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ティラノサウルス
(竜盤類・獣脚類、アメリカ・白亜紀後期)

(交差法で立体視ができます) 
恐竜は、竜盤類と鳥盤類に分類され、竜盤類は鳥類に進化しました。多様性がよわまり、環境が悪化したことによりおおくの種がほろびました。
国立科学博物館・地球館地下1階では、さまざまな恐竜の化石標本を展示し、恐竜の謎をさぐっています。

ステレオ写真はいずれも交差法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -



爬虫類と恐竜

恐竜とは、いまから約2億数千年前(中生代三畳紀)に出現した爬虫類であり、当初は、爬虫類のなかのひとつのグループにすぎませんでしたが、三畳紀末までには世界的に分布をひろげ、当時の生態系の中心的な存在となりました。

普通の爬虫類と恐竜では体のつくりがことなり、爬虫類は、たとえばワニをみればわかるように、胴体の横に肘と膝をつきだして地面を四つ足ではいますが、恐竜は、初期の段階から二足歩行になったようです。恐竜では、骨盤のくぼみが貫通して穴になり、大腿骨が骨盤にふかくはまりこむようになったため、胴体の横に膝をつきだす蟹股(がにまた)ではなく、胴体の真下に膝をのばして立てるようになったのではないかという仮説が恐竜の足跡化石のデータなどからしめされています。

実際には、四足歩行にもどる進化をした恐竜もいましたが、二足歩行でも四足歩行でも、柱のように手足をつかうことができたので、ほかの爬虫類よりも効率的に体重をささえて体をおおきくすることができました。またほかの爬虫類よりもはやくはしることができ、とおくまでいくこともできました。こうして生態系の中心的な存在になったのだとかんがえられています。

進化論的には、恐竜は、「竜盤類」(りゅうばんるい)と「鳥盤類」(ちょうばんるい)2つの系統におおきく分岐して多様化していきました。

  • 竜盤類
  • 鳥盤類 





竜盤類

展示室中央の円形ステージには竜盤類の恐竜がおもに展示されています。竜盤類のなかの獣脚類(じゅうきゃくるい)にはティラノサウルスのように大型化したものもいましたが、シチパチのような小型の種もいました。

小型獣脚類のなかには、鱗ではなく羽毛をもつものが出現し、初期の羽毛は短毛状で、飛ぶことよりも保温に適した形状をしていました。恐竜が、変温動物から恒温動物に進化しはじめて、日没後の体温低下を羽毛でしのいでいたのではないかという仮説がたてられています。

その後、ミクロラプトルのように、前肢だけでなく後肢にも翼をもち、木の枝から枝に四翼で滑空していたと想像される恐竜があらわれます。

このような恐竜から、始祖鳥をへて鳥類が誕生したのではないかという有力な仮説が現在ではとなえられています。「鳥類恐竜起源説」です。

一方、植物というあたらしい食を開拓して進化した「竜脚形類」(草食恐竜)は、アパトサウルスのように四足歩行になり、大型化していきました。

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アパトサウルス
(竜盤類・竜脚形類、アメリカ・ジュラ紀後期)





鳥盤類

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トリケラトプス
(鳥盤類・周飾頭類・角竜類、アメリカ・白亜紀後期)


展示室の円形ステージの周囲には鳥盤類の恐竜たちが展示されています。

恐竜は、骨盤の形状から、竜盤類と鳥盤類に分類され、鳥盤類は、恥骨(ちこつ)のむきが鳥に似ていることからこのように名づけられましたが、その後、鳥類に進化したのは竜盤類(の獣脚類)であったことがあきらかになりました。まぎらわしいので注意してください。

鳥盤類も、中生代三畳紀に出現しましたが、歯の形と大きさは植物をきりきざむのに竜盤類よりも適しており、初期から植物をたべるようになっていたようで、植物食の種ばかりです。植物のほうが資源として豊富なため、植物食の恐竜は個体数をふやすことができ、種の多様性をましていくこともできました。

鳥盤類は、もともとは二足歩行であり、ヒパクロサウルスなどの鳥脚類、パキケファロサウルスのような堅頭竜類は二足歩行のままでしたが、トリケラトプスのような角竜類、ステゴサウルスのような剣竜類、スコロサウルスのような鎧竜類(よろいりゅうるい)は四足歩行になっていきました。鳥脚類・堅頭竜類・角竜類は、突起や角・フリルなどの目立つ構造をもつものがおおいです。剣竜類は、中生代ジュラ紀に繁栄し、鎧竜類は、中生代白亜紀に繁栄し、装盾類(そうじゅんるい)というおなじグループに両者は属し、どちらも、鱗の骨成分をふやした頑丈な鱗をもっています。





中生代最後の日と鳥類の進化

北米における白亜紀末期の恐竜の生態系に関する研究によると、約7200万年前から、角竜類やハドロサウルス類の衰退(減少)がおこり、これらは、肉食恐竜の獲物であったために食物連鎖網が不安定になり、恐竜の生態系全体が脆弱になった(恐竜の多様性がよわまった)のではないかという仮説がだされています。

その後、約6600万年前のある日、現在のメキシコ・ユカタン半島付近に巨大隕石が衝突し、その衝撃によって粉々にこわれた隕石の破片と、クレーターができるほどに破壊された地球表面の破片とが空中にまいあがって大気圏に層をつくり、その影響で太陽光線がさえぎられて地表は寒冷化し、植物の光合成が阻害され、その結果、生態系の大部分の生物が絶滅したとのではないかという仮説がたてられています。

恐竜は、中生代の三畳紀・ジュラ紀・白亜紀に繁栄しましたが、鳥類に進化した1系統をのぞき、このときに絶滅しました。

約7200万年前から恐竜の多様性がよわまっていたことにくわえて、約6600万年前に大規模な環境悪化がおこり、おおくの恐竜がほろんだのだとかんがえられます(図1)。

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図1 絶滅のモデル

白亜紀末には、アンモナイトをはじめ、おおくのほかの生物も絶滅したため、白亜紀末に、中生代と新生代の境界線がひかれるようになりました。生物のながい歴史のなかで、すくなくとも5回の大量絶滅がおこったことがしられており、そのうちの1回がこれにあたります。

しかしながら、恐竜のなかの竜盤類は鳥類へ進化し、絶滅することなく、いまでも進化をつづけています。これは近年えられた重要な知見です。体がちいさかったために必要とする食料がすくなくてすんだことがよかったのかもしれません。こんど鳥をみたら、そのルーツである恐竜を想像してみてください。多様性をうみだしながら生きつづけている地球生命のおおきな流れがわかってきます。



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▼ 注
国立科学博物館

▼ 参考文献
国立科学博物館編集・発行『地球館ガイドブック』2016年7月29日


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