地表付近では、高気圧から低気圧にむかって風がふきます。4つの高気圧が日本の四季を決定づけます。天気は西からかわります。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2019年2月号では「超図解でよくわかる! 天気と気象の教科書」を特集しています。その Part 2 では気圧と風のしくみを解説しています。



低気圧では上昇気流が発生し、周囲から風が集まります。上昇気流によって雲もできるため、低気圧では天気がくずれやすくなります。(中略)高気圧では下降気流が発生しているため、雲はできず晴れます。

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「気圧」とは大気の圧力のことであり、「低気圧」は周囲とくらべて気圧の低いところ、「高気圧」は周囲とくらべて気圧の高いところをさします。

地上の空気の温度は場所や時間によってことなり、周囲とくらべて温度の高い空気は膨張して密度が低くなります。そうした場所では、地上から上空までの空気の重さが周囲とくらべて小さくなるため、地上の気圧が低くなり「低気圧」となります。

一方、周囲とくらべて温度の低い空気はちじんで密度が高くなり、その分、上空で周囲から空気がながれこんで地上から上空までの空気の重さが周囲とくらべて大きくなり、地上の気圧が高くなって「高気圧」となります。

気圧に差があると、その差をうめるように空気はうごき、つまり高気圧から低気圧へむかって風がふきます。


大陸と海との気温差、そして上空で吹く偏西風のはたらきにより、季節によって性格のちがう高気圧が日本の天候に影響をあたえます。その四つとは、冷たく乾燥した空気を吹き出す「シベリア高気圧」、暖かく乾燥した空気をともなう「移動性高気圧」、冷たく湿った空気を吹き出す「オホーツク海高気圧」、非常に暖かい空気をともなう「太平洋高気圧」です。


日本は、はっきりとした四季をもち、夏は熱帯地方顔負けの蒸し暑さかとおもえば、冬の積雪量は世界有数です。季節のかわり目には梅雨や秋雨があります。これらの季節の変化をおもにもたらすのが4つの高気圧です。
  • シベリア高気圧
  • 移動性高気圧
  • オホーツク海高気圧
  • 太平洋高気圧

冬の天気予報では、「西高東低の冬型の気圧配置」という言葉をよくききます。これは、日本列島の西側に高気圧、東側に低気圧がある状態です。

日本の西側、シベリア地方の冬は、マイナス40℃にも達する低温になり、空気がひやされておもくなって高気圧がうまれます。「シベリア高気圧」です。そして日本の東側で低気圧が発生すると「西高東低」になるわけです。シベリア高気圧からは日本へむけて冷たい空気がながれだす一方、暖流がながれていて日本海はあたたかいため、シベリアからの空気が水蒸気をたくさん吸収して筋状の雲をつくり、これが、日本を縦断する山脈にぶつかって日本海側に大雪をふらせます。


2018年の初夏は、全国的に記録的な猛暑がつづきました。40℃をこえる気温も各地で観測され、埼玉県熊谷市では7月23日に、国内の統計開始以来、最高となる41.1℃を記録しました。


夏には、太平洋高気圧が発達して、それが日本をおおうようになると暑くて晴れた日がつづきます。また日本の西側には、チベット高原を起源とする、大気の上層にできる「チベット高気圧」があらわれます。2018年の夏は、チベット高気圧がはりだし、太平洋高気圧の上で二段重ねとなって日本をおおったために非常な猛暑になりました。


西日本を中心に広範囲で大雨が長くつづいた「平成30年7月豪雨」では、非常に発達したオホーツク海高気圧と、日本の南東に張りだした太平洋高気圧との間に梅雨前線ができて西日本付近に停滞しました。そして、その梅雨前線に向かってきわめて多量の水蒸気が流れこみつづけました。そのため、記録的な豪雨となったのです。


6月から7月にかけての梅雨の時期には、オホーツク海高気圧からふきだす冷たい風と、太平洋高気圧からふきだす暖かく湿った風が日本列島の上でぶつかります。2つの高気圧の勢力がほとんどつりあうことで、行き場をうしなった風は上昇気流となり雨雲をつくります。このせめぎあう2つの空気の境界を「梅雨前線」といいます。梅雨前線は日本列島を横断し、5000キロメートルにもながくのびることがときにはあります。


天気予報で、「天気は西から下り坂」という言葉をよく聞きます。これは、温帯低気圧が西からやってきて、天気がくずれるからです。


秋から春にかけて、蛇行する偏西風のはたらきによって日本付近で低気圧が発達することあがります。この低気圧は、北の寒気と南の暖気の狭間で発達し、暖気が寒気の上にのりあがっていく「温暖前線」と、寒気が暖気の下にもぐりこんでいく「寒冷前線」をともない、このような低気圧は「温帯低気圧」とよばれます。温帯低気圧は、偏西風にのって日本付近を通過して天候を左右します。




上記のように、ひとつの気象現象には特定の専門用語がつけられています。これらのキーワードを理解し記憶しておけば天気予報がもっとよく理解できるようになります。

基本的には毎年、サイクリックにおなじ現象がおこっていますので、それほど理解がむずかしいというわけではありません。また毎年おこる基本的な現象をしっておけば、何が「異常気象」なのかもわかってきます。


▼ 関連記事
雲と雨のしくみ -「天気と気象の教科書」(1)(Newton 2019.2号)-

▼ 参考文献
『Newton』2019年2月号、ニュートンプレス、2019年

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