「偽薬」でも効果が生じることがあります。脳の神経活動が活発になると体も改善されます。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2019年2月号の FOCUS では「プラセボ効果」について紹介しています。



効果がないはずの “偽薬”(プラセボ)でも、ほんとうの薬だと思って飲むと効果が生じることがある。これを「プラセボ効果」という。


これまでの研究で、高度な脳機能に関する「前頭葉皮質」などで神経活動が上昇することや、脳内で分泌された「内因性オピオイド」という神経伝達物質(神経間で信号を伝達する物質)がプラセボ効果に関係していることがわかってきました。しかし人の臨床データだけで、くわしいしくみはわかりませんでした。

理化学研究所生命機能科学研究センターの崔翼龍博士らの研究チームは、「パヴロフの条件づけ」とよばれる手法をつかってプラセボ効果をラットで再現することに成功しました。


注射をしては痛みが消えるということのくりかえしで、痛みが消える条件をラットが学習しました(パヴロフの条件づけ)。その結果、一部のラットでは注射への期待感だけで鎮痛効果(プラセボ効果)が生じたと考えられます。


プラセボ効果が生じた個体の脳では、「前頭前皮質内側部」という領域で神経活動が上昇していました。人間の脳でいうとこの場所は期待感や予感に関係する領域です。また痛みの制御に関係する「服外側中脳水道周囲灰白質」が前頭前皮質内側部の活動と連動していることもわかりました。

将来的には、プラセボ効果を活用して、治療効果の向上や薬剤使用料の軽減につなげたいそうです。

このような研究から、脳の神経活動が活発になると体も改善されることはあきらかであり、精神と肉体がいかにつよくかかわっているかがわかります。人間は、単なる肉体的・物質的存在ではありません。

プラセボ効果については、その存在するしらない人も結構いるようですがたいへん興味ぶかい効果であり、心身の不思議をおしえてくれる現象でもあります。今後とも注目していきます。


▼ 引用文献
『Newton』2019年2月号、ニュートンプレス、2019年

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