電磁場の原理・法則をつかって発電がおこなわれ、電気製品がうみだされています。物理学は、テクノロジーにむすびつき、歴史に影響します。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』 2019年3月号の Newton Special では「なるほど!! 物理入門」と題して、高校物理の内容をわかりやすく解説しています。その PART 4 は「電気と磁気」です。



現在の物理学では、電極や磁場は、そのまわりに置かれた電荷や磁極に力をおよぼすように、空間の性質を変化させていると考えます。そのような空間の性質を「場」といいます。電荷のまわりに生じる場を「電場(電界)」、磁場のまわりに生じる場を「磁場(磁界)」といいます。

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電荷や磁極(磁石)が、はなれた場所に力をおよぼすことは不思議なことであり、物体に接触しなくても力がはたらくことは重要なことです。

電流と磁気(磁場)には密接な関係があり、導線に電流をながすと、その導線をとりかこむように磁場が発生します。電磁石は磁場を利用しています。

一方、磁石を、コイルにちかづけたりとおざけたりするとコイルに電流がながれます(電磁誘導)。磁石をちかづけるときととおざけるときとでコイルにながれる電流のむきは反対になります。

発電所では、この原理を利用して電流をうみだしています。たとえば火力発電所では、石油や天然ガスをもやして水を沸騰させて高圧の水蒸気をつくりだし、タービンとよばれる羽根車をまわしてタービンの軸の先についている磁石をまわすと、その周囲にあるコイルに電流がながれます。これが発電です。こうしてえられる電流は、電流のおおきさとむきが周期的にかわり、これを「交流電流」といいます。西日本では1秒間に60回(60Hz)、東日本では1秒間に50(50Hz)変化する交流電流が供給されています。なお電池からえられる電流は、電流の向きが一定で、これを「直流電流」といいます。


モーターのしくみの基本原理は、「磁石のそばにおいた導線に電流を流すと、導線に力がはたらく」というものです。


この原理によって導線を回転させるのがモーターです。磁石のあいだ(磁場のなか)にコイルをおいて電流をながすとコイルが回転します。




発電、電気製品、電気自動車など、いうにおよばず今日の文明は電気なしではなりたちません。電磁場の原理・法則をたくみにつかって文明の利器がうみだされています。

このようなテクノロジーの発展には、物理学者よりも “技術者” がおおきな役割をはたしています。近代文明(機械文明)においては技術者の台頭が顕著です。大学にいっても、工学部のほうが理学部よりもはるかに大規模です。大学進学時に「工学部へいけ」と父親からいわれた人もおおいのではないでしょうか。

しかしテクノロジーの発展は、原子爆弾の製造や原子力発電所の建設までももたらしました。技術者の「暴走」もおこっています。本当に、世の中の役にたっているのか? テクノロジーには光と陰がつねにつきまといます。いいことだけではありません。

また物理学があきらかにした原理・法則を応用してテクノロジーを発展させるという観点から、「基礎と応用」という思考が常識になりました。応用に役立つ基礎研究が重視されるようになり、テクノロジーにむすびつく基礎研究には予算がつくようになりました。

こうして物理学の研究は、原理・法則の追究にとどまらずに、テクノロジーにむすびつき、文明をうごかし、あらたな歴史的局面をうみだします。物理学の「波」が歴史にまで波及していきます。


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