北極圏の海氷が減少しており、その生態系が壊滅しようとしています。いま手をうてば間にあうかもしれません。
『ナショナルジオグラフィック』2018年2月号では、北極圏の海氷の減少とその影響について解説しています。




1980 年代の衛星写真を見ると、北極の海氷は、夏のおわりになっても平均 750 平方キロにわたって広がっていた。しかし現在までに、そのうち 250 平方キロ以上が失われてしまった。

北半球では地球全体の平均よりも速く温暖化が進行している。北極に至っては平均の2倍近いペースだ。

海氷が解けると、海水がより多くの太陽光を吸収。すると海上の空気がさらに温められ、海氷の融解を一段と加速させる。

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地球温暖化の影響により、北極海の大半をおおっている氷が、21 世紀がおわるころには、グリーンランドとカナダの局北部のせまい範囲にかろうじてのこるだけになるだろうと予測されています。

その結果、北極圏の野生動物たちは、最後の生きのこりをかけてその「最後の氷」にあつまってくるはずです。北極圏には現在、ホッキョクグマ・アザラシ・セイウチ・クジラ・ホッキョクダラ・甲殻類・海氷藻類などの多様な生物が生息し、ゆたかな生態系が形成されています。これらの動物たちにとって「最後の氷」は「最後の砦」になるでしょう。

また気温が上昇してきたので、南方系の動植物が北極圏へ移動しはじめています。南方の生物の進出によって北極圏の生物の生息場所がせばまりつつあります。大規模な遺伝子の交雑もおこり、生物の進化にも影響がでてきます。遺伝的多様性がうしなわれるかもしれません。

そして北極圏の氷がきえれば、北極航路の開設、漁業の推進、原油や天然ガスの採掘、工場の建設など、開発が格段にやりやすくなります。近代物質文明は、未開地域の開発と資源のくいつぶしを基本にしてなりたっています。このような資源開発に目をつけている国家や業者がすでにあります。

そうなれば、地球温暖化と人間による開発のダブルパンチにより、北極圏の生態系はとりかえしのつかない壊滅的な打撃をうけるでしょう。

北極圏は、地球環境破壊が如実にあらわれている「指標地域」です。しかしほとんどの人々がこのことを理解していません。

もしかしたら、いま手をうてばまだ間にあうかもしれません。しかし現状はきびしく深刻です。


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