり、一方、遠くで見るということは、対象を小さくして大局を見るということです。つぎの対応関係に注意しなければなりません。

近くで見る:対象を大きくする
遠くで見る:対象を小さくする

自分が移動しなかった場合でも、対象を拡大したり縮小したりすると、自分が近づいたり遠ざかったりしたのとおなじ効果があります。

この絵はだまし絵であり、そのようにえがいているのでわかりやすいですが、現実の世界にいても、遠近によって見え方はかなりちがってくることに気がつくことはよくあります。

このようなだまし絵をたのしんでいると、かたよった見方をしていると、錯覚がおこるということがよくわかってきます。だまし絵の作者は、そのようなメッセージをユーモアをまじえてつたえようとしているのではないでしょうか。

対象を見るときには、遠くからも見て、近くからも見て、遠近のひろがりのなかで本当の姿をとらえるようにしなければなりません。


▼ 注(文献)
『だまし絵 II 進化するだまし絵』(図録)中日新聞社発行、2014年
 Bunkamura オンライン市場

▼ 関連サイト
視覚効果と先入観とがくみあわさって錯覚が生まれる - 特別企画「だまし絵 II」- 

 

一川誠著『錯覚学 知覚の謎を解く』(集英社新書)は、錯覚の実験をしながら、知覚の謎をときあかしていく本です。図もたくさん掲載されていますが、図版集というよりも理論書です。

錯覚の本がおもしろいのは、自分で実際に錯覚の実験をしながら読みすすめることができることです。同時に、自分の知覚の不思議さにも気づかされます。

第3章「二次元の網膜画像が三次元に見える理由」では、どのようにして奥行きや距離といった三次元の知覚を成立させているのか、図をつかって説明しています。両眼視差によって奥行きを知覚するステレオグラム(立体視図)は興味ぶかいです。

また、二次元動画で、簡単に、奥行きを強化するには単眼で見ればよいとのべています。

通常の2Dテレビの観察から強い立体的な知覚を成立させる方法がある。単眼観察するのである。特に、画素が微細なハイビジョンのディスプレーを単眼で観察すると、強い奥行きを感じる。片眼を閉じることにより、画像が平坦であることを示す両眼視差の他係がなくなり、多くの単眼的手がかりが示す奥行が見えやすくなるためだ。

第4章「地平線の月はなぜ大きく見えるのか」では、わたしたちの光の処理システムについてのべています。

眼に飛び込んできた光の一部の波長が網膜上の視細胞に当たり、それが神経の興奮を引き起こすことで知覚システムの処理が始まる。

第5章「アニメからオフサイドまで - 運動の錯視」では、テニスやサッカーでなぜ誤審がおきやすいのかを、錯視の観点から説明していて、非常におもしろいです。

第7章「生き残るための錯覚学」では、「進化の過程で錯覚・錯誤が発現」したことがのべられています。つまり、生物の環境への適応戦略のなかで知覚や錯覚、あるいは情報処理についてとらえることができるということです。

錯覚の研究は、このような観点から、危険回避や娯楽のあらたな可能性、あらたな表現手段の開発、生活の質の向上などに役立ちます。

知覚や錯覚は、情報処理の観点からみるとインプットとプロセシングです。これらにもとづいてわたしたちは行動していきますので、行動は、アウトプットととらえることができます。環境に適応するように行動するにはどのようにすればよいか、適応の観点から錯覚をとらえなおすという点はとても興味ぶかいです。


▼ 文献
一川誠著『錯覚学 知覚の謎を解く』(集英社新書)集英社、2012年10月22日
錯覚学─知覚の謎を解く (集英社新書)


▼ 関連記事
錯視や錯覚を実験する -『錯視と錯覚の科学』- 

 

『錯視と錯覚の科学』(Newton 別冊)は、錯視と錯覚に関する大変おもしろい本です。ページをめくりながら、錯視や錯覚がどのようにおこるか、自分で実験することができます。錯視や錯覚を実体験してみてください。

内容は、つぎのように多方面にわたっています。

1 動く錯視
2 明るさと色の錯視
3 形と空間の錯視
4 残像・残効・消える錯視
5 その他の錯視・錯覚
6 錯視研究の最前線

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「中央の+をじっとみていると、周囲の青・赤・黄のパッチが消えていくようにみえる」など、本当に不思議な体験をしました。

本書は、見るということに関してつぎのように説明しています。

眼に入ってきた光情報は、網膜で神経情報(電気信号)に変換され、脳の視床にある外側膝状体を通って、まず後頭葉にとどき、そこで情報をこまかく分解します。

その後、分解された情報は、より高次の脳領域に送られ、動きの情報や空間の情報を処理し、それらの情報がどういう意味をもつか理解します。そこで、分解された情報は再構築されます。

脳は、途切れ途切れになった映像をつなぎ合わせる機能を備えています。

このように、わたしたちの脳は、電気信号を処理し、再構築して映像をつくりだしているのです。そしてわたしたちは、その映像を「見ている」とおもっています。このような脳の情報処理のなかで、さまざまな錯視と錯覚も生まれてくるのです。 

本書をつかって実験をすれば、このようなことがわかってきます。

このようなことから、たとえば、ある道をあるいていて、奥行きが実際よりもながく感じられたり、あるいは、行きよりも帰り道の方が短く感じることなども、一種の錯覚としてとらえることができます。

また、錯覚がおこるときには、これまでの経験や、対象をとりまく環境や背景の影響・効果もあります。経験とは、時間的な過去であり、環境・背景は空間的なひろがりです。わたしたちは、自分固有の時間・空間の制約のなかで対象をとらえてしまいます。ありのままに見ることは非常にむずかしいことです。

時間・空間の効果と、錯視のテクニックとがシンクロナイズしたときに、錯覚は最大限になるでしょう。特に、その人が、未来にむかって特定の偏見をもっていた場合、過去だけでなく未来の時間的効果も、現在の錯覚にあらわれてくるのではないでしょうか。

錯覚の研究は、インプットとプロセシング、認識とは何かという課題についていろいろなことをおしていくれます。本書にもあるように、脳の情報処理が科学的に解明されてきたので、このようなことが科学的に議論できるよになってきました。

わたしなどは、錯覚の研究がもっとすすんで、その原理がわかれば、その原理をつかって、たとえば、苦しみを軽減したり、よろこびを倍増させたりすることもできるのではないかと想像したりしています。


▼ 参考記事
視覚効果と先入観とがくみあわさって錯覚が生まれる - 特別企画「だまし絵 II」-
平面なのに絵が飛び出す - 目の錯覚を利用した3Dアート -
中心をくっきりうかびあがらせると周囲の輪郭もはっきり - 顔の輪郭がはっきりした人 -
脳の情報処理の仕組みを理解する 〜DVD『錯覚の不思議』〜


▼ 文献
『目の錯覚はなぜおきるのか? 錯視と錯覚の科学』(Newton 別冊)ニュートンプレス、2013年4月15日

梅棹忠夫著『知的生産の技術』第6章「読書」では、知的な読書は3段階をふんでおこなうとよいことがのべられています。

まず、「一気によむ」ということから説明がはじまります。

ごく一般論としていえば、一気によんだほうが理解という点では確実さがたかい。すこしずつ、こつこつとよんだ本は、しばしばまるで内容の理解ができていないことがある。

本をかくということは、かき手の立場からいうと、やはり、ひとつの世界を構築するという仕事である。そして、本をよむということは、その、著者によって構築された世界のなかに、自分自身を没入させるという行為である。それができなければ、本を理解したことにはならない。

すこしずつ、こつこつよんだのでは、構築されたひとつの世界が、鮮明な像をむすばないのである。本は、一気によんだほうがよい。

「こつこつよんだのでは、構築されたひとつの世界が、鮮明な像をむすばない」というところがいいです。

わかりやすくいうならば、読書ではまず第一に、本の全体構造をつかまなければならないということだとおもいます。そのためには短時間で一気に読んだ方がよいのです。細部をとらえるのは構造をつかんでからでもできます。具体的には、目次をよく見ます。そして、各章、大見出し、小見出しの配置を視覚的空間的にとらえるようにします。それぞれの分量にも注目します。


つぎに、「本は二どよむ」ということです。

二どめのよみかたは、きわめて能率的である。短時間で、しかもだいじのところだけはしっかりおさえる、ということになる。

2度目の読み方は、1度目とはがらりと変えます。今度は、重要な箇所のみを重点的におさえるのです。

具体的には、その重要な箇所が、本の全体構造のなかのどこにあるのか、構造のなかに位置づけてとらえようにします。構造的な空間のなかのどこに配置されているのかをイメージするようにします。

そのためは、一度目の「一気によむ」で、本の構造をあらかじめとらえておくことが必要です。 

(1)全体構造を見て、(2)重要な部分をおさえると、今まで以上に全体がよく見えてくるものです


そして、最後に「創造的読書」についてです。

ところでだいじなことは、読書ノートの内容である。わたしの場合をいうと、(中略)わたしにとって「おもしろい」ことがらだけであって、著者にとって「だいじな」ところは、いっさいかかない。

「わたしの文脈」のほうは、シリメツレツであって、しかも、瞬間的なひらめきである。これは、すかさずキャッチして、しっかり定着しておかなければならない。

こういう読書ノートは、まえにかいた「発見の手帳」の、まさに延長上に位置するものである。あるいは、それ自体一種の「発見の手帳」であって、読書は、「発見」のための触媒作用であったということができる。

これは第三の読書であり、「発見」の読書あるいは「創造的読書」です。

ただし、電子書籍やPDFが発明された現代では、それらのハイライトやメモ機能をつかって、発見やひらめきを記録しておけばよいです。読書ノートやカードを別につくる必要はなくなりました。

本が、電子書籍やPDFになってきて、必要なときにいつでも簡単にとりだして読めるようになり、本当に便利になりました。ハイライトやメモの検索や一覧もでき、たとえばブログや報告書その他の文章を書くときに参照したり引用したりすることが簡単にできます。

このように、電子書籍やPDFが発明されて読書の仕方も変わってきました。
 
しかし、「知的生産の技術」の3段階の読書法は普遍的な原理として今後とも生きのこっていくとおもいます。つまり、知的読書の3段階は、創造の3段階としてもつかえるとおもうのです。つまりつぎの3段階には普遍性があるということです。

(1)全体構造をつかむ →(2)重点をおさえる →(3)創造
 


『写真で楽しむ 自然の幾何学』(Newton別冊)は、自然界で見られるさまざまな形を写真で紹介しているおもしろい本です。光では見えない小さな物から宇宙の構造まで、さまざなま規模であらわれる自然界の幾何学図形を見ることができます。

つぎの形の写真が掲載されています。

1章 円と球
2章 渦とらせん
3章 六角形
4章 その他の多角形
5章 フラクタル
6章 さまざまな曲線
7章 『自然の幾何学』研究最前線

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写真1(本書 38-39ページ)


本書に親しんでおけば、散歩をしながら、あるいは旅行をしながら自然を見るとき、これまでとはちがった観点から自然をとらえなおすことができます。自然にはこんな一面もあったのかと、とても新鮮な感動がえられることもあります。

本書を手元においておき、折にふれて見なおし、自然観察のために役立てるとよいでしょう。


また、自然の形からあらたな着想がえられることがあるかもしれません。

たとえば、株式会社エーイーティーというオーディオ関連機器メーカーでは、「自然の理を製品設計に昇華し実現した超強度の製品群」を製作しているそうです(写真2、3)。

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写真2(株式会社エーイーティーのカタログより)


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写真3 (株式会社エーイーティーのカタログより)


また、建築家のガウディは、自然界の幾何学的な形を建築にとりいれました。自然界がもつ完璧な機能に注目し、らせんや局面など生物の基本的な構造を多用しました。自然の機能にうつくしさを見いだし、うつくしい形は構造的にも安定していることをあきらかにしました。



わたしが注目するのは、本書第5章のフラクタルです。

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写真4(本書 96-97ページ)
 

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写真5(本書 98-99ページ)

この野菜は、全体を見るとしずく型をしている。そして、一つ一つの突起を見ると、これもしずく型をしている。この突起をさらに細かく見ると、より小さなしずく型があらわれる。このように、「全体と部分が自己相似する形」を、「フラクタル」という。(98ページ)


野外をあるいているときに気をつけていると、フラクタルが結構みつかります。フラクタルを見ると、部分を見て全体が想像できたり、全体を見て部分が想像できたりします。相似な形態を見つける目がやしなわれます。

植物の観察がとてもたのしくなります。風景のなかにもフラクタルはあります。

自然あるいは宇宙の基本構造はフラクタルになっているのではないかとわたしはかんがえています。

自然界には実に多様な形があって手におえないように感じますが、フラクタルを中心にすえて自然を見なおしてみると、自然の見方が一気にひろがります。

是非、フラクタルに注目して見てください。


▼ 文献
『写真で楽しむ 自然の幾何学』(Newton別冊)ニュートンプレス、2011年12月15日
自然の幾何学―写真で楽しむ (ニュートンムック Newton別冊)

年に一度のオーディオのイベント、ハイエンドショウトウキョウ2014に先日いってきました。会報は、青海フロンティアビル(東京都江東区)でした。

わたしはおもに逸品館のデモを聞きました。目玉は、ペアで2千2百万円もする超高級スピーカー、Focal Grand Utopia でした。もはやライブを越えています。ゆたかにひろがる音場、繊細な高音、自然で重厚な低音、圧倒的な底力。こんな世界最高級のスピーカーで音楽をきけるチャンスはめったにありません。

おもしろいのは、あくまでも音楽がひろがり、スピーカーからは音はきこえず、スピーカーの存在が消えてしまっていることです。まさに臨場感です。

中央の一点からボーカルがきこえ、そのやや右後ろからベースがひびいてきます。ボーカルがたち、そのやや右後ろにベースがたっていることがはっきりとイメージできます。

しかし、その場所に行ってみるとそのような音はありません。スピーカーのそばに行ってみるとスピーカーからはたしかに物理的な音は出ているのですが、スピーカーからはなれると音楽の響きがひろがります。物理的な音はスピーカーから出るのですが音楽は仮想の音響空間で響いています。音響空間ではスピーカーは消えているかのようで、音楽は、スピーカーそのものからは聞こえてこないのです。物理的な音と、空間に響く音楽とはちがうということです。

つまり、音楽の響きは耳ではなく意識で認識しているのです。わたしたちの意識は、2本のスピーカーから出てくる物理的な音を、意識のなかで融合させて有機的・立体的な音楽をつくりあげています。意識は部屋全体にひろがっていて、その意識の場のなかで音楽が響いているといってよいでしょう。

オーディオ装置で音楽を聞いてみると自分の意識のひろがりとその仕組みについて実感することができます。ここに、ライブとはちがおもしろさがあります。意識とは、情報処理の場あるいは仕組みと言いかえてもよいです。

また、5.1サラウンドのデモもありました。臨場感が一層増して、特に、オーディオ再生がむずかしい大編成の交響曲はすばらしかったです。

141025b くっきり見えてくる


何らかの興味・関心をもってある対象を見るときには、全体を見て大局をつかむことが大切でしょう。

しかし全体を見ても、どうもボヤッとして今ひとつはっきり見えてこなかったり、あるいは上滑りをしてしまってつかみどころがないといった気分になることがあります(上図・左)。

このようなときには、全体の中のどこか一点に注目して、そこをしっかりおさえて認識するようにします(上図・中)。

すると、おもしろいことに全体の輪郭がはっきりと見えてきます。一点をおさえると今まで以上に全体が見えてきます(上図・右)場合によってはその本質もわかってきます。

このような三段階は認識の方法として一般的につかえるのではないでしょうか。

たとえば、どのような行動をしたらよいかわからないときには、第一に、自分の興味・関心のある領域の全体をウェブサイトなどでザッと見ます。第二に、主題を一つ決めます。課題を一点にしぼりこみます。すると、全体像がくっきり見えてきて、興味・関心のある領域の中のどこをどうすすんでいったらよいかが見えてくるでしょう。

あるいは、いそいで本を読むときには、まず、本の全体をザッと一気に見てしまいます。第二に、自分がもっとも気に入ったところや興味のある部分をくりかえしくわしく読みます。そして第三に、もう一度その本の全体を見なおします。結論もおさえます。

このように三段階を踏むようにするとよいでしょう。ひろくあさく全体的に取り組んでいるだけではくっきりとは見えてきません。


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顔の輪郭がはっきりしている人を見かけました。

顔の輪郭がはっきりしているといっても、写真や絵画を見ているわけではなく、その場に実際に存在している人の顔ですから、まわりは空気であり、顔の背後に背景がボヤーッと見えるだけのはずです。

どうして輪郭がはっきりしているように見えたのだろうかと考察したところ、その人は目や鼻の形がくっきりしていたのです。

顔の中心付近がくっきりしていると、それに影響されて顔の周囲、輪郭もはっきり見えてしまうのです。これは一種の錯覚でしょうか。

錯覚か現実かはともかく、中心部分をくっきりうかびあがらせると周囲の輪郭や境界もはっきりするという仕組みは、ビジュアルに何かを見せるときにつかえそうです。もっとも、そのことに気がついてすでにつかっている人はいるのかもしれませんが。


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立体作品かとおもったら平面のスケッチブックに手描きした絵でした。動画サイトで生回数は500万回をこえたというからすごい反響です。海外からも「amazing !」(驚きだ!)というコメントがつぎぎによせられているそうです。作者は、和歌山県在住の3Dアーティスト、永井秀幸さんです。

▼ オフィシャルサイトはこちらです。まずはご覧ください。

これは、目の錯覚を利用した3Dアートであることはわかりましたが、まだ不思議です。実物を現場で一度みてみたいとおもいます。ひとつ言えることは、対象物は、背景と影がつくりだす空間のなかに調和的に存在しようとするということでしょうか。対象物と空間との間に相互作用がおこっています。

わたしは視覚と情報処理について興味をもっていて、その探究のためのによい素材をあたえてくれるのが錯覚であるとおもっています。両目の視差を利用した立体視(ステレオグラム/3D写真)にも学生のころよりとりくんでいます。

錯覚は、わたしたち人間の認識にかかわる大きな問題です。世の中にはいかに錯覚が多いことか。しかし、そもそも錯覚なのか認識なのか。認識とは何かという問題になってきます。

海外旅行をたのしみながら英会話を習得する DVD『トラベラーズ イングリッシュ』の第5巻 ニュージーランド南島編です。今回のニュージーランド南島編では、ニュージーランドの非常にうつくしい風景を満喫することができます。 

チャプターリストはつぎのとおりです。

1 ニュージーランド到着、乗り継ぎ
2 トレッキング・ツアーに参加
3 ギブソンバレーのワイナリー
4 バンジージャンプに挑戦
5 ダニーデン〜タイエリ渓谷鉄道
6 ダイアロア岬、野生動物見学ツアー
7 クライストチャーチ


■ 旅のルート

ニュージーランド南島のクライストチャーチ国際空港に到着、国内線に乗り継ぎをしてクィーンズタウンに移動します。

つぎの日、マウント・アスバイヤリング国立公園で往復16キロメートルのルートバーン・トレッキングを体験します。

そのごワイナリーを見学し、バンジー発祥の地でバンジージャンプにも挑戦します。

南島第二の都市ダニーデンへ移動、鉄道の旅でゆたったりとすごし、オタゴ半島でオットセイ・アシカ・ペンギンなどの野生動物を見て感動。

ダニーデンからは、最終目的地、南島最大の都市クライストチャーチまでの旅を堪能します。



■ 視聴覚体験を記憶する

DVDをつかった英会話学習では、つぎのような手順をふむと記憶が定着します。

1.DVDを視聴して情報をインプットする
目と耳をしっかりはたらかせて、映像と音声を心の中にきちんとインプットします。

2.映像(イメージ)を想起する
映像は消して、音声だけを聞いて、映像(イメージ)を連続的におもいだします。アイマスクをするとよいです。どこまで正確に想起できるでしょうか。

3.音声を想起する
今度は、音声を消して、映像だけを見て、音声をおもいだします。耳栓をするとよいです。どこまで正確に想起できるでしょうか。さらに、重要な英単語やフレーズをノートに書きだしてみます(アウトプットしてみます)。



■ ニュージーランドを記憶の場にする

記憶するときには、ニュージーランドの大きな空間を記憶の場(記憶のベース)にして、そのなかに、各シーンや英語のフレーズをむすびつけて記憶するようにします。ニュージーランドの大きな空間のなかに各シーンがうめこまれているとイメージし、ニュージーランドの場を記憶の倉庫としてつかうのです。

DVD『トラベラーズイングリッシュ』のシリーズには、ほかにも、オーストラリア編・アメリカ編・イギリス編などもあります。ほかの国でも同様に、その国の大きな場のなかに、それぞれの場面やフレーズをうめこむ(ファイルする)ように記憶していけばよいのです。

そのためには、その国の地図をイメージできるようにしておく必要があります。

140905 ニュージーランド南島 地図
ニュージーランド南島の地図(Googleマップ)


今回の旅では、クライストチャーチ国際空港に着陸後、クィーンズタウンに移動、その後、ダニーデン(ダニーディン)をへて、クライストチャーチにもどったことを地図上でイメージします。



■ 世界地図は、記憶想起のインデックスとしてつかえる

このように、それぞれの国の空間を記憶の場(記憶倉庫)として機能させ、世界地図上でその国を見ることにより、その国の空間にうめこんだ記憶情報を想起できるようにしておきます。

『トラベラーズイングリッシュ』などをつかってこのような記憶法を実践していけば、世界地図は、記憶情報を想起するためのインデックスとしても利用できるようになります。これは一種の空間記憶法です。

そのためには、世界地図あるいは地球儀をよく見なおして、それぞれの国がどこにあるのか、その場所とエリア、訪問した都市の位置をしっかり記憶しておくことが必要です。各国の分布がイメージとしていつでもおもいだせるようにしておきます。地図の記憶は記憶の基礎になります。



■ あたらしい内面空間をつくる

DVDの各シーンを新鮮な目でながめ、視聴覚体験をきちんとインプットし記憶することは、ニュージーランドの空間を心のなかにきざみこむことにもなります。それに感動がともなえばなおよいです。

この視聴覚体験は、あたらしい記憶の空間を心のなかにつくることであり、これにより、あたらしい状況に適応するためのあらたな心の準備や情報処理がはじまります。このような視聴覚体験は、あたらしい心のとびらをひらくことにもなってくるのです。

そしてもっと興味がわいてくれば、ニュージーランドを実際に旅行してみて、今度は、本当の旅の体験をたのしめばよいでしょう。


▼ DVD
トラベラーズ・イングリッシュ 5 ニュージーランド南島編 [ 英語で旅する TRAVELERS ENGLISH 5 New Zealand South Island ] (エキスプレス)


▼ 関連ブログ
DVDをつかって、イメージとともに英語をおぼえる 〜 DVD『トラベラーズ・イングリッシュ 4 オーストラリア編』〜
英会話の学習から海外旅行体験へ 〜DVD『トラベラーズ・イングリッシュ3 -アメリカ西海岸編-』〜

METライブビューイングで、トーマス=アデス作曲《テンペスト》を先日みました(注、MET=ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場)。

これは、シェイクスピア最後の戯曲《テンペスト》をオペラ化した作品であり、作曲したトーマス=アデス(Thomas Adès, 1971年3月1日 ロンドン - )は現代英国の作曲家で、英国の大作曲家ブリテンの再来ともいわれ注目をあつめている俊英です。本作は、英国コヴェント・ガーデン王立歌劇場にて2004年2月に初演されました。


物語は、原作の戯曲にもとづいてファンタジックな世界が展開していきます。

ミラノ大公プロスペローは、弟アントーニオに地位をうばわれて追放され、ながれついた孤島で娘のミランダとともにくらしていました。

プロスペローはその孤島で魔法の力を手に入れることに成功し、妖精アリエルに命じて嵐をおこさせ、弟アントーニオとナポリ王のアロンゾが乗った船を難破させて孤島に漂着させます。

漂着した船には、ナポリ王子フェルディナンドものっていて、彼は、プロスペローの娘ミランダと恋におち、プロスペローの試練をへて彼女とむすばれます。プロスペローはアリエルをあやつって公国をとりもどし、魔法の力をすてます。


ロベール=ルパージュによる今回の演出では、イタリア・ミラノのスカラ座(歌劇場)を舞台にして演じられるというおもしろい形になっていて、メトロポリタン歌劇場のなかにさらに歌劇場があるという設定になっていました。現実におこっているとおもわれる出来事は、実は、劇あるいはということになり、《テンペスト》を一層ファンタジックな世界にしていました。

また脚本は、シェイクスピアの台本をそのままもってきたのではなく、エッセンスをコンパクトにまとめ上げたものであり、オペラは、ストーリーを展開させるというよりも、 登場人物の内面世界を、不協和音と叙情的な高揚とが交錯する現代音楽で表現していました。

オペラでは、言葉よりも音楽の方が重視され、原作よりも言葉の数が少ないので、ストーリーがわかりにくいと感じるかもしれません。オペラになったシェイクスピアを鑑賞するときは、あらかじめ、『あらすじで読むシェイクスピア全作品』(河合祥一郎著)などであらすじを予習してからでかけた方がよいでしょう。



▼ 注
METライブビューイング(東京・東銀座の東劇にて上映、MET=ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場)
指揮:トーマス=アデス
演出:ロベール=ルパージュ
キャスト:
サイモン=キーンリーサイド(プロスペロー)、オードリー=ルーナ(妖精アリエル)、イザベル=レナード(ミランダ)、イェスティン=デイヴィーズ(トリンキュロー)、トビー=スペンス(アントーニオ)、アレック=シュレイダー(フェルディナンド)

METライブビューイングのウェブサイト >


▼ 参考文献
河合祥一郎著『あらすじで読むシェイクスピア全作品』(祥伝社新書) 2013年12月2日

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「自分が見えていない」をキーワードにして - シェイクスピア -
自分のアウトプットを見直して、自分で自分を見る
劇をきっかけにしてかんがえる - シェイクスピア作『尺には尺を』(演出:蜷川幸雄)-




『NHK 100語でスタート!英会話 〜アメリカ編』(DVD+BOOK)は、2003年にNHKで放映された「100語でスタート!英会話」をDVDとテキストにしたものです。

「100語でスタート!英会話」は、英語コーパス分析の最新の研究成果を利用し、英会話に必要な最重要英単語100を徹底的に攻略する番組で、100のキーワードとそれらと一緒にもちいる単語を使用頻度順にランキングで紹介し、よくつかうボキャブラリーから効率よく学習するという方法を英会話学習にもたらしました。この100語をマスターすれば、日常会話の約70%がカバーでき、もっとも基礎的な英語の骨組みがしっかり身につく仕組みになっています

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写真 100のキーワード一覧


このDVDでは、1つのスキットにつき1つの英単語が明確にわりあてられて1つのユニットを形成しています(図1)。そのユニットが100個あります。

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図1 1スキットと1英単語がユニットになっている


DVDを視聴することによって、各スキットについての視聴覚体験がえられます。各スキットにわりあてられた英単語は、それぞれの視聴覚体験のキーワードになります(図2)。 キーワードは視聴覚体験を形にしたものです。

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図2 英単語は視聴覚体験のキーワードである


これを、情報処理の観点から一般化すると、各スキットは情報の本体であり、キーワードはそのラベル(標識)となります(図3)。ラベル(標識)は、情報を統合する役割をもつと同時に、情報を検索するためのインデックスとしても機能します。

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図3 情報の本体とラベル


このような体験あるいは情報のひとまとまりを「栗田式記憶法」では「玉」(たま)とよびます(注)。これは、情報がひとまとまりになったファイルをあらわすものです

「玉」は、上図にみられるように、上部構造と下部構造とからなる二重構造になっています。「玉」の下部構造が情報の本体であることに注意してください。


『NHK 100語でスタート!英会話』は、上図のような情報の「玉」を構築するためにむいたすぐれた教材としておすすめできます。100個の情報の「玉」を心のなかにしっかりつくりだすことにより英会話の基礎をつくることができます。

学習のポイントは、各スキットの視聴覚体験と わりあてられたキーワードをしっかりむすびつけ、それぞれのキーワードのイメージ(DVD映像)を明確に記憶することです。「玉」の下部構造である視聴覚体験を強固にすることが重要です


上記の方法(ラベル法)は、英語学習をこえてあらゆる情報処理に対して応用が可能です。記憶法・学習法にとどまらず、旅行法や発想法にも発展させることができます。



▼ DVD+BOOK
投野由紀夫著『NHK 100語でスタート!英会話 〜アメリカ編』日本放送出版協会、2004年9月20日


▼ 注
栗田昌裕著『記憶力がいままでの10倍よくなる法』三笠書房、2002年5月
特に、「思い出は「玉」としてイメージせよ」 (136ページ)、「玉を転がすようにする。記憶の内容自体を玉と考えるのです」(143ページ)を参照してください。

岩堀修明著『図解・感覚器の進化 』は、感覚器について、動物の進化の観点から解説しています。視覚器、味覚器、臭覚器、平衡覚器と聴覚器、皮膚感覚と固有感覚などについてくわしく紹介しています。

わたしたちは感覚器をつかって心のなかに情報をインプットしていますので、感覚器について知ることはとても重要なことです。

目次はつぎのとおりです。

第1章 感覚器とは何か
第2章 視覚器
第3章 味覚器
第4章 臭覚器
第5章 平衡・聴覚器
第6章 体性感覚器
第7章 クジラの感覚器


要点を引用しておきます。

動物が認識する「世界」とは、それぞれの動物が自分のもっている感覚器で受容した情報をもとに、それぞれの脳がつくり上げるものである。同じ世界であっても、感覚器によって「世界観」はまるで違ってくるのである。

感覚が成立するためには、光、音、においなどの「刺激(感覚刺激)」がなければならない。しかし、いくら刺激があっても、それを受け取る器官がなければ、感覚は成立しない。刺激を受容する器官を「感覚器」という。

どんな感覚を感知するかは「どんな刺激があるか」ではなく「どんな感覚器があるか」によって決まる。

われわれ動物はみな、自身がもっている感覚器が受容できる感覚しか、知ることができない。

棲んでいる環境によって、動物たちがもっている感覚器の種類や性能はさまざまに違ってくる。そのために動物たちは、それぞれに違う世界を感じているのである。

神経には「入力系」と「出力系」がある。感覚器からの情報は電気信号となって、入力系を介して中枢神経系(脳や脊髄)に伝えられ、感覚となる。中枢神経系は、感覚としてキャッチした情報を処理し、その結果を出力系を介して筋や腺などに伝える。出力系からの指示により、それぞれの状況に応じた反応を起こす。

視覚器 - いわゆる「眼」は、光刺激を電気信号に変える器官である。

味覚器、いわゆる“舌”の最も重要な役割は“毒見役”を務めることである。

多くの動物にとって、臭覚は視覚よりもはるかに頼りになる感覚である。光はものに遮られやすく、到達する範囲が限られるうえ、夜にはなくなってしまう。それに対してにおいは、昼夜を問わず、どんな小さい隙間にも入り込めるという大きなメリットがある。

「平衡覚器」とは、重力に対する“傾き”を感知する感覚器である。

「聴覚器」は、水や空気の振動である音波を受容する感覚器である。

体性感覚は、皮膚で感知する皮膚感覚と、筋(骨格筋)・腱・関節などで感知する固有感覚とに分けられる。「皮膚」は多様な感覚を受容する最大の感覚器である。固有感覚は注意して行動するとき以外は、意識にのぼることはほとんどない。


以上のように、わたしたちは感覚器をつかって外界から情報を受容し、それを電気信号にかえて中枢神経系(脳や脊髄)におくり、外界を認識しています。そして、その認識にもとづいて反応をおこします。つまり、感覚器で情報をインプットし、中枢神経系で情報を処理し、反応というアウトプットをおこしているわけです。情報のながれはつぎのようになります。

感覚器 → 中枢神経系 → 反応
(インプット)→(プロセシング)→(アウトプット)

このように、わたしたちは感覚だけで判断して生きているのではなく、この情報処理のながれ全体のなかで認識し行動していることを再確認しなければなりません。

たとえば、わたしたちは眼で外界を見ているとおもっていましたが、実際には、眼には光刺激がインプットされていただけであり、刺激が電気信号に変換され、中枢神経系がその信号を処理して、外界を3次元空間として認知していたのです。つまり、眼ではなく脳で見ていたのです

また、固有感覚を通して無意識の情報処理をおこなっているという点にも注目しなければなりません。固有感覚とは、筋・腱・関節などで感知する感覚のことです。わたしたちは無意識のうちに膨大な情報処理をおこなっていたのです。

このように、情報処理という観点からわたしたちの感覚器をとらえなおしてみると、認識や行動の仕組みがよく理解でき、また、感覚器の性能を高める訓練をすることが情報処理能力をたかめるために大切であることもわかってきます。


▼ 文献
岩堀修明著『図解・感覚器の進化 原始動物からヒトへ 水中から陸上へ』(ブルーバックス)講談社、2011年1月20日
図解 感覚器の進化 原始動物からヒトへ 水中から陸上へ (ブルーバックス)

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総合的に丸ごと情報をインプットする




クラウドの時代に入って、高速モバイル通信が急速に整備されつつあり、「LTE」というあたらしい用語が目につくようになりました。

そこで、インターネットで「LTE」についてしらべたところ、「NTT東日本 FLET’S光」のウェブサイトに次のような説明がありました。

■ モバイル通信の規格である
「3G」(スリージー)、「4G」(フォージー)、「LTE」(エルティーイー)といった用語はモバイル通信の規格をあらわしています。

「3G」や「4G」の「G」は Generation(世代)の意味の頭文字です。かつては「1G」、「2G」がありました。いま注目されているのは次世代高速通信規格である「4G」です。

■ LTEは4Gの一種である
「LTE」とは、Long Term Evolution(長期的進化)の略で、「4G」のなかの一種です。

「LTE」は、以前は「3.9G」として位置づけられていましたが、「LTE」を「4G」とする通信業者が増えたため、最近では「4G」の一種としてとらえるのが一般的になりました。

「LTE」は下り75Mbps〜100Mbps、「3G」よりも高速であるため、動画視聴やアプリダウンロードのためにむいています。

■ スマートフォンなどを購入するときに参考にする
モバイル通信の規格についてあらかじめ知っていれば通信速度などが判断でき、スマートフォンなどを購入するときの参考になります。

たとえば、NTTドコモ「Xi」(クロッシィ)、ソフトバンクモバイル「SoftBank 4G LTE」などが「LTE」サービスを提供しています。また「WiMAX」は4G(3.9G)に相当する通信規格です。

■ Wi-Fiは、無線LANルーターを介して光回線につながっている
一方で、「Wi-Fi」とよばれる通信方式がひろくつかわれています。

「Wi-Fi」は、光回線(有線)につながれた無線LANルーターと通信します。無線LANルーターは、数メートル〜数十メートル圏内に設置しなければ通信ができません。したがって、「3G」「4G」「LTE」とはちがい、つかえる場所が限定されてしまいます。

しかし、最大数百Mbps対応の規格もあり、非常に高速で快適な通信ができます。

■ プラチナバンドは障害物につよい
また「プラチナバンド」とよばれる通信方式もあります。これは「特定の周波数帯域の電波」を意味します。携帯電話・スマホでは、1.5〜2GHz(ギガヘルツ)の帯域の電波がつかわれますが、プラチナバンドはそれよりも低い700〜900MHz(メガヘルツ)の帯域の電波を利用できます。

障害物にさえぎられにくい特性があり「高い価値のある周波数帯域」という意味で「プラチナバンド」とよばれます。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルでは一部のサービスで「プラチナバンド」をつかっています。

以上のように、「LTE」について理解し記憶しようとおもったら、その一語だけをとりだして理解し記憶しようとするよりも、それに関する周辺用語もあわせて全体的にとらえたほうが、各用語の比較もでき、理解が一気にすすみます

つまり、 なるべくたくさんの関連情報を一度に頭にインプットした方が理解がすすむということです。

情報処理の観点からいうと、インプットでは、なるべくたくさんの情報をまるごとインプットしてしまったほうが、あとのプロセシングにおける理解や記憶のたすけになるわけです。たくさんインプットするとおぼえきれないとおもうのはまちがいです。記憶の場は意外に大きいものです。

たとえば、本を2~3ページよんで理解できなくても、そのまま読みすすめていくと、一冊全部よみおわってみたら結果的には理解できたという経験は誰にでもあるものです。

情報処理(インプット→プロセシング→アウトプット)を意識して、まずは、まるごとすべてをインプットしてしまう方がよいです。情報はおのずと処理されてきます。

国立新美術館の企画展「イメージの力 -国立民族学博物館コレクションにさぐる-」を先日みました。

この企画展は、「世界の本質や構造にかたちや色を与えて視覚化することは、人間に与えられた根源的な資質のひとつ」ととらえ、「イメージの活力を体感することによって、人類の文化に普遍的な『イメージの力』を堪能」するという企画でした。

全体は以下の4章から構成されていました。

第1章 みえないもののイメージ
「1-1 ひとをかたどる、神がみをかたどる」では、自らの身体に似せて神がみをイメージしていました。

「1-2 時間をかたどる」では、物語をイメージにしていました。

第2章 イメージの力学
「2-1 光の力、色の力」では、すでにある物に、あらたな光と色をあたえイメージを強化していました。

「2-2 高みとつながる」では、地上と上方世界とをつなぐことをイメージしていました。

第3章 イメージとたわむれる
よろこびの感情をイメージにしていました。

第4章 イメージの翻訳
「4-1 ハイブリッドな造形」では、外の世界のイメージをこちらにとりこむことであらたなイメージをえがいていました。

「4-2 消費されるイメージ」では、ブリキやアルミ缶を素材にしてあらたなイメージをつくっていました。


このように、何を素材にしてどのようなイメージをえがいたか、また、どのようにしてイメージをふくらませたのかの具体例を見ることができました。

わたしたちが何かをイメージし想像するとき、まったくのゼロからスタートすることはなく、外界からえられた素材を元にして、それをふくらませたり変化させたり発展させたりしてイメージしています。

したがって、イメージには素材がまず必要です。それは過去の体験から(記憶から)もってくることもできますし、現在の感覚体験を素材とすることもできます。

そしてわたしたちは、心のなかにインプットされた情報(素材)をそのままアウトプットするのではなく、イメージ能力をつかって、情報を編集・加工・増幅させて、つまり情報処理をしてアウトプットします。イメージ能力(心象力)は、情報処理をすすめるための基本的な能力であるわけです

今回の企画展などを利用して、まず、心のなかに素材をインプットすることを心がけ、次に、素材を元にしてイメージをふくらませる練習をするとよいでしょう。

東京国立博物館の特別展「栄西と建仁寺」展を先日みてきました。

今回の特別展は、栄西禅師の800年遠忌にあわせ、栄西ならびに建仁寺にゆかりの宝物を一堂にあつめた展覧会でした。俵屋宗達の国宝「風神雷神図屏風」を筆頭に、山内の塔頭につたわる工芸や絵画の名品を見ることができました。

近年の特別展では、音声ガイドのサービスを提供するのが一般的です。わたしも音声ガイドを利用して見学しました。その分野に関しての初心者・入門者は音声ガイドを利用した方が絶対によいです。今回は、女優の中谷美紀さんがナビゲーターを担当していました。

音声ガイドを利用するには別途料金(515円/税込み)が必要です。音声機器をかりると同時に、「音声ガイドリスト」をもらえます。これには、ガイド番号・展示期間・作品名・作者・時代(世紀)・フロアーマップが掲載されています。

140514 栄西と建仁寺 特別展

フロアーマップには、ガイド番号の位置(その作品の展示場所)が明確にしるされていて、記憶法やイメージ訓練(心象法)の観点からは、この「音声ガイドリスト」がとても重要な役割をはたします

1.展示を見る
音声ガイドをききながら、展示室内の立体空間(3D空間)のなかをゆっくりあるいて、各作品(展示物)を3Dイメージとして体験的に心のなかにインプットしていきます。

2.作品を空間的に想起する
ひととおり見おわったら休憩所へ行き、「音声ガイドリスト」にのっているフロアーマップと作品リストを1番から順に見て、いま見てきた作品をイメージとしておもいだします。

「音声ガイドリスト」がかなり正確にできているので、フロアーマップと作品リストを見ればイメージを簡単に想起することができます。フロアーマップは記憶想起(情報検索)のためにとても有用です。イメージが想起できたら、中谷美紀さんの声(ナレーション/何を話していたか)もおもいだすようにします。

3.言語情報から想起する
そして今度は、フロアーマップは見ないで、リスト(作品名・作者)だけを見て、イメージが想起できるかどうかやってみます。今度は、言語情報だけからイメージをおもいおこすのです。やってみるとややむずかしいです。

フロアーマップ(空間配置図)が記憶想起のためにいかに有用であるかがわかります

4.再確認する
イメージがふたしかな作品については、再度、展示物がある場所にいって確認します。

5.「音声ガイドリスト」は保管しておく
こうして、空間的な位置、作品、中谷さんの話、展示解説のすべてを1セットにして、「音声ガイドリスト」にむすびつけて記憶しておけばよいです。「音声ガイドリスト」はもちかえり保管しておき、必要があればとりだして情報をまた想起します。

6.もっとふかく勉強したい人は図録を買う
なお、もっとふかく勉強したい人は、博物館発行の図録を買ってかえります。いつでも、イメージとその解説を再確認することができます。


▼東京国立博物館
tnm.jp 

サッカー日本代表のザッケローニ監督が12日、ワールドカップ(W杯)ブラジル大会にのぞむ日本代表メンバー23人を発表し、テレビ・新聞などで報道され話題になっています。

サッカーは、情報処理の観点から見てもおもしろいスポーツです。

サッカーの選手や監督・解説者は、サッカーボールを中心視野でおいながらも、周辺視野をフルにつかって、周囲にいるほかの選手のうごきもとらえ、ピッチ全体を見るようにしています。つまり、大きな視野で全体を常に見ています。

全体をまるごと見る(インプットする)ことは観察や速読の基本でもあります。大きな視野でその場全体をまるごと見て、自分の内面にすっぽり情報をインプットする方法は観察法や速読法の訓練になるばかりでなく、情報処理の本質である並列処理にも発展します。

サッカーを見るとき、 中心視野でボールをおいつつも、同時に、周辺視野をつかって(目をキョロキョロさせないで)、選手・ピッチ(フィールド)・サポーターの様子などをどこまでとらえられるでしょうか。周辺視野でフィールド全体をとらえることがで必要です。やってみてください。

眼力のある人は、ボール(中心)のうごきだけではなく、ボールからはなれた選手のうごきも同時に視野の中に入っています。中心とともに周囲と背景も同時に見ることができるということです。

プロの監督や選手や解説者はすべてを正確に見ています。すると予測もできるようになり、ゲームの局面も見えてきます。すぐれた監督や選手は先をよむことができる人です。

サッカー観戦がすきな人は、ピッチのなかのあらゆる情報を周辺視野もつかって同時においかけ、複数のうごきを同時に見る練習をしてみるとよいでしょう

野球よりもサッカーの方がこのような訓練のためには役立ちます。

今回のW杯は、ブラジルで64年ぶりの開催となり、6月12日(日本時間13日)に開幕するそうです(朝日新聞、2014/5/12)。


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◆楽天市場ブックス
【楽天ブックスなら送料無料】トラベラーズイングリッシュ4 オーストラリア編 [ 林美貴子 ]

オーストラリアのシドニーからメルボルンそしてエアーズロックまで、観光名所をめぐりながら日常英会話を紹介していくDVDです。シリーズ「トラベラーズイングリッシュ」の第4弾「オーストラリア編」です。

DVDをつかって外国語をおぼえるためには次の方法をつかうと効果的です。

 1. DVDを普通に視聴します。
 2. 画面を消して、音声だけを聞いて、映像を想起します。
 3. 音声を消して、映像だけを見て、音声を想起します。

1.DVDを視聴
まず、DVDを普通に視聴します。映像と音声を、心のなかにしっかりインプットすることを意識します。

2.映像を想起
次に、画面を消して、目をとじて音声だけを聞きながら今みた映像を想起します。どこまで正確におもいだしてイメージをえがくことができるでしょうか。やってみてください。

3.音声を想起
今度は逆に、音声を消して、映像だけを見て、音声を想起します。どこまでおもいだせるでしょうか。英会話だけではなく、風の音や物音、料理の音など周囲の音もおもいだすようにします。

第2段階をへてこの第3段階であらためて映像を見なおすと、おもっていた以上にあざやかに鮮明に映像が見えてきます。新鮮な感覚体験がえられ、これだけでも意味があります。

上記の方法のポイントは想起の訓練にあります

くりかえし普通にDVDを視聴して、おぼえよう、おぼえようとするよりも、想起をする練習をした方が記憶は定着します。想起できるようになるということは、情報が記銘でき心のなかで保持されるということです。

情報処理の観点からいうと、想起は、そのままアウトプットにつながってきます。おぼえようとしてウンウンとうなっているだけだと、インプットばかりやっていて、プロセシングとアウトプットの訓練をおこなっていないことになります。記憶は、心の中にインプットされた情報を想起し、アウトプットをだすためにすることです。

上記の方法をつかって、イメージを見て言語をおもいだし、言語を聞いてイメージをおもいだす訓練をしていると、イメージと言語とはむすびつき、両者を統合して活用できるようになってきます

そもそもイメージは、言語情報をふくめたくさんの情報をたくわえることができます。

このDVDは、英会話をおぼえることを目的にしていますが、このような教材を参考にして、どの分野でも、DVDをつかえば記憶と想起の訓練が比較的短時間でたのしく手軽にできることを知るべきでしょう。

興味ぶかいDVDを視聴したら、すぐに想起する練習をするとよいです。DVDなどの視聴覚機器が発達したお陰で、記憶や学習はずいぶんたのしく手軽にできるようになりました。


DVD:「トラベラーズ・イングリッシュ 4 オーストラリア編 」( 英語で旅する)(TRAVELERS ENGLISH 4 Australia)
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