推理法をつかって人類の謎にいどむことができます。みずから推理してみれば人類進化論がもっとおもしろくなります。
『名探偵コナン推理ファイル 人類の謎』(小学館学習まんがシリーズ)は推理まんがと学習記事によって人類の謎にいどんでいくためのガイドブックです。名探偵コナンと一緒になって推理をすすめていきます。




人類最古の祖先である猿人は、約 700 万年前、アフリカで登場した。

どんな厳しい環境にも知能で適応できる能力を持った新人、ホモ・サピエンスが6万年前にアフリカを脱出。(中略)人類は、極寒の地や海をも超えて、地球全土に瞬く間に広がっていった。

ホモ・サピエンスは、生後1年もすると喉頭の位置がさがり、声道が急速に成長して複雑な音を出せるようになる。ところがネアンデルタール人はこの成長過程がなかったと考える研究者がいる。

農耕は約1万 2000 年前から 7000 年前にかけて、ゆっくりと広がっていった。人類は農耕を開始することで、計画的に食料を生産したり保存したりすることが出来るようになり、飢餓が減り飛躍的に生存率が高まったといわれている。

約 4600 年前の西アジアの壁画からは、当時の人々が家畜として飼い慣らしていたウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマなどが描かれている。

農耕と牧畜がはじまると集落がうまれ、集落が大きくなると都市国家が成立した。社会が巨大化し、世界各地で文明が繁栄しはじめた。文字やお金が発明されて便利になった反面、貧富の差も大きくなって、略奪や戦争などの新しい問題も急増してきた。


類人猿と人類を区別する大きな特徴は2足歩行ができるかどうかです。人類は、2足歩行ができるようになったので森林をでてとおくに移動できるようになりました。

約 20 万年前、それまでとはことなる人類であるホモ・サピエンス(現生人類、ヒト)がアフリカで誕生しました。約6万年前になると、ホモ・サピエンスはアフリカをでて世界各地に拡散していきました。約4〜3万年前には日本列島にも到達しました。1万 2000 年前には南アメリカ最南端にまで到達しました。ホモ・サピエンスが世界中に拡散できた要因としては、寒冷の環境にも適応でき、航海術をもったことなどがあげられます。

人類には、もともとはいくつも種がいましたが、ホモ・サピエンスの拡散とともにほかの種は絶滅、ホモ・サピエンスただ1種のみが生きのこりました。

ホモ・サピエンスは声道が発達していたのでさまざまな音を発声することができました。つまり言葉をはなせました。これにより、高度なコミュニケーションと効率的な集団生活が可能になりました。

約1万 2000 年前になると、ホモ・サピエンスは農耕・牧畜をはじめました。自然環境に手をいれはじめました。

農業は、定住生活を可能にし、集落をうみだし、社会を発達させました。その後しばらくすると、いくつかの集落は大きくなり都市になりました。文明のはじまりです。そしていくつかの都市はさらに大きくなり都市国家となりました。


農業→集落→都市→都市国家


こうして文明は発展していきますが、同時に、貧富・階級・略奪・戦争・環境破壊も生じ、これらの問題は現代にまでつづいています。

文明がかかえるこのような社会問題と環境問題は、2足歩行をベースにして、高度な適応力と技術開発によってホモ・サピエンスが世界に拡散しはじめたときにすでに胚胎されていたとみることができます。

このように、ホモ・サピエンスは特有な歴史をもっており、それは、人類の進化の結果として生じてきたものです。ここには、1本の必然の「糸」があるように感じられてきます。進化から歴史まで連続しているともいえますが、むしろ、進化を歴史とみたほうがわかりやすいとおもいます。進化を現象としてみるのではなくて。

ホモ・サピエンスがかかえこんだ社会問題と環境問題はこのような進化の必然のなかでうまれてきたものであり、これらを解決するのがホモ・サピエンスに課された進化論的な役割(仕事)に必然的になっています。これらの問題を解決できたときに、ホモ・サピエンスはその存在意義をうしないます。




現在、東京・お台場の日本科学未来館で「名探偵コナン 科学捜査展」が開催されています。観察・聞き込み、仮説立案、科学鑑定という科学捜査(推理)を実際に体験することができます。
真実への推理 - 名探偵コナン 科学捜査展(日本科学未来館)-

推理法は、人類の謎にいどむときにもつかえます。既存の情報をただ暗記するのではなく、みずから推理をしてみると人類学がもっとおもしろくなります。

180502 事実
図 推理法


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▼ 参考文献
青山 剛昌原作・佐倉統監修『名探偵コナン推理ファイル 人類の謎」(小学館学習まんがシリーズ)小学館、2010年6月20日

▼ 関連書籍
原作/青山剛昌、監修/島村英紀、まんが/阿部ゆたか・丸伝次郎、シナリオ/平良隆久 『名探偵コナン推理ファイル 地球の謎』(小学館学習まんがシリーズ)小学館、2003年8月20日
青山 剛昌原作・高月紘監修『名探偵コナン推理ファイル 環境の謎』(小学館学習まんがシリーズ)小学館、2006年3月20日