地層は、古環境をしる手がかりです。地層から、昔の環境が想像できます。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年1月号の Basics of Science では「地層」について解説しています。



ものが積み重なることを「堆積」という。砂や泥、生物の遺骸などが長い時間をかけて積み重なり、圧力を受けるなどして固まると、そららは岩石となる。こうしてできる岩石が「堆積岩」だ。

地層とは、この堆積岩が層のように重なったもののことだ。なかには固まりきっていないさらさらの砂などもあるがそれも地層に含まれる。地層を調べると、化石がみつかったり、大昔の機構がわかったりする。

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堆積岩には、砕屑岩・火砕岩・生物岩・化学岩などの種類があります。砕屑岩とは、礫岩・砂岩・泥岩などであり、もっとも身近に観察できる岩石です。火砕岩は、火山の噴出物が堆積し固結してできた岩石であり、火山帯や火山のちかくでよくみられます。生物岩は、サンゴやプランクトンなどの海でくらす生物の遺骸からできた岩石であり、石灰岩やチャートがよくしられています。まれにみられるのが化学岩であり、海水にふくまれる塩の結晶が堆積してできた岩塩などがあります。

たとえば礫や砂や泥は、集中豪雨などがおきると山がけずられて川のながれで下流域にはこばれます。礫はおもいため比較的 山のちかくで堆積し、砂や泥は、もっと下流域まではこばれ、平野の川底や河口〜海中で堆積していきます。こうしてそれぞれの場所で特有の地層が形成されていきます。

こうした自然現象は、何千年、何万年という長大なスケールでおこり、たとえば川の運動によって広大な扇状地がつくられます。

あるいは火山の噴火がおこると火山灰がふりつもり、堆積岩と堆積岩のあいだに火山灰の層ができることもあります。

このように地層は、過去の自然現象の結果できたのであり、それぞれの土地がたどってきた自然の歴史を記録しています。したがってわたしたちは地層を観察することによって、どのような自然現象がかつておこったのか、過去に何があったのかをしることができます。

また地層からは化石が発見されることがあります。化石をしらべることにより昔いきていた生物(古生物)についてしることができます。そのときに、その化石がどの地層にふくまれていたのかが重要です。地層をしらべることによってその古生物がいきていた年代をしることができ、またその古生物がいきていた環境をしることができます。

あらゆる古生物は、当時の環境のなかでいきていたのであり、地層は、その古環境をしるための重要な手がかりになります。

181204 地層
図1 古生物と古環境のモデル




古生物について理解をふかめようとおもったら、その古環境についても理解しなければなりません。

ところが古環境の理解は、たとえば学校の理科教育でも重視されておらず、そのことが、地学教育の軽視としてあらわれています。地層を研究する学問分野は地質学とよばれますが、「地質学はマニアックな分野。趣味の一種」と馬鹿にした役人もいました。現代人が、環境についてまともな教育をうけていない証拠のひとつです。

しかし旅行先で地層をみたり、NHK の人気番組「ブラタモリ」をみれば意識がかわってくるとおもいます。地層から、昔の環境を想像することができます。どんなにこれがおもしろいことか。人間をふくむあらゆる生命は環境なくして生存できません。今も昔も、環境への適応は、生命のもっともおおきな課題のひとつです。


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▼ 参考文献
『Newton』(2019年1月号)ニュートンプレス、2018年

▼ 参考サイト
NHK「ブラタモリ」

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