DSCF9534ab
地球モデル
(平行法で立体視ができます)
複雑系である地球の現象を動的立体モデルで理解できます。どのような状況に自分がおかれているかをしり、危険の種に気づき、対策をたてます。
太陽と地球内部から供給されるエネルギーが原動力となり、大陸・海洋・大気などのあいだを熱と物質が移動することで地球全体のシステムがたもたれています。

しかしときにその過程(自然現象)のゆらぎにより、あるいはシステムのバランスがくずれることより自然災害が発生し、わたしたちの命や社会の存続をおびやかす危険(ハザード)がうまれます。さらに人間がつくりだした機械文明により、原発事故など、これまでにはなかった危険があらたにうみだされています。今日の地球システムにおいては、地球のダイナミックな運動と環境を破壊する人間社会とがかみあわさって危険が増大しています。

このような危険がどのようにしてうまれ、被害につながるのかを、日本科学未来館の動的立体「地球モデル」で理解できます。


DSCF9534ab
図1 地球モデルの概念図


基本的には、〈人間社会-自然環境〉システムであり、自然環境とは具体的には、大陸・海洋・大気・宇宙です。これにもとづいて、地球全体のシステムを動的・立体的にモデル化しました。


DSCF9517ab
動的立体「地球モデル」



DSCF9516ab
動的立体「地球モデル」


移動する赤い球は、地球や人間社会からうまれるさまざまな危険(ハザード)を象徴しており、これらをおいかけていくことにより、どのような状況に自分がいまおかれているのか、その位置をしることができ、サバイバルのためのヒントをえることができます。

地球は複雑系であって容易には理解できませんが、このようなモデルをつかえば、地球のしくみの本質(エッセンス)をすばやくつかむことができます。モデルはきわめて有用です。




今日、地震・火山噴火・水害などの自然災害だけでなく、感染症の拡大、原子力発電所の事故、テロなど、人間活動に起因する危険もふえています。わたしたち現代人は、人間の命と社会の存続をおびやかすたくさんの危険(ハザード)の種にかこまれてくらしています。

これからおこりうるハザードにむきあい、それらをのりこえて生きのこっていくためにはどうしたらよいのでしょうか?

まずは、危険の種に気がつくことが必要です。身のまわりに、あるいは仕事などをしていて、何らかの違和感がもしあったら、それは危険のサインかもしれません。違和感をそのままにしておいてはいけません。また環境や組織あるいは物事のなりゆきにアンバランスがみつかったら、そのシステムはいずれ崩壊しはじめます。早急にバランスを回復するように修正してください。

わたしたちの社会や自然環境のなかには危険がたくさんかくれており、とくに、地球のダイナミズムと拡大する人間活動と進歩しつづけるテクノロジーとが複雑にからみあって生じる危険はもっともおぞましい結果をもたらします。

どのような被害がひきおこされるか、その可能性をあらかじめ想像してみることも大事でしょう。

たとえば、ある場所で30年に1度くらいしかおこらないような特別な気象を「異常気象」といい、1日あたりの降水量が200ミリメートルをこえる大雨もその例であり、その頻度や強度がましているというデータがあります。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)によると、地球温暖化がこのまますすむと、大雨の頻度や強度・降水量が日本などの中緯度で今世紀末に増加すると予測しています。この予測はあたっているようです。「スーパー台風」が毎年のようにおそってくるようになるかもしれません。

しかしその変動の速さに対策がおいついていません。とくに都市部での洪水被害など、水害の規模は拡大する一方です。

このような状況のなかでは災害予測が重要になってきます。しかしこれだけ科学が発達しても、天気予報はやっぱりはずれることがあるとおもっている人がおおいのではないでしょうか。地球は複雑系であるため、地球の現象の正確な予測はできません。あるいは「地震予知」も、まったくできないことを地震学者がいまではみとめています。あるいはあたらしい感染症の拡大なども予測が非常にむずかしい分野です。

したがってあらゆる事態を想定して、くるものはくるという前提にたって、被害を最小限にするための対策を講じることが必要です。


▼ 関連記事
失敗をいかせ -「100億人でサバイバル」(日本科学未来館)-

▼ 注1
日本科学未来館「100億人でサバイバル」
※ 写真撮影が許可されています。