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(交差法で立体視ができます)
地球には、壮大な進化の歴史があります。環境は変動し、生物は環境に適応します。ヒト(ホモ・サピエンス)は地球を支配しようとしています。(2019.3.25 更新)
国立科学博物館・地球館の地下2階では、約46億年にわたる地球の壮大な歴史をたどることができます。


第1展示室
 1. 46億年の散歩道
 2. 地球のおいたちを調べる
 3. 絶滅と進化をうながす地球環境
 4. 海で起こった生物の爆発的進化
 5. 陸上に進出した生物

第2展示室
 6. 陸上を支配した哺乳類
 7. 水に戻った四肢動物
 8. 空を飛んだ脊椎動物

第3展示室
 9.人類の進化



第1展示室

1.46億年の散歩道

約46億年前、太陽系のほかの惑星とともに地球は誕生しました。

地球は、無数の隕石の衝突によって発生した熱でとけ、表面をおおったマグマから放出された火山ガスが原始大気となりました。そのなかの水蒸気は雨となってふりそそぎ、原始海洋ができました。

約40億年前、生命が誕生し、その後、変動する環境のなかで、さまざまな生物が誕生と絶滅をくりかえす生物進化がおこります。

5億4000万年前ごろになると爆発的な生物の進化がおこり、現生する無脊椎動物のほとんどがあらわれました。

約6600万年前には恐竜が絶滅しました。ただし恐竜のなかの竜盤類は鳥類に進化し、鳥類は絶滅することなく進化をつづけました。

3500万年前ごろ、南極大陸をとりまく海流が生じて、地球の大気と海洋の循環システムはおおきくかわり、それにともなって海と陸の生態系もおおきく変化しました。

約700年前になると人類が誕生しました。そして20万年前ごろ、アフリカの旧人からわたしたちヒト(ホモ・サピエンス)が進化しました。

地球が誕生したときのようすは隕石や月の石などをしらべて想像します。地球のなりたちは、さまざまな岩石(火成岩・堆積岩・変成岩)やマントル物質などに記録されています。隕石や岩石をつくる鉱物にふくまれる放射性同位体を分析すればそれらの形成年代をしることができ、先カンブリア代・古生代・中生代・新生代といった地質年代はこうしてきめれられました。





2.地球のおいたちを調べる

約46億年前の原始太陽系では、宇宙にただようガスや塵があつまってちいさな無数の微惑星ができ、微惑星が、衝突と合体をくりかえして地球が誕生しました。

地球誕生初期には、微惑星の衝突によって地球の表面はとけてマグマの海となっていましたが、44億年前ごろになると、微惑星の衝突がすくなくなり、地表の温度は低下しはじめ、大気中の水蒸気は豪雨となってふりそそぎ、原始の海がつくられました。

こうした原始太陽系や地球誕生初期のようすは、地球に落下する隕石や太古代の岩石に記録されています。原始地球の素材となった微惑星は、今では、形をかえて地球のいろいろな部分に存在しています。


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アエンデ隕石球粒隕石/コンドライト)
太陽系の形成過程で、宇宙空間にただよう塵があつまってできた隕石です。太陽系が冷却するときに一次的に塵が加熱されてできた液滴から結晶した丸い粒(球粒)をふくんでいます。



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閃緑岩質片麻岩(カナダ、40億年)
カナダで発見された世界最古(約40億年前)の岩石です。



ジルコンの結晶:岩石中のジルコンは放射性元素をふくんでおり、それを分析すれば、ふるい岩石の形成年代をもとめることができます。





3.絶滅と進化をうながす地球環境

環境の急激な変化は、生物の大量絶滅をときにひきおこします。ペルム紀(約2億5000万年前)には、はげしい火山活動と海底の酸欠によって史上最大の大絶滅がおこりました。白亜紀末(約6600万年前)には、小天体が地球に衝突して環境悪化がおこり、恐竜をはじめとするおおくの生物が絶滅しました。

一方で、環境の変動は、生物の進化や拡散にもおおきなな影響をあたえます。新生代のなかごろには、南極大陸をとりまく海流ができ、大気と海流の循環システムがかわり、陸と海の生態系が変化しました。氷河時代には、海水準の変動がくりかえしおこり、あさい海は陸地となり、ほかの大陸へ陸上生物が移動し、拡散しました。

海底や湖底で形成された堆積岩には、ルーペや顕微鏡をつかわないと観察できないちいさな化石がふくまれています。それらは、プランクトンやちいさな底生生物の殻、魚なの歯やウロコ、花粉や胞子などで、「微化石」とよばれます。微化石は、地層の年代決定や、過去の環境を推定するためによくつかわれます。

海の動物の遺骸やフン、植物プランクトン、有機物のかたまりなどは、海中を沈降していきます。これらの沈降物は、海中にふる雪にようにみえることから「マリンスノー」とよばれます。深海底に堆積したこのような沈降物を分析することからも過去の環境を推測することができます。


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浮遊性有孔虫(微化石の一種、模型)





4.海で起こった生物の爆発的進化

先カンブリア時代の生物
約40億年前、原始の海で最初の生命が誕生しました(生命の起源説には諸説があります)。当時の地球にはほとんど酸素はなく、生物は肉眼ではみえない細菌類などの微生物でした。

やがて27億年前ごろ、太陽の光を利用して酸素をつくりだす微生物があらわれ、この光合成をする微生物はストロマトライトを形成し、地球上に酸素を放出していきました。こうして地球の大気が変化していきました。


エディアカラ紀の生物群
先カンブリア時代のおわり、エディアカラ紀(6億5000万〜5億4000万年前)とよばれる時代になると、肉眼でみえる程度のおおきさの生物があらわれました。そのほとんどが奇妙な姿をしており、平らで細長い袋をつみかさねたような体のつくりをしていました。それらは、現在のいかなる生物ともことなる生物群(ベンド生物)だという仮説があります。


古生代の無脊椎動物
5億4000万年前の古生代カンブリア紀になると生物の爆発的な進化がおこり、さまざまな種類の生物が急に登場し、現存する無脊椎動物のほとんどがあらわれました。

古生代の海には、さまざまな姿かたちの生物たちがあふれていました。カナダのバージェス頁岩(けつがん)などからは不思議な生物の化石がたくさん発見されています。


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ディケロケファリナ
(モロッコ、約4億7000万年前・オルドビス紀前期)
三葉虫類の一種です。三葉虫は「海の王者」とよばれるほど繁栄しましたが、古生代の末(2億5000万年前)には絶滅しました。





5.陸上に進出した生物

大気中に酸素がふえ、有害な紫外線から生物をまもるオゾン層が形成されると、生物は、水中から陸上へ進出しはじめました。

古生代オルドビス紀中期(約4億7000万年前)に植物が上陸をはたし、地表に次第にひろがっていき、動物がすめる環境がやがてつくられました。

古生代シルル紀後期(約4億2000万年前)には節足動物が上陸しました。

古生代デボン紀後期(約3億7000万年前)には最初の両生類が出現しました。

古生代石炭紀(3億5000万〜3億年前)になるとシダ植物が大森林を形成し、「緑の地球」をつくりだしました。


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スクレロケファルス
(両生類、ペルム紀前期、ドイツ)





6.陸上を支配した哺乳類

約3億2000万年前、両生類から爬虫類が進化したころ、哺乳類の祖先にあたる原始的な単弓類(たんきゅうるい)も両生類から進化しました。

2億3000万年前ごろになると、より進化した単弓類・キノドン類から、ひろい意味での哺乳類である哺乳形類が誕生しました。


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パラケラテリウム(史上最大の陸生哺乳類)
(約3600万〜2400万年前、新生代第三紀始新世末期〜漸新世後期)





7.水に戻った四肢動物

約3億年前、両生類から進化した爬虫類と哺乳類は、またたくまに生活の場を陸上へとひとげていきましたが、一方で、彼らのなかまには、生活の場をふたたび水中へもどしていくものたちもいました。

約2億4000万年前に出現した水生爬虫類と約5000万年前に出現した水生哺乳類とは、約2億年の時をへだてて、おなじような姿かたちに進化しました。

このように、ことなる形の祖先からおなじような形の子孫へ進化することを「収斂進化」(しゅうれんしんか)といいます。彼らをみくらべてみると、爬虫類と哺乳類のちがいをこえておどろくほど形や生態が似ています。





8.空を飛んだ脊椎動物

空をとぶことに最初に成功したのは翼竜であり、恐竜の親戚にあたる爬虫類です。翼竜は、薬指だけがながくのびて翼をつくり、最大の種は、翼をひろげると幅12mにも達しました。

恐竜の獣脚類から進化した鳥類は、手から肘にかけて羽毛でできた翼をもっています。

哺乳類のコウモリは、5本の指をおおきくひろげて、指と指の間に膜をはったカサのような構造の翼をもっています。

このように、約3億6000万年におよぶ四肢動物の進化の歴史のなかで、空をとぶことへの進化は、ことなるグループですくなくとも3回おこりました。ルーツのことなる動物たちはそれぞれの方法で翼を獲得しました。






第3展示室

9.人類の進化

霊長類の進化
哺乳類のなかで、樹上での生活に適応したのがサルの仲間である霊長類です。よくみえる目、おおきな脳、物をつかむことができる器用な手をもつことが霊長類の特徴です。

約700万年前、アフリカで、霊長類のなかから人類の祖先「猿人」が誕生しました。骨盤や膝の形がヒトとよく似ており、足跡の化石もみつかっていることから、猿人は、直立二足歩行をしていたとかんがえられます。ただし初期の猿人は、生活の場として樹上も利用しつづけていたらしいです。直立二足歩行は、人類の一員であることをしめす特徴であり、これよって人類は、生活の場を地上にひろげていくとともに、両手が自由につかえるようになり、道具をつくるようになっていきます。

エジプトポテクス:3000万年以上前の化石霊長類です。旧世界ザルや類人猿の共通祖先にあたる原始的な狭鼻猿(きょうびえん)の一種です。


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猿人「ルーシー」
(アウストラロピテクス・アファレンシスの成人女性)
(320万年前、エチオピア)



類人猿の進化
アフリカで誕生した人類は、その後、約450万年にわたってアフリカのなかでゆっくりと進化しました。

400万年前ごろにはアファール猿人が、つづいてアフリカヌス猿人があらわれました。

250万年前ごろになると、ロブストス猿人やボイセイ猿人など「頑丈型猿人」とよばれる猿人があらわれました。その一方で、のちのヒトへとつづくホモ属の人類も登場しました。

こころこは、地球全体で環境がおおきく変化し、アフリカでは乾燥化がすすみ、食料がとぼしくなりました。こうしたなかで、歯や顎などが特殊化していったのが頑丈型猿人、石器などの道具をつかうようになったのがホモ属の人類ではないかという仮説がたてられています。



原人・旧人の進化
ドマニシ遺跡(コーカサス)から、約185万〜175万年前の石器や原始的な人類化石がみつかりました。このことから、アフリカで誕生した原人は、アフリカをはじめてでて、ユーラシア大陸へひろがったとかんがえられます。

その後、アジアへ進出した原人のなかから、北京原人・ジャワ原人・フローレス原人・台湾の原人といった原人の集団があらわれました。

そしておそらく80万〜30万年前に、原人よりも脳がおおきくなった旧人が出現しました。

これらの結果、地球上のことなる場所にことなる人類が生存することになりました。

展示では、原人と旧人の分布の拡大と多様化について6つの地域にわけて解説しています。



新人の進化と世界拡散
20万年前ごろになるとアフリカで、旧人の集団から、新人すなわちホモ・サピエンス(ヒト)が出現しました。

ホモ・サピエンスは、5万年前ごろになると世界各地に急速にひろがっていきました。原人や旧人は、極端にさむい北ユーラシアやその先のアメリカ大陸、あるいは海でへだてられたオーストラリアや太平洋の島々などへは進出できませんでした。しかしホモ・サピエンスは、さむさにたえる衣服や住居や食料保存法をつくりだし、また舟を発明し航海することによって、地球上の隅々にまで比較的短期間でひろがりました。

ホモ・サピエンスは、きびしい自然環境にも技術の力で適応し、環境のことなるそれぞれの地域で独自の文化をうみだしていきました。世界各地で今日みられる多様な文化のルーツは、先祖たちの世界拡散とさまざまな自然環境への適応にあるといえます。

現在、人類には、ホモ・サピエンスというひとつの種しかおらず、世界中のすべての現代人がホモ・サピエンスに属しています。ホモ・サピエンスが世界中にひろがったことで、各地で先住していた原人や旧人は姿をけしました。かつては、多様な人類が地球上にいましたが、今では、ホモ・サピエンスだけが生存しています。

原人や旧人はなぜいなくなったのでしょうか? かれらの種の「寿命」がつきたのでしょうか? それともホモ・サピエンスが彼らをほろぼしたのでしょうか?

(つづく)