円形空間は循環を連想させます。展示室内に作品は空間配置されています。展示空間に心をみたすようにします。
特別展「縄文 ― 1万年の美の鼓動」が東京国立博物館で開催されています(注1)。第5展示室「祈りの美、祈りの形」は印象的な円形展示室になっています。

円といえば循環です。ここは、生と死の循環、生命の循環を連想させます。女性の体からこの世に人が生まれ、死とともにあの世にかえり、ふたたびこの世に生まれかわるという縄文人の世界観が象徴されているのではないでしょうか。そして円形空間の中心に男性器が配置され、再生のねがいがこめられます。

本展にかぎらず展覧会では、展示室の形や展示空間が作品とともに大きなはたらきをしています。たくさんの作品は展示室内にみごとに空間配置されています。それぞれの作品は、展示室内における位置によって存在意義がきまり、個性をきわだたせます。ほかの作品との役割分担もはっきりします。

しかし多くの人々が、作品をみることに集中してしまって、展示室の形や展示空間はみないでかえってきているのではないでしょうか。展覧会などにいったら展示室のほうもしっかりみて、それぞれの作品が展示室内のどこにおいてあったか、その位置も記憶してかえってきたほうがよいでしょう。これは、そのまま空間記憶法になりますし、展示室の空間は、アイデア発想の場としてもつかえます。

それぞれの作品をみるときにはそれに集中するのに対して、展示室をみるときには、空間全体に意識を分散させ、空間に心をみたすといったやり方が有効です。集中と分散です。


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特別展「縄文―1万年の美の鼓動」(東京国立博物館)(まとめ)

▼ 注1
特別展「縄文―1万年の美の鼓動」 
特設サイト
会期:2018年7月3日 ~9月2日
会場:東京国立博物館 平成館
※ 撮影コーナー以外は撮影は許可されていません。