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クルアーン(コーラン)
マッカ、16-17世紀(オスマン朝時代)紙・インク・金
(平行法で立体視ができます)
石器時代、都市文明の時代、本格文明(前近代文明)の成立、領域国家の成立という人間史の基本パターンをよみとることができます。
特別展「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」が東京国立博物館で開催されています(注)。日本ではじめて公開されたサウジアラビア王国の至宝の数々をみながら、アラビア半島の知られざる歴史をたのしもうという企画です。

ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -


第1展示室 人類、アジアへの道
第2展示室 文明に出会う道
第3展示室 香料の道
第4展示室 巡礼の道
第5展示室 王国への道



第1展示室 人類、アジアへの道
旧石器時代のアラビア半島には草原がひろがり、湖や川があり、さまざまな動物がむれていたらしい。最近の古環境学的研究からこんな結果がえられています。人間(ホモ・サピエンス)はアフリカで誕生し、アフリカをでて、このような「緑のアラビア」でアジアへの第一歩をしるしたのではないかと想像されています。


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ゾウの下顎骨(化石、数万年前)
旧石器時代のアラビア半島には、ゾウなどの動物が生息できる湿潤な環境をもつ時期がありました。



第2展示室 文明に出会う道
前 2500 年ごろ、メソポタミアとインダスで都市文明が成立しました。そしてアラビア湾(ペルシャ湾)は、メソポタミア文明とインダス文明をつなぐ海上交易の「道」になりました。当時の湾岸地域は「ディルムン」とよばれ、周辺地域からはこばれる物資の中継交易でさかえました。その拠点のひとつがタールート島でした。


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石製容器(前2500〜前2000年頃)



第3展示室 香料の道
アラビア半島の南西部、東アフリカの一部で産出する乳香・没薬などの樹脂香料は、宗教儀式における薫香・薬品として古代中近東・地中海世界において珍重されました。香料産地として富をたくわえた南アラビアは「幸福のアラビア」とよばれました。前 1000 年ごろまでに運搬動物のラクダがひろまると、香料の商隊交易によって、アラビア半島の交易都市はめざましい発展をとげました。


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奥(左)香炉(前3〜後3世紀頃)、奥(右)奉献大(前4世紀頃)
手前(左):乳香、手前(右):没薬



第4展示室 巡礼の道
7世紀前半以降、預言者ムハンマドが説いたイスラーム教が各地にひろまりました。アラビア半島のマッカ(メッカ)とマディーナは2大聖地になり、さまざまな地域からやってくる巡礼者をうけいれるようになりました。マッカ巡礼(ハッジ)はイスラーム教徒の5つの義務の一つです。歴代カリフは、巡礼路や宿泊施設・給水施設などの整備に尽力しました。主要な巡礼路は、シリア、イラク、エジプト、イエメンからの道があげられます。巡礼路は商業路としても大いに機能しました。


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カァバ神殿の扉(マッカ、オスマン朝時代、1635または1636年)



第5展示室 王国への道
サウジアラビア王国は 18 世紀に誕生したサウード家による王国に端を発します。アラビア半島の支配をめぐってオスマン帝国やエジプト、周辺部族とあらそう苦難がつづきました。

18 世紀に、スンニ派イスラーム教の改革をとなえるワッハーブ派と協力関係にあったサウード家はアラビア半島の征服を開始し、19 世紀初めには、アラビア半島の大半を統一しました(第一次サウード王国)。しかしオスマン朝の命をうけたエジプト軍によって、1891 年に王国は崩壊しました。

1824年、サウード王国は態勢をたてなおしましたが(第二次サウード王国)、内紛がおこり、1891年に再度崩壊しました。

1902年、サウード家は3度目のアラビア征服活動に着手、1932年、サウジアラビア王国を成立させました。


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サウジアラビア王国の初代国王・アブドゥルアジーズ王の上衣(20世紀)






このように、今回の特別展では、石器時代、都市文明の時代、イスラーム文明の成立、サウジアラビア王国の成立というアラビア半島の歴史を比較的短時間で概観することができます。

このようなことから、石器時代、都市文明の時代、本格文明(前近代文明)の成立、領域国家の成立という人間史の基本パターンをよみとることができます。

  • 石器時代 
  • 都市文明の時代 
  • 本格文明(前近代文明)の成立
  • 領域国家の成立

このような歴史パターンは世界各地でみられます。

今回の特別展は、アラビアやイスラーム文明という、わたしたち日本人にとってはあまりなじみのなかったことについて具体的な作品をとおして理解できるとても貴重な機会になっています。来日するイスラーム教徒もふえています。アラビアやイスラーム世界について無関心ではいられません。


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▼ 注
特別展「アラビアの道-サウジアラビア王国の至宝」
会場:東京国立博物館・表慶館
会期:2018年1月23日 ~ 2018年5月13日
※ 常設展入場料のみで見学できます。