対数らせんが、自己相似性(フラクタル)をうみだします。フラクタルは、さまざまなところでみつかります。フラクタルは、情報処理や問題解決のためにつかうこともできます。
グラフィックサイエンスマガジン『Newton』2018年8月号の Newton Special では「美しき曲線の世界」を解説しています。このなかで「対数らせん」に注目しました。



対数らせんの重要な特徴は、「中心から外へのばした直線に対して、らせんはつねに一定の角度でまじわる」というものです。「等角らせん」とよばれるのはこのためです。らせんの巻き具合を決める角度がつねに一定なので、らせんを拡大・縮小しても、元のらせんを回転させたものに一致します。これを「自己相似性」といいます。

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オウムガイの殻の断面をみたことがある人がいるとおもいます。このうつくしいらせんは「対数らせん」あるいは「等角らせん」とよばれます。

対数らせんを数学的に最初に考察したのはデカルト(1596-1650)だといわれています。またその後、スイスの数学者ヤコブ=ベルヌーイ(1654-1705)が対数らせんをくわしく研究しました。

オウムガイは成長とともに殻を大きくし、内側に部屋をのこしていきます。新旧の部屋の形は相似の関係にあります。

対数らせんは自然界(宇宙)のさまざまなところにあらわれます。たとえば渦巻銀河の腕にあらわれるらせんも対数らせんになっています。ヒマワリの種や、カリフラワーの一種であるロマネスコにみられるらせんも対数らせんです。

そしてこれらには自己相似性がみとめられます。自己相似性はフラクタル(fractal)といってもよいです。

注意してみているとフラクタルはいたるところに存在します。フラクタルは宇宙の原理のひとつであるとわたしはおもっています。

またフラクタルは、情報処理と問題解決のためにつかうこともできます。フラクタルに今後とも注目していきます。


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▼ 参考文献
『Newton』2018年8月号、ニュートンプレス、2018年8月7日発行