イメージで理解します。中核イメージをまず身につけ、用途をひろげます。あらゆる表現のためにイメージが役だちます。
NHK ラジオ英会話、今月のテキスト(5月号)には「イメージガイダンス」が掲載されています(注1)。この講座では、イメージをつかった練習をくりかえしています。


例えば on という前置詞を見てみましょう。on の日本語訳「〜の上」ではなかなか応用が利きませんが、イメージで理解すれば、この単語の持つ豊かな力を最大限自分のものにすることができます。


on のイメージはつぎのとおりです(図1)。

キャンバス 1
図1 on のイメージ


このイメージによりつぎの例文が理解できます。


  • There’s a calendar hanging on the wall. 
  • There’s a mosquito on the ceiling.
  • You can always count on me.
  • He has a lot of things on his mind.


単語の中核的なイメージをつかめば、派生的な意味もすぐに理解でき、日本語訳にしばられずに英語がつかいこなせます。学習の効率も格段にあがります。

このようなイメージと単語を情報のひとまとまりとして記憶しておくとよいでしょう。情報のひとまとまりは情報用語ではファイルといい、イメージは情報の本体、単語はその見だし(上部構造)です(図2)。

キャンバス 2
図2 on のファイル


このしくみはフレーズでもつかえます。

たとえば「NHK テレビ DVD BOOK『おとなの基礎英語』」の Season 5「Australia」(注2)をみると、その Episode 1 のキーフレーズはつぎのとおりです。


What does it mean?


このフレーズの場面はつぎのイメージ(映像)でした。


IMG_2088 (1)


これらのフレーズとイメージをひとまとまりにして(ファイルにして)記憶します。

200517 on
図3 Episode 1 のファイル


具体的には、フレーズ(英文)だけをみて場面がイメージできるように、そしてイメージだけをみてフレーズがいえるように練習します。この方法により学習は加速します。

同様に、文法の学習にもイメージがつかえます。ラジオ英会話のテキストでは、現在完了形を例にして解説しています。


2020-05-17 19.12.20
現在完了形のイメージ


わたしもかつて学校で、「on には、さまざまなな意味があり、on とはかぎらず単語には、さまざまな意味があるので、文章の前後関係で判断するように」とおそわりました。しかしイメージをつかわずに日本語訳で理解し記憶するやり方はあまりいい勉強法ではありませんでした。

まずイメージするのがよいです。日本語訳は補助手段としてつかいます。中核となるイメージを身につければ、用途をひろげていくことができます。単語・フレーズ・文法にとどまらず、あらゆる表現のためにこの方法がつかえます。もちろん英語以外の言語でも。

現在、NHK ラジオ英会話は、視聴率ならぬ「聴率」がとてもたかいこともあってか、テキストの内容も非常に充実しています。もりだくさんで、おもしろく、ためになります。この価格でこの質のたかさ、おどろきます。



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場面を想像する - 会話の流れを作る「基本接続詞」(NHK ラジオ英会話, 2020.04)-


▼ 注1

▼ 注2

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2018年度の復習をしたい人、2018年度の番組をきけなかった人のために!
大西泰斗先生が講師をつとめる NHK ラジオ英会話の全講義を収載しています。

本書は、NHK ラジオ英会話の2018年度の内容を再構成してまとめたものです。音声は、NHK ラジオ英会話の CD の2018年度のものを再編集してまとめたもので、NHK 出版サイトからダウンロードできます。コンパクトに録音されているので効率的に学習できます。

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2019年度の復習をしたい人、2019年度の番組をきけなかった人のために!