「1.問題意識 → 2.フィールドワーク → 3.まとめ」という3つの段階が重要です。
岩波書店編集部編『フィールドワークは楽しい』(岩波ジュニア新書)では、10 人のフィールドワーカーたちが、日本各地や中国・インド・ヒマラヤなどでどんな調査をして、何を発見し、どのようにまとめたのか、それぞれのフィールドワーク体験についてかたっています。



何かをしらべようとおもったら書籍をよんだり、専門家の話をきいたり、あるいは自然科学者だったら実験をおこなったりするでしょう。

しかしフィールドワークという方法もあります。現地・現場に実際にいって自分の「足」をつかって調査をしてみることです。これは、時間・労力はかかりますがたのしい方法です。

フィールドワークへいくためには問題意識が第一に重要です。あなたはそもそも何を知りたいのか? 問題意識とは知りたいとおもうことであり、その素朴な気持ちが大事です。知りたいということは願望の一種であり、したがって問題意識を鮮明にするということは願望を明確にするということ、問題の提起とは願望をだすことです。このことがおろそかになっている人が意外にも多いです。

問題意識がはっきりしていれば、現地にいってからの内面への情報インプットの密度がとてもたかまります。現場にいくことによって問題意識が煮つまり、あらたな発想がうまれます。

そしてとくに、未知の土地にいくことによって既存の固定観念から自由になれます。自分の従来の土俵からぬけだせます。

たとえばフィールドワークにいくと、文科系と理科系という二大分類からも自由になれます。そもそもフィールドには文科も理科もありません。このような固定観念・峻別は、ヨーロッパ文明人が勝手にきめたことでしかありません。

あとは、かえってきてからまとめ(文章化)をかならずおこなうようにします。


180627 フィールドワーク
図 フィールドワークのすすめ方


人心の荒廃や地球環境問題など、近代文明(機械文明)は非常に大きな問題をかかえこんでしまいました。固定観念にとらわれながら、従来の方法をくりかえしているだけでは問題は決して解決できません。現在のところはあまり注目されていませんが、フィールドワークという方法が今後は重要になるとわたしはかんがえています。

フィールドワークという用語が大げさに感じられるようでしたら、それを旅行といいかえてもよいです。ただし旅行でも、第1段階の「問題意識」、第3段階の「まとめ」が必要です。ただ行ってかえってきたというのではあまりにももったいないです。


▼ 参考文献
岩波書店編集部編『フィールドワークは楽しい』(岩波ジュニア新書)岩波書店、2004年6月18日