文法力と単語力をふまえ、会話のながれをつくります。スキットの場面を想像しながら発声練習をします。それぞれ場面を心のなかにファイルします。
NHK ラジオ英会話は、今年度も、大西泰斗先生が講師を担当されます。1年目は文法、2年目は単語のイメージにとりくみ、3年目の今年度は、複数の文をつなげて発言のながれ「フロー」をつくりだすことが目標です。より実践的な英会話へすすんでいきます。

今月(4月)のターゲットは「基本接続詞」、フローの基本中の基本です。相手にわかりやすく複数の文を自然につなげるために、and や or など、論理展開をささえる接続表現が重要です。






Lesson 1 and ① 順行のフロー

I made a sandwich and ate it quickly.

A and B には「 A から B への流れ」がほのかに感じらます。算数の足し算のような「+(プラス)」をあらわしているわけではありません。




Lesson 2 and ② 「命令文+ and」の理由

Hurry up, and we’ll catch the last train.

A から B に「矢印(→)」が向かっています。




Lesson 3 or  ① 選択の or

You can pay cash, or you can use a credit card.

接続詞 or は2通りの選択(二択)のフローをつくります。




Lesson 4 or ② 「強い指示+ or」

We’d better hurry, or we’ll miss the train.

相手につよい指示をおこなう文とともにつかわれて「さもないと」をあらわします。




Lesson 6 but ① 逆行のフロー

I like my new teacher but hate his jokes.

but の基本フローは「逆行」です。それまでのながれに反する内容をつづけます。




Lesson 7 but ② 話の流れを押し返す

But I’m not Japanese.

「押し返す」フローをつくります。




Lesson 8 but ③ コントラストを表すフレーズで使われる but

My teacher never puts students down, but always gives us confidence!

コントラストによって誤解の余地なく論点をつたえます。




Lesson 9 while と when

I bought these makunouchi bentos for us while I was waiting for you.

while のイメージは「2つの出来事」です。2つの出来事が歯車のように同時にまわっています。




Lesson 11 though と although ① 軽い逆のフロー

He kept on playing although he was injured.

ちょっとした逆のフローをそえる接続詞です。




Lesson 12 though と although ② though のとるさまざまな位置

He is an excellent coach. He can be a bit aggressive, though.

前の文のフローをうけ、逆行のフローを「なんだけどね」とちょこっとつけたします。




Lesson 13 if ① if の基本型

If you wait a few minutes, I’ll give you a ride to the station.

「2~3分まつ」ことを前提としています。現実におこっているとみなして話をすすめるために現在形がつかわれます。




Lesson 14 if ② if を使った文のバリエーション

If you say that again, I go home!

現在形は現在の事実を表します。この文は、「~するでしょう」といったおだやかな文ではなく、「必ず・間違いなくそうする」とつよい怒気をふくんだ文です。




Lesson 16 because、since、as:理由・原因を表す強さ

I didn’t get a prize, because I didn’t prepare well enough.

because、since、as のなかで、「理由・原因-結果」をもっともガッチリむすびつけるのは because です。




Lesson 17 as ① as のイメージ

Just as I was leaving the office, the boss told me he couldn’t attend the party.

as のイメージは「=(イコール)」です。この as は「時間的な=(同時性)」 をしめします。




Lesson 18 as ② 理由・~につれて

As it was sunny, we decided to have a barbecue.

2つの出来事を同時にながめていることから「理由」が間接的に生じます。




Lesson 19 as ③ そのほかの「=(イコール)」

As you know, we’re having the company-wide meeting next week.

この文の as you know はうしろにつづく文の内容が「= you know」ということです。








大西泰斗先生が講師を担当するラジオ英会話が3年目にはいりました。1年目は文法、2年目は単語のイメージにとりくみ、3年目は、これらを土台にしたより実践的なプログラムになります。

この講座の特色はイメージをふんだんにつかうところにあります。単語だけでなく、文法の理解にもイメージが有効でした。今年度の「フロー」にもイメージをつかいます。

このようなイメージ訓練(心象法)におけるイメージには2種類あります。

ひとつはテキストにでている絵や図であり、これらのイメージが目をとじてもおもいうかぶように練習します。すでにある絵や図をおもいうかべることは想起といってもよいです。

もうひとつはスキットの場面を想像することです。みずから自由に映像をつくりだします。たとえば Lesson 3 ではつぎのように店員が客にのべています。

You can pay cash, or you can use a credit card.

この場面を想像してみます。店員の顔や姿・服装はどうでしょうか。スリッパを販売している店内の様子・空間はどうなっているでしょうか。映像作家になった気分で自由に想像します。場面をつくりだします。このようなクリエイティブな練習がアウトプット能力をのばすために役立ち、文法力と単語力にとどまらない会話力、いきた力につながっていくのでしょう。

したがってキーフレーズを声にだしていうときに、あわせて場面を想像してみるとよいです。場面を想像しながらキーフレーズをいう練習をします。

このような練習において、キーフレーズ(言葉)は想像した映像の見出し・シンボル(上部構造)として機能します。キーフレーズと映像は情報のひとまとまりになり、一体となってはたらきます。このような情報のひとまとまりは情報処理用語でファイルとよびます(図1)。ここでは、ファイルを球でモデル化しておきます。

200428 想像
図1 ファイル


キーフレーズと想像により、場面のファイルを心のなかに多数つくりだしていけば(それぞれの場面を心のなかにファイルしていけば)、視聴(インプット)と理解(プロセシング)にとどまらず、行動(アウトプット)につながる会話に発展するにちがいありません。





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心にしみわたるコミュニケーション -「大きな『単語』:定型表現 ②」(NHK ラジオ英会話, 2020.03)-


▼ 参考文献
『NHK ラジオ英会話 2020年4月号』NHK出版、2020年


▼ CD:放送内容をコンパクトにまとめており、復習のために最適です。


▼ NHK ラジオ英会話はインターネットでもきくことができます。
NHK らじる★らじる
ラジオ英会話ストリーミング


▼ 今月のメッセージ
大西先生と番組パートナーのクリス&ろーざからのメッセージ動画をおたのしみください。


▼ 年間学習予定表
2020-04-28 20.59.25


▼ 関連教材
2018年度の復習をしたい人、2018年度の番組をきけなかった人のために!
大西泰斗先生が講師をつとめる NHK ラジオ英会話の全講義を収載しています。

本書は、NHK ラジオ英会話の2018年度の内容を再構成してまとめたものです。音声は、NHK ラジオ英会話の CD の2018年度のものを再編集してまとめたもので、NHK 出版サイトからダウンロードできます。コンパクトに録音されているので効率的に学習できます。


▼ 関連教材
2019年度の復習をしたい人、2019年度の番組をきけなかった人のために!