海にながれこんだプラスチックは海流にのって世界中に拡散します。魚をたべることをとおして人体にもナノプラスチックがはいってきます。早急な対策が必要です。
『ナショナルジオグラフィック』2018年6月号の特集では「海を脅かすプラスチック」について解説しています。



直径5ミリ以下の微小なプラスチック粒子は「マイクロプラスチック」と呼ばれ、今では動物プランクトンからクジラまで、あらゆる大きさの海洋生物が体内に取り込んでいる。(中略)2017年12月にケニアのナイロビで開催された第3回国連環境総会で、国連環境計画(UNEP)の代表は「海洋のハルマゲドン(最後の決戦)」という表現を使い、危機的状況にある海を救うことの重要性を訴えた。

マニラ湾の浜辺もごみだらけで、その多くはプラスチックだ。(中略)マニラの惨状は、アジア各地の人口過密都市に共通する。(中略)廃プラスチックの爆発的な増加にはお手上げの状態だ。2004年時点でごみ捨て場として使える土地は残りわずかとなり、用地不足と、その結果としての危機的なゴミ問題は現在まで続いている。

IMG_5353


マイクロプラスチックは、深海から北極海にいたるまであらゆる海域でみつかっています。

わたしたちも、魚をたべることをとおしてこのマイクロプラスチックを摂取しています。しかしほとんどの人々はそのことに気がついていません。

くわしいことはまだわかっていませんが、マイクロプラスチックに添加された化学物質や、マイクロプラスチックの劣化で生じる「ナノプラスチック」が人体にも悪影響をあたえているのではないかと危惧されています。

プラスチックが化石燃料からうまれたのはわずか100年あまり前、第2次世界大戦後に世界にひろまり、今では、自動車から医療機器・包装材にいたるまであらゆるものにつかわれています。

プラスチックはすてられれば微細な粒子になって何百年も残留します。不用意に陸地ですてられ川にながれこんだプラスチックは、河口から海へ流出、現在 毎年、何百万トンものプラスチックが海にながれこんでいます。プラスチックの破片は海流にのって世界中の海域へはこばれます。けっきょく海は、現代人の「ごみ捨て場」になってしまいました。

2017年の国連環境総会では「海洋ごみに関する決議」が採択されました。しかしこれは単なる宣言でしかなく、強制力はありません。プラスチック製品を生産している企業への課税、ごみの収集、プラスチックのリサイクルなど、具体的なとりきめが必要です。

発展途上国には、ごみを収集しようにもごみ収集車がありません。問題解決の具体的なしくみをつくるために先進国や大企業が資金を提供すべきです。


▼ 文献
『ナショナル ジオグラフィック 日本版』(2018年6月号)日経ナショナルジオグラフィック社