プレゼンテーションではアイデアを1つにしぼり、たとえをつかってはなすとよいです。
「スーパープレゼンテーション(TED)」(NHK・Eテレ)が 2018 年3月に最終回をむかえました。最後に、TED 代表のクリス=アンダーソンさんが「TED流・人前で上手にはなす秘訣」(TED's secret to great public speaking)を解説しました。


  1. プレゼンテーションの主要なアイデアは1つにしぼる。
  2. 聞き手に興味をもたせる。
  3. 聞き手になじみのある概念をつかってアイデアをくみたてる。
  4. 共有する価値のあるアイデアにする。


プレゼンテーションで一番重要なことはアイデアは1つにしぼるということです。いいたいことはたくさんあるでしょうが、さまざまな情報を並列させてあれもこれものべていると、何をつたえたかったのかけっきょくわかりません。

たとえばアイデアあるいは情報が 10 件あったとすると、アイデアは1つにしぼってそれについてくわしくのべ、のこりの9は、その1つのアイデアを補強するためにつかうようにします。主題(テーマ)をきめるといってもよいでしょう。

そのつぎに重要なことは、聴衆にとってわかりやすいたとえ(比喩)をつかうことです。メッセージは、たとえることによってつたわります。なるべくわかりやすいたとえ話をするとよいです。




プレゼンテーションとは、アイデアというおくり物を聴衆へとどけることです。そのアイデアは奇妙だけどうつくしいものほどすばらしいおくり物になります。

プレゼンテーションがはじまると講演者の脳と聴衆の脳がシンクロしはじめます。聴衆同士もシンクロしていきます。共鳴現象がおこるといってもよいでしょう。共鳴こそアイデア伝達の本質です。

クリス=アンダーソンさんは、「アイデアとは、世界を理解し舵取りしていくうえで役立つ情報のパターンだ」といいます。それはいわば脳のオペレーティングシステムであり、それで世の中を舵取りしていくのです。

アイデアは、ランダムに脳にはいっているのではなく巧妙につながりあって、おどろくほど複雑な構造を全体として形成しています。そしてそれがその人の世界観となり、それにもとづいてその人あるいはその人たちは世の中をすすんでいくのです。世界観は、おそろしくも素晴らしい現実世界への案内役です。

ですから世界観を構成するアイデアは、できるかぎり確かなものにしておく必要があります。アイデアが重要な理由がここにあります。適切に伝達されたアイデアには、世界のことを人がどうおもうかを決め、現在と未来の行動を方向づけることになります。

そしてアイデアは、人間の文化を形づくるもっともつよい力となります。すぐれたプレゼンテーションは、アイデアを伝達するだけでなく、聴衆のなかにアイデアを構築します。共鳴は、伝達をこえて創造の本質となります。




NHK・Eテレで放送された「TED スーパープレゼンテーション」は大変好評で、 プレゼンの代表的なモデルになりました。世界のさまざまな組織で、プレゼンをするときには「TED のようにやれ」と指導されることもおおくなりました。

また上記の4つの秘訣はプレゼンだけでなく、ブログなど、文章を書くときにも役立ちます。アイデアをつたえたいとき、情報をアウトプットしたいときに、これらの秘訣をおもいおこすとよいでしょう。


▼ 注
スーパープレゼンテーション(NHK)(5月末まで公開)
TED talks