第I部では「チームワークの原理」として、仕事、チーム、チームワークについて論じ、第Ⅱ部では「チームワークの実践」として、チームワークをすすめるときの注意点について論じています。

ポイントをピックアップします。

つぎの三カ条をできるだけ高度に満たしているほど、創造的だ。
(一)自発的であればあるほど、その行為は創造的である。
(二)モデルとかきまった道筋の示されてないほど、その行為は創造的である。
(三)自分にとって切実な意味を持つ行為。

作業ではなく仕事を。仕事とは、一連の作業の組みあわせから成る、ひとまとまりの物ごとである。そして作業は、仕事のなかのひとこまの手続きにすぎない。

仕事というものを首尾一貫してなしとげる体験が非常に重要だと思う

仮説をたてる発想法の段階と、仮説検証の段階とをはっきり区別する。

「考える」過程は、発想・演繹・機能を、おびただしくくり返して行うものだ。

「組織か個人か」という問題のたて方は、「組織とチームと個人」という視点に切り替えた方がよいであろう。

チームは、組織レベルの問題にも、逆に個人レベルの問題にも、いずれにも属しきらない、第三の問題の焦点である。組織の中に「顔と顔」の関係を生かせるチームの利点を、いかに採りいれるかの問題である

仕事がチームを育てる。

チームは仕事の目標を明確化せよ。

チームワークでは、議会的機能と内閣的機能との区別を、はっきり使い分けよ。

決断力のない隊長は、誤った決断をする隊長よりも劣る。

チームの中で、自分はいったいどういう点で協力しているのか。これが的確に理解されるためには、チームワークの仕事の構造がわかっていなければならない。また、どういう手順でそれを解きほぐしたらよいのか。その手順をおたがいに知っている必要がある

チームの教師は仕事である。

よい因縁を創れ

本書は、チームワークのノウハウや具体的な技法について解説するというよりも、かんがえかたや思想について論じています。

本書で論じた「チームワークの原理」については、その後、「W型問題解決モデル」、「KJ法」へと発展し、その「KJ法」は、個人でおこなう「KJ法個人作業」と、チームワークとしておこなう「KJ法グループ作業」へと展開しました。

「チームワークの実践」については、その後、「パルス討論」とよばれる会議討論法が技術化され、「衆議一決と独断専行」についてモデル化されました。

これらのノウハウ(技術)のすべては「累積KJ法」として統合され、これは、「移動大学」とよばれる野外セッションやKJ法研修会においてくりかえし実践されました。

これらをつらぬく重要な注意点としては、仮説を発想する場面において、データがまず先にあって、仮説をたてるという点があります。これは、仮説が先にあって、それにデータをあわせるのではない点に注意してください。順序が逆です。ここに発想法の極意があり、上記のすべてをつらぬく要になっています。


川喜田二郎著『チームワーク 組織の中で自己を実現する』光文社、1966年3月30日