トーキョーは世界最大の都市になりました。巨大都市化をかんがえるうえでトーキョーはさけてはとおれません。
『ナショナルジオグラフィック』2019年4月号はまるごと一冊「世界の都市」を特集しています。今世紀のなかばまでに世界人口は98億人に達し、その7割ちかくが都市にくらすことになるといいます。巨大都市は人間にとってすみやすい場所になるのでしょうか?



米国人ジャーナリストと写真家が、超巨大都市「トーキョー」をレポートしています。


東京を中心に形成された関東大都市圏は人口が3700万人を超え、世界で最も人口の多い大都市圏だ。

市街地の人口密度は、1平方キロ当たり、ニューヨーク市は約11,000人、東京23区は約15,000人。

築地市場
世界各地の水産物が1日およそ1500トンも集まっていた。金額にしておよそ16億円だ。それだけの量をたった1日で仕分けし、切り分けて小売店に卸すのだ。

巣鴨
東京の決定的な特徴が表れている。かつてない規模で急速に進む高齢化だ。

千駄ヶ谷
新国立競技場の建設現場から何本ものクレーンが伸びていた。2020年夏のオリンピックに向けた再開発の目玉で、6万8000人を収容できる。

浅草
東京でも人気の観光地で、年間の参拝者や観光客は膨大な数になる。

南千住
みこしは境内を出て、南千住の通りを進んでいく。白い手袋の警官が交通整理をしていた。

中央区
東京では外国人住民の数が年々増えており、2018年には20代の東京在住者の10人に1人が外国人だった。





都市のことをしろうとおもい、その渾沌とした勢いを感じたいなら、とにかくそこをあるいてみることです。今回は、外国人の視線でとらえたトーキョーが紹介されています。巨大都市をかんがえるうえでトーキョーはさけてとおることはできません。

トーキョーは、人口3700万人をこす大都市圏を形成し、世界屈指の豊かさと治安のよさ、そして創造性をほこる都市であると紹介されています。

そこは、1923年の関東大震災、第2次世界大戦末期の大空襲という2度の壊滅的な被害をうけましたが、焼け野原になるたびに、人々は過去をすててあたらしい街をつくりました。これがトーキョーの「創造力」です。復興がすすむなかで人口が急増、年代もおいたちもことなる人々が多数あつまり、巨大な「エネルギー」をうみだしました。

トーキョーは、都市というものがここまで巨大化しうることをみごとにしめしました。従来の都市とはまったくくらべものにならないほどに肥大化し、もはや「化け物」です。

一方でトーキョーは、世界が、日本文化とつながる一大中継点でもあります。今日では、世界の人々が日本文化に注目しています。グローバル化と巨大都市化はまちがいなく連動しています。

しかし巨大都市でくらしている人々はどうかというと、すみたいとおもってそこにすんでいるのではかならずしもなく、必要にせまられてすんでいる場合がおおく、居住環境もわるく、“通勤地獄” もあり、人々が幸せであるとはいえません。

都市の巨大化は世界各国ですすんでおり、そのために、あらたな問題も発生しています。トーキョーの事例は、今後の都市問題をかんがえるうえで参考になります。



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「トーキョーを歩く」(ナショナルジオグラフィック 2019.4号)
「未来都市のマスタープラン」(ナショナルジオグラフィック 2019.4号)
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▼ 参考文献
『ナショナルジオグラフィック日本語版』(2019年4月号)日経ナショナルジオグラフィック社、2019年