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反射する港(Port of Reflections)
(平行法で立体視ができます)
常識をゆさぶる体験がくもりのない「目」をもたらします。錯覚と現実を体験し、〈インプット→プロセシング〉が自覚できれば、あたらしい「世界」がたちあらわれてくるかもしれません。
「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」が東京・六本木の森美術館で開催されています(注)。

ステレオ写真はいずれも平行法で立体視ができます。
立体視のやり方 - ステレオグラムとステレオ写真 -

反射する港(Port of Reflections):わたしたち人間は固定観念をもって見てしまいます。しばしば、見ること(インプット)よりも記憶や思い込み(プロセシング)がまさってしまいます。



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雲(The Cloud)
わたしたちは、渾沌としたものに形をあたえようとします。かさなっているものを一つのものとして見てしまいます。形から勝手に想像し、認識した気になります。
 


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教室(The Classroom)
あなたの亡霊がいる? 実像と虚像は区別できるのでしょうか? 生と死は峻別できるのでしょうか?



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試着室(Changing Rooms)
あれ? 自分ではなく他人がうつっている。自分はどこにいるのか? 迷路にはまるとは居場所がわからなくなることです。居場所がわからなくなると不安になります。居場所がないと生きていけません。



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黄金の額(Golden Frames)
どこまでが実物で、どこからが絵でしょうか? どこまでが現実で、どこからが芸術でしょうか?



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美容院(Hair Salon)
何だか変だとおもいませんか?自分の姿とは? 普段からしっかり鏡を見ていますか?



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建物(Building)
壁をよじのぼってみたい。壁にぶらさがってみたい。重力(?)を再認識できます。




一見するとどこにでもあるような見慣れた風景ですが、ちがうんです。現実なのか幻なのか? 本展にいけば、見ることと現実についてあらためてかんがえなおすことができます。常識がゆさぶられます。わたしたちは、しらずしらずのうちに、固定観念や習慣にもとづいて見てしまっていることに気づかされます。くもりのない目、冷徹な観察が大事なことがわかります。

見るということは、目からの光のインプットと、心のなかでの情報の処理(プロセシング)によってなりたちます。インプットとプロセシングがくみあわさって見えていることに気がつくことが重要です。インプットとプロセシングによって「世界」がたちあらわれてくるといってもよいかもしれません。




レアンドロ=エルリッヒはアルゼンチン出身の国際的な現代アーティストであり、本展は、エルリッヒの四半世紀にわたる活動の全容を紹介する世界的にみても過去最大規模の個展です。新作を含む 44 点の作品が紹介されています。

それぞれの作品を「体験」しながら、そしてそれぞれのからくりを理解しながら、大人から子供まで誰もがたのしむことができます。錯覚と現実を体験すれば、今までとはちがって世界が見えてくることでしょう。


▼ 注
レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
会期:2017.11.18~ 2018.4.1
※ 写真撮影が許可されていました(ただしフラッシュは禁止です)。

▼ 参考文献