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如来坐像(銅造、タイ、スコータイ時代・14〜15世紀)
(平行法で立体視ができます)
東洋史と東洋の精神文化をしる手がかりとして重要です。
東京国立博物館・アジアギャラリー(東洋館)で「東南アジアの金銅像」が展示されています(期間限定、注1)。タイ・インドネシア・カンボジア・ミャンマーの仏教像・ヒンドゥー教像がみられます。インドシナ半島やインドネシアでは、仏教やヒンドゥー教の像がインドの影響をうけて古代より数多くつくられました。


如来坐像(銅造、タイ、スコータイ時代・14〜15世紀):魔除けとして東南アジアでこのまれました。右手を膝前にたらす「触地印」(そくちいん)は、地面にふれることで大地の女神に悟りを証明してもらい、悪魔をしりぞけたエピソードにちなみます。両脚を「結跏趺坐」(けっかふざ)とせず、上下にかさねる形はスリランカの影響によるもので、「勇猛坐」(ゆうみょうざ)とよばれるヨーガの坐法です。



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ジャムバラあるいはクベーラ坐像
(青銅、インドネシア、中部ジャワ時代・8~9世紀)
インドネシアのジャワ島では、インド文化の影響が5世紀にはすでにみられ、ヒンドゥー教が信仰されました。



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ヴィシュヌとガルダ像
(青銅、カンボジア、アンコール時代・12~13世紀)
両腕をひろげてたつガルダ像の両肩のうえに、4つの肘をもつヴィシュヌ像がたちます。ヴィシュヌは、右第1手には宝珠、第2手にはほら貝、左第1手には棍棒、第2手には円盤をもちます。ヴィシュヌは、シヴァ、ブラフマーとならぶヒンドゥー教の三神のひとつです。



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宝冠如来および両脇侍坐像
(青銅、ミャンマー、パガン時代・12~13世紀) 



東南アジアでは、仏教やヒンドゥー教がインドより伝来し、仏像やヒンドゥー神像がふるくからさかんにつくられ、寺院への奉納品あるいは個人の信仰対象などとしてひろく崇拝されました。

7世紀から8世紀ごろまでの像は、インド風の様式をはっきりしめすものがおおいですが、時代がくだるにしたがい、それぞれの地域の民族的な特徴を色こく反映した独自の様式をしめすようになります。

今回展示されている仏像や神像はどれもちいさなものですが、東洋史や東洋の精神文化を理解するための手がかりとしてとても重要です。

おなじ東洋でも、インド、東南アジア、ネパール、チベット、中国、モンゴル、朝鮮、日本など、それぞれに個性がみられます。仏像や神像をとおして、東洋における相似と相異をさぐってみるとおもしろいです。

 

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▼ 注1
「東南アジアの金銅像」
会場:東京国立博物館・アジアギャラリー(東洋館)地下1階・12室
会期:2018年5月8日 ~ 2019年5月6日